検索ブランド相談室 | 検索と評判の専門メディア

オウンドメディア運営代行の提案依頼書の作り方|企画・SEO・取材・編集・分析・権限・引き継ぎを要件化

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践

オウンドメディア運営を外注するとき、会社ごとに提案内容が違うまま見積もりを取ると、「A社は記事制作だけ」「B社は企画・入稿・分析まで込み」のような状態になり、価格も品質も正しく比べられません。

これを防ぐ提案依頼書(RFP)に必要なのは、業務名を並べることではありません。「何を依頼するか」「どこまでやれば完了か」「誰が判断するか」「何を納品するか」「契約が終わるとき何を返してもらうか」を、あらかじめそろえて書くことです。

まだ依頼範囲やKPI、権限、予算などが固まり切っておらず、まず初回相談に向けて現在地と未確定事項を整理したい段階なら、オウンドメディア運営代行へ相談する前の準備を先に確認してください。

この記事は、相談を経て「複数社へ同じ条件で正式に提案を依頼する」段階の読者に向けて、オウンドメディア運営代行の提案依頼書の作り方を整理します。扱うのは、業務範囲・完成条件・成果物・権限・引き継ぎ・見積条件を比較できる形に要件化し、提案を受け取る前に比較条件をそろえる工程までです。記事では、12項目の確認表、工程別の完成条件、責任分担、権限と権利の決め方、見積項目の指定方法を順に示し、最後にそのまま使える基本構成を載せます。RFP配布後に届いた提案書を制作範囲・完成条件・分析・権限・費用で比較する手順は、オウンドメディア運営代行の提案書を比較する方法で詳しく解説しています。

オウンドメディア運営代行の提案依頼書では、業務範囲と完成条件を業務ごとにセットで決める

提案依頼書に「記事制作」「SEO対策」「分析」と業務名だけを書いても、各社の提案はそろいません。同じ「記事制作」でも、企画だけを自社で行う会社、キーワード選定から任せられる会社、取材や画像制作まで含める会社では、業務範囲が異なるからです。

そこで、各業務について最低でも次の5点を書いておくと、提案を同じ物差しで比べられます。

  1. 何を依頼するのか
  2. 誰が担当するのか
  3. 何を成果物とするのか
  4. どの状態になれば完了なのか
  5. どこから先は追加費用になるのか

オウンドメディア運営代行のRFPで業務ごとに依頼内容、担当、成果物、完成条件、追加費用を定める5要素の図

この図のように、業務名だけでなく、担当・成果物・完成条件・追加費用まで定義すると、各社の提案範囲を比べやすくなります。

実例として、日本財団が2026年度のオウンドメディア「日本財団ジャーナル」運営業務で公開した提案依頼書では、戦略・KPI、編集会議、企画、取材、記事制作、CMS、分析レポート、成果物、権利、実施体制、見積内訳まで具体的に定義されています。月平均最低4本、1本4,000文字前後は記事制作の参考値として示され、WordPressへの入稿は2025年度の運用実績として記載されています。これらを2026年度の固定条件と読み替えず、自社のRFPでは、必要な本数・文字数・入稿範囲を明記しましょう。

提案依頼書に入れる12項目と、各項目で決める内容

オウンドメディア運営代行のRFPでは、次の12項目を一通り確認すると、業務の抜けを防げます。表の左が項目、右がその項目でRFPに書く内容です。

項目 提案依頼書で決める内容
1. 目的 集客、問い合わせ、認知、既存顧客支援など、運営目的
2. KPI 検索流入、問い合わせ、記事経由CV、閲覧状況など
3. 企画 月間企画数、テーマ選定方法、承認方法
4. SEO キーワード調査、検索意図確認、構成、内部リンク、リライト
5. 取材 取材対象、回数、日程調整、録音、文字起こし、確認方法
6. 執筆・編集 構成、執筆、編集、校正、ファクトチェック
7. 画像 アイキャッチ、図解、写真、購入素材の扱い
8. CMS 入稿、プレビュー、公開、更新、修正
9. 分析・改善 レポート、改善提案、リライト候補抽出
10. 会議・進行 定例頻度、議題、議事録、進行管理
11. 権限・成果物 CMS・解析ツールの権限、原稿・画像・データの所有
12. 契約終了時 アカウント、原稿、画像、分析データ、運用資料の引き継ぎ

ポイントは、項目を増やすことではなく、各項目について「含む・含まない」を明確にすることです。含まない業務まで書いてあれば、提案会社も範囲を読み違えにくくなります。

企画・SEO・取材・編集は、工程ごとに完成条件を決める

運営代行会社の間で提案の差が出やすいのが、コンテンツ制作の工程です。「記事制作一式」とまとめず、工程ごとに記載内容と完成条件を指定します。次の表は、その書き方の例です。

工程 RFPへ記載する内容 完成条件の例
企画 月間企画数、企画根拠、承認方法 企画書提出・発注側承認
SEO設計 キーワード、検索意図、競合確認 構成案へ根拠を記載
取材 対象者、時間、回数、調整担当 取材完了・必要情報回収
構成 H2・H3、盛り込む情報 発注側による構成承認
執筆 文字数、トーン、引用基準 初稿提出
編集 表現、重複、読みやすさ 編集済み原稿提出
校正・確認 誤字、数字、固有名詞、出典 公開可能状態
CMS入稿 見出し、画像、リンク、メタ情報 プレビュー確認完了
公開 公開日時、最終確認者 指定URLで公開
改善 データ確認、改善案、リライト 改善対象と理由を提出

オウンドメディアの記事制作を企画から分析改善まで8工程に分け、それぞれの完成条件を示したフロー図

工程ごとに完成条件を設定すると、どこまでが契約範囲なのかを明確にできます。

たとえば「月4本」と書くだけでは、4本が「企画提出」なのか「初稿完成」なのか「CMS公開完了」なのか判断できません。「月4本を公開完了まで」と定義すれば、各社の見積もりを同じ条件で比べられます。

発注側と運営代行会社の責任分担を決める

外注後の認識のずれは、業務内容だけでなく「誰が決めるのか」が曖昧なときにも起こります。記事の公開までには、テーマ承認、取材先確認、構成承認、原稿確認、公開承認など、発注側の判断が必要になる場面があるためです。

そこでRFPには、工程ごとに次のような責任分担を書いておきましょう。

業務 発注側 運営代行会社
メディア方針 最終決定 提案
記事テーマ 承認 調査・提案
取材候補 承認・紹介 候補整理・日程調整
構成 承認 作成
原稿 専門情報確認 執筆・編集・校正
CMS入稿 最終確認 入稿
公開 承認 公開作業
分析 判断 集計・改善提案

あわせて「発注側は何営業日以内に確認するか」も決めておくと、制作が止まったとき、原因がどちらにあるのかを判別しやすくなります。

CMS・GA4・Search Consoleの権限は、作業に必要な範囲に絞る

オウンドメディアの運営では、WordPressなどのCMS、Google Analytics 4、Google Search Consoleなどへのアクセスが必要になる場合があります。ここで押さえたいのは、「作業できる権限」と「資産を所有する権限」を分けることです。

CMS、GA4、Search Console、ドメインを発注企業が所有し、運営代行会社には必要な作業権限だけを付与する構造図

運営代行会社が作業できることと、Web資産そのものを所有・管理することは、分けて設計します。初回相談時の共有方法や、相談・提案・契約後で権限をどう切り替えるかは、冒頭で案内した初回相談前の準備で整理します。RFPには、相談段階の共有方法ではなく、契約後の業務に必要な権限と、発注企業側に残す所有・管理権限を要件として明記します。具体的には、次のように対象ごとに指定すると管理しやすくなります。

対象 基本方針
WordPress 業務に必要な投稿・編集権限を付与
GA4 分析に必要なプロパティのみ付与
Search Console 分析・確認に必要な権限を付与
ドメイン 原則として発注企業が管理
サーバー 必要な場合のみ限定して共有
アカウント 個人共用ではなく担当者を識別できる形にする

運営代行会社へ必要以上の管理権限を渡すことを前提にする必要はありません。

成果物の所有権と著作権は、契約前に決める

記事、写真、図解、デザイン、調査資料、編集データなどを誰がどこまで利用できるかも、提案の段階で確認します。

文化庁によると、著作権は全部または一部を契約によって譲渡できます。一方、翻訳・翻案などに関する著作権法第27条、第28条の権利は、譲渡対象として明示されなければ譲渡者に留保されたものと推定されます。また、著作者人格権は著作権とは別に扱われます。

したがって、「成果物は発注者のもの」とだけ書くのではなく、少なくとも次の対象について確認事項を決めます。

成果物 確認事項
記事原稿 著作権・再編集・再利用
写真 元データ・利用範囲
図解 編集可能データの納品有無
有料素材 契約終了後も利用できるか
取材録音 保存期間・利用範囲
調査データ 元データの納品有無
制作管理表 契約終了後の引き継ぎ
プロンプト・テンプレート 引き継ぎ対象か

実際に日本財団のオウンドメディア運営RFPでも、原稿、写真、デザインデータ等を成果物として定め、成果物の所有権と、著作権法第21条から第28条までの権利の移転を別に規定しています。

著作権条項は個別の契約によって適切な設計が異なります。最終的な契約書は、必要に応じて法務担当者や専門家へ確認してください。

契約終了時の引き継ぎ条件は、開始前に決める

オウンドメディアは、記事を公開して終わる業務ではありません。契約が終わった後も、記事、CMS、分析データ、取材履歴、編集ルールなどを自社で使い続けます。そのため、終了時の引き継ぎ条件は、最初からRFPに入れておきます。

最低限、次の状態になっていることを目標にするとよいでしょう。

引き継ぎ対象 完了条件
CMS 外注先アカウントを削除しても運営できる
GA4 自社管理者が残っている
Search Console 自社所有者が残っている
記事 全原稿を取得できる
画像 使用中の元データを確認できる
企画 未公開企画の状態が分かる
取材 取材先・確認状況が分かる
分析 過去レポートを取得できる
運用ルール 編集・公開・分析方法を確認できる
未完了業務 担当者・期限・進捗が明確になっている

オウンドメディア運営の契約前から運用、契約終了後の資産引き継ぎまでを示したフロー図

記事・画像・アカウント・分析データなどを自社へ残せる状態を、契約開始前から引き継ぎ条件として決めておきます。「契約終了後○営業日以内に引き継ぎ資料を提出」のように期限まで決めておくと、実務で使いやすくなります。

見積もりは、同じ項目・同じ形式で回答してもらう

RFPを作っても、各社が自由な形式で見積もると比べにくくなります。そこで、提案会社に回答してほしい価格項目まで指定します。たとえば次のように分解します。

費用項目 提案会社へ回答を求める内容
基本運営費 月額
企画 月○件まで
記事制作 1本単価または月額内本数
取材 1回単価・交通費
画像 1記事あたり対応範囲
CMS 入稿・公開を含むか
分析 月次レポートを含むか
定例 月○回まで
リライト 月額内本数・追加単価
緊急修正 対応条件
その他 月額外となる作業

日本財団のRFPでも、総額・月額・内訳に加えて、取材経費と記事1本あたりの制作単価を分けて提示するよう求めています。

この段階の目的は、発注先を評価することではなく、各社が同じ内訳で回答できる状態を作ることです。受領後の価格・制作範囲・完成条件の評価は、提案比較の工程で行います。

そのまま使えるオウンドメディア運営代行RFPの基本構成

ここまでの内容を提案依頼書の形にまとめると、次の順番になります。先に確認した12項目とは別に、書類としての並びを示した12の章立てです。

1. 提案依頼の概要
・対象オウンドメディア
・依頼背景
・契約予定期間
・提案提出期限


2. オウンドメディアの目的
・事業上の目的
・対象読者
・読者に取ってほしい行動
・現在の課題


3. 成果指標
・KPI
・確認頻度
・評価方法


4. 業務範囲
・企画
・SEO
・取材
・構成
・執筆
・編集
・校正
・画像
・CMS入稿
・公開
・分析
・改善
・定例会


5. 制作条件
・月間本数
・記事仕様
・確認フロー
・納期
・修正回数
・完成条件


6. 実施体制
・責任者
・ディレクター
・編集者
・ライター
・専門家
・バックアップ体制


7. 使用ツール・権限
・CMS
・GA4
・Search Console
・その他ツール


8. 成果物
・記事
・画像
・編集データ
・調査データ
・分析レポート
・進行管理表


9. 権利・情報管理
・著作権
・素材利用
・秘密情報
・アカウント管理


10. 契約終了時の引き継ぎ
・データ
・アカウント
・未公開記事
・運用資料
・権限削除


11. 提案してほしい内容
・運営方針
・実施体制
・制作フロー
・品質管理
・改善方法
・類似実績
・リスクと対応


12. 見積もり
・月額
・記事単価
・取材費
・追加作業
・オプション

この構成を基準に、自社で必要な項目だけを残せば、提案会社ごとの回答を横並びで確認できます。

RFPを渡す前に、各社が同じ条件で回答できるか確認する

提案依頼書が完成したら、「各社が同じ条件で回答できるか」という視点で最終確認をします。次の10点を満たしているか見てください。

  • 月間本数ではなく公開完了の条件まで決まっている
  • 企画・SEO・取材・編集・入稿の担当範囲が分かる
  • 発注側の承認工程が分かる
  • 修正回数と追加費用条件が分かる
  • 分析レポートの内容と頻度が分かる
  • CMS・GA4・Search Consoleの権限が決まっている
  • 原稿・画像・調査データの扱いが決まっている
  • 契約終了時の引き継ぎ対象が決まっている
  • 各社へ同じ見積項目を求めている
  • 提案会社が「含まない業務」も回答できる

「できますか」だけでなく、「どこまで、どの条件ならできますか」と質問できていれば、比べやすいRFPになっています。

RFPには、検索ユーザーに何を届けるメディアなのかも書く

運営業務を発注する側だけで要件を考えると、「月何本作るか」「何回会議するか」といった制作条件に偏りやすくなります。しかし、オウンドメディアの最終的な相手は、記事を読む検索ユーザーや見込み客です。

そのためRFPには、対象読者、読者が抱える課題、記事を読んだ後に取ってほしい行動も書きます。そのうえで、提案会社には「その読者へどのような企画を届けるか」まで提案してもらいましょう。確認したいのは、記事本数を守ること自体ではなく、対象読者へ必要な情報を継続して届けられる運用になっているかどうかです。

まとめ|比較条件をそろえてから、各社に依頼する

オウンドメディア運営代行の提案依頼書では、会社の選び方より先に、比較する条件をそろえることが出発点です。

企画、SEO、取材、編集、校正、CMS入稿、分析、会議、権限、成果物、契約終了時の引き継ぎまでを分解し、それぞれについて担当範囲・成果物・完成条件・追加費用条件を決めてください。特に「月○本」「SEO対応」「分析込み」のような抽象的な表現は、公開本数、作業工程、提出物、承認方法まで具体化します。そうすれば、各社から比較できる条件で提案を受け取れます。

次の作業として、自社の依頼内容を12項目の表に当てはめ、「含む・含まない」を書き出してみましょう。RFPを配布して提案を受領した後は、その条件を基準に各社の提案内容を評価する工程へ進みます。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

日本財団「日本財団及び社会課題の認知向上のためのウェブ記事企画・制作・戦略立案業務に関する提案依頼」

2025年12月公開。2026年度のオウンドメディア運営業務について、戦略、記事制作、CMS、分析、成果物、権利、実施体制、見積条件の実例として参照。

日本財団の公募ページ

WordPress.org「Roles and Capabilities」

WordPressのユーザー権限と役割の確認に使用。

WordPress公式ドキュメント

Google Search Console ヘルプ「所有者、ユーザー、権限の管理」

Search Consoleの所有者・ユーザー権限の確認に使用。

Google Search Console公式ヘルプ

Google Analytics Help「Add, edit, and delete Analytics users and user groups」

GA4のユーザー・アクセス管理の確認に使用。

Google Analytics公式ヘルプ

文化庁「著作権契約書作成支援システム/著作権の移転」

成果物の著作権譲渡、第27条・第28条、著作者人格権の確認に使用。

文化庁の著作権契約資料

‹ 親記事: オウンドメディア運営は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方

関連記事

関連テーマ