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オウンドメディアのペルソナ設計|検索行動まで落とし込む作り方と実務テンプレート

部署:マーケティング担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
オウンドメディアのペルソナについて、属性だけでなく検索場面や課題、判断基準まで整理しているデスク上の読者設計シート

ペルソナシートは作ったのに、記事のテーマや見出しを決める場面で使われていない。そのような状態になっていないでしょうか。オウンドメディアのペルソナは、年齢や職業を細かく設定するための人物紹介ではありません。「どんな状況で検索し、何に困り、何を確認できれば次の判断へ進めるのか」を記事制作チームで共有するための判断基準です。

人物像を描いただけでは、記事の内容は変わりません。そこでこの記事では、既存顧客の情報や検索データから仮説を作り、検索場面・課題・意思決定まで具体化したうえで、記事テーマ・見出し・具体例へ転記する方法を順に解説します。

最後に、記入して使えるシートの項目も示します。ペルソナを作って終わりにせず、実際の記事企画に使える状態をめざします。

オウンドメディアのペルソナは何のために作る?記事制作の判断基準として設計する

この節では、ペルソナの目的と、項目に入れる情報の選び方を決めます。

オウンドメディアで使うペルソナは、「架空の人物を詳しく設定すること」自体が目的ではありません。記事テーマ、説明の深さ、具体例、比較軸などを決めるときに、チームが同じ読者像を基準に判断できることが目的です。

Googleも、人の役に立つコンテンツを考える際に「既存または想定する読者がいるか」を確認するよう案内しています。これは、検索順位だけを起点にテーマを増やすのではなく、「誰がその情報を必要としているのか」を先に明確にする考え方だと捉えられます。

ターゲットとペルソナは役割が異なります。次の表のように使い分けると、整理しやすくなります。

項目 ターゲット ペルソナ
主な役割 対象となる層を決める 記事制作時の判断基準を具体化する
例 BtoB企業のマーケティング担当者 問い合わせが増えず、記事テーマの見直しを任されている担当者
確認する内容 業種、企業規模、役職など 状況、課題、検索場面、判断基準、社内での役割
記事への使い方 誰向けの記事かを決める 何を、どこまで、どの順番で説明するかを決める

たとえば「35歳、東京都在住、趣味は旅行」のような情報を増やしても、記事の内容が変わらなければ、オウンドメディアのペルソナ項目として優先度は高くありません。反対に、「上司から問い合わせ数の改善を求められ、原因を調べるために検索している」という情報なら、冒頭で扱う課題や必要な比較表が変わります。

そこで、項目を追加するかどうかは、次の問いで判断します。

その情報によって記事の判断が変わるか。

ペルソナには何を書く?検索場面まで含む9項目を整理する

まず、シートに書く項目を見ていきます。オウンドメディア向けのペルソナでは、人物属性だけでなく、「検索を始めるまでの状況」と「検索後の判断」まで整理します。

実務では、次の9項目を1枚のシートにまとめると、記事企画へ結びつけやすくなります。

項目 確認すること 記事制作での用途
1. 対象条件 業種、企業規模、役職など 誰向けの記事かを固定する
2. 担当業務 普段何を担当しているか 前提知識を決める
3. 達成したいこと 仕事上何を実現したいか 記事の最終目的を決める
4. 現在の状況 何が起きているか 導入文を具体化する
5. 課題・不安 何に困っているか 中心質問を決める
6. 検索場面 なぜ今検索したのか 検索意図を具体化する
7. 知りたいこと 検索時に答えが欲しい問い H2・H3へ反映する
8. 判断基準 何を比較・確認して決めるか 表や事例を設計する
9. 次の行動 読後に何をするか 関連記事やCTAを設計する

「中心質問」は、記事が答える主な問いのことです。

ポイントは、「人物像」と「検索した瞬間」を分けないことです。同じマーケティング担当者でも、「初めてオウンドメディアを立ち上げる人」と、「100本の記事があるのに問い合わせが増えず見直している人」では、必要な情報が異なります。職種や年齢だけでは、この違いを表現できません。

ペルソナの材料はどこから集める?既存顧客の事実から仮説を作る

ペルソナ設計では、最初から理想の人物を想像するのではなく、すでに持っている顧客情報から共通点を探します。利用できる情報は企業ごとに異なり、すべて揃える必要はありません。

ここでは、営業・問い合わせの記録、Search Console、アクセス解析の3つについて、それぞれで何が分かり、どう使うかを確認します。

営業・問い合わせ・顧客対応の記録を確認する

最初に確認したいのは、実際の顧客から得られた情報です。たとえば、問い合わせ内容、商談でよく出る質問、導入前の懸念、受注・失注時の理由、カスタマーサポートへの質問などがあります。

ここから、次のような情報を抽出します。

  • 問い合わせ前に何を知りたがっているか
  • どこで判断に迷うか
  • 誰へ説明する必要があるか

BtoBでは、記事を検索する担当者と契約を決める人が同じとは限りません。「担当者が調査し、責任者へ説明する」といった役割関係も記録しておくと、記事に必要な根拠や比較材料を決めやすくなります。この役割の分け方は、後の節で詳しく扱います。

Search Consoleで実際の検索語句を確認する

Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、自社サイトがどのような検索語句(検索クエリ)で表示され、クリックされているかを確認できます。クエリのほか、ページ、国、デバイスなどでもデータを確認できます。

ただし、Search Consoleで分かるのは検索行動の一部です。「この言葉を検索した理由」や「検索後に社内でどのように判断したか」までは、Search Consoleだけで確定できません。

そのため、検索データは、実際に使われた言葉を確認する材料として使います。検索理由や意思決定については、営業記録や問い合わせ内容と組み合わせて補います。

アクセス解析の属性情報だけで人物像を決めない

アクセス解析では、条件を満たす場合に、地域や年齢、性別、興味関心などの属性情報を確認できます。

ただし、属性データだけで「この人物がペルソナ」と決めるのは避けます。閲覧者の属性と、その人が検索した理由は別だからです。属性情報は補助材料として使い、検索行動や顧客接点の情報と組み合わせて判断します。

事実と仮説を分けるとペルソナが思い込みになりにくい

ペルソナシートには、確認できた事実と、社内で立てた仮説を分けて記録します。次の表は、その記録例です。

設定内容 区分 根拠
マーケティング担当者からの問い合わせが多い 確認済み 問い合わせ記録
上司への説明材料を探している 仮説 商談時の会話から推定
「オウンドメディア 効果」で流入している 確認済み Search Console
費用対効果を最も重視している 未確認 次回確認が必要

たとえば「費用対効果を最も重視している」は、根拠がまだないため、未確認として残し、次に確認する項目にします。

すべてを最初から事実で埋める必要はありません。重要なのは、分かっていることと想像したことを同じ扱いにしないことです。ペルソナは完成した真実ではなく、実際の顧客情報や検索行動で更新する仮説として扱います。

ペルソナを検索行動まで具体化する5ステップ

ここからは、記事企画に使えるよう、検索場面を5段階で具体化します。先に示した9項目のうち、検索場面・知りたいこと・判断基準・次の行動にあたる部分を、検索の流れに沿って掘り下げる作業です。

ペルソナの検索行動を、検索のきっかけ、中心質問、必要な情報、判断条件、次の行動の5段階で整理したフロー図

図のように、検索キーワードだけではなく、「なぜ検索したか」から「読後に何をするか」までつなげると、記事企画へ反映しやすくなります。

STEP1|検索が始まったきっかけを決める

まず、「なぜ今日、その人が検索したのか」を考えます。たとえば、次のような出来事です。

  • 記事を半年増やしたが問い合わせが増えない
  • 上司から来期のメディア方針を求められた
  • 外注先から新しい企画を提案されたが判断できない

「SEOに興味がある」のような広い状態ではなく、検索を始める具体的なきっかけまで落とします。

STEP2|検索した瞬間の問いを一文にする

次に、検索した人が頭の中で考えている問いを一文にします。たとえば、「記事を増やしているのに、なぜ問い合わせにつながらないのか」です。この一文が、記事企画で答える中心質問の候補になります。

ポイントは、検索キーワードそのものではなく、キーワードの後ろにある疑問を書くことです。

STEP3|答えを得るために必要な情報を整理する

中心質問が決まったら、その人が判断するために必要な情報を考えます。先ほどの例なら、次のような情報です。

  • 問い合わせにつながらない原因
  • 現状の確認方法
  • 改善すべき記事の見分け方
  • 改善の優先順位

この段階で、記事の主要なH2候補が見えてきます。

STEP4|比較・意思決定の条件を確認する

情報を読んだあと、その人が何を基準に判断するかも設定します。BtoBでは特に、次のような条件が関係します。

  • 自社で対応できるか
  • 上司へ説明できる根拠があるか
  • 費用や工数に見合うか
  • 他の方法と何が違うか

この判断条件が分かると、単なる解説だけではなく、比較表、チェックリスト、事例など、必要なコンテンツ形式を選びやすくなります。

STEP5|記事を読んだ後の行動を決める

最後に、その記事を読んだ人が次に何をできればよいかを設定します。たとえば、次のような具体的な行動です。

  • 自社の記事を点検できる
  • 改善する記事を決められる
  • 社内会議へ持っていく判断材料を整理できる

「理解してもらう」だけで終わらせず、読後の判断や行動まで決めることで、記事のゴールが明確になります。

ペルソナシートは記事企画のどこに転記する?

ペルソナは、作成した時点ではまだ記事になりません。記事企画に使うには、シートの情報を、記事の導入文やH1、H2、比較表などの制作項目へ変換します。

ペルソナで確認した内容を、導入文、記事テーマ・H1、H2、比較表、CTAなどの記事企画へ転記する対応図

図のように、ペルソナの各項目を記事内のどこへ反映するかを対応させると、企画時の判断基準として使いやすくなります。具体的な対応は、次の表のとおりです。

ペルソナで確認したこと 記事企画へ反映する場所
検索を始めたきっかけ 導入文
検索時の中心質問 記事テーマ・H1
答えを得るために必要な情報 H2
現在の知識量 説明の深さ・専門用語
判断基準 比較表・チェックリスト
社内での役割 根拠・費用・事例の見せ方
読後に取りたい行動 まとめ・関連記事・CTA

次に、例で確かめます。たとえば、次のようなペルソナがあったとします。

「BtoB企業のマーケティング担当者。月6本の記事制作を担当している。記事数は増えたが問い合わせが増えず、上司から来期の改善案を求められている。自社の問題がテーマ選定なのか記事品質なのか判断できず、原因の確認方法を検索している」

この人物像なら、記事で必要なのは「オウンドメディアとは何か」という基礎説明ではありません。優先すべきなのは、次の3点です。

  • どこを確認すれば原因を切り分けられるか
  • どの状態なら何を直すか
  • 上司へ説明できる判断材料は何か

この3点が、記事のH2の候補になります。このように、ペルソナの情報によって記事の内容や順番が変わっている状態まで持っていくことが、実務で使えるペルソナ設計です。

BtoBでは検索する人と決裁する人を分けて考える

BtoBのオウンドメディアでは、検索する担当者と最終決裁者が異なる場合があるため、一人のペルソナへすべての役割を詰め込まないようにします。

BtoBのペルソナ設計で、情報を集める担当者、社内で進める責任者、費用を承認する決裁者を分けて考える概念図

たとえば、検索するのはマーケティング担当者でも、次のように役割が分かれていることがあります。

  • 情報を集める担当者
  • 導入を社内で進める責任者
  • 費用を承認する決裁者

記事の主対象は、検索している担当者に置きます。そのうえで、「その担当者が次に誰へ説明するのか」を補足情報として持っておき、その先の社内判断も考慮します。

こうすると、担当者向けには実行手順、責任者向けには判断根拠、決裁者向けには費用やリスクといったように、記事内で必要な情報を整理しやすくなります。

ただし、これはカスタマージャーニー全体を設計することとは異なります。この記事で扱うのは、あくまで一つの記事企画を作るために必要な人物像と検索場面の具体化です。

ペルソナを作った後は3つの観点で検証する

ペルソナは一度作って終わりではありません。記事制作や顧客接点から得られた情報を使って、定期的に見直します。確認するのは、主に次の3点です。

顧客情報、検索データ、記事企画、問い合わせや商談の反応をもとにペルソナを継続的に見直す循環図

図のとおり、実際の検索語句や顧客からの質問を確認しながら、仮説を更新していきます。ペルソナは固定された人物像ではありません。

観点1|実際の検索語句とずれていないか

想定していた言葉と、Search Consoleで確認できる検索語句が大きく違う場合は、検索場面や課題設定を見直します。

観点2|問い合わせや商談の質問とずれていないか

たとえば、ペルソナでは「料金」を重視している想定なのに、実際の商談では「導入後の体制」に関する質問が多い場合は、ペルソナの判断基準を更新する余地があります。

観点3|記事企画の判断に使えているか

3つの中で最も確認したいのは、ペルソナが記事企画の判断に使えているかです。ペルソナを見ても、次の4点が変わらないなら、項目が抽象的すぎる可能性があります。

  • どのテーマを優先するか
  • どこまで詳しく説明するか
  • どんな比較表が必要か
  • 何を具体例にするか

その場合は、「その情報によって記事の判断が変わるか」という最初の基準に戻って、項目を見直します。

ペルソナ設計で避けたい5つの失敗

ここまでの内容を裏返すと、失敗しやすい点は次の5つです。

属性を細かく決めることが目的になる

年齢、家族構成、趣味などを細かく設定しても、記事内容に影響しないなら優先度は低くなります。項目に入れるかどうかは、「記事の判断が変わるか」で決めます。

社内の想像だけで完成させる

営業記録、問い合わせ、検索データなど、実際の接点を少なくとも一つは根拠に使います。

事実と仮説を混ぜる

仮説を事実のように扱うと、その後の記事企画も誤った前提で進む可能性があります。確認済み・仮説・未確認を分けて記録します。

1人のペルソナへ複数の検索場面を詰め込む

「情報収集を始めた人」と「すでに3社を比較している人」では必要な記事が異なります。検索場面が大きく違うなら分けて考えます。

作成後に記事企画へ使わない

ペルソナシートを保存するだけでは成果につながりません。導入、H2、比較表、CTAなどへ具体的に転記します。

実務で使えるペルソナ設計テンプレート

ペルソナを作成するときは、次の形式で整理できます。先に示した9項目を実務向けに組み替えたもので、「知りたいこと」を中心質問と必要な情報に分け、社内の関係者・根拠・確度を加えています。9項目の「検索場面」は、ここでは「検索のきっかけ」に、「次の行動」は「読後の行動」にあたります。

項目 記入内容
対象条件 業種・企業規模・役職
担当業務 現在担当している仕事
達成したいこと 仕事上のゴール
現在の状況 検索前に何が起きているか
課題・不安 何に困っているか
検索のきっかけ なぜ今調べ始めたか
中心質問 最も答えが欲しい問い
必要な情報 判断のために必要な内容
判断基準 何を比較・確認するか
社内の関係者 誰へ説明・相談・承認依頼するか
読後の行動 記事を読んだ後に何をするか
根拠 どの顧客情報・検索データから設定したか
確度 確認済み / 仮説 / 未確認

最初から完璧に埋める必要はありません。確認済みの情報と仮説を分けて作成し、記事制作や営業活動から新しい情報が得られたら更新します。

まとめ

オウンドメディアのペルソナ設計で重要なのは、人物を細かく描写することではありません。「誰が、どんな状況で、何を知るために検索し、何を確認できれば次の判断へ進めるのか」を記事制作の判断基準として共有することが目的です。

実務では、既存顧客の情報や検索データをもとに、対象条件、現在の状況、課題、検索場面、中心質問、判断基準、次の行動まで整理します。そのうえで、検索のきっかけを導入文へ、中心質問を記事テーマへ、必要な情報をH2へ、判断基準を比較表へ転記します。

ペルソナ設計を社内で共通化したい場合は、検索場面・課題・判断基準まで整理できるシートを用意しておくと、企画会議や記事制作で再利用しやすくなります。

最初の一歩として、手元のペルソナシートの項目ごとに、「この情報があることで記事企画の何が変わるか」を確認しましょう。確認できれば、記事テーマの判断を属人化しにくくなります。

ペルソナを記事企画に接続する前提となるゴール設定やテーマ選定は、メディア戦略・コンテンツ企画の全体像で整理しています。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: メディア戦略・コンテンツ企画とは?ゴール設定からテーマ選定・編集方針までを体系的に整理

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