求人が増えて、求人一覧ページが使いにくくなっていませんか。
求人一覧ページで重要なのは、掲載数を増やすことではありません。職種・勤務地・雇用形態など、求職者が実際に比較する条件で候補を絞り、気になる求人の詳細へ迷わず進める状態をつくることです。
この記事では、求人一覧の分類軸、絞り込み条件、求人カードに載せる情報、募集状態の表示、詳細ページへの導線、更新ルールを順番に整理します。採用サイトを新しく作る場合だけでなく、すでにある一覧ページの見直しにも使えます。応募につながる導線としては、一覧から求人詳細ページへ進み、応募を判断するところまでを扱います。個別の求人ページの書き方や、応募フォームそのものの設計は、この記事の対象外です。
求人一覧ページは「求人を並べるページ」ではなく「自分に合う募集を探すページ」
最初に決めるのは、一覧ページの役割と、求人を分ける基本の軸です。
求人一覧ページの役割は、すべての求人情報を一画面で説明することではありません。求職者が自分の希望条件に合う募集を見つけ、必要な情報を確認したうえで、個別の求人ページへ進めるようにすることが中心です。
求人一覧だけでなく採用サイト全体に何を載せるかを整理する場合は、採用サイトに必要な情報とSEO・AIOの基礎も確認してください。
では、求人は何で分ければよいのでしょうか。厚生労働省のハローワークインターネットサービスでは、求人を職種別・就業場所別・雇用形態別などに分けて登録する仕組みになっています。求職者向けのIndeedでも、勤務地や雇用形態、掲載時期、給与などを使って求人を絞り込めます。
そのため、複数求人を掲載する採用サイトでは、まず次の3つを基本軸として整理すると設計しやすくなります。
- 職種
- 勤務地
- 雇用形態
新卒採用とキャリア採用を同じサイトで扱う場合や、事業部が大きく分かれている場合は、「採用区分」「事業・部門」などを加えます。
ただし、条件を増やせば探しやすくなるわけではありません。実際の求人選びに使われない分類まで追加すると、選択肢が増えてかえって探しにくくなります。
求人一覧ページは6つの順番で設計する
求人一覧ページは、デザインを先に決めるより、求人データの整理から始めた方が設計しやすくなります。次の6つの順番で進めます。

図は、求人の整理から更新ルールの決定までを、6つのステップで示したものです。
各ステップで決めることは、次の表のとおりです。STEP1とSTEP2で求人データを整え、STEP3からSTEP5で求職者が使う画面を設計し、STEP6で公開後の運用を決めます。
| 手順 | 決めること | 主な確認内容 |
|---|---|---|
| STEP1 | 掲載する求人を整理 | 職種、勤務地、雇用形態、採用区分 |
| STEP2 | 分類軸を統一 | 同じ意味の職種名・勤務地名を統一 |
| STEP3 | 絞り込み条件を決定 | 求職者が求人を探す際に必要な条件 |
| STEP4 | 求人カードを設計 | 一覧で比較するために必要な情報 |
| STEP5 | 詳細ページへの導線を設計 | どの求人を選べばよいか判断できる状態にする |
| STEP6 | 更新ルールを決定 | 公開・変更・募集終了を誰が反映するか |
最初に確認したいのは、現在使っている求人名や分類が統一されているかです。
たとえば同じ営業職でも、「営業」「法人営業」「セールス」といった名称が混在していると、求人一覧では別の職種に見えてしまいます。
勤務地についても「東京」「東京本社」「東京都新宿区」などが混在している場合は、検索用の分類と画面上の表示名を整理しておきます。
求人一覧を作る前に分類ルールを固定しておくと、新しい求人を追加するときにも迷いにくくなります。
絞り込み条件は職種・勤務地・雇用形態を基本にする
求人一覧の絞り込み条件は、企業側の組織構造ではなく、求職者が仕事を探すときの条件を基準に決めます。
採用管理システムRPMの採用サイトCMSでも、多数の求人を扱う場合の検索設計として、職種・勤務地による検索や絞り込み、求人一覧ページの構造設計が用意されています。実際の採用サイトでも、松井製作所は採用形態・職種・勤務地、サンプロは職種・勤務地を使って求人を絞り込める構成です。
基本の3軸について、それぞれ考え方を見ていきます。
職種
職種は、求職者が仕事内容の大枠を判断するための分類です。
社内組織名をそのまま使うのではなく、「営業」「エンジニア」「施工管理」「人事」など、外部の求職者が仕事を想像できる言葉を優先します。
事業部が違っても仕事内容が近い場合は、上位カテゴリを共通化したうえで、詳細ページで所属部署を説明する方法もあります。
勤務地
複数拠点で採用する企業では、勤務地を独立した絞り込み条件にします。
都道府県単位で十分なのか、市区町村や事業所単位まで必要なのかは、実際の募集状況によって決めます。
同じ職種でも勤務地によって募集条件が異なる場合は、一覧上でも別求人として識別できるようにします。
雇用形態
正社員、契約社員、アルバイト・パートなど複数の雇用形態がある場合は、一覧で判別できるようにします。
雇用形態を重視する求職者もいるため、絞り込み条件だけでなく求人カードにも表示しておくと比較しやすくなります。Indeedの求人検索でも、希望する雇用形態による絞り込みが提供されています。
必要に応じて追加する条件
基本の3軸に加えて、企業によっては、次の条件も候補になります。
- 新卒・キャリアなどの採用区分
- 事業・部門
- 未経験可などの応募条件
- リモート勤務などの働き方
- フリーワード
すべてを採用する必要はありません。求人を探すうえで実際に候補を分ける条件だけを追加します。

求人一覧では、求職者が実際に使う条件で候補を絞り、そのまま求人カードを比較できる構造にします。
求人カードには「詳細を開く前に比較したい情報」を載せる
求人カードは、個別求人ページの内容を短くしたものではありません。求職者が複数の求人を見比べ、「詳しく見る求人」を選ぶための情報を載せる場所です。
基本項目は、次の表のように整理できます。右の列は、その項目を一覧に表示する理由です。
| 項目 | 一覧で表示する理由 |
|---|---|
| 職種名・募集ポジション | 何の仕事か判断する |
| 勤務地 | 通勤・転居条件を判断する |
| 雇用形態 | 希望する働き方と合うか確認する |
| 給与・給与帯 | 条件の大枠を比較する |
| 仕事内容の短い説明 | 同じ職種名でも仕事内容の違いを判断する |
| 採用区分 | 新卒・キャリアなどを区別する |
| 募集状態 | 現在応募できるか判断する |
| 詳細へのリンク | 個別求人の条件を確認する |
松井製作所の求人一覧では、各求人に職種、雇用形態、給与、勤務地、公開日を表示し、「詳細を見る」へ進める構成になっています。
一覧カードの役割は比較なので、長い仕事内容や会社紹介を詰め込みすぎないようにします。詳しい仕事内容、応募資格、勤務条件、選考内容などは個別求人ページで確認できるようにし、一覧では「自分が見るべき求人か」を判断できる情報に絞ります。
求人カードからは、原則として対応する求人詳細ページへつなぐ
求人カードから遷移する個別ページの項目は、職種別求人ページの作り方で詳しく整理しています。
求人一覧から応募までの基本導線は、次の流れです。
- 求人一覧
- 条件で絞り込む
- 求人カードを比較する
- 求人詳細を見る
- 応募を判断する

求人一覧は応募フォームへの入口ではなく、候補を絞って求人詳細へ進むための比較ページとして設計します。
一覧カードからいきなり応募フォームへ送る設計もできますが、求職者が仕事内容や勤務条件を十分に確認できていない場合は、応募前に別ページを探し直すことになります。そのため、複数求人がある採用サイトでは、カードと対応する求人詳細ページの関係を明確にしておく方が管理しやすくなります。
Googleの求人情報向けガイドラインでも、JobPostingの構造化データは求人一覧ページではなく、それぞれの求人詳細ページに設定することが示されています。
ただし、個別求人ページに何を書くかは求人一覧とは別の設計テーマです。一覧側では、求人カードの情報と遷移先の求人が一致しているかを確認できれば十分です。
絞り込み画面では「現在の条件」と「残っている求人」を分かりやすくする
条件検索を設置する場合は、フィルターそのものだけでなく、絞り込んだ後の状態も設計します。最低限確認したいのは、次の6項目です。
- 選択中の条件が分かる
- 条件を一括で解除できる
- 該当する求人件数が分かる
- 条件に合う求人が0件の場合に戻れる
- 求人詳細から一覧へ戻った際に条件が消えない
- スマートフォンでも条件を変更しやすい
サンプロの採用サイトでは、職種や勤務地の選択肢に該当求人件数を表示しており、条件を選ぶ前に結果数を確認できます。
条件によって情報を段階的に絞り込む仕組みは「ファセット検索」と呼ばれます。求人サイトそのものを対象とした研究ではありませんが、Niu氏らが図書館検索を対象に行った研究では、150万件を超える検索ログの分析と24人の利用実験から、条件による絞り込みは検索時間を短縮するとは限らない一方、検索精度を高める結果が報告されています。
求人一覧でも、フィルターを増やすこと自体を目的にせず、「自分に合う求人を見つけやすくする」という目的から必要な条件を選びます。
募集終了した求人は「募集中」に見えない状態へすぐ反映する
求人一覧では、求人情報の追加だけでなく、募集終了時の処理も最初から決めておきます。
募集終了後に個別求人ページを削除するか、残すかといったURL・SEO上の運用は、募集終了した求人ページの扱い方で確認してください。
募集が終わっているにもかかわらず、一覧上では通常の求人と同じ状態で表示され、詳細ページを開いてから応募できないと分かる状態は避けます。Googleも、募集が終了した求人については期限切れの求人として適切に処理するよう求めています。
一覧ページ側で決めておきたいのは、主に次の3点です。
- 募集終了を誰が判断するか
- 一覧から外す、または募集終了と表示するタイミング
- ATS(応募者管理システム)や求人媒体と採用サイトのどれを、正しい情報を持つ正本とするか
求人一覧では、少なくとも「現在応募できる求人」と「応募できない求人」が混在しない状態を維持することを優先します。
求人情報の正本を一つ決めると一覧が古くなりにくい
求人一覧で起こりやすい問題の一つが、採用サイト、ATS、求人媒体、社内管理表で情報が別々に管理されることです。

求人情報の正本を一つ決め、新規公開・条件変更・募集終了を同じルールで採用サイトへ反映できる状態をつくります。
採用担当者がATSでは募集終了にしたものの、採用サイトには古い求人が残る、といった状態が起こると、求職者から見た情報が一致しません。RPMの採用サイトCMSでも、求人更新と応募管理を連動させ、公開・非公開を一元管理する仕組みが示されています。
システムを導入するかどうかにかかわらず、社内では次の表の項目を決めておきます。
| 管理項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 求人情報の正本 | ATS、CMS、採用管理表など |
| 新規求人 | 誰が公開依頼を出すか |
| 条件変更 | 誰が変更内容を確認するか |
| 募集終了 | 誰が終了を確定するか |
| 一覧反映 | 自動連携か手動更新か |
| 最終確認 | 誰が公開画面を確認するか |
採用サイト全体についても、リクルートは固定して掲載する情報と、更新が必要な情報を分け、更新を前提とした運用体制を整えることを勧めています。
求人一覧は更新頻度が高いページなので、公開時の完成度だけでなく、求人が増減しても同じルールで管理できることが求められます。
自社の採用状況に合わせて、優先する分類を選ぶ
求人一覧に唯一の正解はありません。職種数、拠点数、採用区分によって、優先する分類が変わります。次の表は、採用状況ごとに優先する設計をまとめたものです。
| 採用状況 | 優先する設計 |
|---|---|
| 複数職種・勤務地はほぼ同じ | 職種を中心に分類 |
| 同一職種を全国で募集 | 勤務地を探しやすくする |
| 新卒・キャリアを同じサイトで掲載 | 最初に採用区分を分ける |
| 正社員・パートなどが混在 | 雇用形態を一覧と絞り込みの両方に表示 |
| 職種と勤務地の組み合わせが多い | 職種×勤務地で絞り込めるようにする |
| 求人の入れ替わりが多い | 公開・非公開をすぐ反映できる運用を優先 |
たとえば全国で同じ職種を募集している企業なら、職種だけを大きく分類しても求人を探し切れません。逆に、本社だけで複数の専門職を募集している企業なら、勤務地フィルターより職種分類を見やすくする方が優先度は高くなります。
どの場合も、選ぶ基準は共通です。「企業として整理しやすい分類」ではなく、「求職者が自分の候補を減らすために使う分類」を選びます。
求人一覧ページを公開する前に確認したい12項目
実装前から公開前までに、次の12項目を一度まとめて確認します。
- 職種名の表記が統一されている
- 勤務地の粒度が統一されている
- 雇用形態を同じルールで表示している
- 必要な場合は新卒・キャリアを区別できる
- 求人カードだけで職種・勤務地・雇用形態を確認できる
- 求人カードと詳細ページの内容が一致している
- 選択中の検索条件が分かる
- 条件を解除できる
- 検索結果が0件になったときに条件を変更できる
- 募集終了した求人が募集中に見えない
- 求人情報を更新する担当者が決まっている
- 求人情報の正本となるシステム・管理表が決まっている
制作会社やATSベンダーへ依頼する場合も、この項目を先に整理しておくと、「どんな一覧ページを作るのか」を具体的に共有できます。
まとめ
採用サイトの求人一覧ページは、募集職種を並べるだけのページではなく、求職者が複数の求人から自分に合う募集を探し、比較し、詳細へ進むためのページです。
設計の軸は、職種・勤務地・雇用形態を整理し、必要に応じて採用区分や事業・部門などを加えることです。求人カードには、詳細ページを開く前に比較したい情報を載せます。さらに、募集終了をすぐ反映できる状態と、求人情報を継続して更新できる運用ルールまで設計しておくと、一覧は古くなりにくくなります。
最初の一歩として、現在掲載している求人を一覧にし、「何で分類するか」「一覧に何を表示するか」「誰が更新するか」の3点を決めましょう。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- 厚生労働省「ハローワークインターネットサービス 求人情報の入力方法について」:職種、就業場所、雇用形態などの求人分類を確認。
- Indeed「求人検索のコツを知りたい:検索設定編」:勤務地、雇用形態、掲載時期などの求人検索条件を確認。
- Google Search Central「求人情報(JobPosting)の構造化データ」:求人詳細ページと募集終了求人の取り扱いを確認。
- 株式会社ゼクウ「採用管理システムRPMの採用サイト作成(CMS)機能」:職種・勤務地による検索、求人一覧、公開・非公開管理の仕様を確認。
- 株式会社松井製作所 採用サイト「募集職種を探す」:採用形態・職種・勤務地の絞り込みと求人カードの表示項目を確認。
- サンプロ 採用サイト「募集職種一覧」:職種・勤務地・該当件数を使った求人絞り込みを確認。
- Niu, X. & Hemminger, B. “Analyzing the Interaction Patterns in a Faceted Search Interface”, Journal of the Association for Information Science and Technology, 2015:条件絞り込み型検索の利用行動について補助的に参照。
‹ 親記事: 採用サイトには何を載せるべきか。ページの作り方とSEO・AIOの基礎知識
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