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「何度説明しても同じ要求を繰り返される」
「電話口で怒鳴られ、担当者が疲弊している」
「返金しなければGoogle口コミやSNSに悪評を書くと言われた」
こうした悪質・理不尽なクレームに対し、企業が取るべき対応は「ひたすら謝ること」ではありません。
結論からいうと、事実と要求を切り分け、会社として回答できる範囲を示し、それでも暴言・威圧・不当な要求が続く場合は、事前に方針を伝えたうえで対応終了を選択肢とするのが基本です。
厚生労働省は2026年2月26日、具体的な措置や対応例を示す「カスタマーハラスメント防止指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)を公表しました。同指針では、十分な説明を行っても繰り返し要求が続く場合に、一定時間の経過後に退店を求めたり、電話を切ったりすることが対応例として示されています。また、担当者を一人で対応させないこと、必要に応じて管理監督者等へ交代すること、顧客とのやり取りを録音・録画することなども例示されています。
なお、カスタマーハラスメント対策の義務化は2026年10月1日に施行されました。現在、事業主にはカスタマーハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置を講じることが義務付けられています。個々の従業員の接客スキルだけに頼らず、会社として対応方針や相談体制を整えることが重要です。
この記事では、悪質クレーマーの見分け方から、電話・対面・メールでの対応手順、実際に使える例文、Google口コミへ飛び火した場合の対処までまとめました。
この記事でわかること
- 悪質クレーマーと正当なクレームの見分け方
- 悪質クレーマーに対応するときの6ステップ
- 理不尽なクレーマーとの会話を終わらせる3つの方法
- 電話・メール・対面で使える対応例文
- クレーマーとの電話を終了する判断基準
- 録音・記録を残すときのポイント
- 警察や弁護士へ相談する目安
- 2026年10月から企業に求められるカスハラ対策
- Google口コミやSNSに悪評を書かれた場合の対応
結論|悪質クレーマー対応で重要な3つのポイント
1.正当な苦情と悪質な要求を分ける
「クレームを言った人=悪質クレーマー」ではありません。
商品不良や接客ミスに対する正当な指摘には、企業として誠実な対応が必要です。
一方で、土下座の強要、暴言、脅迫、長時間の拘束、不当な金銭要求など、要求内容や伝え方が社会通念上許容される範囲を超えている場合は、通常のクレーム対応とは切り分けます。
2.説明しても続く場合は「対応終了」という選択肢がある
十分な説明や必要な対応を行った後も、同じ要求や暴言が続く場合に、際限なく対応を続ける必要はありません。
会社として説明すべき内容を伝え、それでも同じ要求や暴言が続くのであれば、事前に警告したうえで対応を終了します。
厚生労働省も、十分説明してなお要求が繰り返される場合、一定時間後に退店を求めることや電話を切ることを対応例として示しています。
3.担当者一人ではなく「会社」で対応する
悪質クレーマー問題で最も避けたいのが、担当者一人に対応を背負わせることです。
責任者への交代基準、録音・記録方法、電話を終了する条件、警察や専門家へ相談する基準を事前に決めておく必要があります。
2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント防止措置が事業主の義務になっています。
データで見るカスタマーハラスメント|約10人に1人が経験
悪質クレーマーは、一部の特殊な企業だけの問題ではありません。
厚生労働省が公表した「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間に顧客等から著しい迷惑行為を受けた経験がある労働者は10.8%でした。
また、過去3年間に顧客等からの著しい迷惑行為について相談があった企業は27.9%です。相談件数についても、「増加している」と答えた企業が23.2%、「減少している」が11.4%でした。
今回参照した外部調査の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査 |
| 調査主体 | 厚生労働省委託事業 |
| 調査実施者 | PwCコンサルティング合同会社 |
| 調査対象 | 全国の企業・労働者等 |
| 調査時期 | 2023年12月~2024年1月 |
| 公表日 | 2024年5月17日 |
| 使用データ | ハラスメント相談状況、相談件数の増減、労働者の被害経験など |
| 出典区分 | 外部調査・公的統計 |
調査概要は厚生労働省が公表しています。なお、2026年9月14日時点で、厚生労働省が「職場のハラスメントに関する実態調査」として掲載している最新調査は令和5年度調査です。今後、新しい同調査が公表された場合は数値を更新します。
重要な数字
10.8%
過去3年間に顧客等から著しい迷惑行為を受けた経験がある労働者
27.9%
過去3年間に顧客等からの著しい迷惑行為について相談があった企業
23.2%
相談があった企業のうち、相談件数が「増加している」と回答した割合

相談があった企業では「増加している」が23.2%、「減少している」が11.4%で、増加回答が上回っています。
「クレーム対応はベテラン社員に任せておけばいい」と処理できる問題ではなくなっています。
悪質クレーマーとは?正当なクレームとの違い
厚生労働省は、職場におけるカスタマーハラスメントを、大きく次の3要素をすべて満たすものとしています。
顧客、取引先、施設利用者などによる言動である
業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超えている
その言動によって労働者の就業環境が害される
一方、社会通念上許容される範囲で行われる正当な苦情や申し入れまでカスタマーハラスメントになるわけではありません。
正当なクレームと悪質クレーマーの比較
| 項目 | 正当なクレーム | 悪質・理不尽なクレーム |
|---|---|---|
| 目的 | 問題解決、改善、補償 | 過大な要求、威圧、攻撃など |
| 要求 | 事実・契約内容等に応じた交換、返金、説明など | 合理的根拠を欠く過大な金銭、土下座、特別待遇など |
| 話し方 | 不満はあっても話し合いが可能 | 暴言、脅迫、人格否定、大声など |
| 時間 | 必要な説明・対応が済めば一区切りになる | 何時間も拘束する |
| 回数 | 回答を受けて一定の区切りが付く | 同じ要求を何度も繰り返す |
| 対応 | 原因確認、謝罪、改善 | 状況に応じて警告、責任者対応、終了判断 |
| 危険がある場合 | 原則として危険行為は想定されない | 安全確保を最優先する |

大切なのは、「怒っているかどうか」だけで判定しないことです。
顧客が強い口調でも、企業側に重大なミスがあり、求めている内容が合理的であれば正当な申し入れの場合があります。
反対に、口調が穏やかでも「口コミに悪く書かれたくなければ金を払え」と不当な要求をしていれば問題です。
悪質クレーマーに多い7つの行為
次のような言動が出たら、通常のクレーム対応から一段階切り替える必要があります。
1.暴言・人格否定
「お前は無能だ」
「こんな会社は潰れろ」
商品やサービスではなく、従業員個人への攻撃が続くケースです。
2.大声や威圧
店舗で怒鳴る、机を叩く、従業員へ詰め寄るなど、周囲にも恐怖を与える行為です。
3.長時間の拘束
説明が終わっているのに、電話や店舗で何時間も同じ話を続けます。
4.同じ要求を何度も繰り返す
担当者を変えながら、
「責任者を出せ」
「社長から謝罪させろ」
などと繰り返すケースです。
5.不当な金銭・サービス要求
実際の被害額と大きく釣り合わない補償や、契約外のサービスを要求します。
6.土下座や従業員処分の強要
「担当者をクビにしろ」
「ここで土下座しろ」
といった要求です。
7.SNSや口コミを使った威圧
「対応しないならSNSで晒す」
「Google口コミを最低評価で埋めてやる」
などと投稿を交渉材料にするケースがあります。
悪質クレーマー対応マニュアル|基本の6ステップ

STEP1.まず安全を確保する
暴力や強い威圧がある場面では、「どう謝るか」より先に従業員の安全を確保します。
担当者を一人にしない。
責任者を呼ぶ。
周囲の顧客を離す。
現場で危険を感じるのであれば、接客を続けること自体が正解とは限りません。
厚生労働省も、可能な限り労働者を一人で対応させず、必要に応じて管理監督者などが代わって対応する方法を挙げています。
STEP2.「事実」と「要求」を分ける
相手の話を聞くときは、
何が起きたのか
と
何を要求しているのか
を分けます。
たとえば、
「購入した商品が壊れていた」
という事実と、
「だから迷惑料として100万円払え」
という要求は別です。
商品不良が事実なら、その部分について謝罪や交換が必要になるでしょう。
ただし、それによってすべての要求が妥当になるわけではありません。
STEP3.企業側の落ち度を確認する
社内記録、注文履歴、防犯カメラ、担当者への聞き取りなどから事実を確認します。
こちらに明確なミスがあれば、その点については曖昧にせず謝ります。
まだ事実が分からない段階で、
「すべて弊社が悪かったです」
と全面的に非を認める必要はありません。
STEP4.対応できる範囲を明確にする
「できること」と「できないこと」をはっきり分けます。
たとえば、
「商品代金の返金については対応いたします。一方、追加でご要求いただいている慰謝料については、当社ではお受けできません」
といった形です。
「私には無理です」ではなく、会社としての回答を伝えるのがポイントです。
STEP5.警告して対応終了ラインを示す
暴言や同じ要求が続くときは、そのまま会話を続けません。
「ご説明できる内容は以上です。同じご要求が続く場合は、本日の対応を終了いたします」
と伝えます。
それでも続けば終了します。
厚生労働省の指針でも、十分説明した後も要求が繰り返される場合、一定時間の経過後に退店を求めたり、電話を切ったりすることが対応例として明記されています。
STEP6.記録して社内共有する
対応が終わったら、最低限次の内容を記録します。
日時
顧客名・連絡先
担当者
クレーム内容
相手の要求
企業側の回答
暴言・脅迫等の具体的な発言
対応時間
録音・録画の有無
次回連絡があった場合の回答方針
厚生労働省は、顧客とのやり取りを録音・録画することも対処例として示しています。録音・録画データを扱う場合は、個人情報保護法等を踏まえた適切な管理が必要です。
理不尽なクレーマーとの会話を終わらせる3つの方法
「クレーマーを一言で黙らせる魔法の言葉」のようなものはありません。
むしろ無理に論破しようとすると、話がさらにこじれます。
理不尽な相手との会話を終わらせるには、次の3つが有効です。
方法1.要求を具体的に言わせる
話が延々続いているときは、
「今回、弊社に具体的にどのような対応をご希望でしょうか」
と聞きます。
すると、
返金
交換
担当者からの謝罪
金銭
従業員の処分
など、要求の中身が見えてきます。
抽象的な怒りを延々と受け続けるのではなく、「何を求めているのか」まで絞ります。
方法2.会社としての最終回答を固定する
担当者を変えるたびに回答が変わると、
「もっと強く言えば条件が良くなる」
と思わせかねません。
「本件について、弊社からの回答は先ほどご案内した内容から変更ございません」
と回答を固定します。
現場の担当者がその場しのぎで新しい条件を提示しないことも大切です。
方法3.終了条件を先に伝える
終わりのない電話や面談には、終了ラインを設定します。
「同じご要求が続く場合は、これ以上の対応はできかねます」
「暴言が続く場合には、電話を終了いたします」
先に条件を示し、それでも改善されなければ終了します。
【電話】悪質クレーマーへの対応方法と例文
電話対応では、相手の姿が見えないぶん、長時間拘束されやすくなります。
「電話はどのような状況でもこちらから切ってはいけない」と一律に運用すると、悪質な要求が長時間続くおそれがあります。会社として終了条件を定め、十分な説明と警告をしたうえで対応を終える運用を整えます。
厚生労働省が2026年2月26日に告示した指針では、十分に説明しても要求が繰り返される場合、一定時間の経過後に電話を切ることも対応例として示されています。
状況を確認するとき
「状況を確認いたします。いつ、どのようなことがあったのか順番にお聞かせいただけますでしょうか」
事実確認前に伝えるとき
「ご不便をおかけしている点についてお詫び申し上げます。事実関係を確認したうえで回答いたします」
不当な要求を断るとき
「恐れ入りますが、そのご要求については弊社では対応いたしかねます。弊社として対応可能なのは○○までとなります」
同じ要求が続くとき
「本件について弊社からご案内できる内容は、すべてお伝えしております。回答に変更はございません」
暴言が止まらないとき
「そのような発言が続く状態では対応を継続できません。続く場合には電話を終了いたします」
電話を切るとき
「先ほどお伝えしたとおり、弊社からの回答は以上です。同じご要求が続いておりますので、本日の電話対応はこれで終了いたします」
感情的に言い返す必要はありません。
短く、同じ回答を繰り返し、終わらせます。
【対面・店舗】悪質クレーマーへの対応方法
対面では、従業員だけでなく周囲の顧客への影響も考えます。
怒鳴る、物を叩く、従業員へ詰め寄るなどの行動があれば、担当者一人で抱えないでください。
大声が続く場合
「ほかのお客様にも影響がありますので、大声でのお話が続く場合は対応を終了させていただきます」
説明済みなのに居座る場合
「弊社からご案内できる内容は以上です。これ以上のご対応はできませんので、ご退店をお願いいたします」
危険を感じる状況なら、顧客対応より安全確保を優先します。
【メール】悪質クレーマーへの返信方法と例文
メールで長文の苦情が来ても、一文ずつ反論する必要はありません。
整理するのは4点です。
確認した事実
企業側の見解
対応できること
対応できないこと
メール例文
○○様
お問い合わせいただいた件について、社内で事実確認を行いました。
弊社で確認できた内容は○○となります。
そのため、○○については対応いたします。
一方、ご要望いただいております△△については、弊社では対応いたしかねます。
本件に関する弊社からの回答は以上となります。
何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
同じ内容のメールが繰り返し届いた場合も、回答を毎回変える必要はありません。
「前回回答した内容から変更はありません」と統一します。
悪質クレーマーにやってはいけない5つの対応
1.何でも最初に謝る
謝罪そのものが悪いわけではありません。
ただし、事実確認前にすべての責任を認めるのは避けます。
謝るなら、
「ご不快な思いをされたこと」
「ご不便をおかけしていること」
など、対象を明確にします。
2.担当者一人に何時間も対応させる
長時間対応になった時点で責任者へ交代できる仕組みを作ります。
個人の忍耐力で解決する問題ではありません。
3.今回だけ特別対応する
「今回だけ特別に返金します」
この対応が、次の要求を呼ぶ場合があります。
例外を認めるなら、現場担当者の独断ではなく会社として判断します。
4.相手を論破しようとする
相手の発言の矛盾を一つずつ追及しても、クレーム対応が早く終わるとは限りません。
争点を絞り、回答を固定したほうが現場では扱いやすくなります。
5.「お客様だから」と無制限に対応する
顧客であれば何を言ってもいいわけではありません。
正当な申し入れには対応する。
不当な要求には線を引く。
この2つを同時に行います。
クレーマー対応の録音・記録で企業が決めておきたいこと
悪質なクレームへの対応が想定される企業では、通話録音を含む記録体制を整えておくと、後から事実関係を確認しやすくなります。録音の実施方法や告知の要否は、利用目的・業種・社内規程などによって運用が異なるため、社内法務や個人情報保護の担当者とルールを定めてください。
厚生労働省の指針でも、状況に応じた対応例として録音・録画が挙げられています。録音・録画データには個人情報が含まれる場合があるため、利用目的、保存期間、閲覧権限などを定め、個人情報保護法等や社内規程に沿って適切に管理します。
社内では、
何の目的で録音するのか
どこに保存するのか
誰が確認できるのか
いつ削除するのか
顧客情報をどう扱うのか
まで決めておくと運用しやすくなります。
警察・弁護士など外部へ相談する目安
次のような状態になった場合、通常の接客対応だけで収めようとしないでください。
暴力を振るわれた
物を投げられた
危害を加えると脅された
従業員や家族への危害をほのめかされた
店舗周辺で待ち伏せされた
退店を求めても居座り続ける
執拗な連絡が続いている
高額な金銭を繰り返し要求されている
従業員が強い恐怖を感じている
SNS等で個人情報を晒すと脅されている
暴力や具体的な脅迫など切迫した危険がある場合は、接客の継続よりも安全確保を優先します。
また、損害賠償や刑事・民事上の対応が関係する場合は、現場担当者だけで法的判断をせず、社内法務や弁護士などの専門家へ相談します。緊急性の高い危険がある場合は、状況に応じて警察への通報・相談も検討します。
Google口コミやSNSに悪評を書かれた場合の対応

店舗やクリニック、飲食店などでは、現場のクレームがGoogle口コミへ移ることがあります。
ここはクレーマー対応とネット上の対応を分けて考えます。
Googleマップでは、クチコミが実際の体験に基づくことが求められており、虚偽のエンゲージメントや評価の操作、ハラスメント、脅迫、本人の同意なく個人情報を掲載する行為などは禁止されています。該当する投稿は、Googleのポリシーに違反する内容として報告できる場合があります。
悪質口コミが投稿されたときの流れ
1.投稿内容を保存する
スクリーンショットを取り、
-
投稿日
-
投稿者名
-
星評価
-
本文
-
店舗情報
-
関連するクレーム履歴
を残します。
2.本当の顧客か確認する
予約履歴や購入履歴と照らし合わせます。
実際の利用者からの正当な不満であれば、サービス改善や返信対応が先です。
3.Googleポリシー違反か確認する
「内容が批判的である」「低評価である」という理由だけで削除されるわけではありません。投稿を保存したうえで、Googleのどのポリシーに抵触する可能性があるのかを確認し、該当する場合に正式な報告手続きを行います。
4.公開返信は感情的に書かない
投稿者だけではなく、これから店舗を調べるユーザーも返信を読みます。
反論合戦にせず、確認できる事実と企業側の姿勢を簡潔に伝えます。
5.口コミ削除とMEOを混同しない
否定的な口コミの修正・削除と引き換えに報酬や割引などを提供したり、好意的な口コミだけを選んで依頼したりする運用は避けてください。
Googleは、否定的な口コミの修正・削除と引き換えに金銭や割引などのインセンティブを提供することや、肯定的な口コミだけを選択的に募集することを禁止しています。
MEOでは、口コミを「操作する」のではなく、正当な投稿には適切に対応し、明確なポリシー違反投稿には正式な手続きを取る運用が必要です。
2026年10月1日から企業のカスハラ対策が義務化
この義務化は2026年10月1日に施行されました。現在は、カスタマーハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置を講じることが事業主に義務付けられています。厚生労働省は2026年2月26日、具体的な措置や対応例を示す指針(令和8年厚生労働省告示第51号)を告示しており、2026年10月1日から適用されています。
そのため、「クレーマーが来たら現場で何とかする」という運用から離れる必要があります。
少なくとも、
-
会社としての基本方針
-
相談窓口
-
責任者への報告ルート
-
悪質クレームの判断基準
-
電話・対面対応の終了基準
-
録音・記録方法
-
被害を受けた従業員への対応
-
再発防止
-
研修
を形にしておきたいところです。
厚生労働省の指針では、会社方針の明確化・周知、相談体制の整備、事実関係の迅速かつ正確な確認、被害を受けた労働者への配慮、再発防止、相談者等のプライバシー保護や不利益取扱いの禁止に加え、必要に応じた管理監督者等への交代や録音・録画などの具体的な対応例が示されています。
企業が確認すべき悪質クレーマー対応チェックリスト
発生前
-
悪質クレーマー・カスハラの判断基準がある
-
クレーム対応マニュアルを作成している
-
責任者へ交代する条件が決まっている
-
電話を終了する基準がある
-
対面対応を終了する基準がある
-
録音・記録のルールがある
-
従業員が相談できる窓口がある
-
警察・弁護士等への連絡ルートを決めている
-
Google口コミ・SNSへ飛び火した場合の担当部署が決まっている
-
従業員向け研修を実施している
対応中
-
担当者を一人にしていない
-
事実と要求を分けている
-
企業側の落ち度を確認した
-
対応できる範囲を明示した
-
不当な要求には断る姿勢を示した
-
暴言や繰り返し要求には警告した
-
危険がある場合は安全確保を優先した
対応後
-
相手の発言と要求を記録した
-
企業側の回答内容を記録した
-
関係部署へ情報共有した
-
次回の回答方針を統一した
-
被害を受けた従業員の状態を確認した
-
再発防止策を見直した
-
ネット上への投稿がないか確認した
悪質クレーマー対応に関するよくある質問
クレーマーには必ず謝罪したほうがいいですか?
必ず全面的に謝る必要はありません。
企業側のミスが確認できた部分については謝罪します。
事実確認前であれば、
「ご不便をおかけしていることについてお詫び申し上げます」
など、何について謝っているのかを限定したほうが整理しやすくなります。
理不尽なクレーマーを黙らせるには何と言えばいいですか?
一言で黙らせようとするより、
「要求を具体化する→会社の回答を固定する→対応終了条件を伝える」
の3段階で進めるほうが実務的です。
「弊社からの回答は変わりません」「同じ要求が続く場合は対応を終了します」と線を引きます。
クレーマーとの電話を途中で切ってもいいですか?
悪質なケースでは、会社の対応方針と終了条件に沿って対応を終了することも選択肢です。
厚生労働省は、十分に説明したにもかかわらず繰り返し要求が続く場合、一定時間の経過後に電話を切ることを対応例として示しています。
突然切るのではなく、会社としての回答と終了条件を先に伝える運用にしておくと現場が迷いにくくなります。
クレーマー対応は録音したほうがいいですか?
悪質なクレームが発生しやすい企業では、録音は事実確認の材料になります。
厚生労働省の指針でも録音・録画が対応例として示されています。記録には個人情報が含まれる場合があるため、利用目的や保存期間、閲覧権限、削除方法などを社内で定め、適切に管理してください。
「口コミに悪く書くぞ」と言われたらカスハラですか?
その発言だけで一律に判断することはできません。
正当な体験を口コミに投稿する行為そのものは禁止されていません。
一方、不当な要求を通すために脅したり、従業員の個人情報を晒すなどの行為が加われば、通常の苦情とは性質が変わります。
Googleの悪質な口コミは削除できますか?
Googleのポリシーに違反している口コミは報告できます。
ただし、「低評価だから」「批判されたから」という理由だけで削除されるとは限りません。虚偽のエンゲージメント、評価操作、ハラスメント、脅迫、本人の同意のない個人情報掲載など、どのポリシーに抵触するのかを確認することが先です。
まとめ|悪質クレーマーには「謝り続ける」より対応ラインを決める
悪質クレーマーへの対応は、相手との我慢比べではありません。
企業側に落ち度があれば、その部分には誠実に対応する。
正当な要求には応じる。
一方、暴言や脅迫、不当な金銭要求、長時間拘束などには線を引く。
この切り分けが基本です。
特に重要なのは、
事実と要求を分ける
会社として回答を固定する
一定ラインを超えたら対応を終了する
の3点です。
さらに2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置が事業主に義務付けられています。担当者個人の経験や忍耐に依存するのではなく、会社として対応方針・相談体制・記録方法・再発防止策を整えることが重要です。
そして、現場で収まらずGoogle口コミやSNSへ悪評が広がった場合は、接客対応とは別にネット上の記録保存、ポリシー確認、返信、削除申請などを進めます。
クレーム対応と風評被害対応。この2つを分けて考えることが、企業と従業員の双方を守る近道です。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
‹ 親記事: 企業の炎上・風評被害対応とは|初動対応の原則から法的手段・社内体制までの全体像
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