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デジタルマーケティングとは?Webマーケとの違い・12の手法・進め方

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:基礎知識
Webサイト、スマートフォン、顧客データなど複数のデジタル接点をつないで考えるデジタルマーケティングのイメージ

「デジタルマーケティングに取り組みたい」と思っても、SEO、Web広告、SNS、メール、CRM(顧客情報・商談・購入履歴をまとめて管理する仕組み)、MA(マーケティングオートメーション。顧客の行動や状態に応じた配信・育成の自動化)、アプリなど選択肢が多く、どこまでを対象にすればよいか迷っていませんか。

結論から言うと、デジタルマーケティングはWebサイト上の集客だけを指すものではありません。顧客とのデジタル接点をつなぎ、データを使って、認知から購入・契約後までの体験を改善する考え方です。本記事では、Webマーケティングとの違いを整理したうえで、代表的な12の手法、優先順位の決め方、KPI、進め方の順に解説します。読み終えると、自社がどの接点から手を付けるかを判断できるようになります。

デジタルマーケティングは何を指す?顧客とのデジタル接点全体を設計する取り組み

デジタルマーケティングとは、Webサイト、検索、SNS、メール、アプリ、顧客管理システム、店舗の会員データなどのデジタル技術とデータを使い、顧客との接点をつくり、育て、成果につなげるマーケティング活動です。

中心になるのは、デジタル施策の数を増やすことではありません。顧客が商品やサービスを知り、比較し、問い合わせ・購入し、その後も利用を続けるまでの流れを見ながら、必要な接点を組み合わせることです。次の図は、その全体像を示しています。

検索やSNSからメール、CRM、アプリ、店舗データまでを顧客行動の流れでつないだデジタルマーケティングの全体図

図のとおり、施策をチャネルごとに分けて見るのではなく、顧客が認知から継続利用までに接触する流れとして整理します。

学術研究でも、デジタルマーケティングは検索やWebだけに限定せず、デジタル技術が顧客獲得、ブランド形成、顧客維持、売上などに影響する広い領域として整理されています。また、顧客体験の研究では、顧客は複数のチャネルや接点をまたいで企業と関わるため、一つの接点だけでなく顧客行動全体を見る必要があるとされています。

日本でもデジタル接点への投資は拡大しています。電通の「2025年 日本の広告費」では、インターネット広告費は4兆459億円で、総広告費に占める割合は50.2%と初めて半数を超えました。ただし、デジタルマーケティングは広告だけを指すものではありません。広告で知ってもらった後のWebサイト、メール、CRM、アプリ、店舗接点まで含めて成果につなげることが重要です。

Webマーケティングとの違いは?デジタルマーケティングの一部として整理できる

まず、2つの言葉の範囲をそろえます。本記事では、Webマーケティングを「Web上の集客とコンバージョン改善を中心とする領域」、デジタルマーケティングを「Webを含むデジタル接点全体を扱う領域」と整理します。範囲、目的、データ、改善単位の4つの軸で比べると、次のとおりです。

比較項目 Webマーケティング デジタルマーケティング
主な範囲 Webサイト、検索、Web広告、SNSなど Webに加え、メール、CRM/MA、アプリ、メッセージ、会員・店舗データなど
主な目的 Web上で集客し、問い合わせ・購入につなげる 認知から継続利用まで顧客接点全体を改善する
主なデータ 検索順位、アクセス、広告、サイト行動 Webデータに加え、顧客属性、商談、購買、継続、アプリ利用など
改善単位 ページ、流入チャネル、広告キャンペーン 顧客の検討段階、接点の組み合わせ、顧客単位

表の読み方は、扱うデータと改善の単位が広がっていく、という点です。たとえば、SEOで記事への流入を増やし、ランディングページを改善するところまではWebマーケティングの中心領域です。その後、資料をダウンロードした見込み客をメールで育成し、CRMで営業状況を管理し、契約後の利用データを次の提案へつなげるところまで扱えば、デジタルマーケティングとしての範囲が広がります。

ただし、両者に業界共通の厳密な境界線があるわけではありません。実務では言葉の定義にこだわるより、「自社はどの顧客接点までを一つの施策として管理するか」を決めることが出発点になります。

代表的な12の手法は?顧客の行動段階に沿って3つのグループで整理する

デジタルマーケティングの12の手法は、施策名を並べるより、顧客の行動段階ごとに整理したほうが優先順位をつけやすくなります。次の表で、各手法の役割と、主に対象とする段階を確認してください。

手法 主な役割 主な対象段階
1. Webサイト・LP改善 商品・サービス理解、問い合わせ・購入導線の改善 比較・行動
2. SEO・AI検索対策 検索やAI回答を通じた発見機会の獲得 認知・情報収集
3. Web広告 検索・SNS・動画等で対象顧客へ短期的に接触 認知・獲得
4. SNSマーケティング 継続接点、認知、共感、情報拡散 認知・検討
5. コンテンツマーケティング 記事・動画・資料等で課題解決を支援 情報収集・比較
6. メールマーケティング 見込み客・既存顧客への継続的な情報提供 育成・継続
7. CRM 顧客情報・商談・購入履歴をまとめて管理 商談・継続
8. MA 顧客の行動や状態に応じた配信・育成の自動化 育成・商談化
9. アプリ・プッシュ通知 利用中の顧客へ継続的に接触 利用促進・継続
10. LINE・SMS等のメッセージ 即時性の高い案内、予約・購入・再来店促進 行動・継続
11. EC・レコメンド 閲覧・購買データに応じた提案の最適化 購入・再購入
12. 店舗・会員データ連携 オンラインと店舗行動をつなぎ施策を最適化 購入・継続

12の手法は、役割の近いものごとに、次の3つのグループで見ていきます。以下では、SEOや広告など個別施策の運用方法には踏み込まず、デジタルマーケティング全体の中での役割とつながりを確認します。

Web施策は何を担う?見つけてもらい、理解してもらい、行動してもらう

Webサイト、SEO、広告、SNS、コンテンツは、新しい顧客との接点をつくる中心的な施策です。ここで大切なのは、アクセスを増やすことだけで終わらせないことです。誰に、どの情報を届け、最終的にどの行動につなげるかまで設計します。

メール・CRM・MAは何を担う?獲得後の見込み客を育てる

問い合わせや資料請求を得ても、すべての見込み客がすぐに購入・契約するわけではありません。そこで、メールで情報提供を続け、CRMで接点や商談状況を記録し、必要に応じてMAで配信や判定を自動化します。こうすると、獲得後の接点を途切れさせずに続けられます。

この領域では、メールを何通送ったかより、見込み客の状態がどう変わったかを見ます。たとえば、資料請求後に特定ページを閲覧した顧客へ関連情報を送り、営業へ渡す条件を決めておくと、マーケティングと営業の分断を減らせます。

アプリ・メッセージ・会員データは何を担う?購入後の体験までつなげる

アプリ、プッシュ通知、LINE、SMS、会員ID、購買履歴などは、既存顧客との継続接点に向いています。店舗を持つ企業であれば、Web広告の接触、Webサイト閲覧、会員登録、来店、購入を別々に見るのではなく、一連の顧客行動として整理すると、改善点を見つけやすくなります。

顧客から見ると、企業の組織図や担当部署は関係ありません。検索、SNS、メール、店舗、アプリで説明や対応が食い違えば、同じ企業との接点でも別々の体験に見えてしまいます。そのため企業側は、チャネル単位ではなく、顧客が比較・判断する流れで接点を確認する必要があります。

何から始める?優先順位は「顧客の離脱点×事業インパクト×実行可能性」で決める

デジタルマーケティングの12の手法すべてを同時に始める必要はありません。優先順位は、顧客がどこで離脱しているか、その改善が事業成果へどの程度影響するか、今の体制で実行できるかの3点で決めます。流行や知名度ではなく、この3点を組み合わせて判断します。

デジタルマーケティング施策を顧客の離脱点、事業インパクト、実行可能性の3軸で決める優先順位フレーム

次の表は、3つの軸で何を確認し、どんな状態なら優先度が高いと言えるかをまとめたものです。

確認軸 確認する質問 優先度が高い例
顧客の離脱点 顧客はどこで止まっているか 流入はあるが問い合わせが少ない
事業インパクト 改善すると何が増えるか 商談化率、購入率、継続率への影響が大きい
実行可能性 データ・人員・システムはあるか 既存ツールと担当者で検証できる

この3軸を当てはめると、結論が変わることがあります。たとえば「検索流入が少ない」ならSEOや広告が候補になります。一方で、流入は十分なのに問い合わせ後の商談化率が低いなら、集客を増やすよりCRMやメール、営業引き渡し条件の見直しを優先したほうがよい場合があります。

つまり、施策ではなくボトルネックから考えると、流行しているチャネルに予算を寄せずに、自社の課題に合う施策を選べます。

KPIはどう決める?チャネル指標だけでなく事業成果までつなげる

デジタルマーケティングのKPIは、アクセス数やクリック率で終わらせず、その先の問い合わせ、商談、売上、継続までつなげて設計します。次の表は、顧客の段階ごとにKPIの例と、その指標で確認したいことを並べたものです。

段階 KPI例 確認したいこと
認知 リーチ、指名検索、動画視聴 対象顧客に届いているか
集客 セッション、流入数、クリック率 接点を増やせているか
獲得 問い合わせ数、資料請求数、CV率 行動につながっているか
育成 再訪率、メール反応、MQL化率 検討が進んでいるか
商談 商談化率、案件化率 営業へ適切につながっているか
売上 受注率、売上、顧客獲得単価 投資が成果につながっているか
継続 継続率、再購入率、LTV 顧客関係を維持できているか

上の段階ほどチャネル側の指標で、下の段階ほど事業成果に近い指標です。計測の面では、Google Analytics 4でも、Organic Search、Paid Social、Emailなど複数チャネルを横断した流入やコンバージョンを確認でき、ユーザーのファネルや行動経路を分析できます。ただし、アクセス解析だけでは商談や受注まで分からない企業では、CRMや営業データとの接続が必要です。

どう進める?デジタルマーケティングは6ステップで始める

最初にツールを導入するのではなく、目的、顧客行動、接点、データ、KPIの順に設計すると、施策の増やしすぎを防げます。次の図は、事業目標の設定から実行・改善までの6ステップです。

事業目標の設定から顧客接点、課題確認、優先施策、KPI設定、実行改善までのデジタルマーケティング6ステップ

デジタルマーケティングは、ツール選定からではなく、事業目標と顧客行動を整理してから優先施策とKPIを決める順番で進めましょう。

1|事業目標と対象顧客を決める

「認知を増やす」ではなく、「新規問い合わせを増やす」「既存顧客の継続率を上げる」など、事業成果に近い目標を置きます。あわせて、誰のどの行動を変えたいかを明確にします。

2|顧客が接触するデジタル接点を書き出す

検索、Webサイト、SNS、広告、比較サイト、メール、アプリ、店舗など、顧客が知るところから購入・継続までに触れる接点を並べます。企業が管理しているチャネルだけでなく、顧客が実際に見る情報を基準にしましょう。

3|接点ごとのデータと課題を確認する

「データがあるか」だけでなく、顧客単位や検討段階でつながるかを確認します。Webアクセス、問い合わせ、商談、購入履歴が別々に管理されている場合は、まず共通IDや計測ルールの整理から始めます。

4|優先施策を1〜3個に絞る

顧客の離脱点、事業インパクト、実行可能性で評価し、最初に改善する施策を絞ります。課題と施策の対応は、たとえば次のように考えます。

  • 集客不足なら、SEO・広告
  • 獲得後の失注が多いなら、メール・CRM
  • 既存顧客の利用低下なら、アプリや継続コミュニケーション

5|KPIと計測方法を先に決める

施策を始める前に、どの数字が変われば成功と判断するかを決めます。チャネル指標と事業KPIをつなぎ、誰が、どの頻度で確認するかまで決めておくと、実施後の評価がしやすくなります。

6|小さく実行し、接点全体で改善する

1回の施策で結論を出すのではなく、仮説を置いて実行し、結果を見て改善します。広告だけ、SEOだけ、メールだけで最適化するのではなく、前後の接点に悪影響がないかも確認しましょう。

ツールは何から決める?導入より先に「何をつなぐか」を決める

デジタルマーケティングでは、アクセス解析、CRM、MA、広告管理、CDPなど多くのツールが使われます。しかし、ツールの数が増えるほど成果が上がるわけではありません。

まず必要なのは、顧客がどこから来て、どの情報を見て、どの行動を取り、最終的に何につながったかを確認できる状態です。そのために必要なデータと連携範囲を決めた後で、ツールを選びます。

Webアクセス、問い合わせ、商談、購入、継続の顧客データを部門横断でつなぐデジタルマーケティングの情報フロー

図のとおり、ツールを増やす前に、Web上の行動から問い合わせ、商談、購入、継続まで、どの顧客データをつなぐ必要があるかを決めます。

特に、Web施策はマーケティング部、商談は営業部、購入後はカスタマーサクセス部など、接点ごとに担当が分かれている企業では、KPIや顧客情報の定義をそろえることが先です。システム導入そのものやDX支援会社の選定は、デジタルマーケティングの範囲を決めた後の別テーマとして検討すると整理しやすくなります。

全社的な課題整理や推進体制づくりまで外部支援を検討する場合は、DXコンサルティングの支援内容・会社選びも確認してください。

まとめ

デジタルマーケティングは、SEOやWeb広告といったWeb上の集客施策だけではなく、メール、CRM/MA、アプリ、メッセージ、会員・店舗データなど、顧客とのデジタル接点を横断して成果につなげる取り組みです。

最初から12の手法すべてに取り組む必要はありません。まず事業目標と対象顧客を決め、顧客がどの接点で離脱しているかを確認し、「顧客の離脱点×事業インパクト×実行可能性」で優先順位をつけることが重要です。

そのうえで、この優先順位で絞った1〜3個の施策を、小さく試しましょう。結果を見ながら、前後の接点も含めて改善していきます。

Web上の集客やコンバージョン改善を深掘りしたい場合はWebマーケティングの専門記事、システムや外部支援まで含めて検討する場合はDX・コンサルティング領域の記事へ進むと、論点を混ぜずに判断できます。

デジタル接点の中でも、記事やサイトを継続的な情報資産として育てる方法は、オウンドメディア集客の全体像で確認できます。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • IBM「デジタル・マーケティングとは」:デジタルマーケティングの定義、チャネル、CRM・MA等の整理に参照。参照ページ
  • Amazon Ads「デジタルマーケティングとは」:デジタルマーケティングの主な種類、戦略設計手順の整理に参照。参照ページ
  • KDDI「デジタルマーケティングとは?定義や導入手法、事例を紹介」:Webマーケティングとの範囲の違い、データ活用の整理に参照。公開日:2025年4月25日。参照ページ
  • 電通「2025年 日本の広告費」:2025年のインターネット広告費4兆459億円、総広告費に占める構成比50.2%の確認に使用。2026年3月5日発表。参照ページ
  • Google Analytics ヘルプ「Traffic acquisition report」ほか:Organic Search、Paid Social、Email等のチャネル横断計測、ファネル・経路分析の確認に使用。参照ページ
  • Kannan, P.K. & Li, H.A. “Digital marketing: A framework, review and research agenda.” International Journal of Research in Marketing, 34(1), 22–45, 2017. DOI: 10.1016/j.ijresmar.2016.11.006 参照ページ
  • Lemon, K.N. & Verhoef, P.C. “Understanding Customer Experience Throughout the Customer Journey.” Journal of Marketing, 80(6), 69–96, 2016. DOI: 10.1509/jm.15.0420 参照ページ

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