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経歴詐称問題で揺れるSES業界、エンジニア採用の実態とは?

部署:人事・採用担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
SES企業414社の調査で技術試験・技術面接の公開が1.9%だったことを示すアイキャッチ

[独自調査] Report ID: SBR-2026-038

公開日:2026年10月12日 著者:菊地 将

要旨

SES企業564社を調査。技術力を訴求する166社と他の248社で、研修内容の具体性は61.4%対63.3%、技術試験・技術面接の記載は1.2%対2.4%。技術力の根拠をどう伝えるべきかを考察する。

経歴詐称の問題が報じられるなか、SES企業はエンジニアの採用や育成、技術力について、公式サイトでどこまで説明しているのでしょうか。SES事業を営むとみられる564社のうち、公式サイトを比較できた414社を調べたところ、採用時の技術試験・技術面接について記載していたのは8社(1.9%)でした。

技術力や人材の質を強みとする166社では2社(1.2%)、それ以外の248社では6社(2.4%)でした。研修内容や方法を具体的に説明していた企業は、それぞれ102社(61.4%)と157社(63.3%)です。また、技術力を強みとする166社のうち81社(48.8%)は、数値・実績・制度などを伴わない抽象的な表現のみでした。

ただし、これらは取得時点の公開ページで確認できた記載内容の結果であり、実際の選考や研修の実施状況を示すものではありません。この記事は経歴詐称の発生状況を調べたものではなく、企業の公式サイトと求人に載っている情報を対象にしています。

この記事では、調査の方法、求人の傾向、技術試験・技術面接と研修の公開状況、技術力の説明の具体性を順に紹介します。そのうえで、採用時の評価、研修内容、技術力に関する説明を見直すポイントをまとめます。

経歴詐称の報道を受け、SES企業564社の公開情報を調べた

この節では、調査の背景と、何をどのように調べたかを説明します。

SESでは、顧客がエンジニアの経験や技術力を職務経歴書やスキルシートで判断する場面が多くあります。記載と実際の能力に食い違いがあれば、顧客との信頼関係に影響し得ます。

経歴詐称をめぐっては、裁判で争われた事例が報じられています。日経クロステックは、未経験者に経歴を偽らせて現場に送り込んだとして、SES企業の経営者らに賠償を命じた東京地裁の判決(2024年7月)を伝えました。弁護士JPニュースによると、この件は2025年2月の東京高裁判決で賠償額が約769万円に増額され、その後、最高裁で確定したと報じられています(2026年3月4日付)。

スキルシートの作成には、営業担当が関わる例もあります。IT系メディア「@IT」の2021年の連載は、筆者の会社がエンジニアを雇用する約100社に行ったアンケート調査の結果として、「営業がスキルシートを書く会社」が14%、「営業とエンジニアの両方が書く会社」が56%あったと紹介しています。

顧客が人材を選ぶ手がかりは、経歴書やスキルシートだけではありません。企業が自社の技術力をどう訴え、採用や研修、技術確認の仕組みをどこまで具体的に説明しているかも、判断材料になります。そこで、SES企業の公式サイトと求人を対象に、次の3点を確認しました。

  1. 求人は、どのような経験や技術を求めているか
  2. 技術力を強みとする企業は、採用時の技術試験・技術面接や研修をどの程度説明しているか
  3. 技術力の説明に、数値・実績・制度・具体名などの情報が含まれているか

調査の対象と方法は、次の表のとおりです。以下では、技術力・人材の質を主な訴求とする企業を「技術力訴求群」、それ以外の企業を「比較群」と呼びます(表では、それぞれ「技術力を訴求する企業」「それ以外」と表示しています)。

項目 内容
調査対象 SES事業を営むとみられる564社
公式サイトの比較 公式サイトを確認できた414社(技術力・人材の質を強みとする166社、それ以外248社)
求人の分析 求人を確認できた423社のうち、営業・事務などの非エンジニア職42件を除いた、重複のないエンジニア求人1,123件(411社)
SES・客先常駐型の求人 求人本文から確認できた348件(159社)。うち本文に「SES」の語があるものは117件(64社)
取得時期 2026年10月
訴求群の分類 公式サイトの原文を引用したうえで、技術力・人材品質を主な訴求とするかをAIが判定。旧分類と独立再判定が一致しない企業には第2パスを加え、多数決で決定(最終分類166社)。判定方法により125〜217社の幅がある。人間による独立した監査は実施していない
訴求の具体性 引用した訴求に、数値・実績・制度・具体名を伴うものが1つでもあれば「具体的」、なければ「抽象のみ」
公開内容の指標 保存した公式サイト・採用ページの本文から、記載の有無を規則で抽出(技術試験・技術面接は該当8社の原文を確認)。数値は公開情報から読み取れた範囲

表の「訴求群の分類」はAIによる判定で、人間による独立した監査は実施していません。判定方法によって技術力訴求群は125〜217社の幅があるため、本文の割合は、最終分類の166社を前提にした結果です。分類を変えた場合の結果は、研修の節で確認します。

エンジニア求人の約7割が経験を求めていた

この節では、求人票が応募者にどのような経験を求めているかを見ます。

エンジニア求人1,123件のうち、経験を求める条件を含む求人は808件(72.0%)でした。未経験者向けのみの求人は231件(20.6%)です。調べた求人では、経験者を想定した募集が多数を占めていました。

経験者条件808件のうち、求人本文で必須の経験や年数まで確認できたのは663件でした。残る145件は、求人媒体の定型表示(「経験者のみの募集」など)や歓迎表記にもとづく簡易判定です。

経験年数を書いていたのは808件のうち378件(46.8%)で、本文で経験を確認できる663件に絞ると57.0%でした。経験者を求めていても、必要な経験年数や水準まで書いていない求人があります。

SESや客先常駐型と本文から確認できた求人348件(159社)では、経験者条件を含む求人が261件(75.0%)でした。SESを含む複数事業の求人74件を除いた比較対象701件では490件(69.9%)で、差は5.1ポイントです。

必須の技術名でも、記載は限られていました。エンジニア求人のある411社のうち、Javaを必須とする企業は83社(20.2%)、Pythonは51社(12.4%)、AWSは43社(10.5%)です。この数字はJava・Python・AWSについてのもので、ほかの技術領域には当てはまりません。

SES・客先常駐型の求人を出す159社では、Javaを必須とする企業が29社、案件例としてJavaを挙げる企業が62社でした。「案件がある」ことと「経験を求める」ことは、求人の中で書き分けられています。

求人が経験者を求めるなら、次に問われるのは、その経験や技術力を採用時にどう評価するかです。

技術力を訴求する企業でも、技術試験・技術面接の説明は少ない

次に、採用選考や配属前後の確認について、公式サイトにどこまで書かれているかを見ます。

採用選考で技術試験や技術面接を記載していた企業は、技術力訴求群166社のうち2社(1.2%)、比較群の248社のうち6社(2.4%)でした。両群を合わせても414社中8社(1.9%)にとどまります。技術力を強みとする企業でも、公式サイトに採用時の技術試験・技術面接を記載している例はごく少数でした。なお、記載がない場合でも、実際には実施している可能性があります。

次の表は、採用と確認に関する5つの公開内容を、両群で比べたものです。

公開内容(414社) 技術力を訴求する企業 それ以外
採用選考で技術試験・技術面接を記載 2/166社(1.2%) 6/248社(2.4%)
配属前の面談を記載 12/166社(7.2%) 28/248社(11.3%)
スキルシートの作成・添削を記載 4/166社(2.4%) 17/248社(6.9%)
経歴・経験年数の確認手順を具体的に公開 0/166社 0/248社
確認・不正防止への言及(手順の記載なし) 0/166社 6/248社(2.4%)

配属前の面談とスキルシートの作成・添削は、技術試験・技術面接よりは記載されていましたが、最も多い配属前の面談でも、比較群で28社(11.3%)にとどまります。経歴・経験年数の確認手順を具体的に公開していた企業は、どちらの群にもありませんでした。

技術試験・技術面接の公開率は技術力訴求群1.2%、比較群2.4%だったことを示す比較図

図は、技術試験・技術面接の公開率が、技術力訴求群で1.2%、比較群で2.4%と低かったことを示しています。

エンジニア求人を確認できた企業に絞ると、技術試験・技術面接の記載は技術力訴求群1/117社、比較群5/187社です。

SESや客先常駐型の求人を確認できた189社では、配属前の面談が17社、スキルシートの作成・添削が9社、顧客との面談が7社で、技術試験・技術面接は2社でした。経歴・経験年数の確認手順の公開は、128社を対象にした別の調査でも0社でした。

確認や不正防止に言及していた6社は、すべて比較群でした。経歴詐称の禁止方針、顧客向けの技術判定の説明、事前面談でのスキル確認、社内のスキル評価の仕組みなどで、いずれも手順の記載はありません。

今回確認した公開ページでは、技術試験・技術面接の記載は少数で、経歴や経験年数をどう確かめるかを具体的に示している企業も確認できませんでした。実施している評価方法を公開できる範囲で説明することが、見直しの出発点になります。具体的な見直し方は、後半の節で整理します。

研修内容を具体的に説明していた企業は61.4%と63.3%で、差は小さかった

続いて、研修の公開状況を両群で比べ、分類方法を変えても結論が変わらないかを確かめます。

研修の内容や方法を具体的に説明していた割合は、技術力訴求群が102/166社(61.4%)、比較群が157/248社(63.3%)でした。今回の分類では両者の割合に大きな差は見られませんでした。ただし、企業の分類方法によって結果が変わるため、優劣を判断するものではありません。

公開内容(414社) 技術力を訴求する企業 それ以外
研修の内容が具体的 102/166社(61.4%) 157/248社(63.3%)
研修期間を記載 53/166社(31.9%) 72/248社(29.0%)

研修期間の記載は、技術力訴求群が31.9%、比較群が29.0%で、技術力訴求群がやや上回りました。研修の具体性と技術試験・技術面接の記載は、分類方法を変えると大小が入れ替わります。技術力訴求群と比較群の割合を、分類ごとに見ると次のとおりです(表記は技術力訴求群対比較群)。

  • 旧分類(125社):研修の具体性は64.0%対61.9%、研修期間の記載は39.2%対26.3%。技術試験・技術面接の記載は2.4%対1.7%
  • 独立に判定し直した分類(217社):研修の具体性は63.6%対61.4%。技術試験・技術面接の記載は2.3%対1.5%

旧分類や独立再判定では、技術力訴求群が研修の具体性で上回る場面もあります。一方で、技術試験・技術面接の記載は、最終分類とは大小の向きが入れ替わります。研修の具体性と技術試験・技術面接の記載では、どの定義でも技術力訴求群が一貫して高いとは言えません。

分類の信頼性を確かめるため、次の2つの絞り込みでも比較しました。

  • 判定が割れた58社を除いた場合:研修の具体性は59.9%対62.2%、技術試験・技術面接は1.4%対1.4%で、同じ水準
  • 行われた判定がすべて一致した企業(訴求あり115社、なし192社)に絞った場合:研修の具体性は63.5%対62.0%、研修期間の記載は38.3%対27.6%

研修の具体性では、分類方法を変えても、技術力を訴求する企業が一貫して詳しい説明をしているとはいえません。技術力をアピールすることと、育成内容を具体的に伝えることは別の話です。

SESや客先常駐型の求人を確認できた189社でも、研修を具体的に公開していた企業は114社(60.3%)で、それ以外でエンジニア求人のある222社の129社(58.1%)と同じ水準でした。公開されている研修は、SES部門向けと明記されたものが0社で、会社全体の制度として書かれています。

技術力を強みとする企業の約半数は、抽象的な説明のみ

最後に、技術力の説明そのものがどれだけ具体的かを見ます。

技術力や人材の質を強みとする166社の公式サイトの説明を調べたところ、数値・実績・制度・具体名などの具体的な情報を少なくとも1つ含む企業は85社(51.2%)、抽象的な表現のみの企業は81社(48.8%)でした。ただし、具体的な情報が掲載されていることと、個々のエンジニアの技術力が証明されていることは別です。

技術力を訴求する166社のうち85社は具体的な情報を含み、81社は抽象的な表現のみだったことを示す図

図のとおり、技術力を訴求する企業の約半数は、数値・実績・制度などを伴わない抽象的な表現にとどまっていました。

では、具体的に訴求する企業は、研修や技術確認も詳しく公開しているのでしょうか。研修内容の具体性は、具体的な訴求の企業が49/85社(57.6%)、抽象的な訴求のみの企業が53/81社(65.4%)で、技術試験・技術面接の記載はそれぞれ1社でした。アピールの言葉が具体的でも、採用や育成の説明まで詳しいとは限りませんでした。

SES企業の採用・研修・技術力の説明に見られた3つの課題

ここまでの結果から、公式サイト上の説明について3つの課題が見えてきました。いずれも公開された情報に関するもので、各社の実際の採用・研修の質を判定するものではありません。

一つめは、採用時の技術試験・技術面接について記載している企業が少ないことです。公式サイトを比較できた414社のうち8社(1.9%)、技術力を強みとする166社では2社(1.2%)でした。実施している選考内容について、公開できる範囲で説明する余地があります。

二つめは、技術力を強みとしている企業でも、研修内容の説明が特に充実しているとは確認できなかったことです。研修を具体的に説明していたのは61.4%対63.3%でした。分類方法によって結果は変わるため、企業群の優劣を示すものではありません。

三つめは、技術力を強みとする企業の約半数が抽象的な説明のみだったことです。166社のうち81社(48.8%)では、数値・実績・制度などを伴う説明が確認できませんでした。具体的な情報を記載していても、個々のエンジニアの能力を証明したことにはならないため、両者は区別する必要があります。

3つの課題はいずれも、採用時の評価や研修、技術力の根拠が、公開された情報からどこまで具体的に読み取れるかに関わっています。企業が実際に行っている採用時の評価や研修、担当する仕事の内容を分かりやすく紹介することが、改善の方向性になります。

SES企業が採用・育成情報で見直したい3つのポイント

では、企業は何を見直せばよいのでしょうか。採用時の評価、研修、技術力のアピールという3つの観点から、具体的な改善方法を紹介します。あわせて、採用や研修についての外部研究も確認します。これらの研究は主に一般企業を対象としたもので、SES業界に限定した調査ではありません。

調査結果を採用サイト全体の改善へつなげる場合は、採用サイトに載せるべき情報の全体像も参考になります。

SES企業が採用選考、研修育成、配属実務の各段階で説明したい情報を整理したフロー図

図は、選考、研修・育成、配属後の実務という各段階で説明したい情報を整理したものです。評価基準から研修内容、配属後の業務まで、段階ごとに具体的な情報を示すことが、以下の3つのポイントに共通する考え方です。

ポイント1|採用選考での技術評価を、基準と方法がわかる形で伝える

まず見直したいのが、採用時に技術力をどう評価しているかという説明です。最初に、選考方法についての外部研究を確認します。

採用時の評価方法には、研究上の裏付けもあります。Sackettらが2022年に発表した、選考手法の妥当性に関するメタ分析(複数の研究結果をまとめて分析する手法)の再検討では、過去の推定値が過大だったと修正されたうえでも、構造化面接(質問や評価基準をあらかじめ決めておく面接)は職務遂行を予測する妥当性が最も高い選考手法と位置づけられました。構造化面接には、職務遂行を予測するうえで一定の裏付けがあるといえます。ただし、これは選考手法の妥当性についての研究で、面接方法を公開することの効果を示すものではありません。

応募者への説明についても、研究が行われています。Truxilloらは、応募者への説明の効果を調べた26サンプル・3,481人の実験・準実験をメタ分析し、説明が応募者の公正性の認識や、採用企業への認識、受検の動機に影響することを報告しています。求人情報についても、Allenらが学生814人を対象にした研究で、求人に関する情報が応募の意向と関連することを示しています。応募者に説明や情報を提供することは、応募者の受け止め方や意向と関わるといえます。応募数が増えるかどうかまでは、これらの研究では検証されていません。

SES企業でも、評価の仕組みを整えることと、その仕組みを応募者に伝えることを分けて考える必要があります。次の順で進めます。

  1. 社内で、技術面接や技術試験の観点と評価の基準をそろえる
  2. 採用ページや求人に、選考の段階、技術面接の有無、何を見るのかを数行で示す
  3. 求人票には、技術名だけでなく、必要な経験工程、担当範囲、求める到達水準も書く

個別の問題や採点の詳細まで公開する必要はありません。今回の調査で技術試験・技術面接を記載していたのは414社中8社でした。評価方法を説明するだけでも、採用情報は具体的になります。

技術面接など職種ごとの選考内容を応募者に説明する際は、選考フローページの作り方も確認できます。

ポイント2|研修の内容と、修了時の確認方法を具体的に示す

次に見直したいのが、研修の説明です。

研修内容を具体的に公開していた企業は約6割ありましたが、研修期間を記載していたのは約3割でした。さらに、今回収集した公開情報では、自社研修の修了時に習得度をどう確認するかまで明記した企業は見つかりませんでした。研修中や配属後の課題へのフィードバック、社内のスキルチェックや評価制度など、能力の確認・評価の方法に触れた企業は、収集した公開情報から414社中7社確認しました。

研修については、Arthurらが組織内研修の効果を複数の研究から分析し、研修は平均して中程度から大きな効果を持つ一方、効果は研修の方法、対象となるスキルの特性、効果をどの基準で測るかと関連していたと報告しています。研修を設計し、評価の基準を持つことが、成果に関わるということです。これは研修の運営についての知見であり、研修内容を採用サイトに載せる効果を示すものではありません。

情報の伝え方については、Robersonらが募集メッセージの具体性を変えた実験(大学卒業レベルの求職者171人)で、詳しいメッセージが組織の特徴と自分との適合の認識を高め、応募の意向につながることを示しています。研修の話に限った研究ではありませんが、具体的な情報が応募者の企業理解を助けるという点は、研修の記載にも当てはまると考えられます。

SES企業では、研修名の列挙から一歩進めて、次の内容を書くことが考えられます。

  • 学習する内容
  • 実務演習の有無
  • 期間
  • 修了時にどの水準を確認するか
  • 配属までの流れ

未経験者向けと経験者向けで内容が異なる場合は、分けて示します。実際の運用と一致する内容に限ることが前提です。

ポイント3|技術力の訴求を、実績・制度・評価基準と、入社後の実態に結びつける

最後に見直したいのが、技術力の訴求です。

技術力を訴求する166社のうち81社は、具体的な実績や制度を伴わない抽象的な表現にとどまっていました。

採用時に仕事の実態を伝える重要性については、Phillipsが40件の研究をまとめ、仕事の実態を事前に示す方法(realistic job preview)が、採用過程からの離脱や入社後の離職の低さ、職務遂行の高さと関連していたと報告しています。効果は、提示の時期や媒体によって異なっていました。仕事内容を事前に具体的に伝えることは、入社後の定着を考えるうえでも無視できません。ただし、SES企業の技術力の訴求に、同じ効果があるかを調べた研究ではありません。

SES企業は、「経験豊富なエンジニアが在籍」といった言葉に、次の情報を添えると具体的になります。

  • 担当した工程
  • 技術の範囲
  • 社内の評価制度
  • スキルシートの記載と担当業務を照合する手順

顧客との秘密保持契約の範囲内で、案件の種類や役割を一般化して示し、個人が特定される情報は載せません。入社後に担当する業務や配属の流れも、実態に合わせて書きます。

求人票で必要経験や担当範囲、選考情報をどのように具体化するかは、求人票の応募条件・選考情報の見直し方で整理しています。

実際に公開している例として、LogTechの採用ページには、選考フローに「技術面接」(現場メンバーとの技術面談)が載っています。求人には「IT業界でのPM経験3年以上」を必須とする経験者向けの職種があり、未経験者向けの職種にはAI基礎やプロジェクトマネジメント基礎の研修が書かれています(2026年10月10日取得、11日に現行ページを確認)。求人の条件、研修、技術確認が同じ企業のページで読み取れる、公開情報の具体性を示す一例です。技術力を訴求し、研修と技術確認の両方を公開していた企業は、エンジニア求人を確認できた訴求群117社のうち、この1社でした。

生成AIの利用は開発の現場で広がっています。Googleの開発チームDORAが2025年9月に公表した調査では、約5,000人の技術職のうち90%がAIを使っていました。定型的な開発作業をAIが補助するほど、「Javaができる」「経験が豊富」という技術名や年数だけでは、企業の強みを説明しにくくなる可能性があります。評価の基準、育成の内容、経験を確かめる仕組みを具体的に示すことは、その場合にも土台になると考えます。

まとめ|技術力を強みとするなら、採用・研修の説明も具体的に

SES企業414社のうち、採用時の技術試験・技術面接について公式サイトに記載していた企業は8社(1.9%)でした。技術力を強みとする166社では2社(1.2%)、それ以外の248社では6社(2.4%)でした。

研修内容を具体的に説明していた企業は、技術力を強みとする企業で61.4%、それ以外の企業で63.3%でした。分類方法によって結果は変わるため、どちらの企業群が優れているかを判断するものではありません。また、技術力を強みとする166社のうち81社(48.8%)では、具体的な数値・実績・制度などを伴わない抽象的な説明のみが確認されました。

技術力を強みとして打ち出す企業は、採用時にどのような技術や経験を評価し、入社後にどのような研修を行っているかを、実際の運用に即して伝えることが求められます。最初の一歩は、すでに運用している選考や研修のうち、公開できる範囲を数行で採用ページに示すことです。試験問題や採点基準の詳細、個人情報、取引先の機密情報まで公開する必要はありません。

本調査は取得した公開ページの記載状況を調べたもので、技術試験・技術面接、研修、経歴確認などを実施していないことを意味するものではありません。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

弊社調査・報道

外部の研究・調査

  • Sackett, P. R., Zhang, C., Berry, C. M., & Lievens, F. (2022). Revisiting meta-analytic estimates of validity in personnel selection: Addressing systematic overcorrection for restriction of range. Journal of Applied Psychology, 107(11), 2040–2068. https://doi.org/10.1037/apl0000994
  • Truxillo, D. M., Bodner, T. E., Bertolino, M., Bauer, T. N., & Yonce, C. A. (2009). Effects of explanations on applicant reactions: A meta-analytic review. International Journal of Selection and Assessment, 17(4), 346–361. https://doi.org/10.1111/j.1468-2389.2009.00478.x
  • Allen, D. G., Mahto, R. V., & Otondo, R. F. (2007). Web-based recruitment: Effects of information, organizational brand, and attitudes toward a Web site on applicant attraction. Journal of Applied Psychology, 92(6), 1696–1708. https://doi.org/10.1037/0021-9010.92.6.1696
  • Arthur, W., Jr., Bennett, W., Jr., Edens, P. S., & Bell, S. T. (2003). Effectiveness of training in organizations: A meta-analysis of design and evaluation features. Journal of Applied Psychology, 88(2), 234–245. https://doi.org/10.1037/0021-9010.88.2.234
  • Roberson, Q. M., Collins, C. J., & Oreg, S. (2005). The effects of recruitment message specificity on applicant attraction to organizations. Journal of Business and Psychology, 19(3), 319–339. https://doi.org/10.1007/s10869-004-2231-1
  • Phillips, J. M. (1998). Effects of realistic job previews on multiple organizational outcomes: A meta-analysis. Academy of Management Journal, 41(6), 673–690. https://doi.org/10.2307/256964
  • Google「How are developers using AI? Inside our 2025 DORA report」(2025年9月23日)https://blog.google/technology/developers/dora-report-2025/

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