検索ブランド相談室 | 検索と評判の専門メディア

採用計画の立て方|人数・予算・要件・チャネル・KPI・スケジュールを設計

部署:人事・採用担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
採用人数・予算・要件・チャネル・KPI・スケジュールを一枚の採用計画へまとめる様子

「今年は営業を5人採用する」「採用予算は500万円」。こうした数字が決まっていても、人数・時期・要件・チャネル・KPIが別々に管理されていると、実行段階で矛盾が起きやすくなります。

採用計画で押さえるのは、事業計画から必要な人員を逆算し、採用人数、期限、予算、採用要件、採用チャネル(求人媒体や人材紹介など、候補者と出会う経路)、KPIを同じ前提でつなぐことです。この記事では、人事・採用責任者や経営者の方が、断片的な採用目標を一枚の実行計画にまとめる手順を、7つのステップで解説します。最後に、一枚にまとめるためのテンプレートと、実行前のチェックリストも示します。

採用計画とは何か|事業計画を採用の実行計画に変えるもの

まず、採用計画が何を決めるもので、事業計画や採用施策とどう違うのかを整理します。

採用計画とは、「いつまでに、どの部署へ、どのような人材を、何人採用するか」を決め、その実現に必要な予算・採用手法・KPI・スケジュールまで具体化した実行計画です。

出発点は、求人媒体を選ぶことではありません。先に事業計画と必要な人員を確認し、足りない分を採用でどう補うかを決めます。事業計画が「なぜ人が必要か」を、要員計画(部署・職種ごとに必要な人数や配置、異動を決める計画)が「何人必要か」を決めるとすると、採用計画はその先にあり、採用施策(求人媒体、人材紹介、スカウト、社員の紹介によるリファラル採用など)を実行できる形に整える役割を持ちます。

次の表は、4つの計画の違いをまとめたものです。

項目 主に決めること 採用計画との関係
事業計画 売上目標、新規事業、拠点展開、提供体制 人が必要になる理由を決める
要員計画 部署・職種ごとの必要人数、配置、異動 採用で補う人数の起点になる
採用計画 人数、期限、要件、予算、チャネル、KPI、日程 採用活動を実行できる形にする
採用施策 求人媒体、紹介、スカウト、リファラルなど 採用計画を実行する手段になる
事業計画から必要な人員を決め、採用計画を通じて採用施策へつなぐ流れを示した図

上の図は、事業計画から必要な人員を決め、採用計画を通じて採用施策へつなぐ流れを表しています。

人手不足の外部環境を知る参考として、厚生労働省の統計を2つ挙げます。2026年7月の有効求人倍率は1.18倍、2026年5月時点の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス47ポイントの不足超過でした。自社の採用難易度を直接示す数字ではありませんが、人材確保を「求人を出せば予定どおり採れる」という前提だけで組むのは避けた方がよい、と考える材料になります。

採用計画を含む施策の位置づけを先に整理したい場合は、採用改善の全体像も確認してください。

採用計画では何を決めるか|7項目を一枚でつなぐ

この節では、採用計画に載せる項目を整理します。少なくとも次の7項目を同じ表で管理すると、前提の食い違いを見つけやすくなります。

項目 決める内容 主な確認先
採用目的 なぜ採用するのか 事業計画、部門計画
採用人数・期限 何人をいつまでに必要とするか 要員計画、退職・異動見込み
採用要件 業務遂行に必要な条件は何か 現場責任者、職務内容
採用予算 いくらまで使えるか 経営、予算実績
採用チャネル どこで候補者と接点をつくるか 過去実績、対象職種
KPI 途中経過を何で判断するか 応募、選考、内定、承諾データ
スケジュール・担当 誰がいつ何をするか 人事、現場、経営

この7項目は独立していません。採用人数が増えれば必要な応募・面接数が変わり、採用期限が短くなれば使えるチャネルや必要な工数も変わります。そのため、どれか一つを変えたら他の項目も計算し直す前提で設計します。

次の節からは、この7項目を、採用人数、期限と要件、予算、チャネル、KPI、スケジュールの順に、STEP1〜6で決めていきます。採用目的は事業計画から引き継ぐ前提なので、STEP1の冒頭で確認します。STEP7では、経営・現場・人事での合意を取ります。

STEP1|採用人数は事業計画から逆算して決める

最初に決めるのは、何人採用するかです。ただし先に、事業計画のどの目標のために人が必要なのかを確認し、採用の目的を押さえます。目的がはっきりしていれば、人数の根拠を後から説明できます。

採用人数は「昨年と同じ人数」ではなく、目標時点の必要要員と、その時点に社内にいる見込み人数との差から考えます。基本の考え方は次のとおりです。

必要採用人数 = 目標時点の必要要員数 - 目標時点の社内人員見込み

社内人員見込みは、現在の在籍人数だけでは決まりません。確定している異動や配置転換、定年・退職の予定も加えて考えます。将来の離職を織り込む場合は、個人の退職を予測するのではなく、過去の離職率などをもとに複数のシナリオを置く方が扱いやすくなります。

たとえば、半年後にある部門を25人にする必要があり、現在20人いるとします(数字は説明用の仮想例です)。異動で1人増える一方、他部署への異動で1人減り、過去実績を参考に2人分の離職を計画上のシナリオとして置くなら、半年後の社内人員見込みは18人です。25人から18人を引くと、採用で補う目安は7人になります。

目標時点の必要要員25人から社内人員見込み18人を差し引き、必要採用人数7人を逆算する例

上の図は、目標時点の必要要員から社内人員見込みを引いて、必要な採用人数を逆算する流れを表しています。

シナリオに使う離職率の参考値として、厚生労働省の2025年上半期「雇用動向調査」では、常用労働者全体の離職率は8.1%でした。1〜6月の半年間の値で、産業や雇用形態によっても差があります。全国平均をそのまま自社の前提にせず、自社の過去実績と職種別の状況を優先してください。

STEP2|採用期限と採用要件をセットで決める

人数が決まったら、次に決めるのは採用期限と採用要件です。採用期限は、いつまでに戦力化したいかから決める入社期限のことです。この順にするのは、採用要件を理想像から作ると、候補者が極端に少なくなり、期限や予算と矛盾しやすいためです。期限を先に置き、その期限に間に合う要件へ落とし込みます。

採用要件は、少なくとも次の3段階に分けて整理すると、判断しやすくなります。

  • 必須条件:入社時点でなければ業務を任せられない条件
  • 歓迎条件:あれば立ち上がりが早くなる条件
  • 入社後に育成できる条件:研修やOJTで補える条件

たとえば「法人営業3年以上」を必須条件にする前に、本当に必要なのが「特定業界への提案経験」なのか、「顧客課題を整理して提案できる力」なのかを現場と確認します。経験年数を長く求めても、採用しやすくなるわけではありません。実際の業務と評価基準につながる条件だけを残します。

また、求人票や面接で伝える役割と、入社後に期待される役割がずれないようにします。採用計画の段階で、採用背景・担当業務・期待成果を現場とそろえておくと、募集開始後の説明のぶれを減らせます。

STEP3|採用予算は人数とチャネルに分解する

人数、期限、要件が決まったら、次は費用の枠を決めます。採用予算は総額だけで持たず、「何人を、どの手段で採るための予算か」まで分けて持ちます。予算表には、少なくとも次の費目を入れておくと管理しやすくなります。

  • 求人広告や採用媒体の掲載費
  • 人材紹介などの成功報酬
  • ダイレクトリクルーティング(企業が候補者に直接働きかける採用手法)などの利用料
  • 採用イベント、説明会、制作物などの費用
  • 面接・スカウト・応募対応にかかる社内工数
  • 計画変更に備える予備枠

予算が先に固定されている場合は、「その予算で何人採れるか」から逆算します。人数と予算が合わないときは、採用単価(採用者1人当たりの費用)だけを無理に下げるのではなく、採用期限、要件、チャネルの組み合わせを見直します。

次の表は、何が固定されているかに応じて、主にどこを見直すかをまとめたものです。

状況 主に見直す項目
人数は固定、予算が不足 チャネル配分、採用期間、対象要件
期限は固定、応募が不足 チャネル追加、訴求、運用工数
要件は固定、母集団が小さい 採用期間、探索範囲、予算
予算は固定、採用難易度が高い 優先職種、採用人数、育成前提

表の「母集団が小さい」は、募集に応じる候補者の集まりが小さい状態を指します。何を固定するかによって、見直す先が変わります。

こうした計画上の制約は、承認の前にまとめて表に出し、並べて確認します。「5人必要・3カ月以内・予算200万円・高難度職種」といった条件を別々に承認すると、実行時に矛盾が表面化するためです。

採用人数・期限・要件・予算が相互に影響し、条件変更時に採用計画全体の再調整が必要なことを示す図

上の図は、人数・期限・要件・予算が互いに影響し合い、条件を変えたときに採用計画全体の再調整が必要になる関係を表しています。

採用単価の計算や費目別の相場を詳しく確認したい場合は、採用コストの相場と計算方法を参照してください。

STEP4|採用チャネルは「届くか・間に合うか・回せるか」で選ぶ

予算の枠が見えたら、その予算をどの手段に振り向けるかを選びます。採用チャネルは、知名度や利用企業数だけで決めません。採用したい人材へ届くか、期限に間に合うか、自社で運用できるかで比較します。

次の表は、チャネルを比べるときの5つの軸です。見出しの3つの問いは、表の「対象への到達」「採用までの時間」「運用負荷」にあたります。「費用構造」と「実績の測定」は、STEP3の予算とSTEP5のKPIにつながる軸です。

比較軸 確認すること
対象への到達 採用したい職種・経験層に接点を持てるか
採用までの時間 募集開始から入社までの想定期間に合うか
費用構造 固定費型か、成果報酬型か、追加費用はあるか
運用負荷 スカウト、応募対応、面接調整を回せるか
実績の測定 応募、面接、内定、承諾まで追えるか

複数のチャネルを使う場合は、「主力」と「補完」に分けます。全チャネルへ均等に予算を配るより、対象人材に届きやすい手段へ重点を置き、反応が不足したときに補完チャネルを追加する方が、変更の判断をしやすくなります。

STEP5|KPIは採用人数から逆算して設定する

チャネルを選んだら、進み具合を確かめる指標を置きます。採用KPIは、最終目標である採用人数に至る途中の状態を確認するための指標です。応募数だけでなく、面接、内定、承諾まで、どこで計画との差が出ているかを追える形にします。

基本は、自社の過去の歩留まり(応募から面接、内定、承諾へと、各段階で次に進む人の割合)から逆算することです。たとえば5人の入社が必要なら、過去の内定承諾率(内定を出した人のうち承諾した人の割合)、最終面接通過率、面接設定率などを使い、必要な内定数、面接数、応募数を、上流へ戻りながら計算します。

初めて採用する職種で実績がない場合は、最初から精密な数字に見せる必要はありません。仮の前提として置き、募集開始後の実績で更新します。

KPIを置く目的は、未達を責めることではなく、修正すべき場所を早く見つけることです。応募数は足りているのに内定が出ない場合と、内定は出ているのに承諾されない場合とでは、見直すべき施策が異なります。

必要応募数の逆算とチャネル別の実行量まで落とす方法は、母集団形成の進め方で詳しく解説しています。

STEP6|入社日から逆算してスケジュールを作る

KPIが決まったら、次は日程です。採用スケジュールは、募集開始日ではなく、必要な入社日から逆算して作ります。最低限、次のマイルストーンを並べます。上から順に、入社日から時間をさかのぼる並びです。

  1. 入社・配属日
  2. 内定承諾の期限
  3. 最終面接・内定通知
  4. 一次面接・選考
  5. 応募獲得
  6. 求人公開・スカウト開始
  7. 採用要件・求人内容の確定
入社・配属日を起点に、内定承諾、面接、応募獲得、求人公開、採用要件確定までを逆算する採用スケジュール図

上の図は、入社・配属日を起点に、内定承諾、面接、応募獲得、求人公開、採用要件の確定までをさかのぼって設計する採用スケジュールを表しています。

各工程には担当者と期限を置きます。面接官が確保できない、求人原稿の承認に時間がかかる、内定後に入社まで期間が必要になるなど、採用活動は人事だけでは完結しないためです。

特に事業側が「この日までに人が必要」と決めている場合は、その日付から逆算して、いつまでに求人を公開しなければならないかを先に共有します。開始が遅れたときは、採用人数・要件・チャネル・予算のどこを変更するかまで決めておくと対応しやすくなります。

STEP7|経営・現場・人事で変更条件まで合意する

ここまでの内容を実行に移す前に、関係者の合意を取ります。採用計画は、人事だけで完成させても実行できません。経営、配属先の現場、人事で、少なくとも次の項目を合意します。

  • 採用の目的と優先順位
  • 必要人数と入社期限
  • 必須要件と妥協できる条件
  • 利用できる予算の上限
  • 主力チャネルと補完チャネル
  • 選考に参加する担当者
  • KPIと確認頻度
  • 計画を見直す条件

合意したあとは、運用の中で実績を見て計画を更新します。たとえば週次では応募・選考の詰まりを確認し、月次では予算消化と採用見込みを確認する、といった分け方ができます。事業計画や必要人数そのものが変わった場合は、四半期を待たずに採用計画を組み直します。

計画変更の基準を先に決めておくと、「もう少し様子を見る」が続くことを防げます。応募数、面接通過率、内定承諾、採用単価、採用見込み人数などのどれが一定期間ずれたら見直すかを、自社の採用サイクルに合わせて設定してください。

採用計画書には何を書くか|一枚で前提と進捗を確認できるテンプレート

採用計画書に決まった様式はありません。関係者が同じ前提を見て判断できる形であれば足ります。最初は次の項目を一枚にまとめると、計画と進捗をつなげやすくなります。表の「目標要員数」は、STEP1の「目標時点の必要要員数」と同じ意味です。

項目 記入内容
採用背景・目的 事業計画上、なぜ採用が必要か
部署・職種 どこに、どの職種が必要か
目標要員数 目標時点で必要な人数
社内人員見込み 現在人数、異動、退職見込み等を反映
必要採用人数 目標要員数との差
入社期限 いつまでに必要か
必須・歓迎要件 採用時に必要な条件
採用予算 総額とチャネル別配分
主力チャネル 最初に使う採用手段
補完チャネル 未達時に追加する手段
KPI 応募、面接、内定、承諾など
担当者 人事、現場、経営の担当
見直し条件 どの状態になったら計画を変更するか
更新日 最後に前提を見直した日

採用目標が断片的な状態なら、まずこの表を埋めてください。空欄が残った項目は、採用活動の前提がまだ決まっていない箇所です。

採用計画を実行前に確認するチェックリスト

次の10項目にすべて答えられるか確認すると、計画の抜けを見つけやすくなります。

  • 採用の目的が事業計画とつながっている
  • 目標時点の必要要員数が決まっている
  • 異動や退職見込みを含めて採用人数を算出している
  • 入社期限から逆算して募集開始日を決めている
  • 必須要件と歓迎要件を分けている
  • 採用予算と採用人数の整合を確認している
  • チャネルごとの役割と予算配分が決まっている
  • 採用人数からKPIを逆算している
  • 現場・経営・人事の担当と承認事項が決まっている
  • 未達時に何を見直すか決めている

答えられない項目が一つでもあれば、求人を出す前に、その項目の前提を確認してください。採用計画は、細かい書類を作ること自体が目的ではなく、採用活動の判断を早くするための共通基準です。

まとめ

採用計画のポイントは、人数・予算・要件・チャネル・KPI・スケジュールを別々に決めず、事業計画から逆算して一つにつなぐことです。

最初に必要要員と採用人数を決め、入社期限と採用要件をそろえます。そのうえで予算とチャネルを配分し、採用人数からKPIを逆算し、入社日からスケジュールを戻して作ります。最後に、経営・現場・人事で見直し条件まで合意すれば、状況が変わったときにも修正しやすくなります。

採用目標はあるものの、人数・予算・チャネル・KPIが一枚にまとまっていない場合は、まずテンプレート形式で前提を並べるところから始めてください。実務で使える採用改善資料は、資料ダウンロードページから確認できます。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

・「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」厚生労働省、2026年8月28日公表。2026年7月の有効求人倍率・新規求人倍率の確認に使用。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75707.html

・「労働経済動向調査(令和8(2026)年5月)の概況」厚生労働省、2026年6月23日公表。2026年5月1日時点の正社員等労働者過不足判断D.I.の確認に使用。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2605/

・「令和7(2025)年上半期 雇用動向調査結果の概況」厚生労働省、2025年12月23日公表。2025年1〜6月の入職率・離職率の確認に使用。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-1/

・「採用計画の立て方とは?具体的な8つのステップ【テンプレート付】」Wantedly HirinGeek、2026年9月2日更新。採用計画の一般的な構成要素・手順の比較確認に使用。
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/plan/

・「採用計画とは? テンプレート例、立て方、採用計画書の作り方」カオナビ人事用語集、2026年8月13日。事業計画・要員計画から採用計画へ落とし込む一般的な手順の比較確認に使用。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/saiyokeikaku/

‹ 親記事: 採用改善とは何か。取り組むべき5つの領域と押さえておきたい基礎知識

関連記事

関連テーマ