[独自調査] Report ID: SBR-2026-031
公開日:2026年9月29日 著者:菊地 将
要旨
同じ企業21,002社の公式サイトを2021年と2026年で比較。SNS導線は40.4%から49.0%へ増加し、InstagramやYouTubeへのリンクが大きく伸びました。媒体別・業種別の変化と求職者調査を踏まえ、採用情報の接点として自社で確認したい3つの導線を整理します。
同じ企業21,002社について、公式サイトのトップページから公式SNSへのリンクが確認できるかを、2021年8月と2026年9月で比べました。結果を先に言うと、企業サイトから公式SNSへたどれるリンク(この記事では「SNS導線」と呼びます)は5年で増えました。ただし、増え方は媒体によって大きく違います。
公式SNSへのリンクが1つ以上確認できた企業は、40.4%から49.0%に増えています。Instagramは19.7%から33.4%、YouTubeは11.3%から19.5%へ伸び、Facebookは30.8%から29.1%に下がりました。
ただし、この調査が測ったのはサイト上のリンクの有無であり、採用の成果ではありません。この記事では、媒体別・業種別のデータと、企業ごとの入れ替わり(2021年と2026年でリンクが「ある→ない」「ない→ある」に変わった企業の数)から、5年間の変化を確認します。そのうえで外部の求職者調査も参照し、求職者が企業サイトから追加情報へ進めるか、SNSで興味を持った後に正式な採用情報へ戻れるかという「情報接点」を、自社で点検するための観点を整理します。SNS運用の方法論は扱いません。
採用では何を確認すべきか:SNSの数ではなく情報接点
冒頭の結果が示しているのは、企業サイトから外部SNSへつながる接点が増え、その媒体の構成も変わっているという事実です。一方で、今回の調査だけから「SNSリンクを増やせば応募数や採用数が増える」と結論づけることはできません。
そのため、採用担当者が確認したいのは、SNSアカウントの数ではありません。求職者が企業サイトから追加情報へ進めるか、SNSで興味を持った後に正式な採用情報へ戻れるか、という情報接点です。後半では、調査結果から直接確認できる範囲に絞って、自社で点検したい3つの導線を整理します。
採用サイト・口コミ・検索結果・SNSを含めて求職者との接点全体を整理したい場合は、採用ブランディングの全体像で、企業が発信する情報と外部から見える評判の関係を確認できます。
何を調べたのか:トップページから公式SNSへのリンクの有無
比較したのは、企業の公式サイトのトップページです。2021年8月時点の保存ページ(インターネットアーカイブ)と、2026年9月3〜4日に取得した現在のトップページを、同じ企業について並べました。
対象は、調査した49,568社のうち、2021年8月の保存ページが確認できた26,477社と、2026年にもトップページを取得できた企業の重なりである21,002社です。
確認した媒体は、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、YouTube、LinkedInの5つです。トップページのリンクのうち各媒体のドメインを持つ外部リンクを、2021年と2026年で同じ条件で判定しました。共有ボタン、トップページだけを示すURL、動画へのリンクは公式アカウントとして数えず、アカウントやチャンネルのページと見られるリンクだけを「公式SNSへのリンク」としています。
したがって、この記事で「SNS導線が確認できる」と書くときは、公式サイトのトップページから公式SNSへのリンクが確認できることを指します。企業がSNSアカウントを持っているか、運用しているか、投稿頻度やフォロワー数がどうかは測っていません。トップページにリンクがなくても、アカウントを持っている企業はあります。また、TikTokやLINEなど、2021年の調査項目にない媒体は比較の対象外です。
結果を読むときの前提もあります。21,002社は2021年の保存ページがある企業に限られるため、日本の企業全体を代表するものではありません。一方、同じ企業を2時点で比べているので、企業の入れ替わりによる差は含まれません。
SNS導線の確認率は40.4%から49.0%へ、複数媒体へのリンクも増加
次の表は、公式SNSへのリンクが確認できた企業の割合と、確認できた媒体数ごとの内訳を、2021年8月と2026年9月で並べたものです。
| 指標 | 2021年8月 | 2026年9月 |
|---|---|---|
| 公式SNSへのリンクが1つ以上確認できた企業 | 40.4%(8,492社) | 49.0%(10,283社) |
| 確認できた媒体の数の平均 | 0.83媒体 | 1.09媒体 |
| 1つも確認できない | 59.6% | 51.0% |
| 1媒体 | 15.4% | 15.8% |
| 2媒体 | 12.1% | 14.6% |
| 3媒体 | 8.5% | 11.7% |
| 4媒体以上 | 4.4% | 6.9% |
(対象:2021年と2026年の両方でトップページを確認できた21,002社。割合は企業数に対する比率)
リンクが1つも確認できない企業は、59.6%から51.0%に減りました。3媒体以上へのリンクが確認できる企業は、12.9%から18.6%に増えています。SNSへの導線が確認できる企業が増えただけでなく、複数の媒体へリンクする企業も増えたことになります。

企業サイトとSNSの接点は、5年前より増えています。ただし、どの媒体が増えたかを見ると、その変化は一様ではありません。
Instagramへのリンクが最も増え、Facebookへのリンクは低下
次の表は、媒体ごとの確認率の変化と、2021年から2026年にかけてリンクが新たに確認できた企業・確認できなくなった企業の数です。
| 媒体 | 2021年 | 2026年 | 差 | 新たに確認できた企業 | 確認できなくなった企業 |
|---|---|---|---|---|---|
| 19.7% | 33.4% | +13.7pt | 3,371社 | 492社 | |
| YouTube | 11.3% | 19.5% | +8.2pt | 2,206社 | 492社 |
| X | 18.8% | 22.2% | +3.5pt | 1,746社 | 1,021社 |
| 2.8% | 4.3% | +1.5pt | 402社 | 87社 | |
| 30.8% | 29.1% | −1.7pt | 1,355社 | 1,711社 |
(対象:21,002社。差は端数処理前の値から計算しているため、表示上の割合の差と0.1ポイント異なる場合があります)
トップページからInstagramへのリンクが確認できる企業は、2021年にはFacebookより低く、Xと同程度の割合でしたが、2026年には最も高い媒体になりました。YouTubeも約1.7倍に増えています。
一方、2021年に最も高かったFacebookは、新たにリンクが確認できた企業(1,355社)より、確認できなくなった企業(1,711社)の方が多く、確認率はわずかに下がりました。
Xは増えていますが、増加幅はInstagramの4分の1程度で、確認できなくなった企業も1,021社あります。LinkedInは増加したものの、2026年でも4.3%と低い水準です。

つまり、この5年間に起きていたのは、SNSリンクが一律に増えたことではなく、企業サイトからたどれるSNSの構成が変わったことでした。
求職者はSNSを企業選びにどう使っているのか
今回の調査で測ったのは企業サイト上のSNSリンクであり、採用成果そのものではありません。InstagramやYouTubeへのリンクが増えたことで応募数や採用数が増えた、と今回のデータだけから結論づけることはできません。
では、求職者の側ではSNSがどう使われているのでしょうか。外部の調査を2つ参照します。
1つ目は、Thinkings株式会社が2024年12月26日〜2025年1月17日に、2025年・2026年卒の大学生・大学院生200名と転職経験のある社会人200名を対象に実施した調査です。就活生の80%、転職経験者の81%が、SNSで得た情報によって企業への志望度が変化した経験があると回答しています。
2つ目は、マイナビの「2026年卒企業新卒採用予定調査」です。採用活動でSNSを使用している企業に「企業認知の向上」のために利用している媒体を尋ねたところ、Instagramが59.9%、YouTubeが27.0%、Xが13.2%、Facebookが10.7%でした。
これらの外部調査は、今回の21,002社調査とは対象・方法が異なります。そのため、「採用目的でInstagramへのリンクを増やした企業が増えた」とは言えません。ただし、企業サイト上でInstagramやYouTubeへの導線が増えている時期に、求職者側でもSNSが企業理解や志望度形成の接点として使われていることは、採用情報の接点を点検するうえで参考になります。
企業サイトからSNSへたどれることは、採用でなぜ点検項目になるのか
求職者は、企業サイトだけでなく、SNSや社員インタビューなど複数の情報を見ながら企業を理解することがあります。前節で見たThinkingsの調査でも、就活生・転職経験者ともに約8割が、SNS情報によって志望度が変化した経験があると回答しています。
今回の調査から直接確認できるのは、企業サイトのトップページから公式SNSへリンクされているかどうかだけです。したがって、採用の観点での示唆は、SNS運用の良し悪しではなく、企業サイトから追加情報へ移動できる接点があるかという点に限って捉えるのが適切です。
SNS導線の有無と採用成果の因果関係は示せません。それでも、求職者がSNSも企業研究に使う状況では、公式サイトからSNSへたどれるかどうかは、自社の情報接点を点検する項目の一つになります。
2021年にあったリンクの15.0%は、2026年には確認できない
同じ企業の中での入れ替わりを見ると、全体の増加は、新たにリンクが確認できた企業が、確認できなくなった企業を上回った結果であることがわかります。内訳は次のとおりです。

- 2021年にリンクが確認できた8,492社のうち、2026年も確認できたのは7,222社(85.0%)
- 2026年に確認できなくなったのは1,270社(15.0%)
- 2021年にリンクが確認できなかった12,510社のうち、2026年に新たに確認できたのは3,061社(24.5%)
確認できなくなった企業には、リンクを外した企業のほか、サイトのリニューアルでトップページの構成が変わった企業や、表示方式の変更で今回の取得方法では確認できなくなった企業が含まれる可能性があります。
2026年のトップページで外部リンクを1つも取得できなかった2,108社を除いて比べると、確認率は43.6%から54.4%へ、約10.8ポイントの増加でした。除外しても、SNS導線が増えている傾向自体は変わりません。
すべての主要業種でSNS導線の確認率が上がり、上昇幅は3〜12ポイント
企業数が300社以上の業種分類で、公式SNSへのリンクが1つ以上確認できた企業の割合を比べました。次の表は、企業数の多い順に、2021年と2026年の割合とその差を示しています。
| 業種 | 企業数 | 2021年 | 2026年 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 製造業 | 1,635社 | 38.5% | 50.6% | +12.1pt |
| サービス業 | 727社 | 53.1% | 59.3% | +6.2pt |
| 建設・工事系 | 654社 | 39.1% | 50.5% | +11.3pt |
| 食品 | 585社 | 53.3% | 63.4% | +10.1pt |
| サービス(別分類) | 519社 | 42.2% | 50.1% | +7.9pt |
| 情報通信 | 500社 | 50.2% | 53.0% | +2.8pt |
| 商業(卸売・小売) | 494社 | 65.0% | 71.1% | +6.1pt |
| 不動産 | 379社 | 38.0% | 47.2% | +9.2pt |
| IT・DX・マーケ | 355社 | 43.1% | 49.9% | +6.8pt |
| 医療・福祉・介護 | 351社 | 32.2% | 43.0% | +10.8pt |
| 医療 | 343社 | 39.9% | 46.1% | +6.1pt |
(対象:両時点で確認できた企業のうち、企業数が300社以上の業種分類。企業数の順。2026年9月時点)
どの業種でも確認率は上がりました。2021年の水準が低かった製造業、建設・工事系、医療・福祉・介護などで上昇幅が大きく、情報通信では上昇幅が小さくなっています。ただし、食品のように2021年の水準が高くても大きく上がった業種もあります。2026年でも、商業(卸売・小売)の71.1%から医療・福祉・介護の43.0%まで、業種による差は残っています。
求職者との接点として考える場合も、自社だけを見るのではなく、同業企業でどの程度SNS導線が設けられているかを確認すると、自社の情報導線が相対的にどう見えるかを把握できます。
このデータから言えること、言えないこと
ここまでの結果を、採用と結びつけて読むときの線引きとして整理します。
言えること
- 同じ企業で比べると、公式サイトのトップページから公式SNSへのリンクが確認できる企業は、2021年から2026年で増えた(40.4%から49.0%)
- トップページからInstagramへのリンクが確認できる企業が大きく増え、YouTubeも増えた
- Facebookへのリンクの確認率は低下した
- 2026年でも、トップページから公式SNSへのリンクが確認できない企業が半数強(51.0%)ある
- 増加はすべての主要業種で確認できる
- 外部調査では、就活生・転職経験者の約8割がSNSで得た情報によって志望度が変化した経験がある
- 外部調査では、企業側も採用時の認知向上にInstagramやYouTubeなどを使用している
言えないこと
- SNSへのリンクを設置したことで応募数や採用数が増えたかどうか
- InstagramやYouTubeへのリンク増加が採用目的によるものかどうか
- 企業がSNSアカウントを実際に持っているか、運用しているかどうか
- InstagramやFacebookを利用する企業そのものの増減
- 投稿頻度、フォロワー数、エンゲージメント
- 採用専用アカウントと企業全体の公式アカウントの区別
- 日本の企業全体の変化
- SNS活用が「当たり前になった」かどうか
今回の調査は企業サイト上のリンクを測ったものであり、採用成果やSNS運用の成果を測定したものではありません。採用との関係は、外部の求職者調査・企業調査と組み合わせて考察しています。
自社で確認する3つの導線
今回の調査から自社に持ち帰りたいのは、SNSの運用体制やKPIの作り方ではなく、求職者が必要な情報へ移動できる接点が切れていないかという点です。まずは公開画面で、次の3点を確認します。
1|採用サイト・企業サイトから公式SNSが見つかるか
自社の企業サイトや採用ページを開き、Instagram、YouTube、Xなど、求職者が追加情報を確認できる公式SNSへ移動できるかを確認します。
自社にアカウントがあっても、サイトからたどれなければ、今回の調査の基準では「導線が確認できない」状態です。今回の調査でも、公式SNSへのリンクが1つ以上確認できた企業は、2021年の40.4%から2026年の49.0%へ増えています。
2|SNSから正式な採用情報や社員・仕事情報へ戻れるか
SNSのプロフィールや投稿から、採用サイト、募集要項、社員インタビュー、仕事内容など、より詳しい情報へ戻れるかを確認します。ここで見るのは、媒体ごとの運用方法ではありません。SNSで企業を知った人が、次に確認したい公式情報へ進めるかという接点です。リンク先が古い、採用ページへ戻れない、募集情報に到達できない場合は、導線が途中で切れています。
採用サイト側に何を載せるべきかを具体的に点検したい場合は、採用サイトに載せるべき情報で、仕事内容・社員情報・制度・選考情報などの整理方法を確認できます。
3|募集情報から応募まで迷わず進めるか
採用サイトや募集要項まで到達した後、応募フォームやエントリー先が明確かを確認します。SNSから企業理解が深まっても、最後の応募先が分からなければ、情報接点は完結しません。
確認するときは、管理画面ではなく、実際の求職者と同じ公開画面で、「企業サイト・採用サイト → SNS → 詳細な採用情報 → 募集要項 → 応募」の順に一度たどります。
この3点より先の、採用広報の戦略設計・発信テーマ・運用体制・KPIや、採用オウンドメディアの立ち上げ・記事企画・編集体制は、本記事の担当範囲ではありません。ここでは21,002社の一次調査から、自社の情報接点を確認するための最小限の観点に限定しています。
まとめ:採用で確認したい3点
同じ企業21,002社の公式サイトを2021年と2026年で比べると、トップページから公式SNSへのリンクが確認できる企業は、40.4%から49.0%へ増えていました。特にInstagramは19.7%から33.4%、YouTubeは11.3%から19.5%へ大きく増え、Facebookは30.8%から29.1%へ低下しています。3媒体以上へのリンクが確認できる企業も12.9%から18.6%へ増え、企業サイトからSNSへつながる接点は5年前より増えています。
一方、このデータだけでSNS導線の増加が応募数や採用数を押し上げたとは言えません。今回確認できるのは、企業サイト上のSNSリンクの有無と、その構成変化です。
採用の観点では、外部調査で求職者がSNSを企業理解や志望度形成に使っていることも踏まえ、自社で次の3点を確認する材料になります。
- 企業サイト・採用サイトから公式SNSが見つかるか
- SNSから正式な採用情報や社員・仕事情報へ戻れるか
- 募集情報から応募まで迷わず進めるか
今回の調査からの実務上の示唆は、SNSを増やすことそのものではなく、求職者が企業を知った後に次の情報へ進める接点が切れていないかを確認することです。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- 弊社調査:企業公式サイト49,568社のうち、2021年8月の保存ページと2026年9月のトップページの両方を確認できた21,002社を対象にした、公式SNSへのリンクの比較(2021年8月、2026年9月時点)
- Thinkings株式会社「就職活動・転職活動におけるSNS利用実態調査のレポートを公開~就活生・社会人の約8割が、企業のSNS情報で志望度が変化したと回答~」(2025年7月9日) https://sonar-ats.jp/news/20250709_snsresearch_dl/
- 株式会社マイナビ「マイナビ2026年卒企業新卒採用予定調査」(2025年) https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2025/02/edb0448f3bcc8dd000045ea1e21851fb-1.pdf
- 東京商工リサーチ「企業のSNSアカウント、大企業でも半数が『運用せず』 さらに運用企業の3割が『効果得られない』 2023年『企業のSNS運用に関するアンケート』調査」(2023年8月21日) https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197920_1527.html
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