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Webサイト制作を依頼する前に決めておくこと|目的・ページ・CMS・SEO・計測・保守・権利を整理

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践Web サイト改善Web 集客、コンテンツマーケティング
Webサイト制作を依頼する前に、確定・未確定・提案希望の3つに要件を整理している担当者の手元

制作会社に相談したいものの、何をどこまで決めておけばよいか分からず、仕様書づくりで手が止まっていませんか。依頼前に必要なのは、完成した仕様書ではなく、「確定していること」「未確定のこと」「制作会社から提案してほしいこと」をまとめた要件メモです。要件メモとは、依頼の条件を1〜2ページ程度に整理した社内メモのことです。

この記事では、目的・対象者・ページ・CMS(管理画面からページを更新する仕組み)・SEO・計測・保守・権利・予算・納期を順に整理し、初回相談の前に制作会社へ渡せる状態にする方法を解説します。

依頼前に整理する10項目

最初に、相談前に整理しておく10項目を確認します。細かな技術仕様まで自社で決める必要はありません。先に明らかにするのは、自社の目的と制約です。次の表は、項目ごとに整理する内容をまとめたものです。

項目 相談前に整理する内容
目的 サイトで最優先したい成果
対象者 主に誰に見てもらうか
必要ページ 公開時に必要なページ
CMS 自社で更新したい範囲
SEO・移行 既存URLや検索流入をどう扱うか
計測 公開後に確認したい成果
保守 外部へ任せたい公開後業務
権利・管理 ドメイン、アカウント、成果物の扱い
予算 初期費用と継続費の条件
納期 公開希望日と動かせない日

各項目の末尾には、「確定」「未確定」「提案希望」のいずれかを書き添えます。こうしておくと、制作会社は何を前提にし、何を提案すべきか判断しやすくなります。

Webサイト制作の要件を確定・未確定・提案希望の3つに分類する考え方を示した図

上の図のとおり、確定事項、未確定事項、制作会社へ提案してほしい事項に分けておけば、すべての仕様を決め切っていなくても初回相談を進められます。

目的・対象者・必要ページはどこまで書くか

この節では、目的、対象者、必要ページを、初回相談で伝えられる形にします。「古いので新しくしたい」だけでは、必要なページや機能の優先順位を決められないためです。

目的と対象者は、誰に何をしてもらうサイトなのかが分かるように書きます。たとえば法人向けサービスサイトなら、「比較検討中の企業担当者にサービスの違いと実績を理解してもらい、問い合わせにつなげる」と書けます。目的が複数ある場合は、第一目的と第二目的までに絞ります。

必要ページも、最初から完全なサイトマップを作る必要はありません。「公開時に必須」と「公開後に追加できる」に分ければ十分です。次の表は、ページの役割と優先度の分け方の例です。

ページ 役割 優先度
サービス 内容・対象・違いを理解してもらう 必須
導入事例 自社に近い実績を確認してもらう 必須
問い合わせ 相談・見積依頼につなげる 必須
FAQ 問い合わせ前の疑問を減らす 後から追加可
コラム 継続的な検索流入を作る 運用方針次第

この例では、サービス・導入事例・問い合わせの3ページを公開時の必須とし、FAQは後から追加でき、コラムは運用方針次第としています。

リニューアルの場合は、現在のページも「残す」「統合する」「削除候補」「要確認」の4つに分けておくと、制作会社との初回相談が進めやすくなります。

CMSは「誰が何を更新するか」で決める

CMSについては、依頼前から特定の製品名を指定するより、「自社で更新したい場所」を先に整理します。

たとえば、お知らせと導入事例は自社で追加、サービス本文は担当者が修正、デザイン変更は制作会社へ依頼、といった形です。更新担当者と頻度も書いておくと、必要な編集画面や権限を提案してもらいやすくなります。次の表は、その書き方の例です。

更新対象 担当 希望
お知らせ 広報 自社で更新
導入事例 マーケ担当 自社で追加
サービス本文 Web責任者 自社で修正
デザイン変更 制作会社 外部へ依頼

この例では、日常的な更新は自社で行い、デザイン変更だけを制作会社へ依頼する分担にしています。CMSの種類が未定なら、「製品未定。事例とお知らせは社内更新したい」と書けば十分です。手段まで固定しすぎないことが、提案の幅を残します。

制作後の運営をどこまで内製し、どこを外部へ任せるかまで整理する場合は、内製・外注・ハイブリッドの運営体制の考え方も確認してください。

リニューアル時にSEO・計測環境で確認すること

リニューアルでは、デザインだけでなく、検索流入と計測の環境も確認の対象です。まずSEOから見ていきます。

Google Search Centralは、URL変更を伴うサイト移転で、旧URLと新URLの対応付け、旧URLから新URLへ自動で転送するリダイレクト、内部リンク、サイトマップなどの更新を案内しています。この案内を踏まえ、既存サイトに検索流入がある場合は、初回相談の時点で「主要URLと検索流入をできるだけ維持したい」と伝えておきます。

依頼前に整理する項目は次のとおりです。

  • 現在のドメインを継続するか
  • URL変更の可能性があるか
  • 検索流入の多いページを把握しているか
  • 既存記事や事例を移行するか
  • Search Consoleを利用しているか
  • 公開前後のSEO確認を依頼したいか

次に計測です。問い合わせ、資料請求、応募など「何を成果として確認したいか」を先に決めます。Google Analyticsを継続利用する場合は、既存のプロパティを使うのか、新しい計測環境を作るのかも確認します。Google AnalyticsではWebサイト用のデータストリームを設定して計測します。

Search Consoleには所有者やユーザーの権限があります。制作会社だけに管理を任せる前提にせず、自社側でも必要な権限を維持する条件を要件メモに書きます。

現在のWebサイトから新しいサイトへURL、検索流入、コンテンツ、計測環境、管理権限を引き継ぐ流れ

公開後も使うもの(既存URL、検索流入、コンテンツ、計測環境、管理権限)は、リニューアル前に確認しておきます。

保守・ドメイン・権利は誰が管理するかを確認する

この節では、公開後の管理を誰が担うかを決めます。ドメイン、サーバー、CMS、Google Analytics、Search Consoleなどは、自社側で必要な権限を持てる状態を前提にすると管理しやすくなります。

最低限、次を要件メモに入れます。

  • ドメインの登録者と更新窓口
  • サーバーの契約名義と管理画面へのアクセス
  • CMSの管理者権限
  • Google AnalyticsとSearch Consoleの自社権限
  • 公開後の障害対応、更新、バックアップの担当
  • デザイン、文章、写真、ソースなど納品物の利用条件

ドメイン、サーバー、CMS、計測ツール、成果物について自社・制作会社・要確認の管理主体を整理する図

ドメインや各種アカウント、成果物は、制作会社へ任せるかどうかだけでなく、自社に必要な権限が残るかも確認します。

JPドメイン名では、登録者と指定事業者が管理に関わり、管理指定事業者を変更する仕組みがあります。そのため、ドメインを誰の名義・管理で運用するかは、制作会社任せにせず確認しておく項目です。

成果物の権利も同様です。文化庁は、創作性のある成果物には著作権が発生し、利用や譲渡の扱いは契約条件と関係すると説明しています。Webサイト制作では、納品後の利用・改変・二次利用の範囲を契約前に確認します。

ここで行うのは契約条項の作成ではありません。「自社が何を管理したいか」「納品後に何をできる状態にしたいか」を制作会社へ伝える準備です。

予算・納期と未確定事項はどう書くか

予算と納期は、相談の前提になる条件です。予算は、初期費用と継続費のそれぞれについて条件を書きます。納期は、公開希望日とあわせて、展示会、採用開始、商品発表など動かせない日があれば明記します。「できればこの月」のような曖昧な書き方は避けます。

一方で、制作会社へ相談する時点ですべてを決め切る必要はありません。専門判断が必要な項目は、未確定のままでも構いません。たとえば、次のように書けます。

  • CMS:製品未定。事例とお知らせは社内更新したい
  • SEO:実装方法は未定。主要URLと検索流入は維持したい
  • 保守:範囲未定。障害時の一次対応と更新保守を相談したい
  • サーバー:移転要否を含めて提案希望
  • 計測:Google AnalyticsとSearch Consoleは継続利用したい

「未定」を隠さず、誰が何を決める必要があるかを見える状態にすることが、依頼前の要件整理です。

制作会社へ渡す要件メモの作り方

ここまでの整理を、制作会社へ渡す1つの要件メモにまとめます。メモは、先に挙げた10項目をもとに、冒頭に制作・リニューアルの背景を置き、予算と納期を1行にまとめ、社内承認者を加えた次の順に書きます。

  1. 制作・リニューアルの背景
  2. 最優先の目的
  3. 主な対象者
  4. 公開時に必要なページ
  5. 自社で更新したい範囲
  6. SEO・移行で維持したいもの
  7. 計測したい成果
  8. 公開後に外注したい業務
  9. ドメイン・アカウント・成果物の管理条件
  10. 予算、納期、社内承認者

Webサイト制作の条件を1〜2ページの要件メモにまとめて制作会社へ相談できる状態までの流れ

上の図のとおり、条件を1〜2ページの要件メモにまとめれば、制作会社へ相談できる状態になります。メモの各項目に「確定」「未確定」「提案希望」を付けます。初回相談の完了条件は、制作会社を選ぶことではなく、同じ依頼条件を渡して具体的な提案を受けられる状態にすることです。

複数社から見積もりを受け取った後の価格や提案内容の比較は、次の判断段階です。相談前の時点では、見積比較の方法を考えるより、各社へ渡す前提条件をそろえることを優先します。

見積を受け取った段階では、Webサイト制作会社の見積を比較する方法を使い、価格だけでなくCMS・SEO・保守・権利まで同じ軸で確認できます。

自社だけでCMS更新範囲、SEO移行、計測、管理権限まで整理するのが難しい場合は、制作会社を決める前の要件整理から相談する方法もあります。完成した仕様書ではなく、ここまでの「確定・未確定・提案希望」を共有できれば相談を始められます。

まとめ

Webサイト制作を依頼する前に必要なのは、目的、対象者、ページ、CMS更新範囲、SEO・移行、計測、保守、権利・管理、予算、納期を整理し、「確定」「未確定」「提案希望」に分けた要件メモです。

特にリニューアルでは、既存URLや検索流入、Google Analytics・Search Console、ドメインなど、公開後も継続して使う資産と管理権限を早い段階で確認します。最初の一歩として、冒頭の10項目の表に「確定」「未確定」「提案希望」を書き込み、制作会社へ同じ条件を伝えられる状態を作ってから相談へ進みましょう。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Google Search Central「サイトを移転する方法」:URL変更を伴うリニューアル時の確認に使用。
  • Google Search Console ヘルプ「所有者、ユーザー、権限の管理」:Search Consoleの権限確認に使用。
  • Google Analytics ヘルプ「アナリティクスで新しいウェブサイトまたはアプリのセットアップを行う」:計測環境の確認に使用。
  • JPRS「指定事業者制度」「ドメイン名の管理指定事業者の変更」:JPドメイン名の管理条件確認に使用。
  • 文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」:成果物の著作権と契約条件の確認に使用。

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