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不動産業界のオウンドメディア成功事例|物件・エリア・ノウハウ記事の設計を比較

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
不動産オウンドメディアの物件・エリア・ノウハウ・事例記事を問い合わせや査定につなぐ導線を整理するイメージ

不動産会社がオウンドメディアを始めても、記事数を増やすだけでは問い合わせや査定にはつながりません。物件情報、エリア情報、購入・売却ノウハウ、事例・FAQを別々に置いたままでは、検索した人が次に進む先を見つけにくいためです。

成果を分けるのは、検索した人の検討段階に合わせて各情報をつなぎ、内見・来店・査定・問い合わせまで自然に進めるかどうかです。検索の入口になるインターネットは、住宅を取得した世帯の多くが使っています。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、インターネットで情報収集した割合は、分譲集合住宅で82.2%、分譲戸建住宅で76.7%、既存集合住宅で74.4%でした。

この記事では、不動産業界の公開事例3つとサイト構成を比較し、自社でどの記事タイプから優先すべきかを判断できるように整理します。事例の成果値は、支援会社が公開した発表にもとづく数字です。本文でも、この点を区別して示します。

「検索流入」と「相談導線」はなぜ一体で設計するのか

この節では、検索流入と相談導線をつなげて設計する理由を、国土交通省の調査の数値から確認します。

不動産業界のオウンドメディアで見るべきなのは、PVや検索順位だけではありません。検索した人が「地域を知る」「物件を比較する」「買い方・売り方を理解する」「会社を信頼できるか確かめる」という段階を順に通り、最終的に問い合わせや査定へ進める構造になっているかどうかです。

国土交通省が2026年7月に公表した令和7年度住宅市場動向調査では、「インターネットを通じた情報収集」を行った割合は、注文住宅78.6%、分譲戸建住宅76.7%、分譲集合住宅82.2%、既存戸建住宅69.9%、既存集合住宅74.4%でした。一方、「インターネットを通じた問い合わせ、説明会・内見・資料等の申込み」まで進んだ割合は、分譲戸建住宅39.8%、分譲集合住宅50.2%、既存戸建住宅30.1%、既存集合住宅36.2%です。

たとえば分譲集合住宅では、情報収集が82.2%、問い合わせや内見などの申込みが50.2%でした。調査の項目が異なるため単純には比べられませんが、Webで情報を集める人は多い一方で、具体的な相談・内見まで進む人はそれより少ないとうかがえます。

この差を埋めるには、記事から次に読む情報、さらに相談先までをつなぐ設計が必要だと考えます。そのため不動産会社のオウンドメディアでは、検索流入を増やす施策と、相談へ進む導線の設計を同時に進めます。

不動産ユーザーが地域理解から物件比較、購入・売却方法の確認、会社比較を経て問い合わせや査定へ進む流れ

不動産オウンドメディアでは、検索流入を増やすだけでなく、地域・物件・ノウハウ・信頼情報を経て相談へ進む流れを設計します。

成功事例は4つの記事タイプとCTAのつながりで比べる

不動産業界のオウンドメディア事例を比べるときは、PVや記事本数だけでなく、次の4つの記事タイプと、それぞれが読者を次にどこへ進めているかを見ると、自社へ転用しやすくなります。この記事では、問い合わせ・査定・来店など読者に次の行動を取ってもらうための案内や導線を、CTAと呼びます。

次の表は、4つの記事タイプについて、役割、読者の状態、次につなぐ情報・CTAをまとめたものです。

記事タイプ 主な役割 読者の状態 次につなぐ情報・CTA
物件記事 条件に合う具体的な選択肢を示す 物件を探している 内見、問い合わせ、類似物件
エリア記事 地域・相場・生活環境を理解してもらう 住む地域を比較している エリア内物件、店舗、相談
購入・売却ノウハウ 手続きや不安を解消する 方法を調べている FAQ、事例、査定、相談
事例・FAQ 実績や判断材料を示す 会社を比較・検討している 来店、査定、問い合わせ

表の「購入・売却ノウハウ」は、以下では「ノウハウ記事」と呼びます。4つの記事タイプは、すべて同じ量を作る必要はありません。売買仲介、買取、注文住宅、投資用不動産など、事業モデルによって優先順位が変わります。次の節から、3つの事例でその違いを見ていきます。

事例1:ウェルスハックは悩み起点のノウハウから相談へつなぐ

最初の事例は、投資用不動産のノウハウ型メディアです。

武蔵コーポレーションが運営する「ウェルスハック」は、富裕層・不動産オーナー向けに、不動産投資、節税、賃貸経営、売却などのノウハウを発信するメディアです。現在の公開サイトでも「年収3000万円」「節税」「中古収益不動産」など、対象読者と課題が具体的な記事が並んでいます。記事を読んだ後は、武蔵コーポレーションの無料投資相談へ進める構成です。

成果については、支援会社の株式会社ルーシーが公開している事例で、2020年5月にウェルスハックを開設し、公開7か月後に月間13万PV、10か月後に月間40万PV、公開から10か月で合計売上14.6億円に到達したとしています。ただし、これは運営会社自身が公表した監査済み財務値ではなく、支援会社の導入事例として公開されている成果です。他社が同じ結果を得られる目安というより、設計を学ぶための事例として読むのが適切だと考えます。

ウェルスハックから学べるのは、物件より先に読者の悩みを捉える設計

不動産投資では、ユーザーが最初から特定の物件名を検索するとは限りません。「税負担を抑えたい」「資産形成をしたい」「賃貸経営を改善したい」といった悩みから情報収集を始める人もいます。

ウェルスハックは、こうした悩みを記事の入口にして、専門情報を読んだ後に具体的な相談へつなげています。そのため、不動産投資会社や収益物件を扱う会社では、物件一覧だけでなく、顧客が物件を探す前に抱える悩みを記事にすることが有効だと考えます。

事例2:ホームセレクトは地域・購入・売却情報を店舗CTAへ集約する

次の事例は、地域密着の売買仲介会社です。

仙台の不動産売買会社「ホームセレクト」は、物件検索に加えて、不動産購入コラム、不動産売却コラム、店舗周辺の相場情報、購入・売却FAQ、お客様の声を同一サイト内で展開しています。

公開中の購入コラムでは、住宅ローン、税制、省エネ基準など、購入前に確認したいテーマを扱っています。トップページでは「家を探す」「家を売る」を分け、各店舗への電話、問い合わせ、無料売却査定へ進める導線があります。お客様の声には、ユーザーがどのように物件を探し、なぜ同社へ問い合わせたかが具体的に掲載されています。

株式会社ルーシーが公開する支援事例では、ホームセレクトのプロジェクト開始から19か月でアクセス数が13倍に増えたとしています。この数値も、支援会社が公開した成果値として見る必要があります。一方、サイト上では現在も「購入コラム→物件・購入情報」「売却コラム→無料査定」「相場情報→地域の店舗」という導線が確認できます。

地域密着会社はエリア情報と店舗を切り離さない

地域密着型の不動産会社が全国向けの一般論だけを増やすと、商圏外からのアクセスばかりが増える可能性があります。ホームセレクトのように、エリア別の相場情報、店舗、物件、問い合わせ先を近い位置に置くと、「地域について調べる」行動から「地域の会社へ相談する」行動へつなげやすくなります。

地域記事を作るときは、「〇〇市の住みやすさ」だけで終わらせないようにしましょう。その地域で扱う物件、購入・売却の相談先、地域特有の相場や注意点へつなげます。

事例3:不動産買取応援隊は地域課題を売却相談へつなぐ

3つ目の事例は、地域の売却課題から入る買取サイトです。

株式会社リアルト・ハーツが運営する「不動産買取応援隊」は、新潟・長岡・上越を対象とした地域密着型の不動産買取サイトです。サイトでは、相続した実家、古い家、遠方からの管理、豪雪地帯の家屋管理、空き家といった地域・売却課題を示し、無料査定へつなげています。

会社情報では、新潟県内の対応拠点や対応エリアを明示し、「まずは無料査定から」という行動を一貫して提示しています。全国向けに大量の一般記事を作る方法とは異なり、「地域の売却課題」と「対応拠点」と「査定」を近づけた設計です。

この型は、不動産買取、相続不動産、空き家、地方の売却に強い会社と相性が良いといえます。記事を増やす場合も、地域名だけで量産するのではなく、「地域×売却理由」「地域×相続」「地域×空き家」など、実際の相談内容と組み合わせた方が問い合わせとの距離を短くできます。

3事例を比較すると成功パターンは事業モデルごとに異なる

3つの事例を並べると、成功している不動産メディアが同じ記事構成をしているわけではないことが分かります。扱う商材と相談の起点によって、中心となる記事タイプが異なるためです。

次の表は、3事例の中心となる記事・情報、地域性、主なCTA、向いている会社をまとめたものです。

事例 中心となる記事・情報 地域性 主なCTA 向いている会社
ウェルスハック 投資・節税・賃貸経営ノウハウ 低〜中 無料投資相談 投資用不動産、資産運用
ホームセレクト 購入・売却コラム、相場情報、物件、お客様の声 高 問い合わせ、無料売却査定、店舗 地域密着の売買仲介
不動産買取応援隊 地域課題、売却・買取情報、対応拠点 高 無料査定 買取、相続、空き家

表で見ると、ウェルスハックは地域性が低〜中で、投資・節税・賃貸経営のノウハウから無料投資相談へ進めます。ホームセレクトと不動産買取応援隊は地域性が高く、前者は問い合わせ・無料売却査定・店舗へ、後者は無料査定へ読者を進めます。

投資用不動産、地域密着の売買仲介、買取・相続・空き家で異なる記事テーマとCTAの比較図

不動産オウンドメディアの中心コンテンツは、投資・売買仲介・買取など事業モデルによって変わります。

この比較から、自社の主力サービスに近い記事タイプを中心に据える必要があると分かります。競合が「住みやすさ記事」でアクセスを集めているからといって、自社も同じ記事を大量に作るのが正解とは限りません。

不動産以外の消費者向けメディアも含めて、回遊・購買導線や継続接点の成功パターンを比較する場合は、BtoCオウンドメディア成功事例も参考になります。

物件・エリア・ノウハウ記事は役割を分けて相互につなぐ

ここからは、自社サイトの記事を組み立てる視点で、記事タイプごとの役割と次の導線を整理します。

不動産会社のサイトでは、物件ページ、地域ページ、コラムが別々の部署や制作会社によって作られ、つながっていないことがあります。オウンドメディアとして成果を出すには、それぞれの役割を明確にしたうえで、次のページへ移れるようにします。

物件、エリア、購入・売却ノウハウ、事例・FAQを相互につなぎ問い合わせ・査定・来店へ導く構造図

物件・エリア・ノウハウ・事例を別々に置くのではなく、相互に行き来できるようにして相談導線へつなげます。

物件記事は「選択肢の提示」と「次の比較」を担当する

物件情報は、具体的な問い合わせに最も近いコンテンツです。ただし、物件が成約・販売終了するとページの役割が弱くなります。そのため、類似物件、同一エリアの物件、購入ガイド、店舗相談などへつなぐ設計を用意しておきます。

エリア記事は物件だけでは分からない判断材料を補う

エリア記事では、交通、生活環境、相場、学区、災害リスク、周辺施設など、購入・居住判断に必要な情報を整理します。最初の節で見た国土交通省の調査でも、住宅取得時のインターネット情報収集率は高くなっています。物件スペック以外の情報もWeb上で比較される前提で考えましょう。

ただし、エリア記事をアクセス目的だけで作らないようにします。「このエリアの物件を見る」「この地域の売却相場を確認する」「担当店舗へ相談する」など、自社サービスへつながる導線を設けます。

ノウハウ記事は不安を解消し、相談が必要かを読者が判断できるようにする

購入・売却のノウハウ記事は、住宅ローン、税金、売却の流れ、査定、相続、住み替えなどの疑問を解消する役割があります。記事だけで解決できる内容は十分に答え、個別条件によって判断が変わる部分で査定や相談へつなげます。

「詳しくはお問い合わせください」だけで情報を止めると、検索意図に十分答えられません。無料相談や資料ダウンロードは、本文の不足を補うものではなく、読者が自身の状況を整理するための次の手段として配置します。

自社で優先する記事タイプは3つの質問で決める

ここまでの事例と役割を、自社の優先順位に落とし込みます。記事企画を始める前に、次の3つの質問に答えると、優先順位を付けやすくなります。

  1. 最も増やしたい成果は、購入問い合わせ・売却査定・来店・投資相談のどれか
  2. その成果に至る前、ユーザーは何を検索しているか
  3. その検索に答えた後、どのページ・CTAへ進んでもらうか
不動産オウンドメディアで成果、検索行動、次のページの順に逆算して優先記事を決める3ステップ

優先する記事テーマは、増やしたい成果から検索行動と次のページを逆算すると決めやすくなります。

たとえば売却査定を増やしたい地域密着会社なら、「地域名+売却」「地域名+相場」「相続+売却」などの記事から、地域の売却事例、査定の考え方、無料査定へつなぐ構造が考えられます。

購入問い合わせを増やしたい会社なら、地域・学区・購入費用・住宅ローンなどの記事から、エリア内物件、購入者の声、内見・問い合わせへつなげます。

記事タイプを決める前提となるゴール・ターゲット・テーマ選定の考え方は、メディア戦略とコンテンツ企画の設計で体系的に確認できます。

運用ではPVより記事タイプ別の問い合わせ貢献を見る

不動産オウンドメディアは、すべての記事を同じKPIで評価しない方が改善しやすくなります。記事タイプによって、読者に取ってほしい行動が違うためです。

次の表は、記事タイプごとに、主に見る指標と、改善時に確認することをまとめたものです。

記事タイプ 主に見る指標 改善時に確認すること
エリア記事 検索流入、物件ページ遷移 対応物件・店舗へ進めているか
ノウハウ記事 検索流入、関連記事遷移、相談到達 疑問解消後の次の行動があるか
物件記事 問い合わせ、内見、類似物件遷移 成約後も導線が残っているか
事例・FAQ 問い合わせ前閲覧、CTA遷移 不安・比較条件に答えているか

表のとおり、エリア記事とノウハウ記事は検索流入のあとの遷移や相談到達を、物件記事は問い合わせと内見を、事例・FAQは問い合わせ前の閲覧とCTA遷移を見ます。

アクセスが多くても相談につながらない記事は、キーワードの問題だけでなく、次のページがない、CTAが遠い、商圏外の検索者が多いといった原因が考えられます。逆にPVが少なくても、商圏内の具体的な検索から査定や問い合わせに結び付く記事は価値があります。

まとめ

不動産業界のオウンドメディア成功事例を見ると、成果につながる共通点は「記事を大量に作ること」ではなく、事業モデルに合う検索テーマと相談導線をつなぐことです。ほかの業種の設計は、旅行・観光のオウンドメディア参考事例でも確認できます。

投資用不動産なら悩み・資産形成ノウハウ、地域密着の売買仲介ならエリア・相場・購入売却情報、買取会社なら地域特有の売却課題を中心に据えます。このように、自社の相談理由から逆算して記事タイプを選びます。そのうえで、物件、エリア、ノウハウ、事例・FAQを相互に接続し、問い合わせ・査定・来店へ進める構造にします。

最初の一歩は、自社サイトの「どの記事が入口になり、どのページを経由して、どのCTAへ進むのか」を一覧にすることです。不足している導線が見えたら、社内で使えるチェックリストや設計表に落とし込み、優先順位を付けて改善してください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

・「令和7年度住宅市場動向調査」国土交通省、2026年7月17日公表。住宅取得等の過程におけるインターネット活用状況を参照。
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000248.html

・「わずか10ヶ月で14.6億円の売上を叩き出した不動産会社様のコンテンツマーケティング事例」株式会社ルーシー。ウェルスハックの公開後PV・売上事例を参照。
https://lucy.ne.jp/bazubu/case/wealthhack-lp

・「ウェルスハック」武蔵コーポレーション株式会社。記事テーマ、対象読者、無料投資相談への導線を確認。
https://www.musashi-corporation.com/wealthhack/

・「ページビュー数13倍に増加|不動産会社様のコンテンツマーケティング取り組み事例」株式会社ルーシー。ホームセレクトのアクセス推移事例を参照。
https://lucy.ne.jp/bazubu/case/home-select-lp

・「ホームセレクト」株式会社ホームセレクト。購入・売却コラム、相場情報、物件、お客様の声、問い合わせ・無料売却査定への導線を確認。
https://www.home-select1.co.jp/

・「不動産買取応援隊について」株式会社リアルト・ハーツ。地域課題、対応エリア、無料査定への導線を確認。
https://niigata.real-to-hearts.jp/services/about-kaitoriouentai

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