[独自調査] Report ID: SBR-2026-010
公開日:2026年9月11日 著者:菊地 将
要旨
約4.8万社分のWeb観測データを持つ独自企業データベースと外部の転職・採用調査を組み合わせ、企業側がどこまで選考フロー関連の情報を公開しているか、求職者が実際に何を目安にしているかを実測データで明らかにします。求職者側には、面接回数は平均2.2回(doda調べ)、書類選考は1週間〜10日程度、選考通過の連絡は3日程度といった目安があります。一方、企業側では、Web観測に成功した47,967社のうち採用ページを保有していたのは46.3%、37,934社のうち募集要項ページを保有していたのは55.0%、職種別求人一覧ページを保有していたのは9.3%にとどまりました。業種別では募集要項ページ保有率に最大3.6倍の差があり、従業員1,000人以上の企業でも職種別求人ページの保有率は23.2%です。なお、本調査は採用関連ページの有無を検出したものであり、ページ内に面接回数や選考期間、結果連絡の方法まで明記されているかどうかは確認していません。
調査概要
- 対象:企業の採用関連ページ
- 期間:2026年9月4日時点
- 方法:Web観測データ(独自企業データベース)による採用関連ページ保有状況調査
- サンプル:47,967社(Web観測成功、うち採用ページ保有22,231社・募集要項ページ対象37,934社)
「面接は何回あるのか」「選考にどれくらいかかるのか」「結果はいつ連絡が来るのか」。応募前にこうした情報が見当たらず、応募をためらった経験がある求職者は少なくありません。
本記事では、求職者が選考フローのどの情報を目安にしているかを、外部の転職・採用調査で確認します。そのうえで、企業側がその情報をどこまで公開しているかを、約4.8万社分のWeb観測データを持つ独自企業データベースで調べます。求職者に直接聞いたアンケートではない点は、先にお断りしておきます。
結論から言うと、求職者の目安は具体的です。面接は平均2.2回、結果連絡は3日程度とされています。これに対して企業側は、Web観測に成功した企業のうち、採用ページを持つ企業が46.3%、募集要項ページを持つ企業が55.0%でした(母数はページの種類で異なります)。職種別の求人一覧を載せている企業は9.3%にとどまりました。読み終えると、自社の採用ページに何が足りないかを確認する視点が得られます。
選考フローを含む採用サイト全体の情報設計は、採用サイトに載せるべき基本情報で整理しています。
求職者が応募前に目安にしているのは、面接回数・選考期間・結果連絡の3点
転職・就職活動で求職者が応募をためらう理由の一つは、選考プロセスの見通しが立たないことです。この節では、求職者が実際に目安として意識している水準を、外部調査で確認します。目安になるのは面接回数、選考期間、結果連絡の3点です。次の4項目のうち、4つ目は3点とは別に、転職活動全体の実感値を補足として載せています。
- 面接回数:dodaの集計(中途採用エージェント基盤、約3,000社・求人情報1万5,000件が対象)では、平均は2.2回です。内訳は2回が67%で最も多く、3回が25%、1回が6%、4回以上は2%にとどまります。職種による差は大きく、金融系(投資銀行系業務)では4回以上が51%に達する一方、薬剤師など医療系職種では1回が69%を占めます【外部一次情報】。
- 選考期間:書類選考の目安は1週間〜10日程度とされています。2週間を超えたら、問い合わせを検討するタイミングだと説明されています(リクルートエージェント、2026年8月更新)【外部一次情報】。
- 結果連絡:エン・ジャパンは、選考通過の連絡は3日程度が一般的な目安だと説明しています。1週間を過ぎても連絡がない場合は、選考の遅れや社内調整など、企業側の内部事情であることが多いとしています【外部一次情報】。
- 転職活動全体の実感値:マイナビ「中途採用・転職 総括レポート2026年版(2025年実績)」では、転職活動1回あたりの平均が、応募13.6件、面接3.8件、内定獲得2.3件と示されています【外部一次情報】。この3.8件は転職活動全体を通じた延べ面接数です。1社あたりの面接回数(doda調べの2.2回)とは別の数字なので、混同しないよう注意してください。

図は、面接回数、書類選考の期間、結果連絡の3項目について、求職者が参考にできる一般的な目安を整理したものです。
ただし、これらの数字はあくまで「求職者側が期待する目安」です。企業がその情報を事前に公開しているかどうかは別の問題なので、次の節で、企業側の公開状況を独自データベースで確かめます。
企業は選考フローの情報をどこまで公開しているのか(独自データベースの結果)
自社の独自企業データベース(2026年9月4日時点の観測データ)から、Web観測に成功した企業を対象に、採用関連ページを持っているかを集計しました。母数はページの種類によって異なるため、数字ごとに併記します。
- 採用ページ保有率:Web観測に成功した47,967社のうち、採用ページを保有していたのは22,231社(46.3%)です【弊社調査】。
- 募集要項ページ保有率:観測に成功した37,934社のうち、募集要項に相当するページを保有していたのは20,866社(55.0%)です【弊社調査】。
- 職種別求人一覧ページ保有率:同じ37,934社のうち、職種別に求人一覧を掲載していたのは3,525社(9.3%)にとどまりました【弊社調査】。
採用ページという「入り口」までは用意していても、その先の「募集要項」や「職種別の詳細」まで整えている企業は限られている、というのが実態です。採用ページを持つ企業に絞ると、89.8%は募集要項ページまで公開していました【弊社調査】。裏を返せば、採用ページを作った企業の約1割は、募集要項という具体的な選考条件の情報まで公開できていません。
次に、業種別と企業規模別に、差がどこにあるかを見ます。
表1:業種別 募集要項ページ保有率(観測成功企業300社以上の業種のみ抜粋)【弊社調査】
表1は、業種ごとの募集要項ページの保有率です。上から保有率の高い順に並んでいます。
| 業種 | 観測成功企業数 | 募集要項ページ保有企業数 | 保有率 |
|---|---|---|---|
| ソフトウエア | 330社 | 289社 | 87.6% |
| 医療・福祉・介護 | 415社 | 323社 | 77.8% |
| 不動産 | 515社 | 332社 | 64.5% |
| 情報通信 | 842社 | 530社 | 62.9% |
| 製造業 | 2,915社 | 1,788社 | 61.3% |
| 食品 | 1,062社 | 513社 | 48.3% |
| ファッション | 562社 | 164社 | 29.2% |
| 不動産仲介 | 601社 | 146社 | 24.3% |

観測成功企業が300社以上の業種で比べると、最も保有率が高いソフトウエア業(87.6%)と最も低い不動産仲介業(24.3%)の間に、最大3.6倍の差がありました。業種分類は独自データベースの分類定義に基づきます。
表2:企業規模別 採用情報の整備状況【弊社調査】
表2は、従業員規模ごとに、募集要項ページと職種別求人ページの保有率を並べたものです。
| 従業員規模 | 観測成功企業数 | 募集要項ページ保有率 | 職種別求人ページ保有率 |
|---|---|---|---|
| 1〜10人 | 10,752社 | 52.2% | 10.9% |
| 11〜50人 | 483社 | 67.7% | 9.9% |
| 51〜200人 | 598社 | 77.8% | 8.9% |
| 201〜1,000人 | 395社 | 76.5% | 13.7% |
| 1,000人以上 | 125社 | 80.0% | 23.2% |

従業員1,000人以上でも、職種別求人ページの保有率は23.2%にとどまり、募集要項ページ(80.0%)との差が大きく残っています。
募集要項ページの保有率は、企業規模が大きくなるほど上がります。ただし51〜200人規模でほぼ8割に達したあとは頭打ちで、1,000人以上でも8割にとどまります。一方、職種別求人ページは、規模が大きくなっても伸びが鈍い項目です。1,000人以上と1〜10人規模との差は12.3ポイントで、募集要項ページの規模差(27.8ポイント)と比べて小さい値です。職種別求人ページの整備は、企業規模を問わず後回しにされやすい項目だと考えます。
求職者の目安と企業の公開状況を重ねると、何が見えるのか
ここまでの外部調査と独自データベースの結果を重ねて、求職者の目安と企業の公開状況のずれを整理します。
求職者は「面接2〜3回」「連絡は3日〜1週間」といった具体的な目安を持っています【外部一次情報】。そして、その目安から外れること、つまり情報が見当たらない、連絡が来ないといった状況に、求職者は不安を感じやすいと考えます。
一方、企業側は、採用ページという入り口までは半数近くが用意しています。しかし、求職者が知りたい「募集要項の詳細」や「職種ごとの選考条件」まで公開している企業は、業種や規模によって大きなばらつきがあります【弊社調査】。特に職種別の情報は、全体で1割弱、従業員1,000人以上でも2割強にとどまります。求職者から見ると、「自分が応募したい職種の選考条件がどこにも書かれていない」という状況が、業種や規模を問わず一定数あることになります。
ただし、今回の独自データベース調査が検出したのは「該当ページが存在するかどうか」です。そのページに面接回数、選考期間、結果連絡の方法まで具体的に書かれているかは確認していません。ページの有無は情報開示の土台を見る指標であり、記載内容の充実度は別途の確認が必要です。

数字を読むときの例外・注意点
数字を読むときに押さえておきたい点が3つあります。
- 業種別・企業規模別の保有率は、独自データベースで観測に成功した企業を分母にした値です。Web観測ができなかった企業(観測エラー・未観測)は含まれていません。
- 中途採用ページと新卒採用ページを分けた集計【弊社調査】は、データベース上の検出件数が極端に少なく(全体の1%未満)、差として信頼できないため、本記事では採用していません。
- 求職者アンケートで「不快な経験がある」が70%(電話連絡なし27.5%、Web応募後無連絡26.3%、連絡遅延24.3%)という結果(インディード求人広告ネット調べ)【外部一次情報】は、2015年6月実施の調査です。現在の採用市場の実感値とは差がある可能性があるため、参考情報として紹介するにとどめ、最新の実態を示すものとは扱いません。
採用担当者はこの結果をどう受け止めればよいのか
求職者が期待する「面接2〜3回」「結果連絡3日〜1週間」という目安に対して、自社の採用ページや募集要項に、選考回数、選考期間、連絡の目安を明記できているかが、この調査から採用担当者が確認したい点です。
前の節で触れたとおり、今回確認したのはページの有無までです。選考回数や連絡の目安が書かれているかは分からないため、明記できている企業がどれだけあるかは言えません。それでも、募集要項まで書き切れていない場合や、複数職種を募集しているのに職種別の情報を出し分けていない場合は、求職者から見て「情報が足りない」状態になりやすいと考えます。
選考情報を整えた後は、応募時の入力負担や応募者管理システム(ATS)との連携まで含めて「採用サイトの応募フォームの作り方」も確認すると、応募導線を一続きで設計できます。
自社の採用ページで確認したい4つのこと
次の4点を、自社の採用ページと求人票で確認してみましょう。
- 自社の採用ページに、募集要項(職種・雇用形態・勤務条件)を明記したページが存在するか
- 複数職種を募集している場合、職種ごとに個別の選考情報を出し分けられているか
- 面接回数、選考期間、結果連絡までの目安日数を、求人票または採用ページ上に明記しているか
- 選考結果の連絡方法(メール・電話)や、連絡が遅れる場合の目安を候補者に伝えられているか
まとめ:募集要項と選考の目安まで明記する
求職者は「面接2〜3回」「結果連絡3日〜1週間」といった具体的な目安を持って選考に臨んでいます【外部一次情報】。ところが企業側の情報開示は、業種や企業規模によって大きな差があります。特に、職種別の詳細情報まで公開している企業は1割に満たないのが実態です【弊社調査】。
採用ページを「作って終わり」にせず、募集要項や選考フローの目安まで明記することが、応募段階の不安を減らす手がかりになると考えます。最初の一歩は、先ほどの4点のうち、募集要項ページがあるかと、選考の目安を書いているかの2つを確認することです。
参考文献・出典
この記事で参照した情報を確認できます。
- doda「転職の面接は平均何回?」(中途採用エージェント基盤、約3,000社・求人情報1万5,000件をもとにした集計)
- リクルートエージェント「書類選考の期間はどのくらいが目安?連絡が遅い場合の対処法」(2026年8月12日更新)
- エン・ジャパン「面接結果待ちの不安を解消」
- マイナビキャリアリサーチLab「中途採用・転職 総括レポート2026年版(2025年実績)」
- インディード求人広告ネット 人材info「求人応募に関する調査データ」(2015年6月、求職者2,500人対象アンケート)
- 自社独自企業データベース(観測時点:2026年9月4日)
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