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Googleマップの経路検索を来店成果につなげて測る方法|ルート検索・予約・POSを店舗別に比較

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践

Googleマップの「経路」を見ると、店舗までのルートを調べた行動がどれだけあったかを確認できます(この記事では「経路検索」と呼びます)。ただし、この数字をそのまま「Googleマップ経由の来店数」と考えることはできません。

Googleが提供しているのは経路を求めた行動の集計値で、その人が本当に来店したか、POSで購入したかまでは、Googleビジネスプロフィール(GBP)だけでは分からないためです。

答えは、経路検索を来店数の代わりにせず、来店に近い行動として扱うことです。そのうえで、経路検索、予約、来店、POSを「店舗」と「期間」をそろえて並べ、同じ店舗の動きを比べます。この記事では、直接つなげられるデータとつなげられないデータを分けて、経路検索を来店成果へ近づけて評価する実務方法を整理します。

結論|経路検索は来店に近い行動だが、来店数ではない

GBPでは、「Directions(経路)」として店舗への経路を求めた行動を確認できます。Googleは、複数回のタップ、経路検索のキャンセル、スパムなどを考慮するよう集計方法を調整しています。

ただし、GBPの経路検索数と実際の来店者を一人ずつ結び付ける標準的な識別情報は、提供されていません。Business Profile Performance APIでも、BUSINESS_DIRECTION_REQUESTS は日次のパフォーマンス指標として提供される集計値です。予約やPOSの顧客IDと直接照合するためのユーザーIDではありません。

そのため、MEOの来店効果を測るときは、次の3段階に分けて考えると整理しやすくなります。表は、店舗で直接確認できるものから、比較のための参考値へと進む順に並んでいます。

計測レベル 方法 分かること
直接計測 予約・来店時に流入元を記録する Googleマップ経由と確認できた来店
店舗・期間単位の比較 経路検索と予約・POSを同じ店舗、同じ期間で並べる 経路行動と店舗成果が同じ方向に動いているか
代理KPI 経路行動率や経路検索100件あたりの成果を比較する 店舗間・期間間の違い

この3段階は、後半の「3つの方法」の方法1〜3に順に対応します。どの段階でも土台になるのは、次の節で説明する店舗と期間のそろえ方です。

Googleマップの経路検索から来店成果を測る3段階の計測方法

図は、この3段階の関係を示したものです。

特に多店舗運営では、「経路検索数が多い店舗」ではなく、「経路検索が増えたときに予約や来店も伸びている店舗」を探します。

最初にそろえるのは「店舗」と「期間」

経路検索と来店データを比較するとき、最初に行うのは高度な分析ではありません。

GBP、予約システム、POSで同じ店舗を同じIDで管理し、同じ期間に集計することです。GBPでは複数プロフィールのパフォーマンスデータをまとめてダウンロードできるため、多店舗でも店舗単位の比較データを作れます。

最低限、次の項目を1つの表にそろえます。

項目 データ元 役割
店舗ID 社内マスター 各データを同じ店舗へそろえる
日付・週・月 各システム 比較期間を統一する
Googleマップ等の表示 Googleビジネスプロフィール 露出量を見る
経路検索 Googleビジネスプロフィール 来店前の行動を見る
予約件数 予約システム 来店意向の強い成果を見る
来店・会計件数 POS・受付 実店舗成果を見る
売上 POS 事業成果を見る
広告実施有無 広告管理表 数値変化の要因を切り分ける
キャンペーン・休業等 運用記録 店舗固有の変動要因を残す

表の項目は、店舗と期間をそろえる項目(店舗ID、日付・週・月)、店舗の動きと成果を見る項目(表示から売上まで)、数字が動いた理由を残す項目(広告実施有無、キャンペーン・休業等)の3つに分かれます。なお、表の「Googleマップ等の表示」は、以降の表や計算式では「GBP表示」「Googleビジネスプロフィール表示数」と書きます。いずれも、GBPのパフォーマンスで確認できる表示回数を指します。

経路検索、予約、POSを店舗IDと期間で統合して比較するデータ構造

異なるシステムの数値でも、店舗IDと集計期間を統一すれば店舗単位の変化を比較できます。

GBPのパフォーマンスには、オーガニック検索だけでなくGoogle広告由来の行動も含まれる場合があります。そのため、広告を実施している店舗では「広告あり・なし」を記録しておきます。

経路検索と予約・POSをつなぐ3つの方法

ここからは、経路検索と予約・POSをつなぐ方法を、個人単位でつなぐものから、店舗単位で比べるもの、参考比率で比べるものの順に説明します。使えるデータに合わせて、取り入れやすい方法から始めてください。

方法1|来店・予約時に流入元を記録する

最も分かりやすいのは、予約や来店の時点で「何を見て来店したか」を取得する方法です。

たとえば予約フォームや受付時のアンケートで、流入元を次のように統一します。

  • Googleマップ
  • Google検索
  • SNS
  • 広告
  • 口コミ・紹介
  • その他

この方法なら、「Googleマップを見た」と回答した来店者数を店舗別に把握できます。ただし、回答者が実際に「経路」ボタンを押したかまでは分かりません。回答忘れや記憶違いもあるため、GBPの経路検索数と完全に一致する指標ではありません。

そのため、「Googleマップ経由と確認できた来店数」として管理し、Googleの経路検索数とは別の列にします。

方法2|店舗×日または週単位で経路検索と成果を並べる

個人単位でつなげられない場合は、店舗と期間をそろえて比較します。

たとえば毎週、次のように記録します。

店舗 GBP表示 経路検索 予約 POS会計
A店 12,000 480 220 1,900
B店 9,000 450 120 1,350
C店 15,000 300 180 1,700

※上記は分析方法を説明するための例示データです。

この例では、B店はA店より表示回数が少ない一方、経路検索は近い水準です(A店480、B店450)。しかし予約件数には差があります(A店220、B店120)。

ここで「B店は経路検索から予約へ転換できていない」と断定してはいけません。経路検索した人と予約した人が同一人物とは確認できないためです。

見るべきなのは、同じ店舗について数週間から数か月追ったときの、次の動きです。

  • 経路検索が増えた期間に、予約・POSも増えているか
  • 経路検索だけが増え、予約やPOSが動いていないか

単月の数字だけでなく、前年同月や同じ曜日構成の期間と比較すると、季節性による誤判定も減らせます。

方法3|直接つながらない場合は代理KPIを使う

経路検索とPOSを直接接続できなくても、店舗比較のための代理KPIは作れます。この記事では、直接つなげられない成果の代わりに、店舗や期間を比べるために使う指標を代理KPIと呼びます。

代表例は次の3つです。

経路行動率
= 経路検索数 ÷ Googleビジネスプロフィール表示数 × 100

予約対経路参考比
= 予約件数 ÷ 経路検索数 × 100

来店対経路参考比
= POS会計件数または来店件数 ÷ 経路検索数 × 100

経路行動率は、表示に対してどれだけ経路検索が起きているかを見る指標です。予約対経路参考比と来店対経路参考比は、経路検索数に対する予約件数・来店件数の比率です。

経路行動率と予約・来店の参考比率を区別した代理KPIの図

図は、経路行動率と、予約・来店の参考比率を分けて示したものです。

予約対経路参考比と来店対経路参考比は、「コンバージョン率」と呼ばない方が安全です。経路検索した人と予約・来店した人の母集団が同じとは確認できず、Googleマップを使わず来店した顧客もPOS側へ含まれるからです。

同一ユーザーを直接追跡した値ではないため、あくまで「同じ店舗・同じ期間で比較するための参考比率」として使います。

経路検索が増えても来店が増えないときの見方

経路検索が増えているのに予約やPOSが伸びていないときは、「MEOの効果がない」とすぐに結論づけず、経路検索の後に何が起きているかを切り分けます。

来店候補者の立場で見ると、経路を調べた後にも判断材料は残っています。たとえば次のような点です。

  • 営業時間が現在の状況と合っているか
  • 駐車場や入口が分かりやすいか
  • 予約が必要か分かるか
  • Google上の店舗情報と実際の店舗情報に差がないか
  • 店舗までの距離や移動時間が許容範囲か
  • 比較している別店舗へ変更していないか

経路検索が増えても予約や来店が伸びない場合の確認項目を整理した診断フロー

図は、経路検索と店舗成果の動きが合わないときに、来店前の条件を順番に確認する流れを示したものです。

ここに挙げた項目は、経路検索後に離脱した原因を断定するものではありません。経路検索と来店の動きが合わないときに確認する、原因の仮説です。

モバイル検索と実店舗行動を扱った研究では、店舗までの距離や周辺の店舗密度と、消費者のモバイル検索行動には関連が確認されています。記事としては、モバイル上の検索行動を、実店舗での意思決定と切り離して読まないことが重要だと考えます。リストにある距離や移動時間の確認も、この考え方に沿ったものです。

多店舗では「経路検索数」だけでランキングしない

多店舗を比較するとき、経路検索数の多い順に店舗を並べるだけでは、判断を誤る可能性があります。商圏人口、駅前か郊外か、営業時間、業種、店舗規模などが違えば、そもそもの検索需要が異なるためです。

そこで、店舗ごとに次の4つの軸を並べて見ます。

見る軸 指標例 判断すること
露出 GBP表示数 店舗を見つけてもらえているか
行動 経路検索数・経路行動率 来店を検討する行動が起きているか
成果 予約・来店・POS 実店舗成果が出ているか
変化 前年同月比・前期間比 以前より改善しているか

たとえば「経路検索数は全店平均より少ないが、前年同月比では大きく伸びている店舗」と「経路検索数は多いが、予約・来店が前年割れしている店舗」では、優先して確認すべき内容が異なります。後者は、前の節の来店前の条件から確認するとよいでしょう。

このように、絶対値と変化率を分けて見ることがポイントです。

Google広告を使っている場合は別の来店計測も確認する

Google広告を実施している店舗では、Google広告側のローカルアクションや実店舗への来店コンバージョンも利用できる場合があります。

Google広告の「Local actions – Directions」は、広告との接触後に店舗の「経路」などを利用した行動を、広告成果として計測する仕組みです。また、一定の要件を満たす広告主は、「Store visits」として、広告が実店舗への来店へ与えた影響を計測できます。ただし、利用には店舗、広告量、来店量などの要件があり、すべての事業者が利用できるわけではありません。

どちらも、GBPの経路検索数とは別の計測です。MEOの自然検索成果を確認したい場合は、次の3つを同じ数字として混ぜないようにしてください。

  • GBP全体の行動
  • Google広告に帰属した行動
  • 自社予約・POSの成果

POSやオフライン成果をGoogle Analyticsへ送れる場合も、経路検索とは分けて考える

自社の顧客IDや予約情報を適切に管理できる環境では、Google AnalyticsのMeasurement Protocolを使って、POSなどのオフラインイベントを送る方法もあります。Googleは、Measurement Protocolの用途として、オンラインとオフラインの行動を結び付けることや、POSなどのオフラインイベントを送信することを案内しています。

ただし、これを導入しても、GBPの「経路」を押した匿名ユーザーと、自動的に1対1でつながるわけではありません。自社サイトや予約システム側でユーザーを識別できる行動と、GBP内で完結する集計指標は、分けて設計する必要があります。

店舗別の効果測定は5ステップで運用する

実務では、次の順番で進めれば十分です。ここまでの内容を、店舗ごとに毎週・毎月くり返せる手順にまとめました。

  1. 店舗IDを統一する
    GBP、予約システム、POSで同じ店舗コードを持たせます。
  2. 期間をそろえる
    まずは週次または月次で統一します。営業時間や休業日も残します。
  3. 経路検索・予約・来店・POSを並べる
    データを1つの表へ集約します。
  4. 直接計測と代理KPIを分ける
    「Googleマップ経由と確認できた来店」と「経路検索との参考比率」を混ぜません。
  5. 店舗間より先に同一店舗の変化を見る
    商圏条件が違う店舗同士を単純比較する前に、前年同月や過去期間との変化を確認します。

店舗IDと期間をそろえてから経路検索・予約・来店・POSを並べ、直接計測と代理KPIを分けて継続的に比較します。

多店舗で毎月この形式を固定すれば、「Googleマップの数字が増えた」という報告から、「店舗成果へ近づいているかを確認する」運用へ変えられます。

まとめ

Googleマップの経路検索は、来店を検討する人の行動を把握できる指標です。ただし、経路検索数そのものは来店数ではありません。GBPでは経路検索を集計値として確認できる一方、標準機能だけでは、経路検索したユーザーと予約・POSを一人ずつ直接結び付けることはできません。

そのため、実務では、

経路検索
→ 予約
→ 来店
→ POS・売上

を店舗IDと期間でそろえます。直接取得できる来店経路は直接計測し、それ以外は経路検索数、経路行動率、予約・POSとの参考比率、前年同月比などを使って店舗ごとの変化を確認します。特に多店舗運営では、経路検索数だけで店舗を評価せず、「経路行動が増えた後に店舗成果も動いているか」を継続して見ます。

最初の一歩は、店舗IDと集計期間をそろえた1つの表を作ることです。店舗別の経路行動・予約・来店を毎月同じ形式で管理する場合は、入力項目と計算ルールを固定した計測テンプレートを使うと、担当者や店舗が変わっても比較条件を維持しやすくなります。

自社の運用表へ落とし込む際は、店舗別の計測項目や比較ルールを整理するための資料ダウンロードもご利用ください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

・Google Business Profile Help「Understand your Business Profile performance & insights」
Googleビジネスプロフィールの経路、表示、電話、Webサイトクリック、予約等のパフォーマンス指標の定義、複数店舗データの取得方法を確認。

・Google for Developers「Business Profile Performance API / DailyMetric」
BUSINESS_DIRECTION_REQUESTS、BUSINESS_BOOKINGS等のGoogleビジネスプロフィール日次指標を確認。

・Google Ads Help「About local actions conversions」
広告接触後の経路検索などを計測するローカルアクションの仕様確認に使用。

・Google Ads Help「About store visit conversions」
Google広告の実店舗来店コンバージョンの対象と利用要件の確認に使用。

・Google Analytics「Measurement Protocol」
POSなどのオフラインイベントをGoogle Analyticsへ送信し、オンライン・オフライン計測を補完する方法の確認に使用。

・Molitor, D., Daurer, S., Spann, M., Manchanda, P.「Digitizing local search: An empirical analysis of mobile search behavior in offline shopping」Decision Support Systems, 2023.
モバイル端末上のローカル検索と実店舗環境・距離との関係を確認。DOI: 10.1016/j.dss.2023.114018。

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