複数店舗のMEO対策を社内で進めていると、店舗が増えるほど「更新を本部で追い切れない」「口コミ返信が店舗ごとに止まる」「誰がGoogleビジネスプロフィールを管理しているか分からない」といった問題が起こりやすくなります。外注を考え始めたとき、何を基準に判断すればよいのでしょうか。
ただし、店舗数が多いだけで外注すべきとは限りません。見るべきなのは、今の社内体制で「正しい店舗情報を保つ」「口コミへ対応する」「全店舗の数字を確認して改善を続ける」ことができているかどうかです。続けられていない部分があれば、そこが外部の力を借りることを検討する対象になります。
この記事では、複数店舗のMEO対策を内製で続けるか、外注または一部外注へ切り替えるかを、店舗数・更新頻度・口コミ対応・権限・店舗連携・計測の6つの観点で判断する方法を説明します。自社の運用がどこで止まっているかを確認し、社内に残す業務と外部へ任せる業務を分けるところまで、順に進めます。
複数店舗のMEOは「店舗数」ではなく、6つの運用負荷で判断する
複数店舗のMEO対策では、「10店舗になったら外注する」といった店舗数だけの基準では判断しきれません。実際にどこで運用の負担が生じているかを確認しましょう。
Googleは、10拠点以上を持つ企業について、ビジネスプロフィールを一括で追加・確認・管理する仕組みを案内しています。つまり、店舗数が多いこと自体が「内製できない理由」になるわけではありません。
一方で、店舗数が増えると、更新対象、口コミ、担当者、承認、計測対象も増えます。そこで、次の表の6項目について、内製を続けやすい状態と、外注・一部外注を検討したい状態を見比べます。
| 判断軸 | 内製を続けやすい状態 | 外注・一部外注を検討したい状態 |
|---|---|---|
| 店舗数・増店 | 全店舗を本部で把握できる | 増店のたびに登録・確認・担当調整が発生する |
| 更新頻度 | 営業時間や店舗情報を決めた期限内に更新できる | 更新依頼の回収や反映漏れが続く |
| 口コミ対応 | 担当と確認ルールが決まっている | 未返信や事実確認待ちがたまる |
| 権限 | オーナー・管理者を把握している | 店舗ごとに所有者や管理者が異なり、不明な拠点がある |
| 店舗連携 | 現場情報を本部へ定期的に共有できる | 本部が各店舗へ毎回確認・催促している |
| 計測・改善 | 店舗別の数字を同じ条件で確認できる | 集計だけで時間がかかり、改善まで進まない |

右の列に当てはまる項目があれば、その項目が運用の止まっている場所と考えられます。外注判断では、店舗数そのものより、6つの項目のどこで作業や判断が止まっているかを確認します。
外注とは、単に「作業を代わりにやってもらうこと」ではありません。現在のボトルネックを特定し、外部へ任せる部分と社内に残す部分を分けるための選択肢です。
単一店舗も含めたMEO全体で、内製・外注・内製と外注を分担するハイブリッド運用のどれを選ぶかは、MEO導入の体制構築で整理しています。
店舗数が増えても、本部で標準化できるなら内製は続けられる
店舗数が多くても、運用方法が標準化されていれば内製を続けられる場合があります。この節では、どのような状態なら内製を続けられるかを確認します。
Googleビジネスプロフィールでは、複数のプロフィールをビジネス拠点グループとして整理し、複数プロフィールへの変更やアクセス権限の共有を行えます。
たとえば、次の状態であれば、店舗数が増えても必ずしも全面外注する必要はありません。
- 本部が全店舗の一覧を管理している
- 店舗情報の変更依頼を同じ方法で回収している
- 投稿や写真のルールが決まっている
- 口コミ返信の担当と確認方法が決まっている
- オーナー・管理者の権限を本部で把握している
- 店舗別のパフォーマンスを同じ条件で比較できる
Googleビジネスプロフィールでは、複数プロフィールのパフォーマンス情報をまとめてダウンロードすることもできます。そのため、判断したいのは「何店舗あるか」よりも、「店舗数が増えても同じルールで回せているか」です。
更新依頼の取りまとめに追われるようになったら、内製の工数を見直す
内製の限界が表れやすいのは、営業時間、休業日、電話番号、Webサイト、写真、投稿などの更新業務です。
複数店舗では、実際にプロフィールへ入力する時間よりも、その前後の調整作業が増えることがあります。具体的には、次のような作業です。
- 店舗へ変更内容を確認する
- 回答がない店舗へ催促する
- 内容に間違いがないか確認する
- 承認を取る
- 反映後に再確認する
Googleは、ローカル検索で表示されるビジネス情報について、正確で詳細な情報を提供することを案内しています。ローカル検索結果は主に関連性、距離、知名度をもとに決まり、料金を支払えば順位が上がる仕組みではありません。
つまり、外注するかどうかも、「外注すれば順位が上がるか」ではなく、「正確な情報を継続して管理できる体制を作れるか」で考える必要があります。
本部担当者の時間が、施策の検討よりも店舗への確認や催促に使われているなら、一括管理や外部支援を検討するタイミングです。
口コミ対応が店舗ごとに止まる場合は役割分担を見直す
口コミ対応は、完全に本部だけで完結させにくい業務です。この節では、何を社内・店舗に残し、何を外部に任せやすいかを整理します。
口コミの内容によっては、実際に接客した店舗や責任者へ事実確認する必要があります。一方、全店舗へ返信を任せると、返信の速さや表現、対応方針に差が出る場合があります。
Googleは、ビジネスプロフィールのオーナー確認後、口コミへ返信できる仕組みを提供しています。また、口コミへの返信によって利用者の意見を重視していることを示せると案内しています。
複数店舗では、次の3つの業務に分けて考えると整理しやすくなります。表では、業務ごとに、社内・店舗に残しやすい部分と外注しやすい部分を示しています。
| 業務 | 社内・店舗に残しやすい部分 | 外注しやすい部分 |
|---|---|---|
| 事実確認 | 実際の来店・接客内容の確認 | – |
| 返信方針 | 謝罪・個別対応・エスカレーション判断 | 共通ルールの作成支援 |
| 返信実務 | 最終承認 | 未返信確認、返信案作成、進行管理 |
表のとおり、事実確認は店舗側に残り、返信方針の判断と最終承認も社内に残ります。外部に任せやすいのは、共通ルールの作成支援のほか、未返信確認、返信案作成、進行管理といった実務です。
外注を検討するサインは、口コミ件数そのものではありません。「誰が確認するか分からず返信が止まる」「本部が全店舗の未返信状況を追えていない」といった運用上の滞留が繰り返されているかで判断します。
権限が複雑になったら外注前に管理主体を明確にする
複数店舗でMEOを運用する場合は、Googleビジネスプロフィールの権限管理も判断材料になります。
Googleビジネスプロフィールには、オーナーと管理者があります。オーナーはユーザーの追加・削除などを行え、管理者は店舗情報の編集、投稿、口コミ対応など、日常運用の多くを担当できます。
複数店舗で次のような状態になっている場合は、外注を考える前に運用体制を見直しましょう。
- 店舗ごとに異なる個人アカウントで管理している
- 本部がオーナーを把握していない店舗がある
- 退職した担当者の権限が残っている
- 外部会社がどの権限を持っているか分からない
- IDやパスワードの共有で運用している
外注する場合でも、自社が管理主体でなくなる必要はありません。Googleは、承認を受けた代理人がプロフィールを管理する場合でも、可能な限り事業者自身がプロフィールを所有し、代理人を管理者として追加する考え方を示しています。
そのため、「外注する=Googleビジネスプロフィールそのものを外注会社へ渡す」とは考えないようにします。
店舗から情報が集まらない問題は完全外注だけでは解決しない
複数店舗のMEOで見落としやすいのが、店舗と本部の情報連携です。
外注会社は、臨時休業、新メニュー、地域イベント、店舗写真、実際に発生した口コミ対応など、現場でしか分からない情報を自動的に把握できるわけではありません。そのため、店舗から情報が集まらないまま「全部外注すれば解決する」と考えると、外注後も情報待ちが発生します。

図のように、複数店舗のMEOでは、店舗しか持っていない現場情報を本部へ集め、標準化しやすい作業だけを外部へ切り出す運用が考えられます。
外部へ任せやすいのは、次のような作業です。
- 投稿案の作成
- 投稿スケジュールの管理
- 口コミ返信案の作成
- 店舗横断の未対応確認
- 数値集計
- 店舗別比較
- 改善候補の整理
一方、次のような情報は、社内や店舗から提供する必要があります。
- 営業時間の変更
- 現場写真
- キャンペーン内容
- 口コミに対する事実確認
- 店舗独自の注意事項
複数店舗では、「全部内製か全部外注か」ではなく、現地でしか分からない情報は店舗、全店共通の管理や分析は本部または外部と分けた方が、運用しやすい場合があります。
集計で終わって改善まで進まないなら、計測業務の外注を検討する
MEOを内製していても、毎月レポートを作るだけで終わっている場合があります。
Googleビジネスプロフィールでは、プロフィールの閲覧や顧客の行動に関するパフォーマンス情報を確認できます。複数プロフィールのデータをまとめて取得することも可能です。
ただし、数字を集めること自体が目的ではありません。店舗間の違いを見つけて、次の対応を決めるために使います。たとえば、次のような店舗を見つけたら、原因を確認して次の施策を決めます。
- 表示は多いが電話や経路案内が少ない店舗
- 口コミ返信が止まっている店舗
- 店舗情報の更新漏れが多い店舗
- 他店舗より数値が大きく変化した店舗
本部担当者が毎月、店舗別データの回収・整形だけで時間を使い、改善案まで作れていないのであれば、計測・集計・分析の一部を外注する余地があります。
内製・ハイブリッド・外注のどれを選ぶかは、今止まっている業務で決める
複数店舗のMEO対策の運用方式は、次の3つに整理できます。表で、それぞれが向いている状態と注意点を確認します。
| 運用方式 | 向いている状態 | 注意点 |
|---|---|---|
| 内製 | 本部と店舗の担当が明確で、更新・口コミ・計測まで継続できる | 担当者の異動や増店時に体制を見直す |
| ハイブリッド | 現場情報は社内で持てるが、集計・投稿・口コミ管理などの負荷が高い | 外部と社内の担当範囲を明確にする |
| 外注範囲を広げる | 本部担当者が日常作業や店舗調整に追われ、改善まで進めない | 店舗情報や事実確認まで丸投げしない |

図のとおり、内製か外注かの二択にはせず、現在止まっている業務に応じて、ハイブリッド運用や外注範囲の拡大を検討します。
特に複数店舗では、ハイブリッド運用が選択肢になります。たとえば、店舗は写真や営業時間の変更、口コミの事実確認を担当し、本部は承認と方針を管理します。外部支援会社は、投稿、口コミ返信案、数値集計、改善提案を担当します。
だからこそ、「何を外注するか」を決める前に、「今どこで運用が止まっているか」を特定します。
複数店舗のMEOを外注するかどうかを、5つのステップで判断する
判断するときは、次の順番で確認します。

全店舗の状態と実際の作業負荷を整理してから、社内に残す業務と外部へ切り出す業務を順番に決めます。
1. 全店舗の現在の運用状態を一覧にする
対象店舗、担当者、更新状況、口コミ対応、権限、計測状況を、同じ表で確認します。平均値だけで見ると、対応が止まっている店舗が目立たなくなります。そのため、止まっている店舗を特定することを重視します。
2. 本部と店舗で毎月発生している作業を洗い出す
投稿や口コミ返信だけでなく、店舗への確認、催促、承認、数値集計なども含めて洗い出します。実際の負荷は、プロフィールへ入力する時間よりも、店舗間の調整に発生している場合があります。
3. 社内に残す業務を決める
店舗の事実確認、現地情報、重要な承認、Googleビジネスプロフィールの管理主体など、社内で保持した方がよい部分を先に決めます。
4. 外部へ切り出せる業務を決める
投稿制作、未返信確認、返信案作成、計測、レポート、店舗横断分析など、標準化しやすい業務から検討します。
5. 内製を続けた場合と一部外注した場合を比較する
外注費だけでなく、本部と各店舗で発生している作業時間、更新漏れ、対応遅れ、改善に使えていない時間まで含めて比較します。
ここまで整理すると、「内製か外注か」という抽象的な問いが、「どの業務を社内に残し、どこを外へ出せば運用が安定するか」という具体的な判断に変わります。
外注を決めた後は店舗情報・権限・KPIを整理する
この記事で扱うのは、複数店舗のMEO対策を内製で続けるか、外注を検討するかという判断までです。
外注すると決めた後は、対象店舗、Googleビジネスプロフィールの権限、現在確認しているKPI、口コミ運用、外注する業務範囲などを整理します。
具体的な準備方法は、多店舗MEOを外注する前に整理する情報|店舗マスター・権限・KPI・口コミ運用の準備で詳しく解説しています。
また、本部と店舗の役割や権限、投稿、口コミ、データ管理を標準化したい場合は、複数店舗MEOの運用設計|権限・投稿・口コミ・データ管理を標準化する方法も参考になります。
まとめ
複数店舗のMEO対策を内製で続けるか外注するかは、店舗数だけでは判断できません。確認したいのは、次の6点です。
- 店舗数が増えても管理できるか
- 更新依頼を期限内に処理できるか
- 口コミ対応が滞っていないか
- オーナー・管理者を把握しているか
- 店舗から本部へ情報が集まるか
- 店舗別の数字を確認し、改善まで進められるか
本部と店舗で安定して運用できているなら、内製を続ける選択肢があります。一方、担当者が店舗への確認・催促・集計に追われ、更新や口コミ対応、改善が止まっている場合は、一部外注や外部支援を検討するタイミングです。
完全内製と完全外注の二択にする必要はありません。現地情報と判断は社内に残し、標準化しやすい作業や横断分析を外部へ切り出す方法もあります。
最初の一歩は、全店舗の運用状態を一覧にして、止まっている業務を特定することです。それでも、どこまで社内で持ち、どこから外部へ任せるべきか判断しにくい場合は、現在の運用体制をもとに無料相談で整理することもできます。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- 「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」 Google ビジネス プロフィール ヘルプ。使用内容:ローカル検索の主要要素、正確なビジネス情報の重要性。2026年9月16日確認。
- 「Bulk location management overview」 Google Business Profile Help。使用内容:10拠点以上の一括追加・確認・管理。2026年9月16日確認。
- 「代理店のビジネス拠点グループを管理する」 Google ビジネス プロフィール ヘルプ。使用内容:複数プロフィールの一括管理と権限共有。2026年9月16日確認。
- 「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」 Google ビジネス プロフィール ヘルプ。使用内容:オーナー・管理者の権限。2026年9月16日確認。
- 「Understand your Business Profile performance & insights」 Google Business Profile Help。使用内容:複数プロフィールのパフォーマンスデータ確認・ダウンロード。2026年9月16日確認。
- 「ユーザーからのクチコミを管理する」 Google ビジネス プロフィール ヘルプ。使用内容:口コミへの返信。2026年9月16日確認。
- 「Business eligibility and ownership guidelines」 Google Business Profile Help。使用内容:承認を受けた代理人とビジネスオーナーの管理権限。2026年9月16日確認。
‹ 親記事: MEO導入は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方
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