検索ブランド相談室 | 検索と評判の専門メディア

オウンドメディア運営代行の月次レポートの見方|記事本数・流入・CV・改善内容・次月企画を評価

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践Web 集客、マーケティング DXコンテンツマーケティング
オウンドメディア運営代行の月次レポートをPCと資料で確認している担当者の手元

月次レポートで確認したいのは、記事本数だけではありません。公開した記事の品質、既存記事への改善、検索流入やコンバージョン(CV。問い合わせや資料ダウンロードなど、成果として数える行動)への貢献、制作の遅れ、そして翌月の企画にどのような根拠があるかまで確認する必要があります。本数だけで報告を終えると、成果が出ない原因が記事にあるのか進め方にあるのかが分からず、翌月に何を求めればよいかも決まらないからです。

この記事は、運営代行を利用中のマーケティング・コンテンツ責任者に向けて、毎月の報告で見るべき項目を順番に解説します。何をどう確認すればよいのでしょうか。先に答えを言うと、「制作・成果・改善・次月」の流れに沿った6項目を、毎月同じ順番で確認することです。読み進めると、レポートのどこを見ればよいか、会議で何を質問するか、翌月に何を求めるかを整理できます。

月次レポートは「制作・成果・改善・次月」の4つに分けて確認する

まず、オウンドメディア運営代行の月次レポートをどの順番で読むかを決めます。数字を一つずつ評価するのではなく、「何を作ったか」「どんな結果だったか」「何を改善したか」「次に何をするか」の流れで確認すると、判断しやすくなります。

オウンドメディアの月次レポートを制作、成果、改善、次月企画の順に確認する改善サイクル

図のとおり、月次レポートは個別の数字を見るだけでなく、今月の実行と成果を翌月の改善へつなげて確認します。

この流れを毎月同じ順番でたどれるように、最低限、次の6項目を確認できる状態にしておきましょう。そうしておくと、運営代行会社への確認事項が整理できます。次の表は、6項目それぞれで見る内容と、発注側が確かめたいことをまとめたものです。

6項目は4つの流れに次のように対応します。制作は「新規記事」「制作品質」「制作進行」、成果は「流入・CV」、改善は「既存記事改善」、次月は「次月企画」です。

確認項目 月次レポートで見る内容 発注側が確認したいこと
新規記事 計画本数、公開本数、対象記事 予定した制作が完了したか
制作品質 内容、根拠、検索ニーズとの一致 本数を優先して品質が落ちていないか
既存記事改善 リライト、CTA、内部リンク等 公開済み記事を放置していないか
流入・CV 検索流入、クリック、CV等 制作物が成果につながり始めているか
制作進行 企画から公開までの日数、遅延 制作工程にボトルネックがないか
次月企画 次月の記事・改善案と根拠 今月の結果が次の施策に反映されているか

表の項目を埋めること自体が目的ではありません。大切なのは、「記事を何本作ったか」で報告を終わらせず、各項目が次の判断につながっているかを見ることです。

制作量と成果の見方について、担当者の調査結果を確認します。広報会議編集部が2024年にオウンドメディア担当者117人を対象として行った調査では、KPIとして「ページビュー(PV)数」を選んだ人が69.2%、「記事公開本数」が48.7%でした。また、39.3%がオウンドメディア業務を外部委託していると回答しています。外注時にPVやCVを毎月報告してもらっているという回答もあり、この記事では、制作量と成果の両方を見る必要性があると考えます。

月次評価の前に、オウンドメディア運営を内製・外注・ハイブリッドのどこで担うかを整理したい場合は、オウンドメディア運営の体制構築の考え方も確認してください。

記事本数は「予定どおり作ったか」と「何を作ったか」をセットで見る

最初に見るのは記事本数です。記事本数は運営代行会社の実行量を見るうえで重要ですが、本数だけでは十分な評価になりません。たとえば「今月は5本公開」と報告されていても、発注時に予定していた5本なのか、途中で企画が変更されたのかでは意味が異なります。

そこで月次レポートでは、少なくとも次の情報を記事単位で確認します。

  • 記事タイトル
  • 公開URL
  • 公開日
  • 新規記事か既存記事の改善か
  • 当初の公開予定日
  • 遅延した場合の理由
  • 記事の目的
  • 想定する読者や検索テーマ

これらを記事ごとに並べると、本数の裏にある計画との差と、その理由が見えてきます。予定していた記事が未公開なら、「1本不足している」という結果だけでなく、どの工程で止まったのかを確認します。構成作成に時間がかかったのか、原稿制作が遅れたのか、自社確認で止まったのかによって、翌月に直す場所が変わるからです。

品質は「文章が読みやすいか」だけで判断しない

本数の次に確認するのが、記事の品質です。品質も、担当者の好みだけで「良い・悪い」を決めないことが重要です。

Googleは、ユーザーに役立つコンテンツを自己評価する観点として、独自の情報・分析があるか、テーマを十分に説明しているか、情報源が明確か、タイトルが内容を正しく表しているかなどを挙げています。これを踏まえると、発注側では、たとえば次のような項目を確認できます。

  • 読者が知りたい問いに答えているか
  • 他の記事を言い換えただけになっていないか
  • 数字や制度に根拠が付いているか
  • 自社の商品・サービスと矛盾していないか
  • 読後に次の行動が分かるか
  • 公開前の事実確認や編集確認が行われているか

月次レポートには、公開本数に加えて、「今月公開した記事をどの基準で品質確認したか」まで説明してもらいましょう。発注側も状況を把握しやすくなります。

既存記事は「何本改善したか」より「何を変えたか」で見る

次に、公開済み記事の改善をどう評価するかを見ます。オウンドメディア運営では、新規記事だけでなく、公開済み記事への改善も月次評価の対象です。

確認したいのは、「3記事リライトしました」という件数だけではありません。各記事について、次の3点をセットで確認します。

  • なぜ改善対象にしたのか
  • 何を変更したのか
  • 変更によって何を改善しようとしているのか

改善対象は、Search Consoleの数字から見つけられます。Search Consoleでは、Google検索からのクリック数、表示回数、CTR(表示回数のうちクリックされた割合)、平均掲載順位を確認できます。ページ別や検索クエリ別にも状況を確認できるため、表示されているのにクリックされていないページなど、改善対象を探す材料になります。

ただし、月次レポートに分析画面そのものを大量に載せる必要はありません。発注側が知りたいのは、「どの数字を見て、何を問題だと判断し、どの記事に何をしたのか」です。次の表は、数字の状況ごとに、月次報告で確認したい内容をまとめたものです。

状況 月次報告で確認したい内容
表示回数はあるがクリックが少ない タイトルや検索結果上の見え方を見直したか
流入が減っている どの記事が減少要因になっているか確認したか
順位が上がってもCVが増えない CTAや記事からサービスへの導線を確認したか
過去記事の情報が古い 更新対象を抽出し、内容を見直したか
新規記事ばかり増えている 既存記事改善の優先順位を設定しているか

表のどの行も、確認するのは「数字を見て、対応したか」です。毎月同じ記事が「改善予定」と報告されている場合は、実施日と変更内容まで確認すると、対応が止まっているのかどうかを判断できます。

検索流入はサイト全体だけでなく「どの記事が動いたか」を確認する

検索流入は、増減をどこまで分けて見るかで判断が変わります。「全体で前月比10%増」のようなサイト全体の数字だけで評価しないことが重要です。

Search Consoleの検索パフォーマンスでは、クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位をページや検索クエリごとに確認できます。そのため月次レポートでは、少なくとも次の3点を分けて説明してもらうと、状況が分かりやすくなります。

  • 今月伸びた記事
  • 今月下がった記事
  • 公開・改善後に変化が出始めた記事

オウンドメディアの数値変化を記事単位で確認し改善箇所を特定する診断フロー

図のように、サイト全体の増減だけではなく、どの記事のどの指標が変わったかを確認すると、改善対象を具体化できます。

もう一つ注意したいのは、前月比だけで運営代行会社を評価しないことです。検索流入には季節性や検索需要の変化があり、新規記事も公開直後から安定した成果が出るとは限りません。数字が上がったか下がったかだけで判断せず、「どの記事で変化し、その要因をどう見ているか」まで説明されているかを確認します。

CVは件数だけでなく「何をCVとしているか」から確認する

問い合わせや資料ダウンロードなどをオウンドメディアの成果として見る場合は、まず月次レポート上のCVの定義をそろえておく必要があります。

Google Analyticsでは、ビジネス上重要な行動を「キーイベント」として設定し、発生回数などを確認できます。ランディングページごとのキーイベントも確認できます。

月次レポートでは、たとえば次のように分けると判断しやすくなります。

見る内容 確認すること
記事を入口としたCV どの記事から成果が発生したか
記事閲覧後のCV 記事が検討過程に関わっていないか
CTAの反応 サービスページや資料への遷移が起きているか
商談との接続 対象記事経由のリードが商談につながったか

最後の行の「リード」は、この記事では、記事を経由して問い合わせや資料ダウンロードをした見込み顧客の意味で使っています。

ただし、CV数をそのまま運営代行会社だけの成果として扱うのは適切ではありません。ユーザーは複数のページやチャネルを経由して問い合わせる場合があります。Google Analyticsにも、キーイベントまでの経路と各接点の貢献を確認するアトリビューションのレポートがあります。

そのため月次会議では、「CVが何件だったか」だけで終わらせず、次の3点まで確認することが重要です。

  • どの記事が入口や接点になったか
  • CVにつながったテーマに共通点があるか
  • 成果の出ていない記事で何を変えるか

制作リードタイムを見ると、記事が遅れる場所を特定できる

成果が伸びないとき、原因は記事そのものではなく制作工程にある場合もあります。

そのため月次レポートには、表の「制作進行」にあたる、企画から公開までの進行状況(制作リードタイム)も含めてもらいます。たとえば次の工程ごとに日付を残しておけば、「記事制作に時間がかかっている」の中身を分けられます。

  1. 企画決定
  2. 構成案
  3. 初稿
  4. 社内確認
  5. 修正
  6. 公開

記事制作の企画決定から公開までの工程ごとに遅延箇所を確認するタイムライン

図のように、記事制作の遅れを工程ごとに見ると、運営代行会社側と自社側のどこを改善すべきか整理しやすくなります。

特に確認したいのは、遅れの原因が運営代行会社側なのか、自社側なのかです。自社の専門家確認に10日かかっているのであれば、運営代行会社へ記事本数を増やすよう要求しても解決しません。反対に、企画決定後も初稿が長期間提出されない状態なら、制作体制や工程を確認する必要があります。

毎月のレポートでは、遅延件数だけでなく「どの工程で何日止まったか」まで確認できると、翌月の改善要求を具体化できます。

次月企画は「何を書くか」より「なぜ来月やるのか」を見る

月次レポートで特に確認したいのが、次月企画の根拠です。単に「来月はこのキーワードで4記事作ります」と書かれているだけでは、今月の結果を踏まえて企画しているのか判断できません。

次月の記事や改善施策には、少なくとも次のどれかの根拠が必要です。

  • 検索需要が確認できた
  • 既存記事では答えられていない検索テーマが見つかった
  • 表示回数が増えているテーマがある
  • CVにつながった記事と近いテーマを深掘りする
  • 順位やCTRに改善余地のある記事が見つかった
  • 自社の重点商品・サービスと連動する必要がある
  • 営業や顧客から繰り返し質問されるテーマがある

根拠の有無を毎月同じ形で確認できるように、次月企画は、次の5項目をセットで提出してもらうと判断しやすくなります。

  1. 何を作る・改善するか
  2. なぜ今月その施策を選んだか
  3. どの読者を対象にするか
  4. 何の成果につなげたいか
  5. 発注側に必要な情報や確認は何か

今月のレポートと次月企画がつながっていれば、月次報告が単なる作業報告ではなく、改善のための管理資料になります。

月次会議では5つの質問を「事実→理由→改善→翌月」の順に確認する

月次レポートを受け取ったら、数字を読み上げてもらうだけで終わらせないようにします。確認する順番を固定すると、必要な質問を漏らしにくくなります。

質問は5つで、事実(質問1・2)、理由(質問3)、改善(質問4)、翌月(質問5)の4段階に対応します。

月次会議で事実、理由、改善、翌月施策の順に確認し具体的な改善要求へつなげるフロー

図のとおり、月次会議は数字の報告で終わらせず、理由と改善内容を確認し、翌月の「対象・変更内容・期限」まで決めると追跡しやすくなります。

1|今月、予定していたことは実施できたか

公開記事、リライト、内部リンク修正、CTA改善など、当初の予定と実績を比較します。未実施のものがあれば、理由と次の対応日を確認します。

2|数字はどこが変化したか

流入やCVの総数だけではなく、記事やテーマ別に大きく動いた場所を確認します。

3|なぜその変化が起きたと考えているか

確認できている事実と、運営代行会社側の仮説を分けて説明してもらいます。

4|今月、実際に何を改善したか

分析だけで終わらず、記事・CTA・内部リンク・企画などへ何を反映したのかを確認します。

5|翌月は何を変えるのか

今月と同じ運用を続ける場合も、「なぜ継続するのか」を確認します。改善が必要なら、担当者、対象記事、期限まで決めておくと翌月に追跡できます。

こんな月次レポートなら追加説明を依頼する

次のようなレポートは、数字が載っていても翌月の判断材料が不足しています。

  • 公開記事数しか書かれていない
  • サイト全体のPVだけで記事別の変化が分からない
  • 前月比はあるが変化の理由が書かれていない
  • リライト件数だけで変更内容が分からない
  • CVの定義が毎月変わっている
  • 未実施施策が翌月へ繰り越され続けている
  • 次月企画に選定理由がない
  • 数字の報告はあるが改善施策がない

この場合、レポートを細かく豪華にしてもらうことが目的ではありません。発注側が「今月何が起き、何を改善し、来月何をするか」を判断できる情報へ直してもらうことが目的です。

毎月の改善要求は「対象・変更内容・期限」まで決める

月次会議の最後には、翌月への要求を曖昧なまま終わらせないようにします。「もっと成果を上げてほしい」「記事の質を上げてほしい」といった要求だけでは、翌月も同じ議論になりやすいためです。

たとえば、次のような形にすると、次回の月次報告で実施状況を確認できます。

  • 表示回数が増えている5記事についてCTRを確認し、改善対象を次回会議までに提示する
  • 過去記事のうち情報が古い記事を洗い出し、更新優先順位を付ける
  • CVにつながった記事の共通点を整理し、次月企画へ反映する
  • 初稿提出までの期間が長い工程について、次月から進行日を共有する
  • 次月の記事案には、企画理由と狙う成果を記載する

月次レポートの役割は、運営代行会社を点数付けすることではありません。発注側と運営代行会社が、毎月同じ事実を見ながら改善内容を決め、翌月に実行できる状態を作ることです。

まとめ

オウンドメディア運営代行の月次レポートは、記事本数だけでは十分に評価できません。確認したいのは、公開した記事とその品質、既存記事の改善、検索流入、CVへの貢献、制作リードタイム、そして次月企画の根拠です。

毎月、次の4点までつながっていれば、月次レポートを発注管理と改善のために使えます。

  1. 何を実施したか
  2. 何が変化したか
  3. 何を改善したか
  4. 翌月は何をするか

反対に、作業件数や全体PVだけで改善判断ができない場合は、記事別の変化、実施内容、次月施策の根拠まで報告してもらいましょう。最初の一歩は、現在のレポートを6項目に当てはめ、足りない項目の追加説明を次回の月次会議で依頼することです。

月次の実行・成果・改善履歴を蓄積した後、契約継続の判断を行う場合は、オウンドメディア運営代行会社との契約更新を評価する方法も確認してください。

現在のレポートで運営成果を判断できない、改善要求をどこまで出すべきか整理できない場合は、第三者と現状を確認したうえで、運営体制や改善項目を整理する方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

・Google Search Console「検索パフォーマンス レポート(検索結果): 概要と基本設定」
検索結果におけるクリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位の確認に使用。
Google Search Console公式資料

・Google Search Central「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
記事品質を確認する際の考え方に使用。
Google Search Central公式資料

・Google Analytics「キーイベントについて」
CVにあたる重要行動の計測方法・考え方の確認に使用。
Google Analytics公式資料

・Google Analytics「ランディング ページ レポート」
記事を入口としたキーイベント等の確認方法の説明に使用。
Google Analytics公式資料

・Google Analytics「キーイベントのアトリビューション パス レポート」
複数接点を経由した成果を見る際の注意点に使用。
Google Analytics公式資料

・広報会議編集部「オウンドメディア活用に関する調査2024」
調査期間:2024年3月29日〜4月11日、回答数117人。外部委託率、KPI利用状況等の把握に使用。
調査結果を見る

‹ 親記事: オウンドメディア運営は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方

関連記事

関連テーマ