「コンテンツを増やそう」「動画コンテンツも必要」「コンテンツマーケティングを始めたい」と言われても、コンテンツが何を指すのか曖昧なままでは、何を作ればよいか決められません。
コンテンツとは、文章・画像・動画・音声などを通じて相手に届ける「情報の中身」です。企業活動では、記事、SNS投稿、動画、資料、導入事例、FAQなど、幅広い形式がコンテンツに含まれます。迷わず選ぶには、形式から考えるのではなく、「誰に、何を理解・判断・行動してもらうか」から逆算します。
本記事では、コンテンツの意味と種類、目的別の使い分け、良いコンテンツの条件、コンテンツマーケティングとの違い、自社で作るものを決める手順の順に整理します。タイトルの「企業での活用例」は、個別の企業事例ではなく、形式ごとの使い分けと、顧客の行動段階ごとの役割として説明します。
コンテンツとは「相手に届ける情報の中身」
コンテンツは、英語のcontent / contentsに由来し、日本語では「中身」「内容」といった意味で使われます。Webやマーケティングの文脈では、文章、画像、動画、音声などを組み合わせて利用者へ届ける、情報そのものを指すのが一般的です。
法律上の定義は、これより限られた範囲を指します。日本の「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」は、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームなど、人間の創造的活動から生み出されるものを「コンテンツ」と定義しています。この定義は教養・娯楽を中心にしたものですが、企業のWeb活用では、商品説明、ノウハウ記事、FAQ、導入事例、セミナー資料なども広くコンテンツと呼ばれます。
そのため、企業の担当者が実務で考えるときは、「媒体」ではなく、その媒体を通じて顧客や見込み客へ渡す情報の中身と捉えると分かりやすくなります。次に、「Webコンテンツ」と「デジタルコンテンツ」がどこまでを指すのかを確認します。
Webコンテンツは、コンテンツと何が違うのか
Webコンテンツとは、Webサイトやオンラインサービス上で閲覧・利用される情報です。企業サイトのサービスページ、オウンドメディアの記事、FAQ、導入事例、SNS投稿、動画などが該当します。
「コンテンツ」と「Webコンテンツ」は同じ意味ではありません。コンテンツには、紙の冊子、書籍、店頭ポスター、イベントで配布する資料も含まれます。Webコンテンツは、そのうちインターネット経由で利用されるものに範囲を絞った言い方です。
デジタルコンテンツにはどこまで含まれるのか
デジタルコンテンツは、文章、画像、音声、映像などがデジタルデータとして保存・配信されるものです。Web記事やSNS投稿だけでなく、電子書籍、アプリ、ダウンロード資料なども含まれます。
経済産業省の資料でも、動画、音声、プログラム、静止画・テキストなどを、パッケージやインターネット、放送などの媒体を通じて提供される「情報の中身」として整理しています。ここで押さえたいのは、同じ内容でも届け方を変えれば、Web記事、動画、PDF、SNS投稿など複数の形式へ展開できる点です。
企業が使うコンテンツにはどんな種類があるか
企業が使うコンテンツは、形式ごとに得意な役割が異なります。「記事が良い」「動画が良い」と一つに決めず、伝える内容と利用場面に合わせて選ぶのが基本です。次の表で、主な形式の特徴と向いている場面を確認できます。
| 種類 | 主な特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 記事・コラム | 情報を順序立てて説明しやすい | 検索からの情報収集、基礎理解、比較検討 |
| SNS投稿 | 短く継続的に発信しやすい | 認知、話題化、接点づくり |
| 動画 | 動き・声・操作を見せやすい | 商品理解、使い方、雰囲気の伝達 |
| ホワイトペーパー・資料 | 情報を体系的にまとめやすい | 詳細理解、社内共有、検討材料の提供 |
| 導入事例 | 実際の課題や活用状況を示せる | 比較検討、不安解消、導入イメージ形成 |
| FAQ | 具体的な疑問へ短く答えやすい | 条件確認、不安解消、問い合わせ前の確認 |
| メール・ニュースレター | 継続的に情報を届けやすい | 見込み客との関係維持、再接触 |
| セミナー・ウェビナー | 説明と質疑を組み合わせられる | 深い理解、専門性の提示、個別検討への接続 |
表は、まず自社が届けたい場面を右の列から探し、近い形式を候補にして読みます。候補が複数ある場合は、後の節で説明する3つの判断軸で絞ります。
Oracleも、デジタルコンテンツの例として、記事、ブログ、ケーススタディ、図表、電子書籍、SNS投稿、インフォグラフィック、ポッドキャスト、動画など多様な形式を挙げています。企業が選べる形式は多いため、作りやすさだけで決めると、読者の状況に合わない形式を選んでしまうおそれがあります。
コンテンツの目的は顧客の行動段階から考える
企業がコンテンツを作る目的は、情報を増やすことではありません。顧客や見込み客が、知る、理解する、比較して判断する、行動する、という流れのどこを支えるのかを考えると、必要な形式を選びやすくなります。

図のとおり、コンテンツが担う役割は顧客の行動段階によって変わります。まず目的となる段階を決め、その段階に合う形式を選びます。
認知では「存在を知ってもらう」情報を届ける
まだ自社やサービスを知らない人には、接点を作るコンテンツが必要です。SNS投稿、短い動画、検索される基礎記事などは、最初の接触を作るために使いやすい形式です。
ただし、認知だけを目的にすると、扱う情報が広がりすぎることがあります。「どのような人に何を知ってほしいか」を先に決め、扱うテーマを絞りましょう。
理解では「疑問を解消する」情報を届ける
サービスやテーマに関心を持った人は、「これは何か」「自分に関係するか」「どんな仕組みか」といった疑問を持ちます。この段階では、解説記事、サービスページ、動画、FAQなどが有効です。
特に専門的な商品や法人向けサービスでは、担当者本人だけでなく、上司や関係部署にも説明できる情報が求められます。そのため、短い説明に加えて、図表や資料として共有しやすい形も役立ちます。
比較では「選ぶための条件」を示す
比較検討が始まると、読者が必要とする情報は、「良い商品です」という説明から、「自社に合うか判断できる材料」へ変わります。導入事例、比較表、費用や条件の説明、よくある質問などが、その材料になります。
この段階では、メリットだけを並べるより、向いているケースと向いていないケース、必要な準備、制約も示した方が、読者は判断しやすくなります。
行動では「次に何をすればよいか」を明確にする
問い合わせ、資料請求、申し込み、来店などにつなげたい場合は、読者が次の行動に迷わないことが大切です。問い合わせ前に必要な情報、相談できる内容、申し込み後の流れなどを整理しておくと、行動への不安を減らせます。
コンテンツそのものは情報ですが、企業活動では「読者が次の判断をできる状態にする」ところまで設計すると、各形式の役割が明確になります。
目的別にコンテンツ形式を選ぶ3つの判断軸
作る形式に迷ったら、「目的」「情報の複雑さ」「利用場面」の3つで整理すると判断しやすくなります。特定の形式を万能と考えず、読者が情報を受け取る状況から逆算するための考え方です。

図のように、3つの軸を組み合わせて形式を決めます。
目的から選ぶ
最初に、読者にどのような変化を起こしたいかを決めます。目的ごとの形式の例は次のとおりです。
- 知ってもらう:SNS、短い動画、検索される基礎記事
- 理解してもらう:解説記事、図解、動画、FAQ
- 比較してもらう:比較表、導入事例、詳細資料
- 社内で共有してもらう:ホワイトペーパー、チェックリスト、PDF資料
- 行動してもらう:サービスページ、FAQ、問い合わせ案内、導入フロー
目的が曖昧なままでは、作った後に成果を評価する基準も曖昧になります。形式を選ぶ前に、目的を一文で言える状態にしておきましょう。
情報の複雑さから選ぶ
短く説明できる情報と、背景や条件まで理解してもらう必要がある情報では、適した形式が違います。
たとえば、一つの注意点を伝えるだけなら、SNS投稿や短い動画でも十分です。一方、複数の条件を比較して判断してもらうなら、記事や資料の方が適しています。操作方法や動きが伝わりにくい内容は、文章だけより、動画や画面図解の方が理解しやすい場合があります。
利用場面から選ぶ
読者がどこで、どのように情報を見るかも、形式選びに影響します。移動中に短時間で確認するのか、業務中に検索して調べるのか、社内会議で共有するのかによって、適した形式は変わります。
企業側の作りやすさではなく、読者が情報を使う場面まで考えると、「記事を作ったが読まれない」「動画を作ったが比較材料にならない」といったずれを減らせます。
良いコンテンツの条件は、読者の目的達成に必要な情報がそろっていること
良いコンテンツは、文章量や見た目だけでは決まりません。読者が知りたいことに答え、判断や行動に必要な情報まで届くことが基本です。
Google検索セントラルは、検索エンジン向けではなく人を第一に考えたコンテンツを推奨し、独自の情報や分析があるか、十分な説明があるか、情報源や専門性が分かるか、読後に目的を果たすのに十分な情報を得られるか、といった観点を示しています。
企業の担当者が確認しやすいように整理すると、次の5点を満たしていることが基本です。
- 誰に向けた情報かが明確である
- 読者の疑問や課題に直接答えている
- 事実・根拠・具体例が確認できる
- 読者が理解しやすい形式で整理されている
- 読後に次の判断や行動ができる
「情報量が多いこと」と「良いコンテンツであること」は同じではありません。必要な情報が不足していれば問題ですが、関係の薄い情報を足し続けても、読者の判断はしやすくなりません。情報を足す前に、読者の判断に必要かどうかを確認しましょう。
コンテンツとコンテンツマーケティングの違い
コンテンツは「情報の中身」そのもの、コンテンツマーケティングは「コンテンツを継続的に作成・配信し、顧客との関係や事業成果につなげるマーケティングの考え方・活動」です。

図のとおり、違いは、個々の情報を指すか、複数の情報を継続的に設計・配信して成果につなげる活動を指すか、という点です。
Content Marketing Instituteは、コンテンツマーケティングを、明確な対象者を引き付け、維持し、最終的に顧客行動につなげるために、価値があり関連性の高い一貫したコンテンツを作成・配信する戦略的なマーケティング手法と定義しています。
両者の違いを、意味・例・考える単位・主な問いの4項目で整理すると、次の表のようになります。
| 項目 | コンテンツ | コンテンツマーケティング |
|---|---|---|
| 意味 | 情報の中身・個々の情報資産 | コンテンツを使った継続的なマーケティング活動 |
| 例 | 記事、動画、SNS投稿、資料、事例 | 誰に何を届け、どう接点を作り、成果へつなげるかを設計・運用すること |
| 考える単位 | 1本の記事や1本の動画でも成立 | 複数のコンテンツや接点を組み合わせて考える |
| 主な問い | 何を伝えるか | 誰に、いつ、何を、どの順番で届けるか |
まず「コンテンツとは何か」を理解し、自社に必要な形式を整理した後で、継続的な企画、制作、配信、評価まで設計するのがコンテンツマーケティングです。
コンテンツは情報そのものを指しますが、その情報を顧客の判断段階に合わせて継続的に届け、事業成果につなげる考え方はコンテンツマーケティングの全体像で詳しく整理しています。
自社で作るコンテンツは、どの順番で決めるか
自社で何を作るべきか迷ったときは、形式の候補を先に並べるのではなく、読者の疑問から決めます。読者・判断内容・必要情報を整理してから形式を選び、公開後は反応を見ながら改善する、という5つのステップです。

1. 読者とその状況を決める
同じサービスでも、初めて知った人と比較検討中の人では、必要な情報が違います。「誰が」「どの段階で」見るのかを決めます。
2. 読者が次に判断したいことを決める
「意味を知りたい」「違いを比較したい」「費用を確認したい」「社内で説明したい」など、読者が情報を使って何を判断するのかを明確にします。
3. 必要な情報を洗い出す
定義、条件、具体例、比較、費用、事例、手順など、判断に必要な材料を整理します。ここで不足があると、どの形式にしても、読者は別の情報を探しに離脱しやすくなります。
4. 情報に合う形式を選ぶ
検索される疑問へ詳しく答えるなら記事、操作や動きを見せるなら動画、比較材料を社内で共有してもらうなら資料、といったように形式を選びます。一つのテーマを、記事、動画、SNSへ展開することも可能です。
5. 公開後の反応を見て改善する
公開したコンテンツは完成品ではなく、読者の反応を見ながら改善できます。検索から読まれる記事なら閲覧状況や問い合わせへのつながり、資料ならダウンロード後の反応、動画なら視聴状況など、目的に合った指標を確認します。
まとめ
コンテンツとは、文章・画像・動画・音声などを通じて相手へ届ける「情報の中身」です。企業活動では、記事、SNS、動画、ホワイトペーパー、導入事例、FAQなど、幅広い形式がコンテンツに含まれます。
自社で何を作るか決めるときは、形式から選ぶのではなく、まず「誰に、何を理解・判断・行動してもらうか」を決めます。そのうえで、目的、情報の複雑さ、利用場面に合う形式を選ぶと、コンテンツの役割が明確になります。
コンテンツの種類と役割を整理できたら、次は複数のコンテンツをどのようにつなぎ、継続的な集客や顧客育成へ活用するかを検討します。その準備として、いま持っている記事・動画・SNS・資料を、認知・理解・比較・行動の目的別に書き出してみてください。手薄な段階が見つかれば、次に作るコンテンツの優先順位を決めやすくなります。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
-
e-Gov法令検索「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC1000000081/20210901_503AC0000000035
使用内容:法律上の「コンテンツ」の定義。 -
経済産業省「コンテンツ産業とは」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini083j.pdf
使用内容:動画・音声・プログラム・静止画・テキストなどを「情報の中身」として整理する考え方。 -
Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content?hl=ja
使用内容:有用性、独自性、十分な説明、信頼性、読者の目的達成といったコンテンツ品質の考え方。 -
Oracle 日本「コンテンツ・マーケティングとは」
https://www.oracle.com/jp/cx/marketing/content-marketing/
使用内容:デジタルコンテンツの形式例、コンテンツマーケティングとの関係。 -
Content Marketing Institute「What Is Content Marketing?」
https://contentmarketinginstitute.com/what-is-content-marketing
使用内容:コンテンツマーケティングの定義と、コンテンツ単体との違いの整理。
‹ 親記事: コンテンツマーケティングとは?SEO・オウンドメディア・SNSとの違い、戦略・進め方を解説




