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採用サイト制作を依頼するときに決めておくこと|ページ・取材・撮影・CMS・SEO・公開後運用を整理

部署:マーケティング担当者部署:人事・採用担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
採用サイト制作を依頼する前にページ構成や撮影、CMSなどの要件を整理する採用担当者の手元

採用サイト制作を依頼するとき、ページ数とデザインの希望だけを伝えて制作会社へ相談を始めていませんか。条件が足りないまま相談すると、会社ごとに前提の違う提案や見積もりが届きやすく、金額を並べても制作範囲の違いが分かりにくくなります。

相談の前に整理しておきたいのは、対象職種、候補者へ伝えたい情報、取材・撮影の範囲、原稿の担当、CMS(専門的なコードを書かなくてもWebページを更新しやすくする仕組み)で更新する箇所、SEO、応募導線、制作物の権利、公開後の運用です。ここまで整理しておくと、制作会社ごとの提案や見積もりを同じ条件で比較しやすくなります。

すべてを自社だけで決める必要はありません。「決定済み」「相談したい」「不要」の3つに分けて制作会社へ伝えれば、未確定の部分を残したまま相談できます。

この記事では、相談前に社内で整理しておきたい項目と、制作会社へ必ず伝えておきたい条件を順に説明します。最後の依頼前チェックリストで、準備の状況を確認できます。

採用サイト制作を外部へ依頼する範囲を決める前提として、採用改善全体の役割分担は、採用改善の内製・外注・ハイブリッドの判断基準で整理しています。

採用サイト制作を依頼する前に決めることは、8項目に分けて整理する

依頼条件は、大きく8項目に分けると整理しやすくなります。次の表では、項目ごとに「社内で整理すること」と「制作会社へ伝えること」を分けています。

項目 社内で整理すること 制作会社へ伝えること
1.目的・対象 採用課題、採用区分、対象職種、対象者 誰に何を伝えるサイトか
2.ページ 必要な情報、優先順位 想定ページ、必要コンテンツ
3.取材・原稿 誰に取材できるか、資料の有無 取材人数、原稿作成の担当
4.撮影 撮影対象、拠点、社員の協力可否 撮影日数、場所、写真・動画の範囲
5.CMS・機能 自社で更新したい情報 更新範囲、応募フォーム、外部連携
6.SEO・計測 集客したい検索、計測したい成果 SEO要件、Search Console等の設定
7.契約・権利 二次利用したい制作物 著作権、利用範囲、納品物、修正条件
8.公開後運用 更新担当者、更新頻度 保守、更新、改善支援の範囲

8項目は、次の節から順に説明します。ただし、取材・原稿と撮影(項目3・4)は1つの節に、CMS・機能とSEO(項目5・6)は応募導線とあわせて1つの節にまとめています。計測(項目6の一部)は、公開後運用(項目8)とあわせて「公開後の更新・計測」の節で説明します。

どの項目にも共通する考え方は、制作仕様だけでなく「公開後に誰がどう使うか」まで決めることです。

たとえば社員紹介を毎月追加する予定なのに、公開後の更新方法を決めずにCMSを選ぶと、更新のたびに制作会社への依頼が必要になる可能性があります。反対に、ほとんど更新しないページまで複雑なCMS化を求めれば、不要な開発範囲が増えることもあります。更新の頻度に合わせて、CMSで更新する範囲を決めましょう。

最初に、採用サイトの目的・対象職種・候補者を決める

最初に決めるのは、デザインではなく「誰に、何を理解してもらう採用サイトなのか」です。この節では、採用区分と対象職種を整理したうえで、候補者が応募を判断するために必要な情報から掲載内容を逆算します。

採用区分と対象職種を整理する

まず、今回のサイトで扱う採用対象を整理します。

たとえば新卒採用と中途採用では、候補者が知りたい情報や応募までの流れが異なります。営業職、エンジニア、施工管理、店舗スタッフなど複数職種を募集する場合も、すべてを同じページで説明するのか、職種別ページを作るのかによって、必要なページ数が変わります。

制作会社へ相談するときは、少なくとも次の5点を伝えられるようにしておくと、設計しやすくなります。

  • 新卒、中途、アルバイトなどの採用区分
  • 採用予定の職種
  • 採用したい地域や拠点
  • 候補者へ特に理解してほしいこと
  • 現在の採用活動で困っていること

候補者が判断するための情報から逆算する

採用サイトは、企業が伝えたい情報を並べるだけでは足りません。求職者が「自分に合う仕事か」「応募してよい会社か」を判断できる情報をそろえることが重要です。

2022年に公開された企業採用Webサイトに関する研究では、仕事との適合感やWebサイトの使いやすさが、企業サイトから応募する意向に関係する要因として報告されています。研究対象や市場が日本とは異なるため、そのまま日本企業へ一般化はできません。それでも、仕事内容を具体的に伝えることと、必要な情報へ到達しやすくすることの重要性を考える参考になります。

そこで制作前には、「会社が何を言いたいか」だけでなく、「候補者が応募前に何を確認できれば判断できるか」という視点で、掲載情報を確認してください。

ページ構成はページ名ではなく「候補者の疑問」で決める

ページ構成を制作会社へ完全に指定する必要はありません。ただし、どの情報を掲載するのかは事前に整理しておくと、各社の提案条件のばらつきを抑えられます。

候補者の疑問から仕事内容やキャリアなどの必要情報を整理して採用サイトのページを設計する流れ

ページ名を先に決めるのではなく、候補者が応募前に確認したい疑問から必要な情報を逆算すると、掲載内容を整理しやすくなります。次の表は、候補者の疑問ごとに掲載候補を並べたものです。

候補者の疑問 掲載候補
どんな会社なのか 会社紹介、事業紹介、採用メッセージ
何をする仕事なのか 職種紹介、仕事内容、一日の流れ
どのように成長できるか 研修、教育、資格、キャリア
どんな人が働いているか 社員インタビュー、座談会
どんな環境なのか 制度、福利厚生、働き方、数字
入社後を想像できるか プロジェクト事例、仕事風景
条件は自分に合うか 募集要項、勤務地、給与等
どう応募するか 選考フロー、FAQ、応募導線

自社に当てはまる行を選び、「この情報は必要」「これは今回扱わない」と整理して制作会社へ渡してください。ページ数を最初から固定するより、異なる提案でも比較しやすくなります。

募集要項は、表示内容にも注意が必要です。厚生労働省は、インターネット等の募集広告について、募集主の名称・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金の表示を求めており、虚偽や誤解を生じさせる表示を禁止しています。

採用サイト公開後に条件が変更される場合もあるため、「誰が募集情報の正確性を確認し、いつ更新するのか」まで決めておきましょう。

取材・原稿・撮影は「誰が何を用意するか」まで決める

採用サイトには、制作会社だけでは作れない情報が多くあります。社員の経験、実際の仕事内容、キャリア、職場の雰囲気などは、自社側から情報を提供する必要があります。そのため、取材と撮影では、制作会社の作業だけでなく自社の協力範囲まで決めておきます。

取材対象と原稿作成の担当を決める

社員インタビューを掲載するなら、次の項目を整理します。右の列は記入例なので、自社の条件に置き換えて使ってください。

確認項目 例
取材人数 若手2名、管理職1名
対象職種 営業、技術、管理
取材方法 対面、オンライン
原稿作成 制作会社
内容確認 本人→人事→最終責任者
公開後の変更 異動・退職時の扱いを決める

誰に取材するかを決めるときは、役職だけで選ぶのではなく、採用したい職種や候補者が知りたいテーマとの対応を確認します。

撮影条件を事前に確認する

写真撮影では、撮影人数だけでなく、次の項目を確認します。

  • 撮影拠点
  • 撮影可能な日時
  • 仕事風景を撮影できるか
  • 制服や設備を撮影できるか
  • 顧客情報や機密情報が映らないか
  • 社員写真を他媒体でも使用するか

複数拠点の撮影が必要なのか、1拠点だけなのかでも、制作条件は大きく変わります。「写真撮影込み」という条件だけでなく、撮影場所・日数・対象人数までそろえて制作会社へ伝えると、各社の提案を比較しやすくなります。

CMS・応募導線・SEOは公開後の使い方から決める

CMSを導入するかどうかではなく、「何を自社で更新したいか」から必要な仕様を決めます。

CMS、SEO、応募フォームは別々に決めるのではなく、候補者の検索から応募、公開後の更新まで一連の流れとして設計します。

検索から採用サイト、募集情報、応募、公開後の計測と更新までを一連で設計するフロー

更新頻度の高い情報を先に洗い出す

たとえば次の情報は、更新が発生しやすい項目です。

  • 募集職種
  • 募集要項
  • 社員紹介
  • イベント情報
  • お知らせ
  • FAQ

これらを人事担当者が自社で更新するなら、その範囲を制作会社へ伝えます。一方、会社紹介や採用コンセプトなど、変更頻度が低いページまで同じ更新機能を持たせるかどうかは、別途判断します。

応募フォームと採用管理システムの役割を決める

採用サイトから応募を受け付ける場合は、応募情報の送り先を決めます。候補は次の3つです。

  • 自社のフォーム
  • 採用管理システム
  • 求人媒体

フォームを制作するなら、入力項目、自動返信、通知先、個人情報の扱い、完了ページ、計測方法まで確認してください。既存の採用管理システムを利用する場合は、制作会社へサービス名と連携方法を事前に共有します。

SEO要件は制作開始前に伝える

SEOは、検索エンジンがページを理解しやすくし、求職者が検索からページを見つけやすくするための取り組みです。

Googleは、ページを検索しやすくする基本要件として、クロールできるリンク、ページごとの適切なタイトルや説明、理解しやすいサイト構造などを案内しています。そのため、職種名や勤務地などで検索からの流入も狙う場合は、デザイン完成後ではなく制作前にSEO要件を共有しておく方が安全です。

個別の求人ページを公開する場合は、Googleが案内するJobPosting構造化データも検討できます。Googleによると、適切な求人ページへJobPostingを実装すると、Google検索の求人向け表示の対象になる可能性があります。構造化データは、実際にページへ掲載されている求人内容と一致させる必要があります。

制作物の権利・納品物・修正回数は契約前に確認する

採用サイトでは、Webページだけでなく、写真、原稿、動画、デザインなど複数の制作物が発生します。そのため「制作費を支払ったから、すべて自由に使える」と決めつけず、契約内容を確認します。

採用サイト用に制作した写真や原稿、動画を他媒体で利用する前に権利や納品条件を確認する図

写真・原稿・動画などを求人媒体やSNSでも使う予定がある場合は、制作後ではなく契約前に、利用範囲や納品条件を確認します。

文化庁の著作権契約書作成支援システムでも、原稿について著作権の帰属やWebサイトでの利用目的などを分けて設定する仕組みが用意されています。写真撮影についても、利用や改変に関する条件を契約上確認する考え方が示されています。

制作会社へ依頼する際は、少なくとも次の8点を確認してください。

項目 確認する内容
写真 採用サイト以外でも利用できるか
原稿 パンフレットや求人媒体へ転載できるか
動画 SNSや説明会でも使用できるか
デザイン 他媒体へ転用できる範囲
ソース 納品対象になるか
CMS ライセンス・保守条件
修正 回数、対象範囲、追加費用
データ 元画像・編集データ等の納品有無

使いたい方法が決まっているなら、制作後ではなく契約前に制作会社へ伝えておきましょう。

公開後の更新・計測まで決めてから制作会社へ相談する

採用サイトは公開日がゴールではありません。募集職種が変われば募集要項を更新し、社員が退職すればインタビュー掲載の扱いを判断する必要があります。

まず、更新項目ごとに担当者と確認頻度を決めます。次の表は、その担当の例です。

更新対象 担当例 確認頻度
募集要項 人事 募集変更時
社員紹介 人事・現場 定期確認
制度・福利厚生 人事 制度変更時
SEO・検索流入 Web担当 定期確認
応募導線 人事・Web担当 定期確認
システム・セキュリティ 情報システム・制作会社 契約に基づき確認

制作会社には、自社で担う更新と、保守・更新・改善支援として任せたい範囲を分けて伝えます。

検索からの流入を確認する場合は、Google Search Consoleなどで、表示回数、クリック、検索クエリ、ページ別の動きを確認できます。ただし、計測ツールを入れるだけでは改善できません。次の2点まで決めておきます。

  • 誰が数字を見るのか
  • どの数字が悪ければ何を見直すのか

制作会社へ相談するときは「決定済み・相談したい・不要」で渡す

依頼前の準備で最も大切なのは、すべてを完璧に決めることではありません。自社だけでは判断できない部分は、制作会社へ相談して構いません。その代わり、依頼条件を次の3区分で整理します。

採用サイト制作の要件を決定済み、相談したい、不要の3つに分類して制作会社へ伝える方法

「決定済み」「相談したい」「不要」に分ければ、未確定の部分を明確にした状態で制作会社へ相談できます。それぞれの区分には、次のような項目が入ります。

決定済み

すでに社内で確定しており、変更しない条件です。

例:対象職種、公開期限、利用する採用管理システム。

相談したい

制作会社から提案を受けたい項目です。

例:ページ構成、CMS範囲、社員インタビュー人数、SEO設計。

不要

今回の制作範囲から外す項目です。

例:動画制作、多言語化、採用パンフレット。

この状態で複数社へ相談すると、各社へ渡す条件をそろえやすくなります。

依頼前チェックリスト

ここまでの内容を、依頼前の確認項目としてまとめました。相談の前に、当てはまるかどうかを確認してください。

  • 採用サイトを作る目的を説明できる
  • 新卒、中途などの採用区分が決まっている
  • 対象職種と勤務地を整理している
  • 候補者へ伝えたい情報を整理している
  • 必要なページやコンテンツの候補がある
  • 社員取材に協力できる人数を確認している
  • 撮影場所と撮影対象を確認している
  • 原稿を自社で作るか依頼するか決めている
  • 自社で更新したい情報を整理している
  • 応募フォームや採用管理システムの扱いを決めている
  • 検索流入を狙うか決めている
  • 公開後に確認したい成果指標を整理している
  • 写真、原稿、動画等の利用範囲を確認する予定がある
  • 修正回数や納品物を見積条件に含めると決めている
  • 公開希望時期を伝えられる
  • 社内の確認者と最終決裁者が決まっている
  • 公開後の更新担当者が決まっている

未回答の項目が残っていても、「ここは提案してほしい」と伝えられる状態なら、制作会社との要件整理を始められます。

まとめ

採用サイト制作を依頼する前には、ページやデザインだけでなく、対象職種、取材・撮影、原稿、CMS、SEO、応募導線、権利、公開後運用まで整理しておきましょう。複数の制作会社へ相談する場合、同じ条件を伝えなければ、見積金額だけを比較しても制作範囲の違いを判断できないためです。

最初からすべてを決める必要はありません。まず「決定済み」「相談したい」「不要」の3つに分け、条件をそろえた状態で相談することから始めましょう。それが、適切な提案を受けるための最初の一歩になります。

自社だけで採用サイトのページ構成やコンテンツ、SEO、公開後の運用まで整理することが難しい場合は、制作会社へサイト制作だけでなく要件整理の段階から相談する方法もあります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: 採用改善の体制構築、何から着手すべきか?内製・外注・ハイブリッドの判断基準と進め方

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