自社でもSEO(検索エンジン最適化。Googleなどの検索結果で自社サイトが見つかりやすくなるようにする取り組み)に力を入れたい。しかし、誰にやらせるのか、外部に頼むべきなのか、何から手をつければいいのか判断がつかない。この記事は、そうした経営者や担当者の方に向けて書いています。
SEOは始めやすい一方で、体制まで含めて回し切るのが難しい施策です。そのため、内製・外注・ハイブリッド(内製と外注を組み合わせる進め方)のどれで進めるかを考えることになります。結論から言うと、どれが正解かは一律には決まりません。月40時間以上の専任工数を確保できるか、継続的に学習・改善できる体制があるか、3年以上の長期運用を想定できるか。この3つの問いへの答えで、選ぶべき体制が変わります。
本記事では、この意思決定を、内製・外注・ハイブリッドの判断基準、必要な役割とスキルの全体像、体制構築の進め方の類型、予算と優先順位の考え方という4つの切り口で整理します。目的は、「自社はどのパターンで進めるべきか」を判断するための地図を持っていただくことです。扱うのは「どの体制でSEOを始め、どう立ち上げるか」までで、何人体制にすべきかという具体的な人数の試算には立ち入りません。
体制を決めた後は、SEOに影響する変更を日時・対象URL・変更前後・想定影響・確認結果・ロールバック方法とともに残すと、障害時の原因切り分けがしやすくなります。具体的な台帳設計は[SEO変更履歴台帳の作り方](https://rebranding.co.jp/media/seo-change-log/)で解説しています。あわせて、検索流入の減少への対応は「ゼロクリック検索対策とは?流入減を防ぎAI検索時代に指名・CVを増やす方法」で扱っています。
なお、内製化の方針が決まった後に必要となるRACIによる責任分担、週次・月次・四半期の会議体、施策バックログ、判断記録の残し方は、専門記事「SEO内製化後の運用設計|RACI・会議体・判断記録で属人化を防ぐ」で詳しく解説しています。
SEOの体制づくりで行き詰まる企業が多いのはなぜか
最初に、SEOに取り組む企業の現状を調査データで確認します。
SEOへの関心自体は、多くの企業にとって珍しいものではなくなっています。株式会社LiKGが2025年11月10日に全国の経営者・役員200名を対象に実施した「Webマーケティング投資実態調査2025」によると、取り組んでいるWebマーケティング施策として「SEOやコンテンツ制作」が27.5%で最多という結果でした。関心・投資の入り口としては、SEOが選ばれやすい施策になっていることがうかがえます。
一方で、同じ調査では「十分に成果を感じている」と回答した企業はわずか10.0%にとどまり、「あまり成果を感じていない」「全く成果を感じていない」を合わせた「成果を感じていない」層が64.5%に達しました。課題として挙がったのは、次のとおりです。
- 年間予算100万円未満という「低予算」:58.5%(最多)
- 「社内にマーケティング知見がない」:31.0%
- 「コンテンツ制作のリソースが足りない」:18.5%
取り組んでいる企業は多いものの、体制と予算が追いついていないことが分かります。
この傾向は、すでにSEOに取り組んでいる企業でも変わりません。株式会社IDEATECHが2026年3月30〜31日に、オウンドメディアを運営しSEO記事の企画・運用・制作・効果測定のいずれかに携わる企業担当者111名を対象に行った調査では、課題の上位は次の3つでした。
- 「社内の工数やリソースが足りない」:56.8%(トップ)
- 「記事の修正方法が分からない」:41.4%
- 「効果測定の方法が分からない」:35.1%
すでに走り出している企業でも、体制の薄さが課題の1位に挙がっているということです。
体制を考えるときは、入り口の広さに対して体制が薄くなりやすい点を前提に、無理なく回せる形を設計することになります。SEOそのものを基礎から確認したい場合は、「SEO対策完全ガイド」もあわせてご覧ください。
内製・外注・ハイブリッドをどう判断するか
SEO対策の内製・外注比較を扱った参考記事によると、内製と外注のどちらが正解かは一律に決まるものではなく、予算・スピード・専門性・体制のバランスで選ぶべきだとされています。この節では、その考え方をもとに、自社に合う体制を選ぶための判断軸を整理します。
外注を選ぶ場合に具体的な候補を絞るには、費用・支援範囲・実績・契約条件を同じ軸で比べたSEO対策会社おすすめ10選を参照してください。
すでに外注していて、外注先を変更する場合は、SEO対策会社を乗り換えるときの引き継ぎ手順でSearch Console・GA4・CMS・施策履歴・権限を止めずに移す手順を確認できます。
内製か外注かを分ける3つの問い
最初に、次の3つの問いに自社としてどう答えるかを考えます。
- 月40時間以上の専任工数を確保できるか
SEOは一度整えて終わりではなく、記事の追加・更新、順位や流入の確認、改善を継続的に回す取り組みです。参考記事は、専任に近い工数を確保できるかどうかを内製検討の最初の関門として挙げています。既存業務の合間にわずかな時間しか割けない場合、内製だけで完結させるのは現実的ではありません。 - 継続的に学習・改善できる体制があるか
検索エンジンの評価基準やユーザーの検索行動は変化し続けます。社内に最新情報を追い続ける余力があるかどうかで、選ぶべき体制は変わります。 - 3年以上の長期運用を想定できるか
SEOは効果が出るまでに一定の期間がかかる施策です。短期的な成果を優先するなら外注中心、時間をかけてでも社内に知見を残したいなら内製またはハイブリッドが軸になります。

内製・外注・ハイブリッドはどう違うか
次に、3つの体制パターンの違いを見ます。下の表は、内製・外注・ハイブリッドを、立ち上がり・費用・ノウハウ・リスクの4つの観点で比べたものです。

| 観点 | 内製 | 外注 | ハイブリッド |
|---|---|---|---|
| 初期の立ち上がり | 遅い(採用・育成が必要) | 速い(即戦力を活用できる) | 速い(外部の知見を借りて開始) |
| 費用の性質 | 人件費が主。記事単価は下がりやすいが固定費が重い | 月額費用・記事単価が継続的に発生する | 段階的に外注費が逓減していく |
| ノウハウの蓄積 | 社内に残りやすい | 残りにくい | 移管を前提にすれば残る |
| 主なリスク | 担当者への属人化、採用・離職のリスク | 外部への依存、費用が積み上がり続けること | 移管の設計を誤ると中途半端になること |
表の読み方のポイントは、早く始められる体制と、知見が社内に残る体制が一致しないことです。外注は立ち上がりが速い一方でノウハウが残りにくく、内製は知見が残る一方で立ち上がりが遅くなります。ハイブリッドは、移管を前提にすることでその両方を取りにいく形です。
事業形態によっても、向く体制は変わります。参考記事は、次のような目安を示しています。
- 記事数が多い大規模メディア:内製
- 開業直後の士業・中小企業:外注
- EC・カタログサイト:外注
- B2B企業:戦略を外注し、実行を内製するハイブリッド
どの体制が正しいというより、自社の事業規模と更新量に応じて、選ぶべき組み合わせが変わるということです。
内製の方が安いとは限らない?費用比較で見落としやすい点
内製の方が外注費がかからない分、コストを抑えられるという考え方は、一部だけが正しいものです。外注費は見えやすいコストですが、内製には採用や教育のコストが隠れているためです。
参考記事は、SEO人材を採用・雇用する場合、ツール代・教育費なども含めた総額を、外注時の月額費用と同じ土俵で比較する必要があると指摘しています。比較の材料になる調査値は、次のとおりです。
- SEO人材(実務経験5年クラス)の年収:450万〜800万円程度、中央値544万円
- 外注時の月額費用(企業向け):月30万〜100万円程度。発注データの平均は73.7万円、中央値は42.5万円
なお、年収は1年あたり、外注の月額費用は1か月あたりの金額です。
外注費だけを見ると内製の方が安く見えますが、採用コストや離職リスクまで含めると、必ずしも内製の方が低コストとは限りません。なお、これらの金額は業界メディアが独自に集計した参考値であり、自社の採用条件やエリアによって大きく変動する点には注意が必要です。
ここまでの内容に続いて、外注の検討から運用中の見直しまで、場面ごとの確認先を挙げておきます。
- 外注を検討する段階で、各社の施策範囲・工数・成果物・KPI・見積を同条件で評価する場合:SEO支援会社の提案書を比較する方法
- 担当者の異動・退職でSEO運用を止めないために、残すべき権限・計測条件・判断履歴を知りたい場合:SEO担当者の引き継ぎチェックリスト
- すでに外注でSEOを運用していて、契約形態だけでなく、毎月の報告が検索結果・流入・成果・実装状況・次月計画までつながっているかを確認する場合:SEO対策会社の月次レポートの見方(発注側の評価方法を整理しています)
SEOを回すにはどんな役割とスキルが必要か
次に、SEOを回すために誰が何を担うのかを押さえます。必要な役割は、大きく3つに整理できます。SEO・Webマーケティング業界の職種を解説した参考記事をもとに、内製・外注どちらを選ぶ場合にも当てはまる役割として整理し直すと、次のようになります。
- 戦略・ディレクション役
キーワード分析・競合調査をもとにSEO戦略を企画し、コンテンツテーマを立案し、進行を管理する役割です。効果測定と改善提案までを担うことが多く、分析力・論理的思考・チームコミュニケーション能力が求められます。この役割が不在のまま制作だけを進めると、記事は増えても方向性が定まらず成果につながりにくくなります。 - コンテンツ制作役
検索ユーザーの疑問を解決する記事を制作する役割です。単なる執筆力だけでなく、検索意図に沿った構成力・リサーチ力・読者心理の理解が求められます。自社の商品・サービス・実績に関する一次情報は社外の人には書けないため、外注する場合でも情報提供者としての社内の関与は欠かせません。 - 分析・戦略立案役
検索順位や流入データを分析し、次の施策の優先順位を決める役割です。データ分析力・課題発見力・提案力が求められ、成果が数字で見えるため、社内で最も投資対効果を説明しやすいポジションでもあります。
1つ目と3つ目は近い領域ですが、1つ目は全体の企画と進行を、3つ目は順位や流入のデータから次の施策の優先順位を決める部分を受け持つ、と考えると区別しやすくなります。
これに加えて、サイトの表示速度改善や構造化データの実装など、技術的な知識を要する対応が必要になる場面もあります。エンジニアとの協働が必要になるため、専任者を置けない企業では、この技術面だけを外部に依頼するケースも少なくありません。この技術対応を加えると、体制づくりで見る役割は、戦略・コンテンツ制作・分析・技術対応の4つになります。
なお、実際に何人でこの役割を分担すべきかという具体的な人数の目安や、現役担当者を対象にしたアンケート調査に基づく体制規模の実態を詳しく知りたい場合は、体制の人数論を扱った別記事もあわせて参照してください。

体制はどう立ち上げるか:3つの進め方
前述の判断軸と役割をもとに、実務でよく見られる進め方を3つの類型に整理します。先ほどの「3つの体制パターン」(内製・外注・ハイブリッド)が体制の形だとすると、ここでの類型は、その体制を立ち上げる道筋です。どれが正解ということではなく、自社の状況(専任を割けるか、長期投資として腰を据えられるか)に応じて選びます。

類型1:既存の担当者が兼任で、小さく内製から始める
専任ではなくても、既存のWeb担当者やマーケティング担当者が本業と兼任しながら、既存記事の見直しやキーワード整理といった着手しやすい工程から始める進め方です。前述のLiKG調査で、課題として低予算(年間100万円未満)を挙げた企業が58.5%に上っていたように、多くの企業にとって現実的な出発点になります。
ただし、専門知識が必要な工程(技術面の対応や効果測定の指標設計など)を最初から自社だけで完結させようとすると、前述のIDEATECH調査が示す「効果測定の方法が分からない」(35.1%)という壁にぶつかりやすくなります。必要に応じて外部のスポット支援を組み合わせる方が、途中で行き詰まりにくくなります。
類型2:外注で立ち上げ、段階的に内製へ移す
戦略設計・コンテンツ制作を一括して外部に依頼し、立ち上げのスピードを優先する進め方です。参考記事が推奨する「外注で立ち上げる→徐々に内製へ移行する」というハイブリッド戦略はこの類型に近く、社内担当者も実務に関わりながら段階的に移管して、自社で判断できる状態を目指します。
ここで決めるのは、「どの時点で、どの業務を社内へ移すか」という移管方針までです。移管後の具体的な責任分担、会議体、判断ログ、外部パートナーとの受け渡しルールは「SEO内製化後の運用設計」に委ねます。
類型3:社内に専任チーム・専門部署を置く
大規模なコンテンツ量産が必要な事業や、Web集客を事業の中核と位置づける企業に見られる進め方です。戦略・コンテンツ制作・分析それぞれに担当者を置き、外部パートナーは専門性が特に高い部分(応用的な技術対応や、大量制作の一部工程など)に限定して活用します。参考記事は、記事数が多い大規模メディアではこの類型が長期的なROIを向上させやすいとしています。
ただし、専任チームを最初から新設するのではなく、既存のマーケティング・広報体制を土台に役割を拡張する形の方が、無理なく移行しやすくなります。
予算と優先順位をどう考えるか
体制と並んで判断が必要になるのが、予算の水準と、限られたリソースをどこから使うかという優先順位です。この節では、まず予算の目安を確認し、そのうえで着手の順番を整理します。
内製を選ぶ場合は、人件費に加えてツール費も予算に入ります。具体的に見積もるときは、順位計測・キーワード調査・競合分析・被リンク・技術監査で比べたSEOツールおすすめ10選を参照してください。
予算の目安と、小さく始める考え方
前述のLiKG調査によると、Webマーケティング全体の年間予算が「100万円未満」という企業が58.5%を占めています。一方、外注時の費用相場は、参考記事によれば次のような目安とされています。
- 企業向けの外注:月30万〜100万円程度
- コンサルティング:月10万〜50万円
- 記事制作:1本1万〜10万円程度
これらは、先ほどの費用比較と同じく業界メディアが独自に集計した参考値であり、自社の予算を保証するものではありません。低予算での取り組みが多い実態を踏まえると、いきなり大きな予算を確保しようとするより、まずは小規模な投資(一部業務のスポット外注など)から始め、効果を確認しながら増減させる姿勢が現実的です。
限られたリソースはどこから使うか
限られたリソースで着手する際は、次の順番で検討するのが実務的です。
- 利用できるリソースを確認する:予算、人員、時間のうち、今すぐ使えるものを棚卸しします。
- 成果につながりやすい施策から着手する:既存ページの品質改善など、自社にとって影響が大きく比較的着手しやすい施策から始めます。
- 効果を確認してから広げる:一つの施策で成果や課題が見えてから、次の施策・次の役割へリソースを広げます。
この順にすれば、成果が見えないままリソースを広げることを避けられると考えます。Google公式のSEOスターターガイドも、検索結果への反映には数週間から数ヶ月かかることを前提としたうえで、確実な順位保証はなく、文章が読みやすく整理され、独自性があり、有用で信頼性の高いコンテンツを継続的に提供することが重要だと説明しています。短期間で結果を求めすぎず、着手した施策を評価してから次に広げるサイクルを、体制づくりと同時に組み立てることが実務上の現実的な進め方です。
着手前に自社で確認したいこと
体制づくりに着手する前に、次の点を社内で確認してください。
- 前述の3つの問い(月40時間以上の専任工数を確保できるか、継続的に学習・改善できる体制があるか、3年以上の長期運用を想定できるか)に、自社としてどう答えるか
- 戦略・コンテンツ制作・分析・技術対応のうち、すでに社内で対応できているのはどれか、まったく手がついていないのはどれか
- 外部パートナーに依頼する場合、成果指標や進行の型をドキュメント化してもらい、将来的な移管を前提とした契約にできているか
- 今すぐ使える予算・人員・時間はどの程度で、最初にどの施策から着手するか
すでに外部のSEO支援会社を使っていて継続するか迷う場合は、成果・実装量・残課題・次期施策から評価するSEO支援会社との契約を更新するか判断する方法も参照してください。
まとめ
SEO導入の体制構築に唯一の正解はありません。内製・外注・ハイブリッドのいずれを選ぶかは、専任工数を確保できるか、継続的に学習・改善できる体制があるか、長期運用を想定できるかという3つの問いへの答えで決まります。
多くの企業にとって現実的なのは、戦略・コンテンツ制作・分析・技術対応という役割を洗い出したうえで、対応できる役割は内製し、専門性が必要な役割は外部と併用しながら、段階的に体制を育てていく進め方です。まずは自社がどの類型に近いかを見極め、小さく始められる工程を1つ選ぶところから着手してください。
方針が固まった後の進み方は、次のとおりです。内製化する方針が固まったら、RACI・会議体・判断記録までを具体化する「SEO内製化後の運用設計」へ進むと、導入判断から運用定着までを分けて設計できます。外注する方針が固まった場合は、SEO対策会社へ依頼する前に決めることで、対象範囲・KPI・権限・成果物・引き継ぎ条件をそろえ、複数社へ同じ条件で提案依頼できる状態を作れます。
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