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低評価口コミを見たユーザーが何を不安に感じるかを調査する方法|内容・返信・比較行動を可視化

部署:マーケティング担当者部署:広報・PR担当者レベル:実践口コミ分析口コミ対策、レピュテーション管理
低評価口コミを見たユーザーがスマートフォンで口コミや他店情報を確認し比較している様子

低評価口コミを分析するとき、「どんな不満が書かれているか」を集計するだけでは、集客への影響までは分かりません。知りたいのは、来店候補者・購入検討者がその口コミを読んだ後に何を不安に感じ、企業の返信や公式情報を確認し、競合と比較したうえで、候補に残すのか、離脱する(候補から外す)のかという意思決定の流れです。

そこで調査では、低評価口コミを起点に「不安→追加確認→返信の評価→競合比較→最終判断」を一続きで取得します。アンケートで全体の傾向を測り、インタビューで判断の理由を掘り下げ、必要に応じて同じ口コミに異なる返信を組み合わせた比較調査を行うと、どこで信頼を失い、どこなら回復できるのかを特定しやすくなります。

読み終えると、調査で何を聞き、どう集計し、結果をどの改善につなげるかを決められるようになります。

低評価口コミの影響は「読んだ後の行動」まで追わないと分からない

低評価口コミの調査で最初に見るべきなのは、星の平均点ではなく、ユーザーが口コミを読んだ後に何をしたかです。

口コミ分析で見るべき感情・頻出テーマ・競合比較・時系列という基本の4視点は「口コミ分析とは?」で整理しています。この記事では、その先にある、口コミを読んだ人の行動の調べ方を扱います。

株式会社シードが2026年1月に日本在住の1,022人を対象に行った調査では、商品レビューを見る際に「高評価・低評価の両方をバランスよく読む」が47.1%、「低評価レビューを中心に読む」が21.6%でした。低評価は一部の人だけが見る特殊な情報ではなく、比較判断の材料としても読まれていると考えられます。

店舗選びでも同様です。ナレッジホールディングスの2026年5月調査では、Googleマップで確認する項目として「口コミの内容」が70.0%で、「評価(星の数)」の49.8%を上回りました。別の同社調査では、星4.0未満を避けると答えた168人のうち68.5%が「口コミ内容が良ければ利用を検討する」と回答しています。星の数字だけで候補が決まるわけではなく、内容を読んで判断が動く余地があると考えます。

こうした結果を踏まえると、低評価口コミが何件あるかを数えるだけでは、読んだ人の判断がどう動いたかは見えません。調査の単位は、次の5段階に分けると実務へつなげやすくなります。

段階 調べること 代表的な質問
1. 接触 どの低評価を見たか 星、内容、具体性、投稿時期
2. 不安 何が心配になったか 品質、接客、価格、安全性、信頼性など
3. 追加確認 次に何を調べたか 他の口コミ、企業返信、公式サイト、SNS、検索
4. 比較 競合と比べたか 他店・他商品を見たか、何を比較したか
5. 判断 結論がどう変わったか 候補維持、保留、他社へ変更、購入・来店中止

表の「追加確認」には、企業返信の確認も含めています。返信の効果そのものを調べる方法は、後の節で説明します。

低評価口コミへの接触から不安、追加確認、比較、最終判断までを示した5段階のユーザー行動フロー

低評価口コミの影響は、口コミを見た時点ではなく、その後の追加確認や競合比較を経て最終判断がどう変わったかまで追うと把握しやすくなります。この5段階をつなげて取得すると、たとえば「接客への低評価は公式情報の確認には進むが、衛生面への低評価はそのまま離脱しやすい」といった、口コミのテーマごとの行動の差を確認できます。

調査前に「何を不安と定義するか」を決める

「低評価口コミを見て不安になりましたか」とだけ聞いても、改善策にはつながりません。不安の中身が、品質なのか接客なのか分からないためです。調査の前に、不安を企業が対応できる単位へ分けておきます。

たとえば店舗・サービスであれば、次の6つに整理できます。

  • 品質への不安:商品・料理・施術・サービスの品質は期待どおりか
  • 接客への不安:スタッフの態度や説明、トラブル時の対応は適切か
  • 費用への不安:追加料金、価格と価値の釣り合い、キャンセル条件に問題はないか
  • 安全・衛生への不安:衛生、事故、個人情報などのリスクはないか
  • 信頼への不安:説明と実態が違わないか、企業が問題を隠していないか
  • 自分との相性への不安:自分の用途、属性、希望条件でも同じ問題が起きそうか

低評価口コミのテーマと、それを読んだユーザーが感じる不安を分けて調査する考え方を示した概念図

ここで押さえたいのは、低評価の「テーマ」と、読んだ人が感じた「不安」を別の項目として取得することです。同じ「待ち時間が長い」という口コミでも、「予定に間に合わない」という実用上の不安になる人もいれば、「運営が雑なのではないか」という信頼上の不安になる人もいるためです。調査では「何が書かれていたか」と「何を心配したか」を分けて聞きます。

アンケートは「直近の実体験」から順番に聞く

アンケートでは一般論より、実際に低評価口コミを見た直近の場面を思い出してもらう方が、行動の流れを取りやすくなります。

最初に「低評価口コミを普段どの程度気にしますか」と聞くのではなく、「直近で購入・来店を検討した際、低評価口コミを見た経験」を起点にします。そのうえで、画面上で起きた順番に、次の3つのまとまり(全12問)で質問します。

設問1〜4:どの口コミを見て、何が不安になったかを聞く

まず、何を検討していて、どの口コミを見て、読んだ直後に何が不安になったかを特定します。

  1. 何を検討していたか
  2. どの媒体で低評価口コミを見たか
  3. 口コミには何が書かれていたか
  4. 読んだ直後に何が不安になったか

口コミ内容は「接客」「品質」「価格」「待ち時間」「衛生」「予約・配送」「説明との違い」などから選べる複数選択にし、自由記述も残します。不安についても、強さを段階評価するだけでなく、「何が起きると思ったのか」を聞くと原因が見えやすくなります。

設問5〜8:口コミを見た後に何を確認したかを聞く

次に、口コミを見た後の追加確認を聞きます。口コミ欄の中で終わらず、公式サイトやSNSなど外部のチャネルまで行動が広がっていないかを見るためです。

  1. 最初に取った行動は何か
  2. 他の低評価・高評価口コミも読んだか
  3. 公式サイト、SNS、検索、比較サイトなどを確認したか
  4. 店舗・企業からの返信を読んだか

イチオシが2026年3〜4月に全国482人へ行った調査では、回答者から「低評価から先に読む」「SNSで一般ユーザーの動画を確認する」などの確認行動が挙げられています。これは、低評価を見た後の行動を口コミ欄の中だけで完結させず、外部のチャネルまで調べる必要があることを示す材料になります。

設問9〜12:返信の受け止め、競合比較、最終判断を聞く

最後に、企業返信の受け止め、競合との比較、最終判断を聞きます。

  1. 企業返信を読んで、不安は増えたか減ったか
  2. 他店・他商品を比較したか
  3. 比較時に何を重視したか
  4. 最終的に候補維持・保留・変更・中止のどれになったか

重要なのは、最終判断だけでなく「何を見た後に判断が変わったか」を聞くことです。たとえば、「低評価を見て一度不安になったが、返信に具体的な改善内容があり候補に残した」という経路と、「返信が定型文で、他店を検索して乗り換えた」という経路では、企業が直すべき場所が異なります。

企業返信の効果は、同じ口コミで条件を変えて比較する

口コミへの返信が読んだ人の判断にどう影響するかを知りたい場合、「返信を読んだ人」と「読まなかった人」をそのまま比べるだけでは不十分です。もともとの関心度や、見た口コミの内容が違うからです。

Googleは、ビジネスプロフィールで口コミに返信し、顧客のフィードバックが重要であることを示すよう案内しています。また、肯定的・否定的な口コミが混在することは、利用者が口コミを信用する材料になり得ると説明しています。

返信の影響を扱った研究もあります。LeとHaによる2021年の実験研究では、246人を対象に、低評価レビューが商品・販売者への態度や購買行動に負の影響を持ち、企業返信の関連性や返信率がその影響を弱め得ることが報告されました。

また、Zhao、Jiang、Suの2020年の4実験では、謝罪と防御的な説明のどちらが有効かは、指摘された問題の性質や企業が改善できると見られる度合いで変わりました。「とにかく謝ればよい」と一律に決めるのではなく、口コミの内容と返信の方法をセットで評価する必要があります。

そこで実務では、同じ低評価口コミを用意し、回答者をランダムに次の4つの条件へ分けます。Aを基準に、B〜Dで信頼や利用意向がどれだけ変わるかを見ます。

条件 見せるもの 測る指標
A 低評価口コミのみ 信頼、不安、利用意向
B 低評価+一般的な謝罪返信 Aからの変化
C 低評価+事実説明・具体的な改善内容を含む返信 A・Bとの差
D 必要な場合のみ、事実関係を説明する返信 問題の種類による差

同じ低評価口コミに対して返信なし、謝罪、改善内容を含む返信などの条件を変えて比較する調査設計

見せる低評価口コミをそろえ、返信の条件だけを変えると、返信による信頼や利用意向の差を比較できます。条件間で、信頼度、不安度、来店・購入意向、追加検索意向、競合への乗り換え意向を同じ尺度で聞きます。そうすれば、「返信があるか」ではなく、「どの問題に、どの返信が、どの程度判断を戻す可能性があるか」を比べられます。

インタビューでは「なぜ」より先に「次に何をしたか」を聞く

アンケートだけでは、ユーザー自身も意識していない判断の順序を取りこぼします。少人数のインタビューを併用し、画面を見た順番を再現してもらいます。

質問は、次の順番で聞くと行動を時系列でたどれます。

  1. その低評価のどの一文・情報が最初に気になったか
  2. その瞬間、何が起きそうだと思ったか
  3. 次にどの画面・サイトを開いたか
  4. 企業返信をどう受け取ったか
  5. 競合と何を比較したか
  6. 最終的に「ここを選ぶ/やめる」を決めた情報は何か

「なぜやめましたか」と最初から理由をまとめてもらうより、行動を時系列で再現してもらう方が、たとえば「返信を見る前にすでに他店検索へ移っていた」「公式サイトで料金条件を確認して候補に戻った」といった改善地点を特定しやすくなります。

分析では5つの掛け合わせを見る

回答を集計するときは、「不安になった割合」を出すだけで終わらせず、最低でも次の5つを掛け合わせます。

  1. 低評価テーマ × 発生した不安
  2. 不安の種類 × 次に取った確認行動
  3. 返信の種類 × 信頼・利用意向の変化
  4. 競合比較の有無 × 候補離脱・乗り換え
  5. 新規客/既存客、業種、価格帯などの条件 × 最終判断

この掛け合わせで、「件数は多いが離脱につながりにくい不満」と、「件数は少ないが見た人の離脱率が高い不満」を分けられます。改善の優先度は、口コミの件数だけでなく、読んだ人の行動への影響で決めます。

5つ目の「新規客/既存客」を分ける理由は、ブランドとの関係にあります。日本の実験研究では、悪い口コミを受けた際のブランド評価の変化が、もともとの感情や商品使用経験によって異なることが示されています。初めて検討する人と、すでに利用経験がある人を同じ集計にすると、影響を見誤る可能性があります。

調査結果は「削除」ではなく、離脱地点ごとの改善に使う

低評価口コミの調査の目的は、悪い口コミを消すことではありません。ユーザーがどこで不安になり、どこで確認し、どこで競合に比べて選ばれなくなっているかを特定し、原因ごとに改善することです。調査で分かった内容別に、優先する改善を整理すると次のとおりです。

調査で分かったこと 優先する改善
特定テーマで不安が急増する 商品・接客・運用そのものを改善する
返信を読むと不安が下がる 返信基準、担当、初動時間を標準化する
公式情報を探しに行く人が多い 料金、保証、衛生、予約条件などを明示する
SNSや他サイトへ裏取りに行く チャネル間の情報不一致をなくす
他店比較後の離脱が多い 競合との差、条件、写真、実績を見直す
定型返信で信頼が下がる 個別事実と対応内容を含む返信へ変える

低評価口コミを見たユーザーの離脱地点と企業が優先して改善すべき項目を対応させた図

Googleも、否定的な口コミを顧客の期待やサービス改善を把握する機会として扱い、ポリシー違反が疑われる場合は報告機能を使うよう案内しています。低評価という理由だけで削除に動くのではなく、内容と原因を確認したうえで、口コミを読む第三者に必要な情報を返信や公式情報で届けます。

調査で避けたい5つの失敗

ここまでの設計を崩しやすい失敗が、次の5つです。

  1. 「低評価口コミは気になりますか」と一般論だけを聞くこと。実際の行動との差が分かりません。
  2. 投稿内容だけを分類して、読んだ本人に聞かないこと。投稿者が怒っている理由と、読んだ人が不安になる理由は同じとは限りません。
  3. 返信あり・なしだけで結論を出すこと。返信の内容と口コミのテーマをそろえて比較する必要があります。
  4. 初回客と既存客を混ぜること。もともとのブランド経験が低評価の受け止め方に影響する可能性があります。
  5. アンケートの相関を因果関係として扱うこと。「返信を読んだ人ほど来店した」という結果だけでは、返信が来店を生んだとは断定できません。返信効果を確かめたい場合は、同じ口コミを見せてランダムに分ける比較など、条件の差を小さくする設計が適しています。

実施前に確認する10のチェック項目

調査を始める前に、次の10項目を確認します。

  • 低評価の「内容」と読んだ人の「不安」を分けている
  • 直近の実体験を起点に質問している
  • 追加検索・SNS・公式サイト確認まで取得している
  • 企業返信を読んだか、何をどう評価したかを聞いている
  • 他店・他商品との比較行動を取得している
  • 最終判断だけでなく、判断が変わったタイミングを聞いている
  • 初回客と既存客を分けて分析できる
  • 返信効果を見る場合は、同じ口コミで条件をそろえている
  • 自由記述またはインタビューで行動理由を補完している
  • 調査結果を「改善対象」「返信改善」「情報補強」「競合対策」に接続できる

まとめ

低評価口コミの影響を調べるには、口コミ内容を分類するだけでは足りません。来店候補者・購入検討者が低評価を見た後の「不安→追加確認→返信の評価→競合比較→最終判断」を一続きで取得することが出発点です。

進め方は、アンケートで行動の割合と組み合わせを把握し、インタビューで判断の順序を掘り下げ、返信の影響を見たい場合は同じ口コミを使った条件比較を行う、という流れです。

そうすれば、「何の低評価が危険か」だけでなく、「どこで信頼を回復できるか」「どの情報不足が、競合に比べて選ばれない原因になっているか」まで、改善の対象にできます。最初の一歩として、直近の実体験を起点に、低評価の内容と不安を分けて聞く設問から作ってみてください。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • 株式会社シード「購買行動2026調査|マーケティング・広告・SEO・SNS戦略を読み解く最新消費者インサイト」。2026年4月7日公開・4月9日更新。2026年1月20〜26日、日本在住1,022人を対象としたインターネット調査。レビューの信頼度・閲覧方法の把握に使用。
    URL:https://www.seedinc.jp/column/marketing/purchase-trends-2026/

  • イチオシ編集部「広がるレビュー疲れ。」2026年4月28日更新。2026年3月23日〜4月3日、全国18歳以上482人を対象としたインターネット調査。低評価閲覧後の確認行動の参考に使用。
    URL:https://ichioshi.allabout.co.jp/articles/limited/37669

  • Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」。口コミ返信と否定的な口コミへの対応方針の確認に使用。
    URL:https://support.google.com/business/answer/3474122?hl=ja

  • ナレッジホールディングス「Googleマップで店舗を決めるとき、消費者が見ている項目ランキング」「★4.0未満の店舗は避けられる?」。2026年5月調査、全国20〜59歳等303人。口コミ内容・星評価・来店検討の関係の把握に使用。
    URL:https://knowledge-hd.co.jp/map-decision-factors-survey/
    URL:https://knowledge-hd.co.jp/review-rating-survey/

  • Le, Long Hoang & Ha, Quang-An. “Effects of negative reviews and managerial responses on consumer attitude and subsequent purchase behavior: An experimental design.” Computers in Human Behavior, Vol.124, 2021, 106912. DOI: 10.1016/j.chb.2021.106912. 低評価と企業返信の実験設計・影響の確認に使用。
    URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0747563221002351

  • Zhao, Haichuan; Jiang, Lan; Su, Chenting. “To Defend or Not to Defend? How Responses to Negative Customer Review Affect Prospective customers’ Distrust and Purchase Intention.” Journal of Interactive Marketing, Vol.50, 2020, pp.45–64. DOI: 10.1016/j.intmar.2019.11.001. 返信方法と問題の種類による効果差の確認に使用。
    URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1094996819301136

  • 杉谷陽子「悪い口コミに負けないブランドをどう作るか? 消費者の感情および商品の使用経験の役割について」『消費者行動研究』22巻1_2号、2016年。DOI: 10.11194/acs.22.1_2_1。ブランド経験による低評価の受け止め方の違いを検討する参考に使用。
    URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/acs/22/1_2/22_1_2_1/_article/-char/ja

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