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ホームページ制作会社を乗り換えるときにやること|ドメイン・サーバー・CMS・ソース・計測・権利を引き継ぐ

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践

ホームページ制作会社や保守会社を変更するとき、最初に確認すべきなのは新しい会社のデザイン力ではありません。現在のサイトを構成するドメイン、DNS(ドメイン名とサーバーを結びつける設定)、サーバー、CMS、ソースコード、デザインデータ、計測環境、ライセンスについて、「誰が契約し、誰が変更でき、誰が復旧できるのか」を確認することです。

引き継ぎは「ログイン情報を受け取ったら完了」ではありません。自社または新しい管理会社が設定変更、バックアップ、復元、ユーザー管理まで実行できる状態になり、旧制作会社の権限を安全に外せて初めて完了します。そこまで確認せずに切り替えると、更新や障害対応が旧制作会社にしかできないまま残るおそれがあります。

結論として、資産ごとに「所有・管理・復旧」の3点を確認し、解約より先に棚卸しを済ませ、新環境での動作確認を終えてから切り替える順番で進めます。この記事では、既存サイトの資産を失わずに乗り換えるために、資産別の確認項目、7ステップの進め方、現制作会社への依頼項目、完了の確認方法、引き継げない資産の扱いを順に整理します。

乗り換えでまず確認するのは「所有・管理・復旧」の3点

この節では、引き継ぎが済んだかどうかを判断する物差しを示します。ホームページ制作会社を変更するときは、各資産について「所有者」「管理者」「復旧できる人」の3点を確認してください。

たとえばCMSへログインできても、管理者を追加できなければ十分ではありません。サーバーのFTPへ接続できても、契約更新やバックアップ復元が旧制作会社にしかできない状態では、完全に引き継げているとはいえません。3点の関係は、次の図のとおりです。

ホームページ制作会社の引き継ぎ完了には所有・管理・復旧の3条件が必要であることを示す図

資産ごとの確認事項と完了の目安は、次の表にまとめました。1行ずつ埋めていくと、どこが未確認なのかが分かります。

引き継ぐ資産最低限確認すること受け取る・確認するもの完了の目安
ドメイン登録者、契約先、更新期限管理画面、AuthCode等自社側で更新・移管手続きができる
DNS管理サービス、変更権限DNSレコード一覧自社側でレコード変更ができる
サーバー契約者、管理権限、仕様管理画面、接続情報、バックアップ新環境で復元できる
CMS管理者、バージョン、構成管理者権限、データユーザー追加・更新ができる
ソースコード保管場所、最新版HTML、CSS、JavaScript、PHP等新会社が改修できる
デザイン・画像元データ、権利Figma等の元データ、画像原本契約上必要な範囲で再利用できる
計測GA4、Search Console、タグ管理者・所有者権限自社アカウントで管理できる
契約・ライセンス契約者、利用条件契約書、ライセンス一覧乗り換え後も利用条件を満たす

「完了の目安」を満たせない行が、優先して詰めるべき項目です。見るべきはパスワードの有無ではなく、会社を変えた翌日も自社の判断でサイトを管理できる状態かという点です。

制作会社を変更するときは、解約より先に資産を棚卸しする

乗り換えを決めたら、現制作会社との契約を終了する前に、サイトに関係する資産を一覧化します。確認対象はホームページ本体だけではありません。

  • ドメインとDNS
  • Webサーバー
  • SSL証明書
  • CMS
  • データベース
  • ソースコード
  • 画像・動画
  • デザイン元データ
  • フォーム
  • メール送信設定
  • GA4
  • Google Search Console
  • Google Tag Manager
  • 外部サービス
  • 有料テーマ・プラグイン
  • フォント・写真素材等のライセンス
  • GitHub等のソースコード保管場所
  • 保守契約
  • バックアップ

契約書、請求書、更新通知メール、管理画面などを照合し、「サービス名」「契約名義」「管理者」「更新期限」「支払者」「解約時に何が残るか」の6点を確認します。

このとき特に注意したいのは、制作会社が契約者になっているサービスと、自社が契約者になっているサービスを分けることです。

制作会社のアカウント内で複数顧客のサイトをまとめて管理している場合、アカウントそのものを譲り受けられないことがあります。その場合は、データ移行や新規契約が必要です。引き継げない資産が見つかったときの分け方は、記事の後半で説明します。

ドメインとDNSは最優先で管理権限を確認する

ドメインはホームページのURLを維持するための資産なので、最初に管理権限を確認します。見るのは、登録者、管理事業者、更新期限、自動更新の状態、DNSを変更できるアカウントの5点です。

JPドメインについて、JPRSは管理指定事業者を変更できる仕組みを設けています。手続きでは、移管の認証に使うAuthCodeが必要になる場合があり、ロックが設定されている場合は解除が必要です。JPRSは手続きに数日程度かかる場合があるため、余裕を持つよう案内しています。乗り換えの日程には、この日数を見込んでおきましょう。

.comなどのgTLDでも、レジストラ間の移管にはICANNのTransfer Policyに基づく手続きがあります。ドメインの種類や登録事業者によって条件が異なるため、実際の移管方法は現在の登録事業者と移管先の双方で確認してください。

DNSを変更する前にメール設定も確認する

DNSにはホームページだけでなく、メールの届け先を示すMXレコードや、各種サービスの認証用レコードが登録されている場合があります。そのため、「新しいサーバーのIPアドレスへ変更すればよい」と判断してDNS設定を丸ごと置き換えるのは危険です。

現在のDNSレコードを事前に保存し、Web、メール、認証、外部サービスごとに用途を確認してから変更します。切り替え前に現在のレコードと用途を押さえておけば、Web以外の設定を巻き込んで止める事態を避けやすくなります。

DNS設定がWebサイト、メール、サービス認証、外部サービスに関係していることを示す図

サーバー・CMSは「バックアップをもらう」だけでなく復元できるか確認する

サーバーとCMSでは、公開中のWebサイトを再現できるデータが揃っているかを確認します。

WordPressの場合、WordPress公式ドキュメントではサイトを復元するためのバックアップを「データベース」と「ファイル」の2つに分けています。ファイルだけを取得しても、記事や各種設定が保存されたデータベースがなければ、通常はサイト全体を復元できません。WordPressであれば、少なくとも次の対象を確認します。

  • データベース
  • テーマ
  • プラグイン
  • アップロード画像
  • 独自に追加したプログラム
  • 設定ファイル
  • .htaccess等のサーバー設定
  • CMS管理者アカウント

他のCMSでも、サイトを再現できるデータが揃っているかを確認する考え方は同じです。「サイトデータ一式」という曖昧な依頼ではなく、何を受け取れば新しい環境でサイトを再現できるかを新制作会社と確認してから、現制作会社へ依頼してください。

制作会社の変更にあわせてCMSやURL構造も変更する場合は、サイトリニューアルでSEO評価を落とさない移行方法で301・canonical・計測の移行手順も確認してください。

ソースコード・デザインデータ・著作権は別々に確認する

データを受け取れることと、そのデータを自由に再利用・改変できることは別問題です。HTMLやプログラムのソースコード、FigmaやAdobe Illustrator等のデザイン元データ、写真、イラスト、動画などについて、契約書で納品範囲と利用条件を確認します。

対象別に確認したい項目は、次の表のとおりです。

対象確認すること
ソースコード納品対象か、改変できるか、第三者ライブラリを含むか
デザイン元データ納品対象か、別会社による編集が可能か
写真・動画自社購入か、制作会社購入か、利用期間・媒体制限があるか
フォント新制作会社でも同じライセンスを利用できるか
有料テーマ契約者変更または再契約が必要か
プラグインライセンスがサイト単位か、制作会社アカウント単位か
外部API・SaaS契約者と課金先を変更できるか

表のうち、フォント・有料テーマ・プラグイン・外部API・SaaSのように制作会社が契約者になっていることがあるものは、新制作会社が同じ条件で使い続けられるかを個別に確認します。

著作権については、文化庁が次のように説明しています。著作権の譲渡では、著作権法27条・28条の権利は契約書で特に明示されていない場合、譲渡者に留保されたものと推定されます。また、著作者人格権は譲渡できません。

そのため、「制作費を支払ったから、元データや著作権も当然すべて自社のもの」と考えず、契約内容を確認しましょう。

GA4・Search Console・Tag Managerは自社側に管理権限を残す

計測環境では、過去データを書き出すだけでなく、既存のアカウントやプロパティを自社側で継続管理できる状態を目指します。ツールごとに、確認する権限が異なります。

GA4はAdministrator権限を確認する

Google Analytics 4には、Administrator、Editor、Marketer、Analyst、Viewerなどの役割があり、ユーザー管理ができるのはAdministratorです。制作会社を変更するときは、自社側のGoogleアカウントが必要な管理権限を持っているかを確認してください。

Search Consoleは「確認済み所有者」を確認する

Google Search Consoleでは、所有者だけが他のユーザーの追加・削除などを行えます。また、所有者には「確認済み所有者」と「委任された所有者」があります。

旧制作会社だけが確認済み所有者になっている場合、新制作会社を追加するだけで終わらせず、自社側でも所有権を確認できる状態を検討してください。

Google Tag Managerは外部会社だけを管理者にしない

Google Tag Managerでは、アカウントとコンテナごとに権限を設定できます。Googleは、管理者が1人だけの場合にアクセスできなくなるリスクを案内し、有効な管理者を少なくとも2つ用意すること、さらに外部代理店ではなく組織内の担当者がアカウントを管理することを推奨しています。

この運用は、制作会社を変更するときだけでなく、社内担当者の退職に備える意味でも有効です。

引き継ぎは7ステップで進め、旧環境を止める前に新環境を確認する

安全に制作会社を乗り換えるなら、次の順番で進めます。各ステップには、終わったと判断するための完了条件を付けています。

STEP作業完了条件
1契約・資産を棚卸し対象資産が一覧になっている
2自社の管理権限を確認重要サービスを自社で管理できる
3新制作会社に現環境を確認してもらう必要な引き継ぎ項目が確定
4現制作会社からデータ・権限を受領必要項目が揃っている
5新環境で復元・動作確認ページや機能が再現できる
6DNS等を切り替える本番環境が正常に動作する
7旧制作会社の権限を整理不要なアクセスが残っていない

7ステップで特に押さえたいのは、旧環境を止める前に新環境を確認する順番です。具体的には、新環境で復元と動作確認を終えてから本番を切り替え、旧環境の停止はその後にします。

制作会社変更を解約前、切り替え、切り替え後に分けた7ステップの移行フロー

Google Search Centralも、URLを変更せずホスティング環境を移す場合、新環境へのコピーとテスト、DNS変更、旧環境と新環境の監視、旧環境停止という順番を案内しています。

URLそのものを変更するリニューアルでは、旧URLと新URLの対応やリダイレクトなど別のSEO移行設計が必要になります。本記事では制作会社変更に伴う資産・権限の引き継ぎに範囲を限定します。

現制作会社へは「データ一式」ではなく項目を指定して依頼する

引き継ぎ依頼は、対象と形式を明確にすると確認漏れを減らせます。依頼項目の例は次のとおりです。

  • ドメインの登録事業者・登録者・管理方法
  • DNS管理サービスと現在のDNSレコード
  • サーバー契約・管理画面・接続情報
  • Webサイトのファイル一式
  • データベースのバックアップ
  • CMS管理者権限
  • ソースコードとリポジトリ
  • デザイン元データ
  • 使用している写真・フォント・プラグイン等のライセンス一覧
  • GA4の管理権限
  • Search Consoleの所有者・ユーザー情報
  • Google Tag Managerの管理権限
  • フォーム・メール送信等の外部サービス
  • バックアップ方法
  • 障害発生時の復旧方法
  • 未完了の修正・開発作業
  • 保守契約の終了日
  • 解約後に削除されるデータやアカウント

パスワードを一覧表へ直接記載するより、各サービスの正規のユーザー追加機能を利用できる場合は、新制作会社へ個別アカウントを発行する方が、後から権限を管理しやすくなります。

引き継ぎが完了したかは、新会社が実際に操作できるかで判断する

「受け取った」だけでは引き継ぎ完了とはいえません。完了の判定では、資料の納品数ではなく、実際の操作結果を確認します。次のチェックリストで、1項目ずつ実際に操作して確認します。

  • 自社でドメイン契約状況を確認できる
  • 自社または新会社がDNSを変更できる
  • サイトをバックアップから復元できる
  • CMSへ管理者としてログインできる
  • CMSユーザーを追加・削除できる
  • ソースコードの最新版を確認できる
  • デザイン元データを必要な範囲で編集できる
  • 使用中ライセンスの契約者が分かる
  • GA4のユーザーを管理できる
  • Search Consoleの所有権を自社で維持できる
  • Tag Managerを自社側で管理できる
  • 問い合わせフォームから正常に通知される
  • 主要ページ・画像・PDF等が正常に表示される
  • バックアップと障害時の連絡先が決まっている
  • 旧制作会社の不要な権限を削除できる

サイトの利用者から見れば、制作会社が変わったこと自体は重要ではありません。ページが表示される、問い合わせが送れる、メールが届く、必要な情報へアクセスできる状態が維持されていることが大切です。そのため、引き継ぎ確認では管理画面だけでなく、利用者が実際に通るページやフォームまで確認します。

引き継げない資産があった場合は「回収・再契約・再構築」に分類する

すべての資産をそのまま移せるとは限りません。引き継げない項目が見つかった場合は、取得できるか、新規契約できるかを確認したうえで、次の3つに分類すると判断しやすくなります。

引き継げないWebサイト資産を回収、再契約、再構築の3つに分類する判断フロー
  1. 回収する:契約上受け取れるデータや、自社に管理権限があるサービスは、現制作会社と調整して回収します。
  2. 再契約する:制作会社名義のフォント、プラグイン、サーバー、外部サービスなどは、自社または新制作会社で新しく契約する方が適切な場合があります。
  3. 再構築する:ソースコードや元データを取得できず、契約上も提供対象ではない場合は、新しい環境で再構築する必要があります。

大切なのは、引き継げない項目が判明した時点で、公開直前まで放置しないことです。「取得できない場合にサイト公開へどのような影響があるか」「代替手段は何か」「追加費用はいくらか」を新制作会社と整理してください。

まとめ|自社で管理・復旧できる状態を作ってから切り替える

ホームページ制作会社の乗り換えでは、最初にドメイン、DNS、サーバー、CMS、ソースコード、デザインデータ、計測環境、ライセンス、保守契約を棚卸しします。ポイントは、ログイン情報を受け取ることではなく、自社側が所有状況を把握し、必要な設定を変更でき、問題が起きたときに復旧できる状態を作ることです。

そのうえで、新制作会社による確認、データ受領、新環境での復元・動作テスト、本番切り替え、旧制作会社の権限整理までを、一つの引き継ぎ工程として管理してください。最初の一歩は、契約書や請求書、管理画面を照合して、資産ごとの契約者と管理者を一覧にすることです。

ドメインやCMSの管理状況が分からない、契約と実際の権限が一致しているか判断できない、旧制作会社から何を受け取ればよいか整理できない場合は、解約を先に進めるより、現在のサイト環境を棚卸ししてから移行計画を作る方が安全です。自社だけで整理が難しい場合は、制作会社変更やWebサイト改善について専門会社へ無料相談する方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

日本レジストリサービス(JPRS)「ドメイン名の管理指定事業者の変更」:ドメイン管理指定事業者変更、AuthCode、ロック、手続き期間の確認に使用。 JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」

ICANN「Transfer Policy」:gTLD等のレジストラ間移管に関する基本ルールの確認に使用。 ICANN Transfer Policy

Google Analytics Help「Access and data-restriction management」:GA4のAdministrator等の権限仕様の確認に使用。 Google Analyticsのアクセス管理

Google Search Console ヘルプ「所有者、ユーザー、権限の管理」:確認済み所有者、委任された所有者、ユーザー権限の確認に使用。 Search Console「所有者、ユーザー、権限の管理」

Google タグ マネージャー ヘルプ「ユーザーと権限の管理」:管理者・コンテナ権限と組織側管理者の考え方の確認に使用。 Google Tag Manager「ユーザーと権限の管理」

WordPress Developer Resources「Backups」:WordPressのファイル・データベース双方のバックアップ要件の確認に使用。 WordPress「Backups」

Google Search Central「Changing Your Web Hosting and SEO」:URLを変えないホスティング移行時のテスト、DNS変更、監視、旧環境停止の順序確認に使用。 Google Search Central「Changing Your Web Hosting and SEO」

文化庁「著作権契約マニュアル」:著作権の譲渡、著作権法27条・28条、著作者人格権に関する確認に使用。 文化庁「著作権契約マニュアル」

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