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SEO対策会社へ依頼する前に決めること|範囲・KPI・権限・成果物

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践

SEOを外注すると決めたものの、「複数のSEO会社に何を伝えれば、同じ条件で提案を比べられるのか」が決まらず、依頼が止まっていませんか。

条件をそろえずに相見積もりを取ると、会社ごとに想定する業務範囲や成果の定義が違うため、金額や提案内容を並べても、違いの理由が分かりません。そのため、会社選びを始める前に、RFP(Request for Proposal/提案依頼書)として依頼内容をそろえておくことが重要です。

RFPには、事業上の目的に加えて、依頼したい業務範囲、KPI、役割分担、必要な権限、成果物、運用方法、契約終了時の引き継ぎ条件を入れます。この記事では、SEO・マーケティング責任者やWeb責任者が、複数のSEO支援会社へ同じ前提条件で提案を依頼できる状態になるまで、各項目に何をどう書くかを順に整理します。

まだSEO会社への初回相談前で、目的・重要ページ・Search Console・GA4・実装体制などを整理している段階なら、先にSEO対策会社へ相談する前に準備する7項目|目標・対象ページ・Search Console・実装体制を整理を確認してください。本記事は、初回相談などを通じて依頼の前提が見えてきたあと、複数社へ同じ条件で提案を依頼するための要件化を扱います。

SEO会社を選ぶ前に、RFPで「何を依頼するか」を固定する

RFPで最初に決めるのは、SEO会社のランキングや知名度ではなく、「何を、どこまで、どの条件で依頼するのか」です。ここが曖昧なままだと、各社が自社の解釈で提案を組み立てるため、比較の土台がそろいません。

GoogleはSEO事業者が提供する業務例として、サイト構造やコンテンツのレビュー、技術的な助言、コンテンツ制作、キーワード調査、SEOトレーニング、特定市場への対応、生成AI向け最適化などを挙げています。つまり、「SEO支援」とだけ書いても、会社によって想定する業務範囲は大きく異なります。

そこで、RFPでは少なくとも次の8領域を先に整理してください。下の表は、各領域でRFPに決めておく内容をまとめたものです。

領域 RFPで決める内容
目的 SEOによって解決したい事業課題
対象範囲 テクニカルSEO、コンテンツ、分析など
KPI 何を成果指標として確認するか
役割分担 自社とSEO会社の担当範囲
権限 Search Console、GA4、CMS等の共有範囲
成果物 レポート、監査、記事、指示書等
運用 会議、承認、変更管理
終了条件 データ、制作物、権限、履歴の引き継ぎ

SEO支援会社へのRFPで整理する目的、対象範囲、KPI、役割分担、権限、成果物、運用、終了条件の8領域

SEO会社を比較する前に、目的から契約終了時の引き継ぎまで8領域を同じ条件で整理します。

RFPの目的は、すべての会社に同じ施策を提案させることではありません。

同じ前提条件を渡したうえで、それぞれの会社がどのような戦略・体制・費用・成果物を提示するかを比較できる状態を作ることが目的です。次の節から、対象範囲、KPI、権限、成果物、運用ルール、契約終了時の条件、提案書の回答形式の順に、書き方を説明します。

対象範囲は「必須・希望・提案希望・対象外」に分けて書く

「SEO対策一式」「SEOコンサルティングを依頼」といった書き方では、会社ごとに見積もりの前提が変わります。そのため、RFPではSEO業務を細かく分け、それぞれを「必須」「希望」「提案希望」「対象外」のどれにするか決めます。下の表は、業務領域ごとに、RFPで明確にしたい点をまとめたものです。

業務領域 項目例 RFPで明確にすること
テクニカルSEO クロール、インデックス、canonical、リダイレクト、内部リンク、構造化データ 調査だけか、改修指示・実装までか
コンテンツSEO KW調査、企画、構成、執筆、リライト 本数、制作主体、承認者
分析・計測 Search Console、GA4、順位、CV分析 集計だけか、原因分析・改善提案までか
サイト改修 CMS、テンプレート、コード変更 SEO会社が実装するか、開発会社へ指示するか
レポーティング 月次報告、施策評価 指標、形式、頻度
社内支援 会議、研修、内製化支援 対象者、頻度、成果物

SEO業務を必須、希望、提案希望、対象外に分類し、調査から検証までの工程別に発注範囲を整理する図

「SEO対策一式」ではなく、業務領域と調査・提案・制作・実装・検証の工程を分けて発注範囲を決めます。

業務領域に加えて、特に分けておきたいのが「調査」「提案」「制作」「実装」「検証」の5つの工程です。たとえば「テクニカルSEOを依頼」とだけ書くと、会社によって想定する範囲が次のように分かれます。

  • A社:問題点を調査してレポートを提出
  • B社:修正方法を開発会社向けに指示
  • C社:コード修正まで実施

この状態では、たとえば月額30万円と60万円の提案が出ても、その差が作業範囲の違いによるものか判断できず、単純には比較できません。

施策名ではなく、どの工程まで依頼するのかを書いてください。

KPIは順位や流入だけでなく、事業成果までつなげて決める

SEOのRFPで「検索順位を上げたい」「アクセスを増やしたい」だけをKPIにすると、成果の定義を各社がそれぞれ補うことになり、提案の方向もばらつきます。先に、SEOで誰を集め、最終的に何につなげたいのかを整理してください。下の表は、KPIを事業成果から実行指標まで4つの階層に分けた例です。

KPI階層 指標例
事業成果 売上、問い合わせ、商談、応募、購入
検索成果 自然検索経由CV、非指名流入、対象ページ流入
検索可視性 検索順位、表示回数、クリック数、CTR
実行指標 改善ページ数、公開記事数、修正完了率

たとえばBtoBサービスの場合、「主要KWで10位以内」という順位の目標にとどめず、「比較検討段階の検索ユーザーから対象サービスページへの流入と問い合わせを増やす」ところまで目的を共有します。そうすると、提案される施策も変わります。

SEO会社にKPIそのものを提案してもらいたい場合は、発注側で無理に数値を確定する必要はありません。その場合も、KPIがどの状態にあるのかを、次のいずれかで明示してください。

  • 確定済み
  • 仮設定
  • 提案希望

Search Console・GA4・CMSの権限は必要最小限で設計する

初回相談でのデータ確認と、契約後の継続運用では、必要な権限が異なります。RFPでは、Search Console、Google Analytics 4(GA4)、CMS、必要に応じて開発環境について、支援会社がどの作業を行うためにどの権限を使うのかを先に定めます。

GoogleはSearch Consoleについて、作業に必要な権限レベルのみをユーザーに付与し、作業をしなくなったユーザーの権限を取り消すか変更することを推奨しています。GA4にも、管理者、編集者、マーケティング担当者、アナリスト、閲覧者という5種類の役割があります。

こうした仕組みを踏まえると、RFPでは次のように整理できます。

対象 発注側で決めること 記載例
Search Console 所有者・ユーザーの扱い 自社が所有者を保持し、必要な権限のみ付与
GA4 閲覧か設定変更まで必要か 分析担当は閲覧・分析に必要な範囲
CMS 下書き・編集・公開のどこまで可能か SEO会社は下書き、公開は自社承認
開発環境 コード変更を認めるか 修正案・PRまで、公開反映は自社
SEOツール 契約主体とデータ所有者 終了時のデータ出力方法まで明記

自社が主要アカウントを管理しながらSEO支援会社へSearch ConsoleやGA4などの必要な権限だけを付与する設計図

SEO支援会社には作業に必要な権限だけを付与し、主要アカウントやデータの管理主体は自社側に残します。

重要なのは、支援会社が変わっても主要アカウント・データ・制作物を自社側で継続管理できる状態にしておくことです。

成果物は名称ではなく、完成条件まで決める

「SEOレポートを提出」「SEO監査を実施」「記事を制作」とだけ書いても、品質や作業量は比較できません。同じ名称でも、中身は会社ごとに違うからです。

RFPでは成果物ごとに、最低でも次の5点を決めます。

  • 提出形式
  • 提出頻度
  • 含める内容
  • 修正回数・承認方法
  • 完了と判断する条件

たとえばSEO監査なら、「監査レポート1式」と書くのではなく、「対象URL、確認項目、問題点、重要度、推奨修正方法、対応担当、確認方法を含む」というところまで書きます。記事制作なら、「月4本」と本数を書くだけでなく、「KW選定、構成、執筆、校正、内部リンク設計、CMS入稿のうちどこまで含むか」を決めます。

成果物名をそろえるより、成果物の完成状態をそろえる方が見積もり比較には重要です。

会議体・承認者・変更管理をRFPに入れる

SEOは、契約開始時に決めた施策をそのまま1年間繰り返す仕事とは限りません。サイトの状況、検索環境、事業方針などによって優先順位が変わるため、変更が起きたときのルールを先に決めておきます。

最低限、次の3種類を分けておくと運用しやすくなります。

月次レビュー

KPI、実施内容、課題、次月の施策を確認します。

施策承認

記事公開、サイト改修、URL変更など、実行前に自社承認が必要な施策を決めます。

緊急対応

大幅な検索流入低下、インデックス障害、大規模なサイト変更などが発生した場合の連絡方法を決めます。

この3種類に加えて、次の点も明示します。

  • 誰が意思決定者か
  • 誰がSEO会社との窓口か
  • 追加作業になる条件
  • 見積もりを取り直す条件
  • 契約範囲を変更する承認方法

ここまで決めておくと、提案時点では安かったものの、開始後に追加費用が増えるといった比較のズレを減らせます。

契約終了時の引き継ぎ条件は、契約開始前に決める

契約終了時の条件は、SEOのRFPで抜けやすい項目です。しかし、終了時の引き継ぎは、支援会社を変更したり内製へ移行したりするときに重要になります。

RFPには、少なくとも次の7項目を含めてください。

引き継ぎ対象 確認内容
SEO施策履歴 実施内容、実施日、対象URL
調査資料 KW調査、競合分析、SEO監査
コンテンツ 構成、原稿、画像、公開状況
計測設計 KPI、GA4設定、イベント等
アカウント Search Console、GA4、CMS、SEOツール
未完了施策 現在地、次工程、保留理由
データ レポート、生データ、エクスポート形式

SEO契約開始前に引き継ぎ条件を定め、運用中に蓄積した施策履歴やデータを契約終了時に移管する流れ

契約終了時に必要になる施策履歴、データ、アカウントなどは、RFP作成時点で引き継ぎ方法まで決めておきます。

権限の節で触れたとおり、GoogleはSearch Consoleでも、作業を終えたユーザーの権限を見直すことを推奨しています。「契約が終わったら考える」のではなく、開始前に返却・削除・引き継ぎ方法まで決めておく方が安全です。

提案書の回答形式もそろえておく

RFPを同じにしても、SEO会社から返ってくる提案書の形式が完全に自由だと、比較に時間がかかります。そこで、提案時の共通回答項目も指定します。下の表は、各社に回答してもらう項目の例です。

回答項目 回答してもらう内容
対応可否 対応可能・条件付き・対象外
実施内容 具体的に何を行うか
担当体制 人数、役割、外部委託の有無
頻度 月次、四半期、都度
成果物 内容、形式、提出頻度
必要権限 閲覧、編集、公開等
自社側作業 発注側で必要な作業
前提条件 実施に必要な条件
費用 初期、月額、追加費用
対象外 見積もりに含まれない作業

この項目で回答をそろえてもらうと、各社の提案を同じ並びで見比べられます。

要件を満たすかどうかだけを見るのではなく、「この要件なら別の方法の方が成果につながる」といった代替提案も受け取れるようにしておくことが重要です。

なお、RFPが要件と評価条件を整理する調達文書であることの参考として、2022年に公開されたソフトウェア調達の研究があります。250件のRFPを対象に、評価基準、配点、調達期間、契約期間、要求項目などが分析されています。SEOそのものを対象にした研究ではない点には注意してください。

SEOのRFP作成チェックリスト

提案を依頼する前に、次を確認してください。

  • SEOを実施する事業目的が書かれている
  • 対象サイト・対象言語・対象サービスが明確
  • テクニカル・コンテンツ・分析の範囲が分かれている
  • 調査・提案・制作・実装・検証の担当が分かる
  • KPIの確定・仮・提案希望が区別されている
  • 自社とSEO会社の役割分担が明確
  • Search Console・GA4・CMS等の必要権限が明確
  • 成果物の形式・頻度・完成条件が分かる
  • 会議体と承認者が決まっている
  • 追加作業・変更時のルールがある
  • 契約終了時の引き継ぎ対象が決まっている
  • SEO会社の回答フォーマットが統一されている

すべてを最初から確定できなくても問題ありません。分からない項目をSEO会社へ提案してもらいたい場合は、空欄にせず「提案希望」と明記します。

自社でRFPを作成しやすいのは、対象サイトや依頼範囲が限定され、KPI、社内の実装担当、承認者がすでに決まっている場合です。

一方、複数サイト・複数部門をまたぐ、SEO会社と開発会社の責任分界が曖昧、KPIや計測方法が決まっていない、契約終了時の引き継ぎ要件まで整理できない場合は、作成前に第三者へ相談した方が比較条件をそろえやすくなります。

まとめ

SEO支援会社へのRFPでは、「どのSEO会社が優れているか」を比較する前に、「何を、どの条件で依頼するのか」をそろえることが出発点になります。

特に明確にしたいのは、対象範囲、KPI、役割分担、権限、成果物、会議体、変更管理、契約終了時の引き継ぎ条件です。

同じRFPを複数社へ渡し、同じ回答項目で提案してもらえば、金額の違いが「何の違いなのか」を確認しやすくなります。

まずは現在想定しているSEO業務を一覧化し、「必須」「希望」「提案希望」「対象外」に分けるところから始めてください。

自社だけでは対象範囲やKPI、役割分担を整理しきれない場合は、発注前の無料相談を活用し、RFPの前提条件を整理してから提案依頼へ進む方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Google Search Central「Do you need an SEO?」:SEO事業者が提供する主な支援範囲、SEO会社を検討するときの確認事項。最終更新2026年6月5日。Google Search Central「Do you need an SEO?」
  • Google Search Central「Search Console のユーザーと権限の管理を更新」:Search Consoleの権限管理、必要な権限のみを付与する考え方、契約終了後の権限見直し。2023年2月22日。Search Console のユーザーと権限の管理を更新
  • Google Analytics ヘルプ「アクセス権とデータ制限の管理」:GA4の管理者・編集者・マーケティング担当者・アナリスト・閲覧者の役割。Google Analytics「アクセス権とデータ制限の管理」
  • Nguyen, P. H. D. et al. “Current state of practice in the procurement of information technology solutions: content analysis of software requests for proposals”, International Journal of Procurement Management, 2022:250件のソフトウェアRFPを対象とした調達要件・評価基準等の分析。DOI: 10.1504/IJPM.2022.122569。Arizona State University掲載情報

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