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口コミが多い企業ほど、採用発信も充実?Google口コミ5,339社と企業サイトを調査

部署:人事・採用担当者部署:広報・PR担当者部署:経営者・責任者レベル:実践
Google口コミ件数と企業公式サイトの採用情報13項目の関係を表した画像

[独自調査] Report ID: SBR-2026-035

公開日:2026年10月7日 著者:菊地 将

要旨

Google口コミ5,339社と企業公式サイトを比較。主分析対象4,673社では、口コミ0件の企業では採用情報13項目のうち平均1.91項目、口コミ100件以上では平均3.90項目を確認できました。求職者が口コミ・検索・採用サイトを行き来する前提で、企業が何をどこで伝えるべきかを整理します。

Google口コミは集客やMEO、採用サイトは採用広報。企業側では、別の施策として管理されることが多い領域です。では、実際の企業サイトを横断して見ると、この2つは本当に無関係なのでしょうか。

リブランディング株式会社の調査では、全体としては、口コミが多い企業ほど、採用情報13項目のうち公式サイトで確認できる項目も多い傾向が見られました。口コミ0件の企業では、求職者が会社選びで確認したい採用情報13項目のうち平均1.91項目を確認できたのに対し、口コミ100件以上の企業では平均3.90項目でした。採用ページの確認率も、41.6%から58.7%へ上がっています。

ただし、口コミ件数が増えるほど必ず採用発信が増えるわけではありません。この記事は「口コミを増やせば採用が良くなる」と示すものでもありません。口コミが多い企業では採用情報も多かったという差を手がかりに、企業は公式サイトだけでなく、検索・口コミ・外部コンテンツを含む複数の接点で何を伝えるべきかを整理します。

調査の対象は、Googleマップ由来の口コミ件数を確認できる企業5,339社です。このうち、公式サイトを取得でき、比較条件をそろえられた4,673社について、採用情報13項目が各社の公式サイトで確認できるかを集計しました。13項目は次のとおりです。

観点 採用情報13項目
仕事 具体的な仕事内容
人・職場 社員紹介、職場環境、数字で見る会社
条件・制度 働き方、福利厚生、給与、評価制度
成長 キャリア、研修
応募前の判断 選考フロー、採用FAQ、求める人物像

以下、本記事ではこの13種類を「採用情報13項目」と呼びます。

なお、13という数自体に特別な意味があるわけではありません。 厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」では、求職者が企業選びで確認したい情報として、事業・業務内容、身につくスキル、入社後のキャリアパス、職場の雰囲気・社風、研修・オンボーディングなどが整理されています。また、職場情報の提供制度でも、労働条件だけでなく、募集・採用状況、能力開発、職場定着に関する情報の提供が重視されています。

今回の調査では、こうした情報ニーズを企業サイト同士で比較できる形に置き換え、「仕事」「人・職場」「条件・制度」「成長」「応募前の判断」の5つの観点に整理しました。そのうえで、各観点を企業サイト上で横断的に確認しやすい具体項目として13項目を設定しています。つまり、この13項目は「これだけ載せればよい」という正解リストではありません。企業ごとの採用発信の違いを同じ物差しで見るためのチェックポイントです。

口コミ100件以上の企業では、採用情報13項目のうち平均3.90項目を確認できた

口コミ件数ごとに、採用情報13項目の平均確認数と採用ページ確認率を比べた結果が次の表です。

Google口コミ件数 対象企業数 採用情報13項目の平均確認数 採用ページ確認率
0件 687社 1.91 41.6%
1〜2件 984社 2.14 46.6%
3〜9件 1,163社 2.58 51.5%
10〜19件 524社 2.80 52.3%
20〜49件 585社 2.78 49.6%
50〜99件 311社 3.11 51.1%
100件以上 419社 3.90 58.7%

表は、口コミ件数が少ない区分から順に読むと違いが分かります。口コミ0件と100件以上を比べると、採用情報13項目のうち確認できた数は平均1.91項目から3.90項目へ、約2項目多くなっています。採用ページの確認率も、口コミ0件では41.6%、100件以上では58.7%でした。

Google口コミ件数別に採用情報13項目の平均確認数を比較し、0件の1.91項目から100件以上の3.90項目までの違いを示したグラフ

ただし、途中の区分には上下があります。10〜19件の平均2.80項目に対して、20〜49件では2.78項目とわずかに下がりました。採用ページ確認率も52.3%から49.6%へ下がっており、口コミ件数と採用発信は単純な比例関係ではありません。

今回の結果から確認できるのは、口コミ件数が多い企業ほど、採用情報13項目のうち公式サイトで確認できる項目も多い傾向があるということです。

口コミが多い企業ほど採用情報も多い傾向。この差は求職者にとって何を意味するのか

今回の独自調査で確認できたのは、口コミ件数が多い企業ほど、採用情報13項目のうち公式サイトで確認できる項目も多い傾向があったということです。では、この差は求職者にとって何を意味するのでしょうか。

手がかりは、求職者が採用サイトだけを見て企業を判断しているわけではない、という点にあります。

株式会社hypexが2026年に421名を対象に実施した調査では、応募前に参考にした情報源として採用サイトが87.9%で最多でした。また、企業の採用サイトや公式サイトを見た後、85.3%がSNS、口コミサイト、検索などで追加確認すると回答しています。追加確認する内容では「会社の評判・口コミ」が74.7%で最も多くなっています。

株式会社ワークポートが2026年に308名を対象に行った調査でも、83.8%が転職活動でSNS・口コミを確認すると回答しました。

つまり、求職者は「公式サイトを見る人」と「口コミを見る人」に分かれているわけではありません。同じ人が複数の情報源を行き来しながら、企業像を組み立てています。

求職者が採用サイト、検索、口コミ、SNS、求人媒体など複数の情報源を行き来しながら企業像を形成する流れ

採用情報は、公式サイトだけに置けば足りるのか

求職者が複数の情報源を行き来して企業像を組み立てる以上、企業側も採用サイトだけで情報提供を完結させず、複数の接点を前提に考える必要があります。

求職者が企業名検索や口コミ、SNSをどの場面で確認し、企業側が何を整えるべきかは、「採用活動にネット評判が与える影響」で詳しく整理しています。

求職者が実際に行き来するのは、Google検索、Google口コミ、求人媒体、SNS、社員インタビュー、採用記事、動画、説明会、FAQ、診断コンテンツなどです。どの接点から企業を知っても、「この会社は何者か」「実際はどうなのか」「入った後どうなるのか」が一貫して理解できる状態をつくることが重要です。

企業は何を伝えるべきか:「何者か」「実態」「この先」の3つ

では、具体的に何を伝えればよいのでしょうか。今回の13項目と、これまでに見た調査を踏まえると、情報は大きく3つに整理できます。

1. 自社が何者であるか

最初に必要なのは、会社の輪郭です。

事業内容を並べるだけでは足りません。誰にどんな価値を提供している会社なのか、何を大切にしているのか、どんな仕事の進め方をするのか、どんな人が活躍しやすいのかまで伝えます。

候補者が知りたいのは会社概要の暗記ではなく、「この会社は自分にとってどんな会社なのか」です。そのため、企業理念、事業の背景、顧客との向き合い方、働く人の共通点、求める人物像などは、抽象語ではなく具体的な行動や事例で示す必要があります。

2. 実態はどうなのか

次に必要なのは、入社後の現実です。

具体的な仕事内容、1日の流れ、一緒に働く人、評価のされ方、働き方、職場環境、難しい点、繁忙期、教育体制など、実際に働く姿が分かる情報を伝えます。

ここは、企業が「良く見せる」ためだけの領域ではありません。社員インタビュー、仕事紹介、FAQ、現場記事、動画、説明会、口コミへの向き合い方などを通じて、良い面だけでなく仕事のリアルまで伝えることで、候補者は自分に合うかどうかを判断できます。

3. どんなキャリアを歩めるのか

最後は、入社後の未来です。

入社後1〜3か月で何をするのか、半年後・1年後に何を期待されるのか、どんなスキルが身につくのか、どんな評価を経て役割が変わるのか、どのようなキャリアの選択肢があるのかを示します。

文章でキャリアパスを載せるだけでなく、社員の成長事例、職種別のキャリアマップ、先輩社員との比較、適職診断や職種診断のように「自分ならどこで活躍できそうか」を考えられるコンテンツにする方法もあります。

ただし、診断を置くこと自体が目的ではありません。大切なのは、自社の仕事や人材像、キャリアの実態をもとに、候補者が「自分とこの会社の接点」を理解できるようにすることです。

求職者が判断できる情報を、どの順番で整えるか

ここからは、今回の独自調査と外部調査を踏まえた実務上の提案です。最初に決めるべきなのは媒体ではなく、候補者に何を理解してもらう必要があるかです。

1. 候補者に理解してほしいことを定義する

まず、前の節で示した 「自社が何者か」「実態はどうか」「この先どうなるか」 の3つについて、自社として何を伝える必要があるかを整理します。

企業理念や事業内容だけでなく、仕事の実態、働く人、評価、成長、キャリアまで含め、候補者が会社を判断するために必要な情報を言語化します。

2. 現状の情報で、候補者が判断できるかを確認する

見るのは、情報が存在するかどうかではありません。候補者が「自分に合う会社か」「入社後にどうなるか」まで判断できる内容になっているかを確認します。

抽象的な表現しかない、実例がない、制度名だけで中身が分からないといった箇所は、情報があっても判断には使いにくい状態です。

3. 足りない情報に優先順位を付ける

すべての情報を一度に増やす必要はありません。次の部分から、優先的に整えます。

  • 候補者が判断できない部分
  • 採用現場で繰り返し説明している部分
  • 入社後のギャップにつながりやすい部分

4. どこで、どの形で伝えるかは最後に決める

必要な情報が決まった後で、候補者が接触する場所や伝え方を設計します。

どの媒体を使うか、記事・動画・診断・FAQなどどの形式にするかは企業ごとに異なります。重要なのは媒体数ではなく、候補者が必要な情報にたどり着き、「この会社は何者か」「実際はどうなのか」「入った後どうなるのか」を一貫して理解できることです。

発信テーマ、チャネルの役割分担、運用体制、KPIまで具体化する段階では、「採用広報の戦略・発信テーマ・運用設計」で実務の進め方を整理しています。

採用情報13項目は、どんな根拠で設定したのか

今回の13項目は、求職者が企業選びで実際に知りたがっている情報を、企業サイト間で同じ条件で比較できるように整理したチェックポイントです。

リクルートマネジメントソリューションズの2026年卒調査では、学生が就職活動中に知りたかった情報の上位は、「実際の勤務時間・残業時間」「具体的な仕事内容」「社内の人間関係・職場の雰囲気」でした。また、リクルートが転職活動者1,040人に行った調査では、企業に最も提示してほしい情報として、具体的な仕事内容・ミッション21.5%、働き方の詳しい情報14.1%、上司やメンバーの経歴・能力13.4%、評価指標12.1%、入社後のキャリアパス8.3%、教育制度・研修7.7%などが挙がっています。

求職者が知りたい仕事内容、働き方、人・職場、評価、キャリア、研修などの情報を5観点に整理し、採用情報13項目のチェックポイントへ落とし込んだ図

こうしたニーズを 「仕事」「人・職場」「条件・制度」「成長」「応募前の判断」 の5観点に整理し、各社の企業サイトで「確認できる/確認できない」を判定できる13項目に落とし込みました。13項目は、求職者に必要な情報がどこまで出ているかを企業ごとに比較するためのチェックポイントです。

採用サイト側でどの情報が不足しやすいかを別軸で確認したい場合は、「採用サイト1,000社の24項目情報開示率調査」も参考になります。

この調査から言えること・言えないこと

調査結果は、言えることと、今回のデータだけでは言えないことに分けて読む必要があります。

言えること

  • 主分析対象4,673社では、口コミ件数が多い企業ほど、公式サイト上で確認できる採用情報13項目のうち確認できる項目も多い傾向が見られた
  • 口コミ0件の企業では採用情報13項目のうち平均1.91項目、口コミ100件以上では平均3.90項目を確認できた
  • 採用ページ確認率は、口コミ0件で41.6%、口コミ100件以上で58.7%だった
  • 途中の区分には上下があり、口コミ件数と採用発信は単純な比例関係ではなかった
  • 業種差を考慮した分析でも、口コミ件数が多い企業ほど採用情報が多い方向は変わらなかった

今回のデータだけでは言えないこと

  • 口コミ件数が多いことが、採用発信を充実させたという因果関係
  • 採用発信を充実させると、口コミ件数が増えるという因果関係
  • 口コミが多い企業ほど、応募数・採用数・内定承諾率が高いということ
  • Google口コミを増やせば採用成果が高まるということ
  • 今回の割合が日本企業全体にそのまま当てはまるということ

調査概要

調査の対象、時点、方法、注意点は次のとおりです。

項目 内容
調査主体 リブランディング株式会社
Googleデータ対象 5,339社
主分析対象 4,673社
Googleデータ時点 2026年4月ごろ(既存収集データ)
企業サイト調査時点 2026年10月
企業サイト調査方法 企業公式サイトを静的HTMLで確認。robots.txtを遵守
採用情報13項目 社員紹介、仕事内容、働き方、福利厚生、給与、評価制度、キャリア、研修、職場環境、数字で見る会社、選考フロー、採用FAQ、求める人物像の13項目
注意点 取得不能・ブロック等を「情報なし」として集計していない。日本企業全体の無作為標本ではない

まとめ

Google口コミ5,339社と企業公式サイトを比較した結果、主分析対象4,673社では、口コミ件数が多い企業ほど、公式サイト上で確認できる採用情報13項目のうち確認できる項目も多い傾向が見られました。口コミ0件では採用情報13項目のうち平均1.91項目、口コミ100件以上では平均3.90項目を確認できました。採用ページ確認率も41.6%から58.7%へ上がっています。

この結果を「口コミを増やせば採用が良くなる」と読むことはできません。一方で、求職者は公式サイトだけで企業を判断しているわけではなく、検索、口コミ、求人媒体、SNSなど複数の情報源を行き来しています。その前提に立つと、企業が整えるべきなのは採用サイト単体ではありません。

整えるのは、自社が何者なのか。実際に働くとどうなのか。入社後にどんなキャリアを歩めるのか。 この3つです。公式サイトだけでなく、求人媒体、社員コンテンツ、SNS、動画、FAQ、適職診断・職種診断など複数の接点から、一貫して理解できる状態をつくる必要があります。

最初の一歩は、候補者が判断できていない情報を洗い出し、優先順位を付けることです。採用広報の改善は、ページ数を増やす作業ではありません。候補者が企業を知り、自分との接点を理解し、働く姿を判断できる情報導線を設計することです。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: 採用活動にネット評判が与える影響|求職者の企業検索と採用広報の対策

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