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オウンドメディア運営は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:基礎知識オウンドメディアオウンドメディア集客

オウンドメディアを始めようとする企業が最初に迷うのは、テーマ選定や記事構成の技術よりも、「自社で作るのか、外部に任せるのか」という体制の決め方です。調査では、B2B企業の外注比率が前年より下がり、内製化が進んでいることが分かります。一方で別の調査では、内製化したくない理由の1位に「マーケティング専任者を採用する予定がないから」(48.9%)が挙がっています。内製と外注のどちらが良いかを一概には決められない背景には、社内の人員をどう確保するかという問題があると考えられます。

この記事の答えは、判断の起点を「発信の目的設計と、自社にしか語れない情報の提供を、継続して担える体制が社内にあるか」に置くことです。担える体制があれば、制作実務を外部に委ねるハイブリッド型(戦略判断と一次情報の提供は自社、制作実務は外部パートナー)が多くの企業にとって無理のない選択になります。担える人がいなければ、まず社内に責任者を1名置くところから始めます。

以降では、内製・外注・ハイブリッドを選ぶ判断基準、体制に必要な役割の全体像、体制構築の進め方、予算配分の考え方、つまずきやすい点の順に整理します。

内製か外注かで迷う企業が多いのはなぜか

この節では、調査の数字から、企業が内製か外注かで迷う理由を確認します。迷いの中心は、施策への理解よりも、社内の人員を確保できるかどうかにあると考えられます。

まず、外注比率の動きです。コンテンツマーケティング・アカデミー(株式会社日本SPセンター運営)が2025年11月〜2026年1月に実施した調査(B2B36名・B2C29名、合計65名対象)によると、B2B企業のオウンドメディアの外注比率は63.9%で、前年調査から約6ポイント低下しました。同調査は、企業が「自社でコントロールできる基盤」を重視し始めていることを背景として挙げています(出典:コンテンツマーケティング・アカデミー調査)。一方、B2C企業では外注比率が75.9%と前年から約6ポイント上昇しており、内製化の流れはB2BとB2Cで方向性が異なります。自社の事業がどちらに近いかによって、参考にすべき数字が変わります。

次に、内製に踏み切れない企業の事情です。ナイル株式会社がマーケティング担当者506名を対象に2023年11月に実施した調査では、「外注がメイン(一部内製)」が37%、「内製がメイン(一部外注)」が26.7%、「すべて内製化」が24.5%という内訳でした。内製化を希望する担当者は約60%にのぼります。内製化したい理由の1位は「社内に人的リソースがあるから」(64.1%)、内製化したくない理由の1位は「マーケティング専任者を採用する予定がないから」(48.9%)でした(出典:ナイル株式会社調査)。つまり、内製化の可否を分けているのは施策への理解度よりも、社内の人員をどう確保するかという問題だと考えられます。

この人員の問題は、採用市場の厳しさとも重なります。東京商工会議所の調査では、中小企業の52.4%が人員を「不足」と回答しており、総務省「労働力調査」でも小規模企業の雇用者数は減少傾向にあるとされています(出典:リクルートワークス研究所の記事が引用する東京商工会議所調査・総務省統計)。生産年齢人口(15〜64歳)も1995年の約8,700万人から2025年には約7,200万人まで減少しているとみられます(出典:同記事が引用する人口推計)。マーケティング専任者を新たに採用すること自体のハードルが上がっていることは、体制を検討するうえでの前提になります。

オウンドメディア全体の位置づけを確認したい場合は、オウンドメディア集客完全ガイドとオウンドメディアとは?意味・重要性・運営の全体像を企業担当者向けにやさしく整理もあわせて確認できます。

内製・外注・ハイブリッドは何を基準に選ぶか

この節では、2本の解説記事の整理をもとに、体制を選ぶ起点を決めます。結論は、「すべてを内製できるか」ではなく、目的設計と一次情報の提供を社内で続けられるかを基準にすることです。

内製と外注の切り分けを扱う解説記事は、判断の軸を「社内リソース(人手と知見の有無)」と「自社ならではの話をどれだけ出せるか」の2軸で整理しています。同記事は、業務を次のように分けています。

  • どれだけ外注が進んでも社内に残すべきコア業務:戦略設計、目的やKPIの設計、自社の経営者や現場が語る一次情報の提供
  • 外注に向く業務:構成作成、記事執筆、編集・校正、デザインなど、手順が決めやすく成果物の基準をそろえやすい業務

同記事は「目的と語る中身を外注に預けると、契約終了とともに発信も資産も失われる」とも指摘しています。体制を設計するうえで見落とせない視点です。

もう一方の解説記事は、この考え方を一歩進め、「完全内製」でも「丸投げ外注」でもない体制を提案しています。戦略判断と一次情報の提供は自社が担い、制作実務とSEO・AIOの設計は外部パートナーに委ねる形です。同記事によると、月10本規模のコンテンツを完全に内製化しようとすると月間200時間程度の工数がかかるとされています。これを自社の担当者だけで担うのは、前述の人員不足の状況とも重なり、現実的でないケースが多いと考えられます。

2記事を踏まえると、目的設計と一次情報の提供を担う人員が確保できるなら、記事の執筆・編集・デザインといった実務は外部パートナーに委ねるハイブリッド型が、多くの企業にとって無理のない選択になります。逆に、目的設計を担う担当者すら確保できない場合は、まず社内に責任者を1名置くところから体制構築を始めます。なお、更新本数の規模別に必要な人数やコストの具体的な試算は本記事の範囲を超えるため、体制の人数とコストを詳しく比較する別記事に譲ります。

この基準で内製・外注の大枠を決めたうえで、発注先の比較へ進む段階では、オウンドメディア運営代行会社比較、オウンドメディア運営代行会社を乗り換えるときの引き継ぎ手順、オウンドメディア運営代行会社の契約更新を判断する方法を参照してください。

社内に残す役割と、外部に任せる役割は何か

体制に必要な役割は、社内に残すものと外部に委ねられるものに分けて考えると整理しやすくなります。

社内に必要なのは、運用方針とKPIを決め、外部パートナーとの窓口となり、自社の商品知識や経営者の考えといった一次情報を提供する「責任者」の役割です。この役割は正社員である必要はなく、業務委託の形で確保する企業もあります。複数人の兼任のまま曖昧にせず、最終的な判断と情報提供の責任を持つ担当者を明確にしてください。

外部へ委ねやすいのは、構成作成、執筆・取材、編集・校正、入稿、デザイン、SEO・AIOの技術的な設計など、成果物や工程の基準を定めやすい実務です。ただし、どの支援類型を選ぶか、制作会社とフリーランスのどちらへ発注するか、記事制作だけを任せるか運用まで任せるかは、内製・外注の大枠を決めた後に詰める論点です。本記事では、個別のサービス形態や発注先の比較ではなく、内製・外注・ハイブリッドのどれを軸に体制を組むかと、その判断に必要な役割分担までを扱います。

AIツールの活用も広がっています。前出の調査では、B2B企業の29.2%がテキスト生成AIツールを導入し、アクセス解析ツールに次ぐ主要ツールとして定着しつつあるとされています。ただし、AI活用は制作実務を補助する位置づけです。戦略判断や一次情報の提供という、社内に残すべきコア業務の代わりにはなりません。

制作範囲と完成条件を比較する場合は、記事制作代行の見積を比較する方法も確認できます。

体制構築はどの順序で進めればよいか

体制は一度に完成させず、段階的に整えます。2本の解説記事は、表現は違っても、まず目的とコア業務を決め、外部との伴走でノウハウを社内に移すという同じ方向を示しています。

内製・外注の切り分けを扱う解説記事は、体制構築を次の3段階で進める考え方を示しています。

  1. 伴走型でプロ主導のもと、品質と成果を作る段階
  2. 一部の記事制作や簡単なリライトを社内で実施する段階
  3. 企画やディレクションも社内へ移行する段階

もう一方の解説記事は、次の5つの順序を提案しています。

  1. 発信目的とKPIを決める
  2. 社内に残すコアと外注範囲の線引きをする
  3. 範囲に合う外注先タイプを選ぶ
  4. 初回ヒアリングで自社の背景を理解してもらう
  5. 制作と改善のサイクルを一緒に回す

両記事に共通しているのは、いきなり全業務を内製化・外注化せず、まず目的とコア業務の線引きを決め、外部パートナーとの伴走を通じてノウハウを社内に蓄積しながら、段階的に体制を移行させるという考え方です。定例の編集会議などで、キーワード選定の理由や構成の意図といった戦略的な背景を外部パートナーと共有する場を設けると、実践的なノウハウを社内に残しやすくなるとされています。前述のとおり、専任のマーケティング人材をすぐに確保できるとは限らない企業が多いことを踏まえると、この段階的な進め方は多くの企業にとって現実的な選択肢だと考えられます。

すでに外注している運用を社内へ移す場合は、オウンドメディアを外注から内製へ移行する方法を参照してください。

予算はどの順序で配分すればよいか

予算は、体制に対応させる順序で決めます。予算は、内製・外注・ハイブリッドのどれを選ぶかを決める条件の一つです。ただし、最初から「月額いくらで頼めるか」を起点にすると、必要な社内機能や委託範囲が曖昧なまま発注先を選びやすくなります。

配分の順序は次のとおりです。まず、外部では代替しにくい「目的設計・KPI設計・一次情報の提供・最終判断」を担う社内責任者の稼働を確保します。そのうえで、社内で不足する制作、編集、進行、分析などの機能に外注予算を配分します。この順序にすると、体制と予算を対応させやすくなります。

体制の大枠を決めた後に予算を具体化する段階では、次の項目を個別に比較すると整理しやすくなります。

  • オウンドメディア運営代行の費用
  • 記事制作代行の費用
  • コンサルと運用代行の支援範囲
  • 制作会社とフリーランスの発注形態
  • 記事制作だけを任せる場合と、運用まで任せる場合の違い

本記事では、これらの詳細な費用相場・支援類型・発注形態・委託範囲の比較には踏み込まず、内製か外注かを判断するために必要な予算配分の考え方までを扱います。発注条件をそろえる段階では、オウンドメディア運営代行の提案書を比較する方法も確認できます。

体制構築でつまずきやすいのはどこか

体制を整えたつもりでも、運用段階でつまずくパターンがあります。代表的なのは次の3つです。

  1. コストの安さだけで丸投げに近い外注先を選び、目的設計や一次情報の提供まで任せてしまうケースです。この場合、契約が終了すると発信のノウハウも資産も社内に残りません。
  2. 社内のリソースを見誤って無理な内製化を進め、担当者が疲弊して更新が止まってしまうケースです。
  3. 外部パートナーとの情報共有を制作物の受け渡しだけにとどめ、戦略的な背景を共有する場を設けないまま進め、社内にノウハウが蓄積されない状態が続くケースです。

いずれも、内製か外注かという選択そのものよりも、どこまでを社内に残し、どこを任せるかの線引きと、その線引きを継続的に見直す姿勢が欠けていることが原因だと考えられます。

まとめ:判断の起点と、最初に確認すること

オウンドメディアの体制構築は、内製か外注かの二択で考えるのではなく、「発信の目的設計と自社にしか語れない情報の提供を、継続して担える体制が社内にあるか」を起点に、コア業務は自社に残し、実務は外部パートナーに委ねるハイブリッド型も含めて検討するのが現実的です。

体制はいきなり完成形を目指さず、外部パートナーとの伴走を通じてノウハウを社内へ移しながら、無理のない範囲で内製比率を見直していきます。

最初の一歩として、目的設計と一次情報提供を担う責任者を置けるか、どの工程を社内で継続できるかを確認してください。そのうえで、外注が必要だと判断した場合は、予算→支援類型→発注形態→委託範囲の順で詳細を詰めると、会社選びを始める前に判断条件を整理できます。

この記事の調査方法・出典・限界

本記事は、オウンドメディアの内製・外注の切り分けを扱う解説記事と、外注できる業務範囲・外注先の類型を整理した解説記事の2本を分析しました。そのうえで、コンテンツマーケティング・アカデミー(株式会社日本SPセンター運営)の調査(2025年11月〜2026年1月、B2B36名・B2C29名)、ナイル株式会社の調査(2023年11月、マーケティング担当者506名)、東京商工会議所・総務省の統計を引用するリクルートワークス研究所の記事を追加で確認し、独自に構成した記事です。

判断基準の2軸整理、外注業務の分類、体制構築のステップは参考記事からの引用・再構成であり、弊社独自の調査結果ではありません。外注費用の相場や年間予算の分布は、各調査・記事が示す一般的な傾向です。自社に当てはめる際は、業種や地域、依頼範囲によって実際の金額が変わる点にご留意ください。

なお、更新本数の規模別に必要な人数や内製・外注の月額コストを比較した具体的な試算は本記事では扱っていません。その内容は、専門に扱う別記事を参照してください。

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