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オウンドメディア運営代行会社を乗り換えるときにやること|CMS・記事・画像・分析データ・権利の引き継ぎ手順

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践

オウンドメディア運営代行会社を乗り換えるときは、記事ファイルを受け取るだけでは引き継ぎは終わりません。自社で管理するメディアの運営を任せていた会社から引き継ぐものには、CMSの権限、公開済み・未公開の記事、画像の元データ、編集ルール、企画台帳、GA4・Search Console、過去の修正理由、著作権・利用許諾、進行中の作業があります。これらは、一つの引き継ぎ台帳で管理する必要があります。

引き継ぎの完了は、「旧会社からデータを受け取ったとき」ではなく、新会社が同じ環境で更新・分析を再開できると確認できたときです。旧会社の権限を外すのは、その確認が済んでからにします。この記事を読むと、旧運営代行会社から新運営代行会社へ資産を移すための確認項目、切り替えの順序、受入の基準が分かります。

オウンドメディア運営代行の乗り換えは「資産・権限・履歴・進行案件・権利」の5群で整理する

乗り換え時の抜け漏れを防ぐには、引き継ぎ対象を5群に分けると整理しやすくなります。記事や画像などの成果物だけでなく、「誰が操作できるか」「なぜその状態になっているか」「何が途中か」「次の会社がどこまで利用できるか」まで受け渡すのがポイントです。次の表は、各群の主な対象と、受入が完了したといえる基準です。

引き継ぎ群主な対象受入完了の基準
資産公開記事、下書き、構成案、画像、図表、元データ、企画表新会社が必要なファイルを開き、編集できる
権限CMS、GA4、Search Console、タグ管理、必要に応じてサーバー等自社と新会社が必要な画面へログインできる
履歴リライト履歴、順位変動時の対応、計測変更、非公開判断変更内容だけでなく理由まで確認できる
進行案件執筆中記事、校正中記事、取材、監修、公開待ち、修正依頼担当者・期限・次の作業が明確
権利著作権、画像ライセンス、取材素材の利用条件、第三者素材新会社が編集・再掲載・再利用できる範囲が明確

5群のうち一つでも欠けると、「記事はあるが画像を編集できない」「GA4は見られるが設定を変更できない」「公開済み記事を直したいが利用条件が分からない」といった停滞につながります。

オウンドメディア運営会社の引き継ぎ対象を資産・権限・履歴・進行案件・権利の5つに分類した概念図

記事・画像だけでなく、権限や変更理由、進行中の仕事、利用権までそろって初めて、新会社が継続して運用できます。

最初にやることは解約ではなく、契約と管理者権限の棚卸し

最初に確認するのは、現在の契約条件と、自社が各サービスの管理者権限を持っているかどうかです。解約日の確定は、その後にします。旧会社しか管理できない環境が残ったまま契約終了を先行させると、必要な情報や権限を確認しにくくなるためです。

契約書では、少なくとも次の項目を確認してください。

  • 解約通知の期限
  • 契約終了日
  • 解約時に納品される成果物
  • CMSや分析ツールのアカウント管理主体
  • 記事・画像・図表・デザインデータの権利帰属
  • 第三者素材の利用条件
  • 未完了記事や取材案件の扱い
  • 引き継ぎ作業が契約範囲に含まれるか
  • 契約終了後のデータ保持・削除条件

管理者権限の面では、CMSがWordPressの場合、ユーザーごとにAdministrator、Editor、Authorなどの役割を設定し、操作できる範囲を分けられます。そのため、旧会社が使っていた共通IDをそのまま新会社へ渡すのではなく、新会社用のユーザーを発行して必要な権限だけを設定する方が管理しやすくなります。

乗り換え後の運営を内製・外注・ハイブリッドのどれにするか決め直す場合は、オウンドメディア運営の体制構築も確認してください。

CMSは「ログインできる」だけでなく、更新作業を再現できるところまで引き継ぐ

CMSの引き継ぎでは、管理画面へ入れることと、日常の更新を再現できることは別です。新会社が1本の記事を下書きから公開直前まで操作し、従来のルールに沿って更新できるかを確認してください。

CMSで受け取る情報

更新作業を再現するために、次の情報を受け取ります。

  • CMSのURLと環境名
  • 自社管理者アカウント
  • 新会社へ付与する権限
  • 投稿タイプ、カテゴリ、タグの使い分け
  • 見出し、装飾、CTA、表、FAQなどの入稿ルール
  • アイキャッチや本文画像の推奨サイズ
  • メタタイトル、ディスクリプション等の入力場所
  • 内部リンクのルール
  • 公開前の承認フロー
  • 使用中のテーマ・主要プラグインと更新時の注意点
  • ステージング環境がある場合の利用方法
  • バックアップ方法

WordPressには、記事、固定ページ、カスタム投稿、コメント、カスタムフィールド、カテゴリ、タグなどをXML形式で書き出す機能があります。ただし、乗り換え時はエクスポートファイルを受け取っただけで完了とせず、新会社側で実際に扱えることまで確認します。

記事・画像は完成版だけでなく「編集可能な元データ」と制作条件を受け取る

公開済み記事のHTMLやPDFだけでは、次の会社が効率よくリライトできません。原稿の編集可能ファイル、構成案、取材メモ、図表の元データ、画像の編集可能ファイル、出典情報など、再編集に必要な材料まで引き継ぎ対象にします。

記事ごとに最低限そろえたい情報

記事1本ごとに、次の7項目がそろっているかを確認します。

項目引き継ぐ内容
原稿公開版、最新編集版、下書き
企画対象キーワード、検索意図、想定読者、記事の目的
根拠参考文献、一次情報、調査日
変更履歴いつ、どこを、なぜ直したか
画像公開画像、元画像、図表元データ
権利自社制作、外注制作、素材サイト等の区分と利用条件
状態公開、改稿予定、保留、統合候補、削除候補

特に注意が必要なのは画像です。「現在のWebサイトに掲載できる」ことと、「別会社が加工・再利用できる」ことは、同じとは限りません。素材サイト、カメラマン、イラストレーター、外部ライター等が関わる場合は、契約やライセンス条件を素材単位で確認します。

著作権は「代金を払ったから自社のもの」と決めつけず、契約を確認する

記事や画像を外注した場合、報酬を支払い納品を受けただけで、当然に著作権まで発注者へ移るわけではありません。文化庁の著作権契約マニュアルでも、著作権の譲渡を希望する場合は契約書への明記が必要とされています。また、著作権法27条・28条に関する権利は、譲渡対象として明記されていない場合、譲渡者に留保されたものと推定されます。

さらに、著作者人格権は著作権とは別の権利で、譲渡できません。新会社が記事の大幅改稿、画像のトリミング、図表の再編集などを行う場合は、著作権の帰属だけでなく、改変や二次利用に関する契約条件も確認する必要があります。

引き継ぎ時は、各成果物を次の3区分に分けると判断しやすくなります。

  1. 自社が必要な著作権を保有し、継続利用・改変できる
  2. 著作権は制作者側だが、自社に継続利用・改変の許諾がある
  3. 利用範囲が不明、または第三者素材を含み再確認が必要

区分3に該当する素材は、新会社へ「自由に使える素材」として渡さず、権利確認待ちとして分けて管理します。契約解釈に迷う場合は、必要に応じて専門家へ確認してください。

記事や画像の著作権と利用条件を確認し、利用可能・条件付き・要確認の3区分に分ける図

公開中の素材でも、新会社が加工・再利用できるとは限りません。権利や利用条件が不明なものは、ほかの素材と分けて確認します。

GA4・Search Consoleは作り直さず、既存環境へ新会社を追加する

分析データの引き継ぎで大切なのは、CSVを渡すことより、既存の計測環境を継続して使える状態にすることです。原則として同じGA4プロパティ、同じSearch Consoleプロパティを維持し、新会社をユーザーとして追加します。

Google Analytics 4では、アカウントまたはプロパティ単位でユーザーを追加し、役割を設定できます。ユーザーの追加や権限変更には、対象階層で必要な管理権限が求められます。

また、GA4の変更履歴では、アカウントまたはプロパティで行われた変更を過去2年間確認できます。旧会社がどの設定をいつ変更したかを確認する材料として利用できます。

Search Consoleでは、所有者とユーザーで権限が分かれ、他ユーザーへの権限付与は所有者が行います。旧会社だけが確認済み所有者になっている場合は、契約終了前に自社側の所有権を確認してください。

権限の設定に加えて、GA4・Search Consoleでは次の情報も引き継ぎます。

  • 対象プロパティ名・ID
  • 自社管理者または所有者
  • 新会社へ付与した権限
  • 主要コンバージョン・キーイベントの定義
  • 除外設定やフィルタの考え方
  • 定例レポートの指標
  • 重点ページ・重点キーワード
  • 過去に計測定義を変更した日時と理由
  • Looker Studio等を利用している場合の共有先

Google Tag Managerを使っている場合は、タグの公開権限も忘れずに移す

GA4が見られても、Google Tag Managerの権限がなければ、新会社が計測タグを修正・公開できない場合があります。Google Tag Managerはアカウント単位とコンテナ単位で権限を設定でき、コンテナでは読み取り、編集、承認、公開などを分けられます。

Googleは、管理者が外部代理店だけにならないよう、組織内で管理できる状態と複数の管理者を用意することを案内しています。乗り換えを機に、自社側が管理権限を保持し、運営代行会社には業務に必要な範囲を付与する形へ整えると、将来再び運営会社を変更する場合にも引き継ぎやすくなります。

過去の修正履歴は「何をしたか」ではなく「なぜしたか」を残す

新会社が最も再現しにくいのは、ファイルではなく判断の背景です。たとえばタイトル変更、記事統合、内部リンク変更、CTA差し替えが記録されていても、その理由がなければ、過去に効果がなかった施策を再び実施する可能性があります。

そこで、重要な変更には最低限、次の4点を残します。

  • 変更前の状態
  • 実施した変更
  • 変更理由・仮説
  • 変更後に確認した指標と結果

「順位が下がったため元に戻した」「問い合わせの質を踏まえてCTAを変更した」「似た検索意図の記事を統合した」といった判断履歴は、次の会社が運用方針を理解するための重要な資産です。

未完了の作業は、記事単位ではなく「次のアクション」まで渡す

乗り換え直前には、執筆中、監修待ち、取材調整中、公開予約、リライト中など複数の案件が並行します。ファイルだけ渡すと、新会社は「誰の返答を待っているのか」「何が承認済みなのか」を判断できません。

進行案件は、次の形式で一覧化します。

案件現在地完了済み未完了次の担当期限
記事A初稿確認中構成・執筆法務確認自社担当○月○日
記事B取材後取材・文字起こし執筆新運営会社○月○日
記事C公開済み公開効果測定新運営会社次回定例

この例では、記事Aは自社が法務確認を、記事Bと記事Cは新運営会社が執筆や効果測定を担当します。案件ごとに「現在地」から「次の担当」と「期限」まで読み取れる形にすることが目的です。

執筆中や監修待ちなど未完了の記事を、現在地・次の担当・期限とともに新しい運営会社へ引き継ぐ図

未完了の案件は、旧会社がすべて完了させてから渡す必要はありません。途中の案件でも、現在地・担当者・期限・次の作業と、判断待ちの相手が分かれば、新会社が続きから進められます。

乗り換えは4段階で進め、旧会社の権限削除を最後にする

実務では、棚卸し、新会社への権限付与、受入テスト、旧会社の権限削除の4段階に分けると、切り替えやすくなります。

棚卸し、新会社への権限付与、受入テスト、旧会社の権限削除の順で進める運営会社乗り換えフロー

旧会社の権限を外すのは最後です。新会社が実際に更新・分析できることを確認してから切り替えます。

新しい代行会社へ移すのではなく社内運営へ切り替える場合は、オウンドメディアを外注から内製へ移行する方法で90日間の移行手順を確認できます。

第1段階:棚卸し

契約、成果物、権限、権利、進行案件を一覧化します。自社が管理者になっていないサービス、所在不明の元データ、権利不明の素材をここで特定します。

第2段階:新会社へ先に権限を付与

CMS、GA4、Search Console、必要に応じてGoogle Tag Manager等へ新会社を追加します。旧会社のIDや共通パスワードを流用せず、担当者または会社用のアカウントを分けます。

第3段階:受入テスト

新会社が実際に、記事の下書き作成、画像登録、プレビュー、分析レポート確認、必要な設定確認まで行います。同時に、進行中案件について「次に誰が何をするか」を確定します。

第4段階:旧会社のアクセスを削除

受入確認が終わってから、旧会社のCMS、GA4、Search Console、Google Tag Manager、共有ストレージ等の権限を削除します。削除後は、自社と新会社の双方で再ログインし、必要な操作ができることを確認します。

この順番なら、「旧会社を外した後で、新会社に必要な権限が足りないと判明した」という事態を避けやすくなります。

切り替え完了は「資料を受け取った日」ではなく、運用が一周した時点で判定する

引き継ぎ完了の判定は、ファイル受領数ではなく、新しい体制で実務が回るかで行います。次の10項目が満たされているかを確認してください。

  • 新会社がCMSで下書きを作成できる
  • 自社が最終承認・公開できる
  • 既存記事の元原稿と画像を取得できる
  • 主要な編集ルールを再現できる
  • GA4の主要レポートを確認できる
  • Search Consoleの対象プロパティを確認できる
  • 必要な場合、タグの修正・公開権限がある
  • 進行中案件の次の作業が決まっている
  • 著作権・画像利用条件が不明な素材が分離されている
  • 旧会社の権限を削除しても運用できる

オウンドメディアの読者である検索ユーザーや見込み客から見れば、運営代行会社が変わったこと自体は重要ではありません。重要なのは、記事更新が止まらないこと、ページが壊れないこと、問い合わせ導線や計測が途切れないことです。

そのため、引き継ぎの品質は、社内で何点の資料を受け取ったかではなく、検索ユーザーや見込み客に運営変更の悪影響を出さず、継続運用できたかで評価する方が実務的です。

引き継ぎ台帳は「項目・保有者・受入者・確認結果」の4列を最低限持たせる

引き継ぎ資料を複数のメールやチャットへ分散させず、一つの台帳で完了判定できるようにします。台帳は、項目ごとに「今は誰が持っているか」「誰が受け入れるか」「何を確認して完了とするか」を記録する形です。

項目現在の保有・管理者新しい受入者確認結果
CMS管理者自社/旧会社自社+新会社ログイン・編集確認
記事原稿旧会社新会社元データ受領
画像旧会社/素材サービス新会社利用条件確認
GA4自社自社+新会社権限・主要指標確認
Search Console自社/旧会社自社+新会社所有者・ユーザー確認
編集ルール旧会社新会社テスト入稿で再現
進行案件旧会社新会社次の作業を確定
権利関係契約書・発注書自社+新会社利用可能範囲確認

この台帳に「未確認」を残したまま旧会社の権限削除へ進まないことが、乗り換え時のトラブルを防ぐ基本です。

まとめ

オウンドメディア運営代行会社の乗り換えでは、記事データの受け渡しだけでは不十分です。CMS、記事・画像の元データ、編集ルール、企画、GA4、Search Console、変更履歴、著作権、未完了案件までを「資産・権限・履歴・進行案件・権利」の5群で整理してください。

進める順番は、契約と管理者権限の棚卸し、新会社への権限付与、実務での受入テスト、旧会社の権限削除です。特に分析ツールは、新しく作り直すのではなく既存環境を引き継ぎ、過去のデータと設定の連続性を保つことが重要です。

最初の一歩は、契約書の確認と、各サービスで自社が管理者権限を持っているかの確認です。

自社だけで引き継ぎ範囲を確定しにくい場合は、解約後ではなく、旧会社との契約が残っている段階で新しい運営会社へ相談すると整理しやすくなります。リブランディング株式会社では、既存の記事資産・計測環境・運用ルールを確認したうえで、どこまで引き継ぎ、どこから改善するかを含めたオウンドメディア運営のご相談を受け付けています。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Google Analytics ヘルプ「アナリティクスのユーザーおよびユーザー グループの追加、編集、削除」:GA4のユーザー追加・権限管理の確認に使用。 参照元
  • Google Analytics ヘルプ「View the history of account/property changes」:GA4の変更履歴の確認に使用。 参照元
  • Google Search Console ヘルプ「所有者、ユーザー、権限の管理」:Search Consoleの所有者・ユーザー権限の確認に使用。 参照元
  • Google Tag Manager ヘルプ「ユーザーと権限の管理」:アカウント・コンテナ権限、自社管理の考え方の確認に使用。 参照元
  • WordPress.org「Roles and Capabilities」:CMSの役割・権限の確認に使用。 参照元
  • WordPress.org「Tools Export screen」:WordPressの記事データ等のエクスポート対象の確認に使用。 参照元
  • 文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」:外注成果物の著作権譲渡、利用許諾、著作権法27条・28条の扱いの確認に使用。 参照元
  • 文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」:著作者人格権、改変、著作権法61条の留意点の確認に使用。 参照元

‹ 親記事: オウンドメディア運営は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方

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