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口コミ分析のやり方|不満・評価要因・店舗差を分類して改善テーマを抽出する

部署:広報・PR担当者レベル:実践
口コミを評価要因別に分類し、改善テーマへ整理している担当者の手元と分析シート

口コミを毎月読んでいても、「接客に不満が多そう」「A店の評価が低い気がする」という印象だけでは、何から改善するかを決められません。星の平均や頻出語を眺めるだけでも同じです。決め手になるのは、1件の文章を評価要因ごとの「言及」(口コミの中の個々の評価ポイント)に分け、同じ分類基準で店舗や期間を比べることです。

本記事では、口コミを分類表に落とし込み、頻度・重大度・店舗差・増加傾向・改善可能性から改善テーマを抽出する手順を解説します。スプレッドシートでも運用できる分類表を作り、次の会議で着手する課題と担当者を決めるところまでを扱います。

口コミ分析を含む、取得・返信・改善・風評対応までの全体像は「口コミ・風評対策の全体像」で整理しています。

口コミ分析は「星」ではなく「評価要因」を改善するために行う

最初に確認したいのは、口コミ分析の目的です。目的は平均評価を眺めることではなく、顧客体験のどこに強みと問題があるかを特定し、現場が変えられる改善テーマに変換することです。Googleによると、Google上の口コミスコアは公開された評価の平均です。平均値は店舗の状態をつかむには便利ですが、何を直せば評価が変わるかまでは示しません。

たとえば、同じ星3の口コミでも、「料理はおいしいが提供が遅い」なら、味は肯定、提供時間は否定です。1件を一つの感情に決めてしまうと、強みと不満が相殺されます。そこで、分析の単位は口コミの件数ではなく、文章に含まれる個々の評価要因、つまり「言及」にします。

星の平均評価と、口コミを味と提供時間の評価要因へ分解する分析方法の比較図

平均評価は店舗の状態を示しますが、改善箇所までは示しません。口コミを言及単位で分けると、維持すべき強みと改善すべき課題を同時に把握できます。

では、よく使われる指標では、どこまで分かるのでしょうか。次の表に、各指標で分かることと、単独では分からないことをまとめました。

見る指標分かること単独では分からないこと
平均評価店舗全体の評価水準評価が高い・低い理由
口コミ件数顧客の声の量不満や評価の内訳
頻出語よく使われる言葉文脈、否定、改善の優先度
評価要因別の言及率接客・品質・待ち時間などの構成問題の重大度や改善コスト
店舗差・時系列差局所的な問題、施策前後の変化差を生んだ原因の確定

どの指標も、単独では原因までは分かりません。さらに、口コミそのものにも限界があります。口コミは来店客全体を無作為に調べたデータではありません。投稿しなかった顧客の体験は含まれず、媒体や時期によって投稿者の構成も変わります。そのため、口コミだけで原因を断定せず、問い合わせ、キャンセル、再来店、待ち時間などの社内データと照合します。

最初に分析目的と比較条件を固定する

分類を始める前に、「何を決めるための分析か」を一文で固定します。目的が曖昧だと分類項目が増え、集計表はできても施策を選べなくなります。

目的の例は「直近3か月の全店舗の口コミから、翌月に改善する顧客体験を二つ選ぶ」です。この場合、比較するのは店舗、期間、評価要因で、最終的な出力は改善テーマ、担当者、期限になります。

なお、複数サイトの口コミ監視、競合比較、AI返信まで継続的に一元管理したい場合は、「デジタルリスクCLOUD」のような監視ツールを使う方法もあります。

比較可能な共通項目をそろえる

目的が決まったら、後から店舗や期間を比べられるよう、最低限、次の項目を保持します。

  • 口コミIDまたは参照URL
  • 投稿日と取得日
  • 媒体名
  • 店舗名
  • 星評価
  • 口コミ原文
  • 評価要因
  • 肯定・否定・中立
  • 重大度
  • 事実確認の要否
  • 改善担当部門

このうち、口コミ原文は必ず残します。分類結果だけを保存すると、後から判定基準を変えた際に再確認できません。個人情報や要配慮情報は、社内ルールに従って閲覧権限と保存範囲を制限します。

店舗間では件数だけでなく比率も比較する

口コミ総数が200件の店舗と20件の店舗を、否定的な言及の件数だけで比べると、規模の大きい店舗が不利になります。そこで、店舗差を見るときは件数と比率を併記します。比率は次の式で求めます。

評価要因別の否定言及率 = その要因の否定言及数 ÷ 店舗の全言及数 × 100

ただし、母数が小さい店舗では1件の影響が大きくなります。件数が少ない店舗は単月で順位付けせず、3か月や6か月へ期間を広げ、代表的な原文も合わせて確認してください。

分類表は「評価要因・感情・重大度」の3層で作る

改善につながる分類表は、3つの層で作ります。何についての声かを示す「評価要因」、どの方向の評価かを示す「感情」、どれほど優先的に扱うべきかを示す「重大度」です。業種に合わせて調整してかまいませんが、全店舗では同じ定義を使います。次の表は、評価要因(大分類と小分類)の例です。

大分類小分類例肯定例否定例主な担当
商品・サービス品質味、施術、仕上がり、品ぞろえ期待以上、品質が安定品質不良、説明と違う商品・現場責任者
接客挨拶、説明、配慮、知識丁寧、説明が明確高圧的、案内不足店長・教育担当
待ち時間・運用予約、受付、提供、会計スムーズ、時間どおり待たされた、順番が不明店舗運営
施設・環境清潔さ、設備、音、温度清潔、過ごしやすい汚れ、故障、騒音施設・店舗運営
価格・契約価格、追加料金、説明納得感がある割高、料金が不透明企画・店舗責任者
アクセス・情報場所、駐車場、営業時間、Web情報分かりやすい情報が古い、場所が不明MEO・Web担当

表の肯定例と否定例が、感情の付け方の目安です。感情は、言及ごとに肯定・否定・中立のいずれかを付けます。重大度については、このあとの項で説明します。

1件に複数の分類を付ける

1件の口コミには、肯定的な評価と否定的な評価が混在します。たとえば「受付は親切だったが、予約時間から40分待ち、料金の説明も分かりにくかった」という口コミには、接客・肯定、待ち時間・否定、料金説明・否定の3つの言及があります。口コミ全体へ「ネガティブ」と一つだけ付けず、意味のまとまりごとに行を分けます。次の表は、この口コミを分けた例です。

口コミID言及評価要因感情重大度
R-001受付は親切接客/配慮肯定低
R-001予約から40分待った待ち時間/予約否定中
R-001料金説明が分かりにくい価格/説明否定中
一つの口コミを接客・待ち時間・料金説明の言及へ分け、評価要因・感情・重大度の3層で分類する図

このように言及ごとに評価要因・感情・重大度を付けると、強みと問題が相殺されません。

重大度は感情の強さだけで決めない

重大度は、不満の表現が強いかではなく、顧客・安全・法令・信頼・売上への影響で判定します。たとえば件数が1件でも、衛生、安全、差別、個人情報、請求トラブルに関する指摘は、すぐに確認が必要です。次の表は、重大度の4区分と、区分ごとの対応です。

重大度判定基準対応
緊急安全、衛生、法令、差別、個人情報、重大な請求問題集計を待たず責任者へ連絡
高利用中止、返金、再発する強い不信につながる事実確認し、期限を決めて是正
中体験を明確に下げるが、直ちに重大被害へつながらない月次の改善候補へ追加
低好み、軽微な要望、単発の不便傾向を監視

穏やかな書き方の口コミでも、影響が大きければ重大度は高くなります。逆に、表現が強くても好みや軽微な要望であれば、重大度は低くなります。

口コミを6ステップで分類し、改善テーマへ変える

分類から施策までを同じ流れで繰り返すと、担当者が変わっても判断がぶれにくくなります。最初から大量のデータに適用せず、まず一部を人手で分類して基準を固めます。

対象設定から分類案、定義、言及ラベル、精度確認、差分集計までの口コミ分析6ステップ

口コミ分析は、対象を決めてから言及を分類し、原文との照合を経て差分を集計します。分類精度に問題があれば、定義へ戻って基準を修正します。

STEP1|対象期間と対象範囲を決める

最初に、分析する範囲を決めます。全店舗、特定店舗、特定媒体など、対象を絞ります。季節性が強い事業は前年の同じ月と、運用変更の効果を見る場合は施策の前後と比較します。媒体が複数ある場合は媒体名を保持し、媒体ごとの平均評価や投稿文化の違いを混ぜないようにします。

STEP2|50〜100件を読み、分類案を作る

次に、実際の口コミを読んで分類の案を作ります。最初の分類項目は、現場の業務工程と実際の口コミから作ります。項目を細かくしすぎると件数が分散するため、最初は大分類5〜8個、小分類は各2〜6個程度を目安にします。既存の分類に入らない声は「その他」で終わらせず、新しい分類の候補として記録します。

STEP3|分類定義と境界例を文書化する

分類案ができたら、各分類に「含む例」と「含まない例」を設定します。たとえば「予約が取りにくい」は予約導線、「予約したのに待った」は待ち時間に分類します。境界を決めておかないと、担当者やAIによって集計結果が変わります。

STEP4|言及単位でラベルを付ける

定義がそろったら、1件の口コミを意味のまとまりに分け、評価要因、感情、重大度のラベルを付けます。AIやテキスト分析ツールは大量処理に役立ちますが、皮肉、二重否定、業界固有語、複数要因を取り違える可能性があります。そのため、緊急・高の重大度の判定と、判断が曖昧な原文は人が確認します。

STEP5|分類精度を抜き取り確認する

自動分類のあとは、店舗・星評価・カテゴリが偏らないように標本を抜き取り、原文とラベルを照合します。誤りを「分類漏れ」「分類違い」「感情違い」「重大度違い」に分け、定義または指示文を修正します。分類モデルや指示文を変更した日も残してください。

STEP6|件数・比率・差分を集計する

最後に、評価要因ごとの肯定言及数、否定言及数、否定言及率を集計し、店舗差、前期間との差、重大度を重ねます。頻度だけで並べると「よく話題になる項目」が上位に来るだけで、改善の優先度は分かりません。そのため、優先度は次の節で別に判定します。

改善テーマは頻度・重大度・店舗差・増加傾向・改善可能性で優先順位を決める

集計ができたら、何から手を付けるかを決めます。改善の優先度は、頻度、重大度、店舗差、増加傾向、改善可能性の5つの軸で判断します。単純な件数ランキングにしないことで、低頻度の重大問題や、一部の店舗だけで起きている運用問題を拾えます。次の表は、軸ごとの確認事項と、優先度が高い状態です。

評価軸確認する問い高優先の状態
頻度同じ不満が繰り返されているか否定言及率が高い
重大度顧客・安全・信頼への影響は大きいか緊急・高に該当
店舗差特定店舗だけ悪化しているか全店中央値から大きく外れる
増加傾向前期間より増えているか件数・比率が連続上昇
改善可能性自社で原因へ働きかけられるか低コスト・短期間で変更可能
口コミの改善テーマを頻度・重大度・店舗差・増加傾向・改善可能性の5軸で選ぶ優先順位図

改善テーマは口コミ件数だけで決めず、5つの軸を重ねて判断します。なお、店舗差の軸にある「全店中央値」は、全店舗を値の順に並べたときの真ん中の値です。

運用しやすくするには、各軸を1〜3点で採点し、合計点を会議の出発点にします。点数は自動で決まる答えではなく、代表原文と現場データを確認する対象を絞り込むために使います。ただし、安全・法令・個人情報に関する緊急項目は、頻度や合計点に関係なく最優先です。

店舗差から原因仮説を作る

店舗差は、改善の原因を考える手がかりになります。全店舗で待ち時間への不満が増えていれば、予約枠や人員配置など、店舗に共通する設計を疑います。1店舗だけ高ければ、シフト、設備、教育、導線など、その店舗に固有の条件を確認します。高評価の店舗の運用を比較対象にすると、改善策を具体化しやすくなります。

高評価も「維持・再現テーマ」として扱う

改善の対象は否定的な口コミだけではありません。肯定的な言及も分類します。複数店舗で「説明が分かりやすい」と評価されているなら、標準手順として維持します。特定の店舗だけで高く評価されているなら、その接客方法を他店へ展開できます。強みを広告表現へ転用する前に、実際の提供価値として再現できるかを確認してください。

分析結果を担当者・期限・検証指標まで落とし込む

改善テーマは「接客を改善する」のような抽象語のままでは、現場が動けません。対象店舗、問題の場面、原因仮説、施策、担当者、期限、検証指標まで書き出します。次の表は記入例です。

項目記入例
改善テーマA店の平日18〜20時の受付待ち時間
根拠待ち時間の否定言及率が全店中央値より高く、2か月連続で増加
原因仮説来店集中時の受付担当不足
施策ピーク時間のみ受付担当を1名追加
担当・期限A店店長・翌月1日開始
検証指標実測待ち時間、待ち時間の否定言及率、離脱件数
判定時期実施から8週間後

この例では、待ち時間の否定言及率が全店の中央値より高く、2か月連続で増えていることを根拠に、来店が集中する時間帯の受付担当不足を原因仮説としています。施策はピーク時間のみ受付担当を1名追加することで、実施から8週間後に判定します。

口コミだけで施策の効果を判定すると、投稿件数の変動に左右されます。待ち時間なら実測時間、説明不足なら問い合わせ内容、予約問題なら予約完了率など、業務データも一緒に追います。改善後は同じ分類定義と同じ期間幅で再集計し、基準を途中で変えないようにします。

口コミ分析で避けたい5つの失敗

口コミ分析では、分類の細かさよりも、比較できることと、施策につながることが大切です。次の5つの失敗を避けるだけでも、集計表が現場で使われやすくなります。

  1. 星1・星2だけを分析する:星4でも具体的な不満を含む場合があるため、本文を言及単位で見ます。
  2. 頻出語を改善テーマとみなす:「店」「利用」など一般的な語が多くても、施策には直結しません。
  3. 店舗ごとに分類基準を変える:店舗差なのか分類差なのか判断できなくなります。
  4. 少数データで順位を断定する:母数と比率を併記し、必要なら期間を広げます。
  5. AIの分類結果を無確認で採用する:原文、分類定義、抜き取り精度を確認し、重大案件は人が判断します。

まとめ

口コミ分析で改善テーマを抽出するには、1件の口コミを評価要因ごとの言及に分け、「評価要因・感情・重大度」の3層で分類します。そのうえで、件数だけでなく比率、店舗差、時系列の変化、改善可能性を比較します。

最初の一歩は、分析目的を一文で決め、50〜100件を読んで分類案と境界例を作ることです。分類したあとは、頻度・重大度・店舗差・増加傾向・改善可能性で優先順位を付け、担当者、期限、検証指標まで設定しましょう。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

  • 「Understand review scores for local places & businesses」Google Business Profile Help(Google、2026年8月24日確認)<https://support.google.com/business/answer/4801187?hl=en>
  • 「Manage customer reviews」Google Business Profile Help(Google、2026年8月24日確認)<https://support.google.com/business/answer/3474050?hl=en>
  • 「About reviews for service businesses」Google Business Profile Help(Google、2026年8月24日確認)<https://support.google.com/business/answer/9950987?hl=en>
  • “I Can’t Get No Satisfaction? From Reviews to Actionable Insights: Text Data Analytics for Utilizing Online Feedback” Data, 2025, 10(3), 35. <https://doi.org/10.3390/data10030035>
  • “Biases in online reputation systems: a survey of the empirical literature” Electronic Commerce Research, 2026. <https://doi.org/10.1007/s10660-026-10176-7>
  • “Online reviews: information content, drivers, and platform design” Marketing Letters, 2026. <https://doi.org/10.1007/s11002-026-09819-4>

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