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口コミを信頼する条件を調査する方法|件数・新しさ・具体性・星分布・返信・写真を比較

部署:マーケティング担当者部署:広報・PR担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
口コミを確認する担当者と「口コミは何を信じる?6つの条件を比較」という文字を組み合わせたアイキャッチ

口コミ対策では、平均評価や口コミ件数を上げても、それだけで来店・購入を検討する人の信頼が得られるとは限りません。検討中の人は、件数のほか、新しさ、内容の具体性、星評価の分布、企業からの返信、写真など、複数の情報を合わせて見ています。

では、どの情報が信頼を動かしているのかを、どう調べればよいのでしょうか。「口コミは何件ほしいですか」と一項目ずつ尋ねるだけでは、どれも大切だという答えが並び、優先順位が見えません。有効なのは、同じ店舗・商品について条件だけを変えた口コミを見比べてもらい、どの条件で信頼度が動くかを測る方法です。

この記事では、口コミ分析・店舗運営・ブランド担当者の方に向けて、6つの条件をユーザー調査で比較する手順と、結果から自社の改善の優先順位を決める考え方を解説します。

口コミの信頼条件は、重要度を聞くのではなく、条件を変えたときの信頼度差で調べる

口コミの信頼条件は、「口コミで何を重視しますか」という質問だけで調べ終えないことが出発点です。この調査は、口コミ分析のうち、閲覧者が何を信頼材料にしているかを検証する方法にあたります。口コミで何を見て、どう改善へつなげるかの全体像は「口コミ分析とは?」で整理しています。

回答者に重要な項目を直接尋ねると、「口コミ件数」「新しい口コミ」「具体的な内容」のように、どれも大切そうな項目に回答が集まりやすくなります。一方、実際に口コミを見る場面では、複数の情報が同時に表示されています。項目ごとの重要度を並べても、どの情報が判断を動かしたのかは分かりにくいのです。

そこで実務では、同じ店舗・商品を想定した口コミ画面を用意し、件数や投稿時期など一つの条件だけを変えて信頼度を比較します。比較する組み合わせの例は次のとおりです。

  • 口コミ8件と80件
  • 最新口コミが10か月前と2週間前
  • 抽象的な感想と具体的な体験内容
  • 同じ平均評価でも星が二極化した状態と安定した分布
  • 企業返信なしと返信あり
  • 利用者写真なしと写真あり

それぞれで「条件Bの方が信頼度が何点高かったか」を確認すれば、単なる意識調査ではなく、ユーザーの判断を動かす条件として優先順位を付けられます。

「口コミを信頼する」を4つの測定項目に分けて決める

調査を始める前に、何をもって「信頼」とするかを決めます。口コミを信頼すること、参考にすること、店舗に好感を持つこと、来店したいと思うことは似ていますが、同じものではありません。そこで調査では、表の4項目、つまり口コミへの信頼度、代表性、判断への有用性、利用意向に分けて測ります。

測定項目 確認すること
口コミへの信頼度 この口コミ群は信用できそうか
代表性 実際の利用者全体の評価を反映していそうか
判断への有用性 店舗・商品を選ぶ材料として使えるか
利用意向 この情報を見た上で来店・購入したいか

中心指標は「口コミ群への信頼度」に固定します。これは表の「口コミへの信頼度」にあたり、表示された口コミ全体を信用できそうかを尋ねるものです。そのうえで、代表性や利用意向を副指標として測ります。

この分け方をしないと、「口コミは信頼しているが自分には合わないので選ばない」という回答と、「口コミそのものを信用できない」という回答が混ざります。信頼が低いのか、合わないだけなのかを区別できなくなるため、先に分けておきます。

比較する6条件は、件数・新しさ・具体性・星分布・企業返信・写真

この節では、調査で比較する6条件を確認し、各条件について既存の調査や研究が何を示しているかを見ます。口コミへの信頼は一つの指標だけでは判断できないため、6条件を分けて比較すると、何が信頼判断を動かしているのか確認しやすくなります。

口コミへの信頼を左右する件数・新しさ・具体性・星分布・企業返信・写真の6条件を整理した図

調査候補として優先したい6条件と、それぞれで確認することは次の表のとおりです。

条件 比較例 調査で確認すること
件数 8件 / 80件 母数が増えると信頼度が変わるか
新しさ 最新10か月前 / 2週間前 最近の体験情報が必要か
具体性 抽象的 / 具体的 詳しい体験内容が信頼につながるか
星分布 二極化 / 安定 平均点以外の評価構成を見るか
企業返信 なし / あり 企業側の説明が信頼判断を変えるか
写真 なし / あり 視覚的な体験情報が判断材料になるか

国内603人を対象としたCapterraの2022年調査では、製品・サービスを信頼するのに必要なレビュー件数として「6〜20件」が37%で最多でした。また、本物のレビューを判断するポイントでは「長所と短所をバランスよく評価している」が47%、「ネガティブなレビューもある」が43%でした。企業からの返信を読む人も71%いました。

一方、Houzzの調査では、レビューを見る際に「評価の新しさ」を確認する人が58%、「評価の高さ」が57%でした。

ここで注意したいのは、調査ごとに結果が同じではないことです。Capterraの日本調査では、投稿時期を「特に気にしない」という回答が31%で最多でした。新しさの重みは調査によって異なるため、「最近の口コミほど必ず信頼される」と決めつけず、自社の顧客層で確認する必要があります。

件数は「多いほど良い」と決めつけず、信頼が変わる境目を見る

米国のインターネット利用者1,207人を対象とした実験では、評価情報の量が多い条件ほど、ユーザー生成情報への信頼・依存・確信が高まる関係が確認されています。

ただし、自社調査で確かめたいのは、件数を無限に増やせば信頼が上がり続けるかどうかではありません。たとえば8件、30件、80件など複数の段階を比較し、どこから信頼度の上昇が小さくなるかを見ます。この境目が分かれば、口コミ獲得目標へ落とし込みやすくなります。

新しさと具体性は別々に測定する

「最近投稿された詳しい口コミ」と「古くて短い口コミ」を比べても、差が新しさによるのか具体性によるのか分かりません。そのため、調査では一度に変える条件を一つにします。

複数の研究結果をまとめて分析するメタ分析では、口コミの有用性にレビューの深さやレビュー時期など複数の要素が関係する一方、プラットフォームや商品種類によって結果が変わることも示されています。自社の商品・店舗でも同じ結果になるとは限らないため、条件を分けて検証します。

星分布は平均評価を同じにして比較する

星分布を調べるときは、平均評価を同じに保ち、内訳だけを変えます。平均評価まで動くと、差が分布の形によるのか平均点によるのか分からなくなるためです。

たとえば口コミ100件、平均4.2という条件を固定して、次の2つの分布を比較できます。まず分布Aです。

星分布A 件数
星5 80
星4 0
星3 0
星2 0
星1 20

次に分布Bです。

星分布B 件数
星5 40
星4 40
星3 20
星2 0
星1 0

どちらも平均は4.2ですが、Aは星5と星1に評価が分かれた二極化、Bは星3〜5に集まった分布です。

平均評価4.2が同じでも二極化した星分布と安定した星分布では内訳が異なることを比較した図

図のように、平均評価が同じ4.2でも評価の内訳は大きく異なります。そのため、星分布は平均評価とは独立した条件として比較する価値があります。

Amazon上の10,198件、516商品のレビューを分析した研究では、評価のばらつきが小さい場合、平均評価が集合的な評価として信頼されやすい一方、ばらつきが大きい場合には個別レビューを詳しく確認する行動につながることが示されています。平均評価だけではなく「分布の形」が信頼判断を変える可能性があるため、独立した条件として調べます。

企業返信は「返信率」ではなく、返信を見た人の信頼変化を測る

企業返信については、返信があるかどうかだけでなく、返信を読んだ結果、企業への信頼がどう変化したかを測ります。

ホテルの口コミを使った実験研究では、企業からの返信がない場合より返信がある場合の方が、見込み客が企業の信頼性や顧客への配慮を高く推測しました。また、人間らしい表現や迅速な返信も好意的な評価につながっています。

ただし、この調査の目的は「低評価口コミへの最適な返信文を決めること」ではありません。企業返信の有無や内容が、口コミ群全体への信頼判断にどの程度影響するかを比較するところまでにとどめます。

写真は「ある・ない」だけでなく、実体験を補強しているかを見る

2026年のJournal of Marketing Research掲載研究では、6つの研究とAmazon・Yelpのフィールドデータを通じて、ユーザー生成写真の質がレビューの有用性や投稿者への信頼と関係することが示されています。

この研究を踏まえ、「写真が1枚あれば信頼される」と単純化せず、写真の中身も確認候補にします。確認候補は次のとおりです。

  • 実際の利用状況が分かるか
  • 口コミ本文と写真が対応しているか
  • 過度に広告的に見えないか

調査は「単独条件比較」と「組み合わせ比較」の2段階で行う

6条件を一度に変えてしまうと、何が信頼度を動かしたのか分かりません。そこで、最初に一条件ずつ比較し、その後に複数条件を組み合わせます。STEP1〜2で対象者とモックを整え、STEP3〜5で一条件ずつ比較し、STEP6で組み合わせを確認する流れです。

口コミの一条件だけを変えて信頼度差を測定し、その後に複数条件を組み合わせる調査フロー

図のように、まず一つの条件だけを変えて影響を分けて確認し、その後に複数条件を組み合わせて実際の閲覧環境に近づけます。

STEP1|調査対象を実際の見込み客に近づける

対象者は、一般消費者を広く集めるより、自社の商品・店舗を実際に検討する人へ近づけます。口コミを普段ほとんど見ない人を大量に含めると、実際の来店候補者とは異なる結果になる可能性があるためです。

たとえば飲食店なら「過去6か月以内にGoogleマップ等で飲食店を探した人」、美容院なら「美容院選びで口コミを確認した経験がある人」のように条件を設定します。

STEP2|同じ店舗・商品を使ったモックを作る

調査用に、架空の店舗や商品を一つ用意します。モック(調査で見せる見本画面)の中で、調査対象ではない次の情報はできるだけ固定します。

  • 店名
  • 価格
  • 商品内容
  • 平均評価
  • 口コミ本文
  • 写真
  • 企業情報

実在ブランドを使うと、その企業への既存イメージが結果へ混ざるため、架空の店舗や商品にします。

STEP3|一つの条件だけを変えた2パターンを見せる

たとえば件数を調べるなら、次の2パターンを用意し、その他の条件をそろえます。

  • A:平均4.2、口コミ8件
  • B:平均4.2、口コミ80件

新しさを調べるなら、件数や星分布を固定し、最新投稿の日付だけを変更します。

STEP4|信頼度を同じ尺度で回答してもらう

各パターンについて、たとえば0〜10点で次を回答してもらいます。

  • この口コミ群をどの程度信頼できると思いますか
  • 実際の利用者の評価を反映していると思いますか
  • 店舗選びの参考にしたいと思いますか
  • 不自然・操作された口コミだと感じますか
  • この店舗を候補として残したいと思いますか

中心指標である口コミ群への信頼度は、毎回同じ質問で尋ねます。そうすると、6条件を横並びで比較できます。

STEP5|条件ごとの「信頼度差」を出す

もっとも単純な比較方法は、次の式で信頼度差を出すことです。

条件による信頼度差 = 条件Bの平均信頼度 − 条件Aの平均信頼度

次の数値は、計算の見方を示すための仮の例で、実測結果ではありません。

条件 信頼度差
件数 +1.4
新しさ +0.8
具体性 +1.9
星分布 +1.1
企業返信 +0.6
写真 +0.4

この例のような結果なら、少なくとも今回の調査条件では「具体性」と「件数」の差が大きかったと判断できます。

STEP6|最後に複数条件を組み合わせる

単独比較で影響が大きかった条件は、実際の口コミ閲覧に近い状態でも確認します。単独では効果があっても、別の情報と一緒に表示すると影響が小さくなる条件もあるためです。組み合わせの例は次のとおりです。

  • 件数が多い+最近の口コミが多い
  • 件数が多い+内容が抽象的
  • 星分布が安定+企業返信あり
  • 写真あり+具体的な本文

調査結果は「信頼への影響×自社の不足×改善可能性」で優先順位を決める

調査で信頼度への影響が大きかった項目を、そのまま改善の順位にはしません。自社がすでに十分満たしている条件は、改善余地が小さいためです。そこで、次の3軸で整理します。

口コミ改善の優先順位を信頼への影響・自社の不足・改善可能性の3軸から判断する図

調査で差が大きかった条件だけではなく、自社の不足と改善可能性まで重ねて施策の優先順位を決めます。3軸の意味は次の表のとおりです。

評価軸 意味
信頼への影響 条件を変えたとき信頼度がどれだけ動いたか
自社の不足 現在の口コミがその条件を満たしていないか
改善可能性 自社の運用で改善できるか

たとえば「新しさ」の影響が大きく、自社では半年以上新規口コミがほとんどないのであれば、優先度は高くなります。

一方、「星分布」の影響が大きくても、評価分布そのものを人為的に操作するべきではありません。顧客体験を改善し、その結果として自然な評価を蓄積する必要があります。Googleのポリシーでは、Googleマップで実体験に基づかない口コミ、インセンティブ付き口コミ、特定評価への誘導、否定的口コミを避けて肯定的口コミだけを集める行為などが禁止されています。

調査結果は、評価を操作する方法ではなく、ユーザーが信頼を判断する際に不足している情報を把握し、顧客体験と口コミ運用を改善するために使います。

調査結果を見るときの5つの注意点

結果を読むときは、次の5点に注意してください。

  1. 「信頼できる」と「選びたい」を分けます。信頼できる低評価口コミを読んだ結果、来店しないこともあります。
  2. 口コミ媒体を混ぜすぎないようにします。Googleマップ、ECサイト、求人口コミでは、閲覧目的も表示形式も異なります。
  3. 一度に複数の条件を変えません。原因を特定できなくなります。
  4. 年代や利用頻度などの細かい属性差を、回答数が少ない状態で断定しません。まず全体傾向を確認し、その後に十分な回答が得られた区分だけを比較します。
  5. 海外研究の結果をそのまま日本市場の結論にしません。既存研究は調査対象、サービス、国、商品カテゴリーが異なるため、自社調査の仮説を作る根拠として使用します。

口コミの信頼条件調査で確認するチェックリスト

調査を設計するときは、次を確認してください。

  • 中心指標を「口コミ群への信頼度」に固定した
  • 件数、新しさ、具体性、星分布、返信、写真を分けた
  • 比較する条件以外はできるだけ同じにした
  • 実在ブランドへの先入観を除いた
  • 見込み客に近い回答者を対象にした
  • 信頼度と来店・購入意向を分けて測った
  • 一条件ずつ比較した後に組み合わせを確認した
  • 全体結果と属性別結果を分けた
  • 自社の現状とのギャップを確認した
  • 口コミの不正操作につながる施策へ転用していない

まとめ|まず条件を一つだけ変えた比較から始める

企業側が重要だと思っている指標と、実際の来店・購入候補者が信頼材料にしている情報は、一致しているとは限りません。そのため、ユーザーが口コミを信頼する条件を調べるときは、「口コミで何を重視しますか」というアンケートだけで終えません。件数、新しさ、具体性、星分布、企業返信、写真について、他の条件を固定した比較パターンを用意し、口コミ群への信頼度がどれだけ変わるかを測ります。

さらに、信頼への影響に「自社で不足しているか」「改善可能か」を重ねると、口コミ対策の優先順位に落とし込めます。

最初の一歩は、気になる条件を一つ選び、それ以外を固定した2パターンの口コミ画面で信頼度を比べることです。ユーザーが口コミをどう読み、何を根拠に信頼しているかまで確認すると、平均評価や件数だけでは見えない改善点が分かります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Capterra「顧客の意見を恐れるな!消費者調査で分かったカスタマーレビューに対する意識」2022年5月11日。国内603人を対象としたオンラインレビュー利用・信頼条件調査。 URL: https://www.capterra.jp/blog/2706/consumer-attitudes-towards-online-reviews
  • Houzz Pro「集客に欠かせない『レビュー』の秘訣とは?」Houzz & Home Surveyのレビュー閲覧条件を参照。 URL: https://pro.houzz.jp/pro-learn/blog/reviews-a-key-tool-for-enhancing-your-credibility
  • Google「禁止または制限されているコンテンツ」。Googleマップにおける虚偽のエンゲージメント、インセンティブ付き口コミ、評価操作等のポリシーを参照。 URL: https://support.google.com/contributionpolicy/answer/7400114?hl=ja
  • Flanagin, A. J. & Metzger, M. J. (2013), “Trusting expert- versus user-generated ratings online: The role of information volume, valence, and consumer characteristics,” Computers in Human Behavior, 29(4), 1626-1634. DOI: 10.1016/j.chb.2013.02.001. URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0747563213000575
  • Hong, H., Xu, D., Wang, G. A. & Fan, W. (2017), “Understanding the determinants of online review helpfulness: A meta-analytic investigation,” Decision Support Systems, 102, 1-11. DOI: 10.1016/j.dss.2017.06.007. URL: https://iro.uiowa.edu/esploro/outputs/journalArticle/Understanding-the-determinants-of-online-review/9984083238602771
  • Lee, S., Lee, S. & Baek, H. (2021), “Does the dispersion of online review ratings affect review helpfulness?” Computers in Human Behavior, 117, 106670. DOI: 10.1016/j.chb.2020.106670. URL: https://research.knu.ac.kr/en/publications/does-the-dispersion-of-online-review-ratings-affect-review-helpfu/
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