多店舗のMEOを外注している企業が支援会社を切り替えるとき、いちばん避けたいのは、契約を終了した途端にGoogleビジネスプロフィールを操作できなくなることです。過去の施策や計測条件が分からず、新しい会社がゼロから調べ直すことになる事態も同じです。
切り替えで大切なのは、旧会社との契約を先に終わらせることではありません。自社がGoogleビジネスプロフィールの管理権限を確保し、新しい支援会社のアクセス確認、店舗一覧、計測条件、口コミ対応状況、未完了タスクの受け渡しまで終えてから、旧会社の権限を外します。
この記事では、多店舗MEOの外注先を停止期間なく切り替えるための手順と、契約終了前に回収しておく情報を順に整理します。最後に、旧会社の権限を削除してよいかを判断するチェックリストも載せています。
外注先を切り替える順番は?新会社の確認を終えてから旧会社を外す
多店舗MEOの外注先を切り替えるときは、旧支援会社の権限を先に削除してはいけません。新会社が店舗を管理できることを確認してから、旧会社を外します。
基本の順番は次のとおりです。
- 自社が各Googleビジネスプロフィールの管理権限を持っているか確認する
- 対象店舗一覧と現在の設定を確定する
- 旧支援会社から運用データと未完了タスクを受け取る
- 新支援会社へ必要な権限を付与する
- 新支援会社が対象店舗へアクセスできることを確認する
- 計測条件や運用ルールを引き継ぐ
- 契約終了日に旧支援会社の権限を削除する
- 切り替え後の店舗情報と計測状況を再確認する

次に、権限の仕組みを確認します。Googleビジネスプロフィールでは、オーナーと管理者で操作できる範囲が異なります。オーナーはユーザーの追加・削除などができ、管理者には一部制限があります。Googleは第三者事業者についても、ビジネス側が所有権や管理方法を理解し、必要に応じてアクセスできる状態を求めています。
外注先だけがプロフィールを管理し、自社側に十分な権限が残っていない状態は避けるべきです。
契約終了前に回収する8つの引き継ぎ対象は何か
外注先を変更するときは、Googleビジネスプロフィールの権限だけでなく、これまでのMEO運用を再現するための情報まで引き継ぎます。次の表では、引き継ぎ対象ごとに、確認する内容と完了の条件を整理しています。
| 引き継ぎ対象 | 確認する内容 | 完了条件 |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール権限 | メインのオーナー、オーナー、管理者 | 自社側で管理できる |
| 店舗マスター | 店舗名、住所、電話番号、Webサイト、店舗コード | 全店舗を一覧化 |
| 現在のプロフィール情報 | カテゴリ、営業時間、属性、説明文、URL等 | 現在値を記録 |
| 口コミ対応状況 | 未返信口コミ、返信方針、エスカレーション案件 | 未処理案件を特定 |
| 投稿・施策状況 | 投稿予定、写真、キャンペーン、修正予定 | 未完了作業を一覧化 |
| 計測データ | 表示、検索、通話、ルート、Webサイトクリック等 | 基準期間を保存 |
| 外部計測 | 順位計測、競合比較、ダッシュボード | 計測条件ごと受領 |
| 運用ルール | 承認者、更新頻度、緊急時対応、レポート定義 | 新会社と共有 |
多店舗では、何店舗あるかだけでなく、今回の契約で管理しているGoogleビジネスプロフィールが何件なのかを確定することが重要です。閉店済み店舗、開業準備中店舗、ブランド変更中店舗、重複プロフィールなどが混在していると、契約上の店舗数と実際の管理対象が一致しないことがあります。
そのため、最初に「対象店舗マスター」を作り、旧会社、新会社、自社の3者で同じ一覧を見る状態にします。
Googleビジネスプロフィールの権限は誰が持つべきか
外注先切り替えで最も重要なのが、Googleビジネスプロフィールの権限です。整理するときは、自社側を起点にします。
Googleでは、ビジネスプロフィールに複数のオーナーを設定できますが、メインのオーナーは1人です。オーナーは他のユーザーの追加・削除ができますが、管理者はユーザーの追加・削除ができません。
この違いがあるため、外注契約では、原則として自社側が管理の中心に残り、支援会社には業務上必要な範囲のアクセスを与える設計が安全です。Googleも、第三者の代理事業者に対して、ビジネスオーナー本人がプロフィールを所有し、代理事業者を管理者として追加する形を可能な限り推奨しています。
新しい支援会社の権限確認は、旧会社を削除する前に終える
新しい支援会社を追加したら、旧会社を削除する前に次を確認します。
- 全店舗が新会社側から表示されるか
- 必要なプロフィールを編集できるか
- 口コミを確認できるか
- 投稿や写真を管理できるか
- パフォーマンス情報を確認できるか
- 管理対象外の店舗が混ざっていないか
特に所有権を変更する場合は、日程に注意が必要です。Googleでは、新しくオーナーまたは管理者になったユーザーには7日間、一部の操作に制限があります。たとえば、他のユーザーの削除やメインのオーナー変更などが制限される場合があります。
したがって、旧会社との契約最終日に初めて新会社へ権限を付与するのではなく、余裕を持って事前にアクセスを付与し、実際に操作できる状態まで確認しておく方が安全です。
多店舗ではビジネスグループ単位の管理も確認する
店舗数が多い企業では、Googleビジネスプロフィールのビジネスグループを利用して複数店舗をまとめて管理している場合があります。Googleのビジネスグループでは、複数のプロフィールをまとめ、グループ単位でアクセスを共有できます。
そのため、切り替え時には個別店舗だけを見るのではなく、次の点まで確認します。
- ビジネスグループの所有者
- グループに所属する店舗
- グループへアクセスできるユーザー
- 旧会社が独自に作成したグループの有無
口コミはプロフィールに残る。引き継ぐのは「対応状況」
同じGoogleビジネスプロフィールを継続利用するのであれば、支援会社を変更するために口コミを作り直す必要はありません。
Googleは、メインのオーナー権限を移行する際も、口コミなどのビジネス情報を維持できると案内しています。また、プロフィールからユーザーを削除しても、そのユーザーが過去に行った口コミへの返信、投稿、コメントなどはプロフィール上に残ります。
ただし、引き継ぐべきなのは口コミそのものだけではありません。旧支援会社に、次の点を確認してください。
- 未返信口コミ
- 返信案を作成済みだが未投稿の口コミ
- クレームとして社内確認中の口コミ
- 削除申請中の口コミ
- 店舗側へ事実確認中の口コミ
- 返信時の文章ルール
- 本部確認が必要になる条件
たとえば、新会社が「未返信だけ」を見ても、旧会社ですでに顧客対応や社内確認を進めていた案件かどうかは判断できません。口コミ対応では、件数よりも「現在どこまで処理が進んでいるか」を渡すことが重要です。
パフォーマンスデータと外部計測データは、どう分けて引き継ぐか
MEOのデータは、大きくGoogleビジネスプロフィール内のデータと、支援会社独自の計測データに分けて考えます。
Googleビジネスプロフィールでは、オーナーや管理者が検索、閲覧、通話、ルート検索、Webサイトクリックなどのパフォーマンス情報を確認できます。一方、支援会社が独自ツールで管理している次のような情報は別です。
- ローカル検索順位
- 計測キーワード
- 計測地点
- 計測端末や検索条件
- 競合店舗
- 月次レポート
- 独自ダッシュボード
- Looker Studio等のレポート
- 改善施策と実施日の記録

切り替えでは、Google側のパフォーマンス情報と、順位・キーワード・計測地点など外部計測の条件を分けて整理します。後者は新会社へ自動的に渡るとは限りません。契約終了前にCSV、Excel、PDFなど受け取れる形式を確認し、必要な期間のデータを保存してください。
数値だけでなく「計測条件」も渡す
特に重要なのが、順位や成果指標の定義です。たとえば、旧会社が「地域名+業種」の順位を計測していても、新会社が違う地点や違う検索語で計測すれば、切り替え前後の数字を単純比較できません。
そのため、最低限、次の表の項目を引き継ぎます。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 対象キーワード | 店舗ごとの計測キーワード |
| 計測地点 | 市区町村、住所、座標等 |
| 計測頻度 | 毎日、週次、月次 |
| 順位判定方法 | ローカル結果のどこまでを対象にするか |
| 比較期間 | 前月比、前年同月比等 |
| KPI | 通話、ルート、Webクリック、予約等 |
| 競合 | 比較対象店舗 |
| レポート締め日 | 毎月の集計期間 |
支援会社を変更した月だけ数値が大きく変わった場合、施策効果ではなく計測条件が変わった可能性があります。切り替え月は旧条件と新条件を一度並行して確認すると、数字の断絶を見つけやすくなります。
切り替えは契約終了の30日前から、どう進めるか
契約条件によって前後しますが、多店舗では次のような移行スケジュールを設定すると整理しやすくなります。新しい支援会社へのアクセス付与は契約最終日ではなく、受領確認に必要な期間を確保して事前に進めます。

次の表は、契約終了日を基準にした作業の目安です。時期の範囲は一部重なるため、上から順に厳密に区切った工程ではありません。
| 時期 | 主な作業 |
|---|---|
| 契約終了30〜14日前 | 契約条件、対象店舗、権限、データ保有状況を確認 |
| 14〜8日前 | レポート、店舗情報、口コミ対応、未完了施策を回収 |
| 7日以上前 | 新支援会社へ必要なアクセスを付与 |
| 7〜1日前 | 新会社による店舗・権限・計測条件の受領確認 |
| 最終運用日 | 未完了作業を確定し、最終レポートを受領 |
| 契約終了日 | 合意した手順で旧支援会社のアクセスを削除 |
| 切り替え後1週間 | 店舗情報、口コミ、投稿、計測、権限を再点検 |
ここで避けたいのは、契約終了後も旧会社の権限を無断で残し続けることです。必要な重複期間は契約期間内に設定し、新会社の受領確認まで終わらせたうえで、合意した終了日に旧会社のアクセスを外します。
旧支援会社から変更履歴を受け取り、「なぜその設定か」を残す
Googleビジネスプロフィールでは、Google自身によるプロフィール情報の更新が行われることがあります。Googleはユーザーからの報告や各種情報源をもとにビジネス情報を更新する場合があり、プロフィール上で確認できる変更もあります。
ただし、外注先切り替えに必要なのは、Google側の更新だけではありません。支援会社が行った変更の記録も必要です。旧支援会社から、少なくとも直近の主要変更について、次の形式で受け取ります。
- 実施日
- 対象店舗
- 変更した項目
- 変更前
- 変更後
- 変更理由
- 根拠となった情報
- 承認者
- 結果確認日
たとえば、カテゴリ変更後に表示状況が改善したとしても、その記録がなければ、新会社が元へ戻してしまう可能性があります。「現在何が設定されているか」だけでなく、「なぜその状態にしたのか」まで引き継いでください。
未完了タスクは、担当者ではなく店舗単位で引き継ぐ
多店舗運用では、切り替え日にすべての作業が終わるとは限りません。次のような未完了タスクがないか確認します。
- 営業時間変更の反映待ち
- 店舗名や住所変更の審査待ち
- 新店舗のオーナー確認
- 重複プロフィールの対応
- 口コミ削除申請
- 口コミ返信の社内確認
- 写真差し替え
- WebサイトURL変更
- 予約リンク変更
- 新カテゴリの検討
- 閉店・移転処理
タスクは担当者名だけで管理せず、「店舗×作業×現在状態×次の担当者」の形で引き継ぎます。
次の表は、その記入例です。
| 店舗 | タスク | 現在状態 | 次の対応 | 新担当 |
|---|---|---|---|---|
| A店 | 営業時間変更 | Google反映待ち | 反映確認 | 新支援会社 |
| B店 | 口コミ削除申請 | 審査中 | 結果確認 | 自社本部 |
| C店 | 新店舗登録 | オーナー確認前 | 確認手続き | 新支援会社 |
この形式なら、切り替えによる作業漏れを減らせます。
切り替え中も店舗情報の管理を止めない理由
MEOを担当する企業側にとっては「旧会社から新会社への切り替え」ですが、Google検索やGoogleマップを使う来店候補者にはその事情は見えません。切り替え期間中でも、ユーザーは営業時間、電話番号、Webサイト、口コミ、写真などを見て店舗を比較します。
そのため、次のような状態を作らないようにします。
- 営業時間が古い
- WebサイトURLが切れている
- 重要な口コミへの返信が止まる
- 新店舗情報が反映されない
外注先変更の成功条件は、契約を切り替えられたことではなく、店舗情報の管理と改善を止めずに新体制へ移行できたことです。
旧支援会社の権限を削除してよいか:最終チェック
権限を削除する前に、次の項目をすべて確認してください。
- 自社が全対象店舗を管理できる
- 新会社が全対象店舗へアクセスできる
- 店舗マスターを3者で確認した
- 未返信口コミを引き継いだ
- 対応中の口コミ案件を引き継いだ
- 投稿予定を引き継いだ
- 主要な変更内容を引き継いだ
- 過去レポートを保存した
- 順位計測条件を保存した
- KPI定義を新会社と合わせた
- 未完了タスクの担当者を決めた
- 契約終了日を確認した
- 旧会社の権限削除担当者を決めた
- 切り替え後の確認日を決めた

旧支援会社の権限削除は、契約日だけで判断せず、新支援会社への移管が完了していることを確認してから行います。1項目でも不明なものがある場合は、旧会社のアクセスを削除する前に整理してください。
自社だけで難しいときは、移行設計から見直す
数店舗であれば担当者同士の引き継ぎでも対応できますが、数十店舗以上になると、権限、店舗情報、口コミ、計測、契約、未完了タスクを人の記憶だけで管理するのは難しくなります。次のような状態に当てはまる場合は、次の支援会社を決める前に、現在の管理状態を棚卸しする方が安全です。
- 自社がメインのオーナーか分からない
- 支援会社名義のアカウントが混在している
- 店舗ごとに管理者が違う
- 過去の変更履歴が残っていない
- 順位の計測条件が分からない
- レポートとGoogle側の数字が一致しない
- 旧会社と新会社の担当範囲が重なっている
移行支援を比較する場合は、一般的なMEO運用の提案内容ではなく、自社権限の確保、対象店舗マスターの確定、過去データ・変更履歴の回収、計測条件の継続、旧会社の権限削除までをどこまで支援範囲に含むかを確認します。見積もりも、月額運用費だけでなく、権限棚卸しやデータ移行、計測再設定などの移行作業が含まれているかを確認してください。
自社だけで整理が難しい場合は、多店舗のGoogleビジネスプロフィールの権限や運用状況を確認したうえで、移行方法について専門会社へ相談する方法もあります。
まとめ
多店舗MEOの外注先を切り替えるときは、「旧会社との契約終了」ではなく「運用資産を新体制へ移せたか」を基準に進めます。特に重要なのは次の5点です。
- 自社側でGoogleビジネスプロフィールの管理権限を確保する
- 新会社へのアクセス確認を旧会社削除より先に行う
- 口コミ、投稿、変更内容、未完了タスクを状態ごと引き継ぐ
- Google側のパフォーマンスと外部順位計測を分けて保存する
- 計測キーワードや地点などの条件まで揃えてから比較を続ける
多店舗では、1店舗の引き継ぎ漏れでも、営業時間、口コミ対応、計測などに影響します。「誰が管理するか」「何を引き継ぐか」「いつ旧会社を外すか」を店舗単位で確認し、停止期間を作らずに切り替えてください。まずは、自社が各店舗のメインのオーナーかどうかを確認するところから始めてください。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
・「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」
発表元:Google
使用内容:オーナー・管理者の権限、ユーザー削除後の過去操作の扱い
Google公式ヘルプを確認する
・「ビジネス プロフィールのメインのオーナー権限を譲渡する」
発表元:Google
使用内容:所有権移行、口コミ等の維持、新規オーナー・管理者の7日間の制限
Google公式ヘルプを確認する
・「ビジネス プロフィールのサードパーティ ポリシー」
発表元:Google
使用内容:第三者事業者とビジネスオーナーの権限・透明性に関する考え方
Google公式ヘルプを確認する
・「ビジネス プロフィールのパフォーマンスとインサイトを確認する」
発表元:Google
使用内容:検索、閲覧、通話、ルート、Webサイトクリック等の指標
Google公式ヘルプを確認する
・「Create & manage business groups」
発表元:Google
使用内容:多店舗のビジネスグループ管理
Google公式ヘルプを確認する
・「ビジネス プロフィールに対する Google による変更を管理する」
発表元:Google
使用内容:Googleによるプロフィール情報更新の仕組み
Google公式ヘルプを確認する
‹ 親記事: MEO導入は内製か外注か?企業の体制構築、判断基準と進め方
関連記事
- › 複数店舗MEOの運用設計|権限・投稿・口コミ・データ管理を標準化する方法
- › MEO対策会社の選び方|費用・対応範囲・契約条件の比較ポイント
- › 複数店舗のMEO対策で変更内容を管理|店舗情報・担当・理由を記録
- › 【2026年版】MEOツールおすすめ10選|料金・順位計測・口コミ・複数店舗管理を比較
- › 【2026年版】MEO対策会社10選|料金・対応タイプ・多店舗対応
- › 複数店舗のMEO対策を外注する前に整理|権限・KPI・口コミ運用
- › MEO対策会社の月次レポート|順位・検索数・口コミ・実施内容
- › MEO対策を複数店舗で依頼すると料金はどう決まる?1店舗単価・追加店舗・オプション費用を解説
- › GBP担当者が変わるときの引き継ぎ|権限・店舗情報・口コミ対応
- › MEO対策を外注から内製化する方法|権限・店舗情報・投稿・口コミ・計測を90日で引き継ぐ
- › MEO対策会社の契約更新判断|店舗成果・実施内容・残る課題
- › 複数店舗のMEO対策は内製か外注か?店舗数・更新頻度・口コミ対応・権限から判断する方法
- › 複数店舗MEOの契約書で確認する6項目|店舗追加・権限・口コミ返信・店舗別レポート・解約単位




