Googleビジネスプロフィール(GBP)を長く運用していると、「同じ店舗が2件表示される」「昔の担当者がオーナーになっている」「移転前のプロフィールが残っている」といった問題が起こります。
こうした問題を見つけたとき、そのプロフィールをすぐ削除していませんか。Googleは原則として1つのビジネスにつき1つのプロフィールを求めていますが、同じ住所でも、実体が明確に異なる事業や一定の条件を満たす部門・専門家は別プロフィールとして認められる場合があります。見つけた順に削除すると、残すべきプロフィールまで失うおそれがあります。
そこで、最初に「同一ビジネスの重複」「正当な別ビジネス」「所有権競合」「移転・閉業等の残存」のどれに当たるかを判定します。統合・削除・権限回収・情報修正といった処理は、その後に選びます。
この記事では、マーケティング担当者が自社のGBPを監査し、正しい管理状態へ戻すまでの手順を、洗い出しから権限・情報の整理まで順に説明します。
関連する全体像や前提は「Googleビジネスプロフィール最適化の実践ガイド」で整理しています。
重複を見つけたら、削除する前に4種類に分類する
Googleは、ビジネスごとに作成できるビジネスプロフィールは原則1つとしています。同じビジネスの複数プロフィールはユーザーを混乱させる可能性があり、重複と判断されたプロフィールは検索やGoogleマップに表示されなくなることがあります。
一方、同じ住所だからといって、すべてが重複とは限りません。重複して見えるプロフィールでも、すべてが削除対象とは限りません。そこで、プロフィール同士の関係を確認し、次の4種類に分類してから処理方法を決めます。

| 状態 | 典型例 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 同一ビジネスの重複 | 同じ店舗名・住所・電話番号で2件存在 | 統合または不要プロフィール整理 |
| 正当な別ビジネス | 同一ビル内の別店舗・別部門 | 条件確認のうえ維持 |
| 所有権競合 | 旧担当者や代理店がオーナー | 権限移管・所有権リクエスト |
| 移転・閉業等の残存 | 旧住所のプロフィールが残る | 既存プロフィール更新・情報整理 |
この表のとおり、基本対応は状態ごとに異なります。特に避けたいのは、「同じ住所だから」という理由だけで一方を削除することです。
Googleは、名前が異なり、登録資格を満たす明確に異なるビジネスであれば、同じ住所でも個別プロフィールを認めています。部門や複数の専門家にも個別ルールがあります。
最初にGoogle検索・マップ・管理画面の3方向から重複を洗い出す
重複プロフィールの監査では、管理画面に表示されているプロフィールだけを確認しても不十分です。Google検索やGoogleマップには、自社の管理アカウントに紐づいていないプロフィールが存在する場合もあるためです。最低限、次の3方向から確認します。

1. Google検索で店舗名を検索する
「正式店舗名」「店舗名+地域名」「会社名+支店名」などで検索し、次の項目を確認します。
- 同じ店舗名のプロフィールが複数ないか
- 旧住所のプロフィールが残っていないか
- 電話番号が異なるプロフィールがないか
- 営業時間が異なるプロフィールがないか
- 「閉業」扱いになった別プロフィールがないか
2. Googleマップで住所から確認する
店舗名だけでなく、住所や建物名でも検索します。名称が多少違うプロフィールは、店舗名検索だけでは見つからないことがあるためです。
3. 「ユーザーとアクセス権」を確認する
各プロフィールについて、誰が管理権限を持っているかを確認します。
Googleビジネスプロフィールにはオーナーと管理者があり、ユーザーの追加・削除ができるのはオーナーです。また、メインのオーナー権限を別ユーザーへ譲渡できるのはメインのオーナーです。
3方向で見つけたプロフィールは、次の項目を監査表に記録しておくと、後の判定と処理が楽になります。
| 確認項目 | 記録内容 |
|---|---|
| プロフィール名 | Google上の表示名 |
| 住所 | 建物名・階・部屋番号まで |
| 電話番号 | 登録番号 |
| Webサイト | 登録URL |
| メインカテゴリ | 現在のカテゴリ |
| オーナー | 社内・代理店・不明 |
| 管理者 | 担当者一覧 |
| クチコミ | 件数・評価 |
| 状態 | 正常・重複・閉業等 |
| 判定 | 維持・統合・削除・権限回収 |
最後の「判定」欄には、この後の節で説明する基準で決めた結果を記入します。
同一店舗か別店舗かは「名前・所在地・事業実体」で判定する
プロフィールを2件見つけても、すぐ統合対象とは判断できません。Googleは、実世界で使用されている名称を正確に登録し、住所やサービス提供地域を正確に設定し、ビジネスを表す必要最小限のカテゴリを選ぶよう求めています。監査では、次の3点を順に確認します。
店舗名が同じか
表記揺れだけで実態が同じなら、重複の可能性が高くなります。たとえば、次のように名称だけが多少異なるケースです。
- 株式会社○○ 新宿店
- ○○新宿
- ○○ 新宿支店
名称の違いだけでは、別事業とは判断できません。
所在地が同じか
住所は建物名、階数、部屋番号まで確認します。Googleは正確な所在地情報を求めており、住所を掲載するビジネスについては、その場所にビジネス名を示す常設表示を求めています。
事業実体が独立しているか
同じ住所でも、別ビジネスとして成立している場合があります。Googleのガイドラインでは、明確に異なる部門や、一定条件を満たす個人開業者・専門家などについて個別プロフィールが認められています。
したがって、監査では「住所が同じか」ではなく、「顧客から見て別の事業として成立しているか」を確認します。
同一ビジネスの重複なら、原則は削除より統合を検討する
Googleマップ上に同一ビジネスのプロフィールが2件以上存在する場合、GoogleはGoogleマップから統合を提案する方法を案内しています。

削除に進む前に、同一ビジネスか、管理権限があるか、移転情報ではないかを確認し、処理方法を決めます。
統合リクエストは審査対象となり、統合するプロフィールは同一ビジネスを表し、同一の情報を持っている必要があります。
Googleによれば、プロフィールが統合された場合、クチコミは統合されます。ただし、クチコミへの返信が失われる可能性があります。そのため、統合前には次を記録しておくことをおすすめします。
- 各プロフィールのクチコミ件数
- クチコミへの返信状況
- 投稿内容
- 写真
- 登録電話番号
- WebサイトURL
- 営業時間
- カテゴリ
- 管理ユーザー
記録したら、「どちらを残すか」も先に決めます。基本的には、実店舗の現在情報と一致し、正しい管理権限があり、クチコミなどの利用者情報が蓄積されているプロフィールを基準に判断します。
管理画面からプロフィールを削除してもGoogleマップから消えるとは限らない
「Googleアカウントから削除」と「Google検索・Googleマップから削除」は同じ操作ではありません。Googleは、Googleアカウントからビジネスプロフィールのコンテンツと管理者を削除しても、そのビジネスがGoogle検索やGoogleマップから消えるとは限らないと説明しています。
重複整理で間違えやすいのは、この点です。自社アカウントの一覧から不要プロフィールを消しただけで、「重複が解消した」と判断しないでください。
Googleマップ上に存在する同一ビジネスを整理したい場合は、統合やGoogleマップ上からの修正提案など、状態に応じた処理を行います。
また、プロフィールのコンテンツと管理者を削除すると、オーナーや管理者による投稿、写真、動画、クチコミ返信などに影響する可能性があります。誤って正規プロフィールを処理しないよう、操作の前に、どれが正規のプロフィールかを確認しましょう。
別のユーザーが所有している場合は新規プロフィールを作らず所有権をリクエストする
検索・マップ上に正しいプロフィールが存在するものの、自社が管理できない場合は、新しくプロフィールを作るのではなく、既存プロフィールの所有権取得を進めます。
Googleは、すでに別のユーザーが確認済みプロフィールを所有している場合、現在のオーナーにアクセス権をリクエストできると案内しています。リクエスト後の基本的な流れは次のとおりです。
- 対象プロフィールを特定する
- オーナー権限をリクエストする
- 現在のオーナーが承認・拒否する
- 承認された場合は管理権限を取得する
- 拒否された場合は再審査等を検討する
- 3日経過しても返信がない場合、申請者自身がオーナー確認へ進める場合がある
最後の項目について、Googleは、3日経過しても返信がない場合、自身をオーナーとして申請できる場合があるとしています。ただし、必ず申請できるわけではありません。
権限を回収したらメインのオーナーと管理者を整理する
所有権を取得しただけでは、監査は完了しません。退職者、過去の制作会社、利用していない代理店などに不要な権限が残っていないかを確認します。
Googleでは、オーナーは他のユーザーを追加・削除できます。管理者は日常的なプロフィール管理ができますが、ユーザーの追加・削除など一部操作はできません。この違いをもとにした整理の一例を、次の表に示します。Googleの定めではなく、社内運用の例です。
| 利用者 | 推奨する考え方 |
|---|---|
| 会社管理用アカウント | メインのオーナー候補 |
| 責任者 | オーナー |
| 店舗担当者 | 必要範囲で管理者 |
| MEO支援会社 | 原則必要範囲の権限 |
| 退職者 | 削除 |
| 契約終了した代理店 | 削除 |
特に、メインのオーナーを個人の退職リスクが高いアカウントだけに依存する運用は避けたほうが安全です。
なお、新たにオーナーや管理者として追加されたユーザーには、一部の操作に7日間の制限があります。プロフィール削除、他ユーザーの削除、メインのオーナー権限の譲渡などをすぐに実行できない場合があるため、担当者を入れ替えるときは、この期間を見込んで進めましょう。
重複を整理したら、NAP(名称・住所・電話番号)の不一致も確認する
重複プロフィールの処理後は、残したプロフィールの情報を正しい状態へ揃えます。
NAPとは、Name(名称)、Address(住所)、Phone(電話番号)のことです。NAPに加えて、WebサイトURL、営業時間、メインカテゴリも含め、最低限、次を確認します。
- 正式な店舗名になっている
- 住所表記が実店舗と一致している
- 建物名・階数・部屋番号が正しい
- 電話番号が現在の番号になっている
- WebサイトURLが正しい
- 営業時間が現在の営業状態と一致している
- メインカテゴリが実際の事業内容を表している
このうち名称・住所・カテゴリについては、判定の節で触れたとおり、Google自身も、実世界で使用されている名称、正確な住所、事業を表す必要最小限のカテゴリを求めています。
重複を消すことだけを目的にせず、「どのプロフィールを正本として今後管理するのか」を決めておきましょう。
移転時は新しいプロフィールを作らず既存プロフィールの住所を変更する
移転は重複プロフィールを生みやすい代表的なタイミングです。Googleは、ビジネスが新しい拠点へ移転した場合、新しいプロフィールを作成せず、既存プロフィールの住所を更新するよう案内しています。
つまり、「移転したので新住所でもう1件作る」という運用をすると、旧プロフィールとの重複を生む可能性があります。
移転時は、次の順番で進めます。
- 既存プロフィールを特定する
- 正しい管理権限を確保する
- 住所を新所在地へ更新する
- 電話番号・営業時間・Webサイトも確認する
- Googleマップ上に旧プロフィールが別途残っていないか確認する
重複プロフィールの監査は5STEPで進める
ここまでの内容を、実務で使いやすい5段階にまとめます。順番を決めて進めると、判断ミスを減らしやすくなります。

重複監査は、プロフィールの洗い出しから始め、判定・処理・権限とNAPの再確認までを一連の工程として行います。
STEP1 プロフィールを全件洗い出す
Google検索、Googleマップ、管理画面から、自社に関係するプロフィールを抽出します。
STEP2 同一ビジネスか別ビジネスか判定する
名称、住所、電話番号、Webサイト、カテゴリ、店舗実体を比較し、同一ビジネスか別ビジネスかを判定します。
STEP3 残すプロフィールを決める
現在の店舗実体と一致し、正しい管理権限を持ち、必要な情報が蓄積されたプロフィールを基準にします。
STEP4 処理方法を決める
判定ごとの処理方法は、次の表のとおりです。
| 判定 | 処理 |
|---|---|
| 同一店舗の重複 | 統合を検討 |
| 不要な管理用コピー | 状況確認後に整理 |
| 他者が所有 | 所有権リクエスト |
| 正当な別事業 | 維持 |
| 移転 | 既存プロフィールを更新 |
| 存在しない事業 | Googleマップから修正・削除申請を検討 |
STEP5 権限とNAPを再監査する
最後にメインのオーナー、オーナー、管理者を整理し、名称・住所・電話番号等を正しい状態へ統一します。
監査の抜けをチェックリストで確認する
以下の項目を店舗ごとに確認すると、重複・所有権・情報不一致をまとめて監査できます。
- Google検索で同名プロフィールが複数表示されない
- Googleマップで同一店舗が重複していない
- 旧住所のプロフィールが残っていない
- 正規プロフィールを特定できている
- メインのオーナーが社内で把握されている
- 退職者の権限が残っていない
- 契約終了した代理店の権限が残っていない
- 店舗名が実際の名称と一致している
- 住所・階数・部屋番号が正しい
- 電話番号が正しい
- WebサイトURLが正しい
- 営業時間が正しい
- カテゴリが事業実態と一致している
- 統合前にクチコミ・投稿等を確認している
- 移転時に新規プロフィールを作っていない
複数店舗を運営している企業では、このチェックを店舗ごとに表へまとめ、定期的に更新すると管理しやすくなります。
まとめ
Googleビジネスプロフィールの重複を見つけたら、最初に削除するのではなく、「同一ビジネスの重複」「正当な別ビジネス」「所有権競合」「移転・閉業等の残存」のどれに当たるかを判定してください。
判定後の処理は次のとおりです。同一ビジネスであれば統合を検討し、他者がプロフィールを管理しているだけなら所有権を回収します。正当な別ビジネスなら、条件を確認したうえでそれぞれ維持します。
そのうえで、メインのオーナー・オーナー・管理者を整理し、名称・住所・電話番号などを現在の事業実態と一致させるところまでが監査です。
特に複数店舗では、店舗追加、移転、担当者変更、代理店変更のたびに重複や権限不明が発生しやすくなります。Googleビジネスプロフィールを「店舗情報」ではなく「会社が管理すべきデジタル資産」として台帳化しておくことが、トラブル防止につながります。
最初の一歩は、Google検索・Googleマップ・管理画面から自社のプロフィールを洗い出し、監査表に記録することです。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「重複するプロフィールと所有権に関する問題を解決する」:重複の基本ルール、所有権、統合、移転時の処理に使用。
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナー権限をリクエストする」:所有権リクエスト後の処理に使用。
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」:権限差と7日制限に使用。
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」:1拠点1プロフィール、名称、住所、部門等の判断基準に使用。
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google アカウントからビジネス プロフィールを削除する」:アカウント削除と検索・マップ表示の違いに使用。
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