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Google口コミやSNSに従業員の実名・個人情報が書かれたときの対応|保存・報告・返信・社内保護を整理

部署:人事・採用担当者部署:広報・PR担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
従業員の実名を含む口コミをスマートフォンで確認し、削除前に内容を記録する企業担当者の手元

Google口コミやSNSに従業員の氏名、顔写真、電話番号、勤務情報などが書き込まれているのを見つけると、「まず削除してもらわなければ」と考えがちです。しかし、削除できるかどうかは媒体の判断に左右されます。他のSNSなど外部サイトへの転載や、投稿者から従業員本人への直接の連絡といった被害は、投稿が消える前にも後にも起こり得ます。

そこで企業は、投稿が消える前に証拠を残し、書かれた本人の安全を確認し、社内で必要最小限の共有を行ったうえで、各媒体のルールに沿って報告することが重要です。特に注意したいのは、企業側の公開返信で氏名や勤務状況をもう一度書いてしまい、かえって個人情報を広げることです。

この記事は、Google口コミやSNSで従業員個人が特定される情報を見つけた直後から、証拠保存、本人への確認、媒体への報告、返信、専門家への相談までの順番を、実務の流れに沿って整理します。読み終えると、まず何をして何をしないかを決められ、社内で初動ルールを用意するときの項目も分かります。

削除依頼より先に「保存・本人保護・社内共有」から始める

従業員の実名や個人情報を含む投稿を見つけたら、慌てて投稿者へ連絡したり公開返信を書いたりする前に、状況を固定します。次の表は、対応の大まかな順番と、それぞれの目的をまとめたものです。以降の節では、この表の各対応の中身を説明します。節の並びは表の番号順と一部異なり、3番目の社内共有は、報告や返信の説明のあとの節で扱います。

順番 対応 主な目的
1 投稿内容を保存する 後から内容を確認できる状態にする
2 従業員本人の安全を確認する 二次被害や直接接触の可能性を把握する
3 社内の担当者へ共有する 個人任せにせず企業として判断する
4 投稿内容を分類する 氏名だけか、住所・連絡先・脅迫などまで含むか確認する
5 媒体の規約を確認して報告する 適切な理由で削除・制限を求める
6 公開返信の要否を判断する 情報を広げず利用者への対応姿勢を示す
7 必要に応じて専門家へ相談する 権利侵害や安全上の問題へ対応する
従業員の個人情報を含む投稿を発見してから保存、本人確認、社内共有、媒体報告、返信判断、専門家相談まで進む7段階の対応フロー

この流れの要点は、投稿を見つけても削除や返信を急がず、証拠保存と本人の安全確認から順番に進めることです。

ここで押さえたいのは、「削除すること」と「従業員を守ること」を別の問題として考える点です。仮に投稿が削除されても、スクリーンショットが別のSNSに転載されていたり、投稿者が従業員本人へ直接連絡していたりすれば、対応は終わりません。

投稿を見つけたら、まず証拠を保存する

投稿への対応を始める前に、可能な範囲で投稿内容を保存します。投稿者が自分で削除したり、運営会社の対応で表示されなくなったりすると、後から投稿内容や発生の経緯を確認するのが難しくなるためです。

最低限、次の情報を残しておくと、状況を整理しやすくなります。

  • 投稿全体のスクリーンショット
  • 投稿日時
  • 確認した日時
  • 投稿ページのURL
  • 投稿者名やアカウント名
  • 書かれている従業員情報
  • 企業や店舗について書かれている内容
  • 画像や動画の有無
  • 他のSNSなどへの転載状況
  • 企業側ですでに行った対応

スクリーンショットは、問題の一文だけを切り取らず、投稿全体と前後の関係が分かる形で保存すると、あとで確認しやすくなります。

一方で、保存した画像や個人情報を社内チャットなどで必要以上に転送すると、そこから新たに情報が広がります。証拠の保存と社内への共有は別の作業として扱い、閲覧できる人を必要な範囲に限りましょう。

次に従業員本人の安全と影響範囲を確認する

投稿された情報によっては、口コミへの対応より先に、従業員本人の保護が必要になります。たとえば「〇〇店の田中さん」という記載だけの場合と、個人の電話番号やSNSアカウントまで公開されている場合とでは、リスクの大きさが異なります。そこで、何が公開されているかの分類と、本人への接触の有無の確認という2つを順に行います。

何が公開されているかを分類する

最初に、投稿でどの情報が公開されているかを整理します。次の表は、情報の種類ごとに確認したい点をまとめたものです。

投稿された情報 確認したいこと
氏名 本人を特定できる状態か
顔写真 本人の許可なく撮影・公開されたものか
勤務先・店舗名 氏名などと組み合わせて本人を特定できるか
電話番号 個人の連絡先か、会社公開の番号か
メールアドレス 個人用か業務公開用か
SNSアカウント 私的アカウントと結び付けられていないか
住所・行動範囲 本人への直接接触につながる情報ではないか
家族情報 本人以外にも影響が及ぶ可能性がないか

「個人情報が書かれた」とひとまとめにせず、実際に何が公開され、どこまで本人を特定できるのかを見ると、次に取る対応を絞り込めます。

本人への直接接触が発生していないか確認する

次に、従業員本人に必要な範囲で状況を伝えたうえで、次の点を確認します。

  • 投稿者から連絡を受けていないか
  • SNSのDMが届いていないか
  • 店舗や職場で待ち伏せなどがないか
  • 他のサイトにも同じ内容が投稿されていないか

嫌がらせ、脅迫、つきまといなど安全に関わる問題がある場合は、通常の口コミ返信や削除報告だけで済ませません。警察や弁護士などへの相談も含めて判断します。

Google口コミとSNSでは削除・報告の基準が異なる

従業員の氏名が書かれていても、すべての媒体が同じ理由で削除するわけではありません。投稿内容を確認したら、掲載されているサービスごとのルールに沿って報告します。

Google Mapsでは個人情報に関するポリシーを確認する

Google Mapsには、個人情報を含むコンテンツについてのポリシーがあります。Googleは、本人の同意なく投稿された氏名、顔、その他個人を識別できる情報などを、問題となり得る個人情報の例として示しています。ただし、企業や専門家が業務上公開している情報などは、扱いが異なる場合があります。

そのため、「実名があるから必ず削除される」と考えて報告するのは避けましょう。次の3点を整理して報告します。

  1. どの情報が掲載されているか
  2. 本人が公開している情報か
  3. Googleのどのポリシーに該当すると考えられるか

SNSでは各サービスのルールを個別に確認する

SNSにもプライバシー情報や嫌がらせに関する規定がありますが、対象となる範囲はサービスによって異なります。たとえば、氏名だけでは削除対象にならなくても、非公開の電話番号や住所が一緒に掲載されていれば、扱いが変わることがあります。

したがって、「Googleで報告できた理由をそのまま別のSNSにも使う」のではなく、それぞれのサービスの最新ポリシーを確認してから報告します。

従業員の実名を含む投稿について、Google口コミとSNSそれぞれのポリシーを確認して報告する判断の流れを示した図

同じ実名・個人情報を含む投稿でも、削除・報告の基準は掲載媒体によって異なります。各サービスの最新ポリシーを確認して判断します。

公開返信は「個人情報を増やさない」が原則

口コミに事実と異なる内容や従業員への批判が書かれていると、企業として反論したくなります。しかし、公開の場での返信は、個人情報を増やしてしまうおそれがあります。

たとえば、次のように返信したとします。

「投稿に書かれている田中は現在も新宿店に勤務しておりますが、そのような対応をした事実はありません」

この返信は、投稿者が書いた「田中」という情報に加えて、「現在も新宿店に勤務している」という情報まで企業自身が公開することになります。公開返信を行う場合は、原則として、従業員個人を特定する情報を繰り返さないことが大切です。

口コミへの企業返信で従業員の勤務情報を追加してしまう例と、個人情報を再掲しない返信を左右で比較した図

反論するときも、投稿者が書いていなかった勤務先や在籍状況などを、企業側から追加しないようにします。

返信するなら、個人ではなく投稿内容に答える

返信が必要な場合は、個人ではなく「投稿内容」に対して行います。たとえば、次のような文面であれば、個人情報を再掲せずに、企業として確認を進めていることを伝えられます。

このたびはご意見をお寄せいただきありがとうございます。投稿内容について確認を進めております。個人に関する情報を含むため、詳細について公開の場での回答は控えさせていただきます。

ただし、すべての投稿へ返信する必要はありません。削除・報告の手続きを進めている最中に返信すると、投稿が注目されたり、投稿者との応酬が続いたりする可能性があるためです。

そのため、「返信文をどう書くか」を考える前に、「そもそも公開返信が必要か」を判断することが先になります。

投稿者へ直接連絡する前にリスクを確認する

投稿者が顧客だと分かっていると、直接連絡して削除を頼みたくなることがあります。しかし、状況によっては直接の交渉が問題を広げることがあります。

特に、次のような場合は慎重な判断が必要です。

  • 強い怒りを示している
  • 複数のSNSへ投稿している
  • 従業員本人を名指しして攻撃している
  • 企業とのやり取りを公開している
  • 脅迫的な表現がある

こうした場合は、担当店舗や従業員本人だけで対応せず、責任者、人事、広報、法務などで方針を決めてから連絡するほうが安全です。

社内共有は必要最小限にする

従業員の個人情報が公開された場合は、企業内でも情報の管理が必要になります。冒頭の表で3番目に挙げた社内共有も、共有する範囲を絞って行います。「注意喚起のため」と投稿のスクリーンショットを全社員へ共有すると、社内で個人情報をさらに拡散させることになるためです。

共有先は、事案に応じて限定します。たとえば、次のような担当者が候補になります。

  • 対象従業員本人
  • 店舗・部門責任者
  • 人事
  • 広報・PR
  • リスク管理
  • 法務
  • 情報セキュリティ担当

全員を必ず参加させるのではなく、問題の内容に応じて、必要な担当者を決めます。あわせて「誰が媒体へ報告するのか」「誰が本人対応を行うのか」「誰が公開返信を判断するのか」を決めておくと、複数の部署が別々に動いてしまう事態を防げます。

投稿内容によって対応の優先順位を変える

同じ実名の投稿でも、リスクは一律ではありません。そこで企業側では、公開されている情報と本人への影響を組み合わせて、対応の優先順位を判断します。

氏名のみの投稿から電話番号や住所、脅迫や直接接触まで、公開情報に応じて企業の対応優先度が変わることを示す段階図

実名が含まれるという理由だけで一律に判断せず、公開された情報と従業員本人への影響を分けて確認します。次の表は、状況ごとの初動の目安です。

状況 初動の目安
氏名のみが書かれている 証拠保存、媒体規約確認、本人への共有
氏名+勤務店舗などが書かれている 本人特定の容易さを確認し、報告を検討
顔写真が無断掲載されている 保存、本人確認、媒体への報告を優先
個人の電話番号・住所が公開されている 本人保護と報告を優先し、必要に応じ専門家へ相談
脅迫・危害予告を伴う 削除依頼だけに限定せず、安全確保を優先
複数媒体へ転載されている URLと投稿状況を媒体ごとに整理して対応
従業員への直接連絡が発生している 本人保護と社内対応を優先

表から読み取りたい点は、口コミの星評価や会社への批判の強さだけで優先順位を決めないことです。企業の評判への影響が小さくても、従業員本人へのリスクが大きい場合があるためです。

削除されなかった場合も対応は続く

媒体へ報告しても、投稿が必ず削除されるとは限りません。ただし、削除されなかった場合でも、企業としてできる対応は残っています。

たとえば、次のような対応があります。

  • 追加の報告手段がないか確認する
  • 従業員本人への影響を継続確認する
  • 関連する投稿や転載を確認する
  • 公開返信が必要か判断する
  • 検索結果など別の場所への拡散状況を確認する
  • 法的な対応が必要か専門家へ相談する

つまり、「削除申請が通ったかどうか」だけを事案の終了条件にしないことが大切です。投稿そのものが残っていても、本人への被害を防ぎ、企業として必要な情報整理や対応を進めることはできます。

専門家への相談を検討したいケース

すべての実名投稿で、弁護士などへの相談が必要なわけではありません。一方で、社内だけでは判断が難しいケースもあります。代表的なのは、次のような状況です。

  • 住所や個人の電話番号が公開されている
  • 脅迫や危害を示す内容が含まれている
  • 私生活に関する情報が公開されている
  • 家族など第三者の情報まで書かれている
  • 同じ投稿者による攻撃が繰り返されている
  • 複数サイトへ大量に転載されている
  • 企業からの報告で解決できず被害が続いている
  • 権利侵害に当たるか社内で判断できない

法的な権利侵害に該当するかどうかは、個別の事実関係によって判断が変わります。そのため、この記事のような一般情報だけで法的な結論を出さず、必要な場合は弁護士などの専門家へ相談してください。身体への危害や緊急性の高い脅迫などがある場合は、警察への相談も検討します。

個人情報の投稿に限らず、炎上・風評被害が起きたときの初動から法的手段・社内体制までを整理したい場合は、企業の炎上・風評被害対応の全体像を確認してください。

企業内で決めておきたい初動ルール

実際に投稿が発生してから担当者を決めると、対応が遅れたり、複数の社員が投稿者へ連絡してしまったりすることがあります。平時から、次の6点だけでも決めておくと対応しやすくなります。

1.最初の報告先を決める

店舗や現場の担当者が投稿を見つけたときに、誰へ連絡するかを決めます。

2.証拠の保存方法をそろえる

スクリーンショットやURLをどこへ保存するかを統一します。

3.本人への連絡担当を決める

対象の従業員へ誰が説明し、状況を確認するかを決めます。

4.媒体への報告担当を決める

個人のアカウントからではなく、企業側の担当者が報告するよう決めておきます。

5.公開返信の承認者を決める

現場の判断だけで返信せず、必要に応じて責任者や広報が確認できる体制にします。

6.専門家へ切り替える条件を決める

住所の公開、脅迫、繰り返しの投稿など、社外へ相談する基準を決めておきます。

発見直後のチェックリスト

従業員の実名や個人情報を含む口コミ・SNS投稿を発見したら、次の項目を確認します。

  • [ ] 投稿全体を保存した
  • [ ] URLと確認日時を記録した
  • [ ] どの個人情報が公開されているか整理した
  • [ ] 従業員本人へ状況を確認した
  • [ ] 本人への直接連絡や嫌がらせがないか確認した
  • [ ] 社内の必要な担当者だけへ共有した
  • [ ] 掲載媒体の最新ポリシーを確認した
  • [ ] 適切な理由で媒体へ報告した
  • [ ] 公開返信が本当に必要か検討した
  • [ ] 返信で氏名などを再掲していない
  • [ ] 他サイトへの転載を確認した
  • [ ] 専門家へ相談すべき状況か確認した

対応では、「投稿を消すこと」だけをゴールにしないことが前提になります。証拠を残す、従業員を守る、情報を広げない、適切な窓口へ報告するという4点を先に整理すると、対応の抜け漏れを減らしやすくなります。

まとめ|最初の一歩は、削除ではなく保存と本人の安全確認

Google口コミやSNSに従業員の実名や個人情報が投稿されたら、削除依頼を急ぐのではなく、まず投稿内容を保存し、従業員本人への影響を確認します。そのうえで、次の順番で進めます。

  1. 証拠保存
  2. 本人の安全確認
  3. 必要最小限の社内共有
  4. 投稿された情報の分類
  5. 各媒体のルールに沿った報告
  6. 公開返信の必要性判断
  7. 必要に応じた専門家への相談

特に企業側から返信するときは、従業員の氏名や勤務状況などを改めて公開しないよう注意します。投稿の削除だけでなく、従業員本人の保護まで含めて初動を決めておけば、実際に問題が起きたときも社内で判断しやすくなります。

発見時の確認事項を社内で統一したい場合は、上のチェックリストをもとに、証拠保存、社内共有、媒体への報告、返信判断までを1枚にまとめておくと、実務で使いやすくなります。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • Google Maps User Contributed Content Policy Help「個人情報」
  • 発表元:Google
  • URL:https://support.google.com/contributionpolicy/answer/11411387?hl=ja
  • 使用内容:Google Mapsにおける個人情報に関するコンテンツポリシー、報告判断の確認
  • Google Business Profile Help「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」
  • 発表元:Google
  • URL:https://support.google.com/business/answer/4596773?hl=ja
  • 使用内容:Google Maps上の不適切な口コミ・コンテンツの報告方法
  • Xヘルプ「個人情報に関するXのポリシーと晒し行為」
  • 発表元:X
  • URL:https://help.x.com/ja/rules-and-policies/personal-information
  • 使用内容:非公開の個人情報・メディアに関するXのポリシー、媒体ごとに削除基準が異なることの確認
  • 違法・有害情報相談センター「相談受付について」
  • 発表元:違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)
  • URL:https://ihaho.jp/guide/index.html
  • 使用内容:インターネット上の権利侵害等について相談先を検討する際の参考

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