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採用KPIの目標値の決め方|採用人数から応募・面接・内定数を逆算する方法

部署:人事・採用担当者レベル:実践KPI、採用採用改善
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採用KPIの目標値の決め方|採用人数から応募・面接・内定数を逆算する方法

採用KPIの目標値の決め方を、採用改善の効果測定の全体像や前提から確認したい場合は、「採用改善の効果測定は何をどう見ればいい?指標体系とPDCAの全体像」を参照してください。

採用KPIの目標値を、一般的な平均値から決めていないでしょうか。平均値を先に置くと、自社の職種や選考の実態に合わない数字になるおそれがあります。

目標値は、「いつまでに何人採用するか」から、内定、面接、応募へ順に割り戻して決めます。逆算に使う歩留まり(前の段階の人数のうち、次の段階へ進んだ人の割合)は、職種ごとの自社実績を、同じ分母・同じ期間で計算して使います。母数が少ない場合は、単一の値ではなく下限・基準・上限のレンジで持つと運用しやすくなります。

本記事は、求人媒体・スカウト・人材紹介・SNSの選び方や予算配分ではなく、採用人数から応募・面接・内定の必要数を計算し、月次で不足量を再計算する方法に範囲を限定します。チャネル別の予算増減は扱いません。読み終えると、逆算の式、歩留まりの作り方、月次の再計算、確認用のチェックリストまでを自社の職種に当てはめられます。

最初に「採用」の終点と歩留まりの分母を固定する

この節では、逆算式を作る前に決めておく2つのこと、つまり目標の終点と、歩留まりの分母を扱います。

まず、最終目標を「内定承諾」までとするのか、「実入社」までとするのかを決めます。承諾後に辞退がある企業で実入社数を目標にする場合は、承諾後入社率も逆算に含めます。

次に、歩留まりを計算する母集団をそろえます。ここでは、応募した時期が同じ候補者をひとまとめにしたグループを、コホートと呼びます。

歩留まりは、同じ母集団を追って計算するのが基本です。例えば「6月の面接数 ÷ 6月の応募数」では、5月応募者が6月に面接していると分子と分母がずれます。目標設定用の歩留まりは、応募日を起点にしたコホートで「その応募者が最終的にどこまで進んだか」を集計します。

次の表は、逆算に使う指標ごとに、定義と分母を固定するときのルールをまとめたものです。

指標定義分母の固定ルール
応募数対象職種に応募したユニーク候補者数重複応募・再応募をどう数えるか決める
応募→面接到達率面接実施者数 ÷ 応募者数同じ応募コホートで計算
面接数実施した面接人数面接設定と面接実施を混同しない
面接→内定率内定者数 ÷ 面接実施者数最終判定まで完了した同じ母集団
内定数正式に内定を提示した人数口頭打診を含めるか固定
内定承諾率承諾者数 ÷ 内定者数回答期限を過ぎた未回答の扱いを固定
承諾・入社数承諾者数または実入社者数KGIの終点をどちらかに固定

率の行は分母を同じ母集団にそろえ、数の行は何を1件と数えるかを先に決めておきます。この定義がそろうと、月ごとの数字を同じ基準で比べられます。

母数が少ない職種では、次の点も先に決めておきます。

0件と欠損は分ける
分母が0件の率は0%ではなく「算出不可」です。母数が少ない職種は、社内ルールとして「分母10未満は参考値」などのフラグを付け、単月率だけで目標値を更新しないようにします。

逆算式一覧:採用人数から応募数まで割り戻す

この節では、採用人数から応募数までを、同じ形の式で順に割り戻します。基本は、必要な後工程の人数を、その一つ前の工程からの通過率で割るだけです。人数は不足を避けるため、実務上は切り上げて管理します。

次の表は、求める数ごとに計算式と率の意味を並べたものです。上の行の結果を下の行の式に使うので、上から順に計算します。

求める数計算式率の意味端数
必要承諾数採用目標数 ÷ 承諾後入社率承諾者のうち期限内に入社する割合。承諾をKGIにする場合は不要切り上げ
必要内定数必要承諾数 ÷ 内定承諾率内定者のうち承諾した割合切り上げ
必要面接数必要内定数 ÷ 面接→内定率面接実施者のうち内定した割合切り上げ
必要応募数必要面接数 ÷ 応募→面接到達率応募者のうち面接実施まで進んだ割合切り上げ

必要内定数 = 採用目標 ÷ 内定承諾率

採用目標が3人、内定承諾率が75%なら、必要内定数は3 ÷ 0.75 = 4人です。承諾後の入社辞退をKPIに含める場合は、その前に「必要承諾数 = 採用目標 ÷ 承諾後入社率」を置きます。

必要面接数 = 必要内定数 ÷ 面接→内定率

必要内定数4人、面接→内定率40%なら、必要面接数は4 ÷ 0.40 = 10人です。面接が複数回ある会社は、一次面接、最終面接など段階を追加して同じ考え方で割り戻します。

必要応募数 = 必要面接数 ÷ 応募→面接到達率

必要面接数10人、応募→面接到達率50%なら、必要応募数は10 ÷ 0.50 = 20人です。応募から面接までに書類選考や面接設定を分けている場合は、その段階ごとの率を追加すれば、どこに必要数が集中しているか見えやすくなります。

ここまでの式を、1つの職種で通しで計算してみます。

1職種を通しで逆算する計算例

recruitment kpi measurement 2

採用目標から内定・面接・応募へ必要数を逆算する図です。数値は計算例です。

例として、3人の入社を目標にし、承諾後入社率100%、内定承諾率75%、面接→内定率40%、応募→面接到達率50%とします。

段階計算必要数
入社目標3人
承諾3 ÷ 1.003人
内定3 ÷ 0.754人
面接4 ÷ 0.4010人
応募10 ÷ 0.5020人

3人の入社を目標にすると、承諾3人、内定4人、面接10人、応募20人が必要という結果になります。この20人は「必要応募数の初期目標」です。実際の運用では、職種別の過去実績、募集条件の変更、選考期間、母数の大きさによって歩留まりが変わります。そのため、毎月同じ率を固定せず、更新ルールを決めておきます。次の節で、歩留まりを過去実績からどう作るかを見ていきます。

過去実績から歩留まりを作るときの4つのルール

過去実績から歩留まりを作るときは、次の4つのルールを守ります。

  1. 職種を混ぜない。営業職とエンジニア職など、選考難易度が違う母集団は合算しません。
  2. コホートをそろえる。応募月を起点に、最終結果が判明した候補者だけで率を作ります。
  3. 期間をそろえる。直近3〜6か月を基準にし、採用周期が長い場合は6〜12か月へ広げます。
  4. 定義変更を記録する。選考フロー、応募要件、面接回数を変えた場合は、変更前後を同じ率として混ぜません。

チャネル別のデータは分析切り口として残しても構いませんが、本記事の目標値は職種単位で作ります。必要応募数を求人媒体・スカウト・紹介へ割り振ったり、予算を増減したりする判断は別工程です。

サンプルが少ないときは「下限・基準・上限」のレンジで置く

採用数が少ない職種では、1人の増減で率が大きく動きます。単月の歩留まりをそのまま次月の目標値にすると必要応募数も大きくぶれるため、3つのシナリオを持ちます。

次の表は、3つのレンジについて、率の置き方と使い方をまとめたものです。

レンジ率の置き方使い方
下限直近の悪化局面や過去の低い水準を参考に保守的に設定必要数を多めに見積もる計画
基準直近3〜6か月または完了コホートの中央値・代表値通常の月次計画
上限改善が継続した期間の高い水準達成できた場合の余力確認。予算前提にはしない

母数が十分ある場合は、月別・四半期別の歩留まり分布から、25パーセンタイル(小さい方から数えて全体の25%にあたる値)・中央値・75パーセンタイルなどを使う方法もあります。母数が少ない場合は、統計的な精密さを装わず、「計画用シナリオ」として率を置き、実績が増えたら更新します。

レンジの根拠に外部の平均値を使いたくなる場合は、次の点に注意します。

一般平均は仮説に留める
外部の平均値は、自社実績がゼロのときの仮置きには使えますが、職種・地域・雇用条件・選考フローが違えばそのまま目標値にはできません。自社コホートが蓄積したら置き換えます。

月次の「必要残数」を再計算する方法

年度初めの必要応募数を固定したままでは、採用が進んだ後の不足量が分かりません。そこで、月末または週次で、残り採用数と現在の選考在庫(すでに選考中で、期限内に結果が出る見込みの候補者)を使って、追加で必要な内定・面接・応募を再計算します。

例として、残り採用目標が2人、内定承諾率75%、面接→内定率40%、応募→面接到達率50%とし、回答待ち内定が1人、判定待ち面接が2人、書類通過済みで面接前の候補者が2人いるとします。すべて期限内に結果が出る見込みの候補者だけを「現在の在庫」として差し引きます。

次の表の ceil は切り上げを表します。内定の行は残り採用目標から割り戻し、面接と応募の行は、前の行の「追加で必要」の数から割り戻しています。

段階必要総数現在の在庫追加で必要
内定ceil(2 ÷ 0.75) = 3回答待ち内定 12内定
面接ceil(2 ÷ 0.40) = 5判定待ち面接 23面接
応募ceil(3 ÷ 0.50) = 6面接前候補 24応募

この例では、追加で必要なのは内定2、面接3、応募4です。計算で気をつけたいのは、別段階の在庫を二重に差し引かないことです。回答待ち内定者は内定段階、判定待ち面接者は面接段階、面接前候補者は応募段階として、それぞれ一度だけ計上します。期限を越える候補者や辞退確度が高い候補者を機械的に在庫へ含めると、必要数を過小評価します。

月次レビューは「不足している段階」を先に特定する

月次レビューでは、採用単価やチャネル予算を先に触るのではなく、逆算した必要数と実績の差から、どの段階が未達かを見ます。

次の表は、症状ごとに、見るKPIと最初に確認することを対応させたものです。

症状

見るKPI

最初に確認すること

応募が必要数に届かない

必要応募数と実応募数の差

求人の露出、求人票の訴求、募集条件、公開状況

応募は足りるが面接が不足

応募→面接到達率

要件の厳しさ、初回連絡速度、日程調整、候補者辞退

面接は足りるが内定が不足

面接→内定率

募集要件と評価基準の一致、面接評価のばらつき

内定は足りるが承諾が不足

内定承諾率

条件、選考期間、オファー説明、候補者の懸念

承諾は足りるが入社が不足

承諾後入社率

入社日までのフォロー、辞退理由、入社時期

上の段階から順に足りているかを見ると、最初に手を打つ段階の目安になります。

採用KPI逆算テンプレートに入力する項目

逆算テンプレートには、次の項目を入力します。

  • 職種
  • 採用目標人数
  • 採用期限
  • KGIの終点(内定承諾または実入社)
  • 応募→面接到達率
  • 面接→内定率
  • 内定承諾率
  • 必要に応じて承諾後入社率
  • 現在の選考在庫
  • 各歩留まりの集計期間・コホート条件

これらを同じ定義でそろえることで、初期の必要数と月次の必要残数を同じ式で再計算できます。採用単価、媒体別予算、チャネル配分はこのテンプレートの入力項目に含めず、必要数が確定した後の別工程で扱います。

採用KPI目標値の確認チェックリスト

目標値を決めたら、次の10項目で確認します。

  • 採用目標に職種・人数・期限が入っている
  • KGIが内定承諾か実入社か決まっている
  • 歩留まりの分子・分母を同じコホートで集計している
  • 分母0件を0%として扱っていない
  • 母数が小さい職種に参考値フラグがある
  • 採用人数から内定・面接・応募を逆算している
  • 職種別に目標値を分けている
  • 下限・基準・上限の3レンジを持っている
  • 月次で必要残数と現在の選考在庫を再計算している
  • チャネル予算配分を各段階の目標値の計算と混同していない

まとめ:まず終点と職種別の歩留まりを決める

採用KPIの目標値は、採用人数と期限から、職種別の歩留まりで内定・面接・応募へ逆算して決めます。分母0件や少数サンプルは明示し、月次で残り採用数と現在の選考在庫を差し引いて必要残数を再計算します。最初の一歩は、目標の終点(内定承諾か実入社か)と、歩留まりの分母・集計期間を決めることです。予算配分や採用チャネルの増減は、必要数が見えた後の別工程として判断します。

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