検索順位はほとんど変わっていないのに、SEO経由のクリックだけが減っていませんか。その場合、Google検索の「AIによる概要」(AI Overviews)の表示が影響している可能性があります。
ただし、AI Overviewsが表示された期間と表示されなかった期間のCTRを単純に比べても、原因は判断できません。順位、検索需要、デバイス、指名・非指名(自社名で検索したかどうか)、検索結果ページ(SERP)の変化なども、CTRを動かすためです。
そこで分析では、同一クエリ・同一ページを基本単位にして条件をそろえ、表示されている状態と表示されていない状態のCTR差を見ます。ただし、Search Consoleだけでは表示有無別のCTRを直接取得できないため、通常の検索データに、自分で記録した表示有無のデータを組み合わせる必要があります。
この記事では、AI OverviewsによるSEOクリックへの影響を自社データで測定する手順を、STEP1〜5に沿って説明します。あわせて、結果をどこまで言えるのか、その限界も整理します。
AI Overviewsが表示されると、クリックは減るのか
複数の調査では、AI Overviewsが表示される検索結果は、通常の検索結果と比べてWebサイトへのクリックが少なくなる傾向が確認されています。ここでは、そのうち2つを紹介します。
Ahrefsは、2026年6月の日本の情報収集型キーワードを分析し、検索1位のページについて、AI Overviewsが表示される場合のCTR低下率が62.7%だったと報告しています。これは市場全体の調査であり、すべてのサイトでCTRが62.7%減ることを意味するものではありません。
米国の成人900人のブラウジング行動を分析した2026年の研究でも、AI Overviewsがない検索結果では15%の訪問で外部サイトへのクリックが発生したのに対し、AI Overviewsがある検索結果では8%でした。AI Overviews内で引用された情報源へのクリックは約1%でした。研究者自身も、これは観察研究であり、AI Overviewsがクリック減少の原因だと断定するものではないとしています。
どちらの調査も、自社サイトに同じ程度の影響が出ると示すものではありません。自社でも「AI Overviewsが出たからCTRが下がった」と即断せず、他の条件をできるだけそろえて差を見る必要があります。次の節では、そのために必要なデータを整理します。
Search ConsoleだけではAI Overviews表示有無別のCTRを直接比較できない
2026年8月31日時点で、Google Search Consoleには「生成AIパフォーマンス レポート」が世界向けに展開されています。AI OverviewsやAI ModeなどGoogle検索の生成AI機能でのサイトのインプレッションを確認でき、ページ、国、デバイス、日付などでも分析できます。
一方、この専用レポートで現在提供されている中心指標はインプレッションです。通常の検索パフォーマンスレポートのように、生成AI機能だけのクリック・CTR・平均掲載順位をクエリ単位で自由に切り出せるわけではありません。Googleも今後追加指標を検討する旨を説明しています。
したがって、AI OverviewsによるCTR変化を調べるときは、通常検索データと表示記録を分けて用意し、生成AIパフォーマンス レポートは補助データとして確認します。必要なデータは、次の3種類です。
| データ | 確認する内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Search Console通常検索データ | クエリ、ページ、クリック、表示回数、CTR、平均掲載順位 | SEO成果の測定 |
| AI Overviews表示記録 | クエリごとのAI Overviews表示有無、確認日、デバイス、引用有無 | AI表示条件の分類 |
| 生成AIパフォーマンス レポート | AI機能でのページ別・デバイス別・国別・時系列インプレッション | AI機能内での露出確認 |

表示有無別のCTRは、表の上2つ(通常検索データと表示記録)を組み合わせて計算します。
生成AIパフォーマンス レポートは、表示有無別CTRを直接計算するデータというより、AI機能内で自社サイトがどの程度露出しているかを補助的に確認するデータとして使う方が安全です。
なお、AI検索への対応(AIO)全体の効果を、表示・引用・流入・成果の4段階で整理したい場合は、先にAIOの効果測定とKPI設計を確認してください。
AI OverviewsによるCTR差は「同じ検索条件」で比較する
CTRの比較は、できる限り同一の検索条件で行います。表示有無以外の条件が違うと、CTRの差がAI Overviewsによるものか判断できないためです。最低限、次の条件をそろえます。
- 同一クエリ
- 同一ページ
- 同一デバイス
- 同一国・地域
- 指名検索か非指名検索か
- 近い検索順位
- 近い検索需要
- タイトルやディスクリプションの大きな変更がない期間

図のように、クエリ、ページ、順位などをそろえ、表示有無だけが違う状態で比べると、影響候補を絞り込めます。
たとえば、「AI Overviews CTR」という同じクエリで、PC検索、非指名、平均順位2位前後という条件をそろえます。そのうえで、「AI Overviewsが表示された日」と「AI Overviewsが表示されなかった日」に分けてCTRを比較します。
違うクエリ同士をまとめて比べると、もともとのクリックされやすさの違いが、AI Overviewsの影響として見えてしまう可能性があります。実際、PLAN-Bの調査でも、AI Overviewsが表示されるクエリは、表示される以前からCTRが低い傾向が確認されています。単純に「AI Overviewsありのクエリ」と「なしのクエリ」を比べるだけでは、この違いを除去できません。
次のSTEP1〜5で、この比較を組み立てます。まず対象クエリを固定し(STEP1)、表示有無を記録し(STEP2)、Search Consoleのデータを取得して(STEP3)、順位をそろえて比べ(STEP4)、最後に検索需要とSERP変化を確認します(STEP5)。
STEP1|対象クエリを固定する
最初に、AI Overviewsの影響を調べるクエリ群を固定します。おすすめは、順位が比較的安定していて、一定数以上の表示回数がある非指名クエリから始める方法です。
指名検索は、企業名を知っているユーザーがサイト訪問を目的として検索していることが多く、一般的な情報収集クエリとはCTRの性質が異なります。そのため、次の2つは最初から分けて扱います。
- 非指名クエリ
- 指名クエリ
さらに、ページ単位ではなく「クエリ×ページ」を分析単位にします。同じページでも、検索意図が違えばCTRへの影響は異なるためです。
STEP2|AI Overviewsの表示有無を継続して記録する
次に、対象クエリについて、AI Overviewsが表示されたかどうかを継続して記録します。確認のたびに、次の項目を同じ形式で残します。
| 項目 | 記録例 |
|---|---|
| 確認日 | 2026/09/01 |
| クエリ | AI Overviews CTR |
| デバイス | Desktop |
| 国・地域 | Japan |
| AI Overviews | 表示あり |
| 自社引用 | あり/なし |
| 自社の通常検索順位 | 3位 |
| その他SERP機能 | 動画、強調表示など |
一度だけ検索して「このクエリはAI Overviewsあり」と固定してはいけません。同じクエリでも、AI Overviewsの表示状況は変化する可能性があるためです。7回確認して5回表示された場合は、「AI Overviews表示率71%」のように記録すると、表示有無が不安定なクエリも扱いやすくなります。
この確認日ごとの記録が、STEP3で取得するデータを「表示あり」と「表示なし」に分けるときの手がかりになります。
STEP3|Search Consoleのクリック・表示回数・CTRを取得する
通常のSearch Console検索パフォーマンスから、対象となるクエリとページのデータを取得します。確認する基本指標は次の4つです。
- クリック数
- 表示回数
- CTR
- 平均掲載順位
CTRは、次の式で計算します。
クリック数 ÷ 表示回数
複数日のデータをまとめる場合は、日ごとのCTRを単純平均するよりも、期間全体のクリック数を期間全体の表示回数で割る方が適切です。日によって表示回数が違うと、日別CTRの平均では実際の母数が見えにくくなるためです。
たとえば、次の2つのデータで考えます。1つ目は、2日間の日別CTRがどちらも同じ値になる場合です。
A日:10クリック ÷ 100表示=10%
B日:1クリック ÷ 10表示=10%
2つ目は、B日にクリックがなかった場合です。
A日:10クリック ÷ 100表示
B日:0クリック ÷ 10表示
1つ目では、日別CTRの平均も期間全体のCTRも10%で、差は出ません。2つ目は、日別CTRが10%と0%なので単純平均は5%ですが、期間全体では10クリックを110表示で割った約9.1%になります。表示回数が少ないB日の結果が、単純平均では同じ重さで効いてしまいます。
比較するときは、期間全体のクリック数と表示回数を残してください。
STEP4|順位をそろえてAI Overviewsあり・なしのCTRを比較する
分析表では、AI Overviewsの表示有無だけでなく、順位もそろえます。たとえば、次のように比較します。
| 条件 | AI Overviewsなし | AI Overviewsあり |
|---|---|---|
| 平均掲載順位 | 2.3 | 2.4 |
| 表示回数 | 1,000 | 1,200 |
| クリック | 80 | 48 |
| CTR | 8.0% | 4.0% |

この例示データでは、平均順位に大きな差がないのに、AI Overviews表示時のCTRが8.0%から4.0%へ低下しています。実測結果ではなく、分析方法を説明するための例です。
CTR変化率は、次の式で求められます。
(AI OverviewsありCTR ÷ AI OverviewsなしCTR)-1
この例では、次のようになります。
4% ÷ 8% -1 = -50%
さらに、次の式を計算すれば、AI Overviews表示期間に失われた可能性のあるクリック数を参考値として確認できます。
表示回数 ×(AI OverviewsなしCTR-AI OverviewsありCTR)
ここでの表示回数は、AI Overviewsあり側の表示回数です。この例では、1,200回の表示にCTRの差4.0ポイントを掛けて、48クリックとなります。AI Overviewsなしと同じ8.0%なら96クリックのところ、実際は48クリックだったという差です。
ただし、これは因果効果の確定値ではありません。
「平均掲載順位」だけで順位がそろったと考えない
前の表のように平均掲載順位をそろえて比べるときは、Search Consoleの「平均掲載順位」だけで順位がそろったと考えないでください。理由は、AI Overviews内のリンクの扱いにあります。
Googleは、AI Overviews内にある外部リンクがクリックされた場合もSearch Consoleのクリックとして計上します。また、AI Overview自体が検索結果上の1つの掲載位置を持ち、AI Overview内のリンクには同じ位置が割り当てられます。
そのため、自社ページがAI Overviews内で引用された期間は、Search Console上の「平均掲載順位」の意味が、通常の青色リンクだけの場合と変わる可能性があります。
平均順位が同じでも検索条件が同じとは限らないため、厳密に順位をそろえる分析では、次の3つを分けて記録します。後ろの2つは、STEP2の記録表にある「自社の通常検索順位」と「自社引用」が当たります。
- Search Consoleの平均掲載順位
- 実際の通常検索順位
- AI Overviews内での自社引用有無
STEP5|検索需要とSERP変化を確認する
CTRが下がっていても、AI Overviews以外の要因が動いている場合があります。最低限、次の変化を確認します。
- 表示回数が急増・急減していないか
- 通常検索順位が変わっていないか
- タイトルを変更していないか
- 検索意図が季節要因で変化していないか
- 動画や画像など別のSERP機能が増えていないか
- 広告表示が変わっていないか
- 自社がAI Overviewsの引用元になったか

図のとおり、CTR低下が見つかってもAI Overviewsだけを原因とせず、順位・検索需要・タイトル変更・SERP変化を順に確認します。
CINCが日本国内BtoBサイトの非指名クエリ11万4,391件を分析した調査では、AI Overviewsの表示が拡大した前後で1〜6位のCTRに統計的に有意な低下が確認されています。
一方、この分析は「同一クエリでAI Overviewsだけをオン・オフした実験」ではありません。検索環境全体の変化も含まれるため、自社分析では可能な限り条件を細かくそろえる必要があります。
より厳密に調べるには、AI Overviewsが出ないクエリを「対照クエリ」として置く
より厳密に分析したい場合は、AI Overviewsが表示されるクエリだけでなく、同じ期間にAI Overviewsが表示されなかったクエリも、比較の基準となる「対照クエリ」として残します。
たとえば、AI Overviewsが表示されるクエリのCTRが20%低下し、同じ期間の対照クエリも10%低下しているとします。この場合、20%すべてをAI Overviewsの影響と考えるのは危険です。サイト全体、Google検索全体、季節性などの影響が含まれている可能性があるためです。
AI Overviews固有の影響候補として見るのは、20%と10%の差の部分です。このように、AI Overviewsが表示されるクエリの変化と対照クエリの変化の差を見ることで、影響候補をさらに絞り込めます。対照クエリの置き方や観測期間を含むSEO施策全体の効果検証設計は、SEO施策の効果検証を設計する方法で詳しく整理しています。
CTRだけでなくクリック数と指名検索も分けて見る
最終的なSEO成果は、CTRだけでは判断できません。最低限、次の指標を並べて確認します。
- CTR
- クリック数
- 表示回数
- 通常検索順位
- AI Overviews表示率
- AI Overviews引用有無
- 指名検索の表示回数・クリック
AI Overviewsによって非指名クエリのCTRが下がっていても、検索結果上で企業名を知ったユーザーが後から指名検索している可能性もあります。ただし、指名検索の増加をAI Overviewsの効果と直接結びつけることはできません。そのため指名検索は補助指標とし、時系列で変化を確認します。
どんな状態なら、AI Overviewsの影響と判断しやすいか
AI Overviewsによるクリック変化の可能性が比較的高くなるのは、次の8つの条件が同時にそろっている場合です。
| 確認項目 | 状態 |
|---|---|
| クエリ | 同一 |
| ページ | 同一 |
| デバイス | 同一 |
| 通常検索順位 | ほぼ同じ |
| 検索需要 | 大きな変化なし |
| タイトル | 大きな変更なし |
| AI Overviews | 表示有無に差 |
| CTR | 表示時だけ低下 |
条件をそろえるほど、「順位が落ちたから」「検索需要が減ったから」といった別の説明を減らせます。それでも観察データである以上、因果関係は断定せず、「AI Overviews表示時にCTR低下が観察された」「他の主要条件をそろえても差が残った」という範囲で評価します。
まとめ
AI OverviewsによるSEOクリックへの影響は、サイト全体のクリック数だけを見ても判断できません。同一クエリ・同一ページを基本単位にし、デバイス、国、指名・非指名、通常検索順位、期間などをそろえたうえで、AI Overviews表示有無によるCTR差を比較してください。
特に押さえておきたいのは、Search Consoleの生成AIパフォーマンス レポートだけではAI Overviews表示有無別のCTRを直接取得できない点です。通常のSearch Consoleデータと、クエリごとのAI Overviews表示記録を組み合わせ、「順位は変わっていないのに、AI Overviews表示時だけCTRが下がっているのか」を確認します。
分析結果は、因果関係ではなく観察結果として扱います。SERPの変化、検索需要、引用の有無など、CTRに同時に影響する他の要因も一緒に記録することで、SEO流入減少の原因をより正確に切り分けられます。
最初の行動として、STEP1で対象クエリを固定し、STEP2の表の形でAI Overviewsの表示有無の記録を始めましょう。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
・Google Search Central「Introducing Search Generative AI performance reports in Search Console」2026年6月3日。生成AIパフォーマンス レポートの提供指標と対象機能の確認に使用。
・Google Search Console Help「生成 AI パフォーマンス レポート(検索)」。AI Overviews・AI Modeの生成AIインプレッション、ページ・国・デバイス・日付別データの仕様確認に使用。
・Google Search Console Help「What are impressions, position, and clicks?」。AI Overviews内のクリック・インプレッション・掲載順位の計測仕様確認に使用。
・Ahrefs「AI概要でGoogle検索1位のCTRが半年で激減、日本クリック率が−62.7%に減少」2026年7月21日。日本市場におけるCTR調査の参考として使用。
・Athena Chapekisほか「Investigating Click Behaviors On Google Search Result Pages That Produce an AI Overview」2026年。AI Overviews表示時の検索ユーザー行動と研究上の限界の確認に使用。
・株式会社CINC「AI Overviews表示急増に伴うCTR変動調査」2025年5月30日。日本国内BtoBサイトの順位別CTR比較の参考として使用。
・株式会社PLAN-B「AI Overviews導入前後のCTR変動を定量分析した最新調査レポート」2025年6月17日。AI Overviews対象クエリの元々のCTR差と分析上の注意点の参考として使用。
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