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内定承諾率を上げる方法|辞退理由の分析・オファー面談・フォロー設計

部署:人事・採用担当者レベル:実践
内定候補者の状況を確認する採用担当者のデスクと、内定辞退理由の49.8%が志望度に関係することを示したアイキャッチ画像

内定を出せる候補者は増えたのに、最後の「承諾」で辞退されてしまう。そのたびに内定者フォローや懇親会を増やしても、内定承諾率が改善するとは限りません。辞退の原因が違えば、必要な対策も違うためです。

最初にやることは、辞退を「志望度・他社比較」「職種・勤務地・待遇」「情報不足」「選考体験・信頼」「タイミング」の5つの原因に分け、その原因に合う施策を選ぶことです。

2026年卒の企業調査では、内定辞退理由として「より志望度の高い企業から内定が出た」が49.8%で最多でした。ただし、希望職種や希望勤務地、給与条件なども辞退理由に挙がっており、他社に負けたという一言では原因をつかみきれません。

この記事では、内定承諾率を単なる結果の数字として眺めるのではなく、どこで候補者の意思決定が止まっているかを診断し、改善する手順まで整理します。辞退理由の分析、オファー面談、条件提示、内定後のフォロー設計の順に、自社で何から手を付けるかを判断できるようにします。

内定承諾だけでなく、応募から承諾までのどの段階で候補者が減っているか(各段階で次に進む人の割合である歩留まり)を先に特定したい場合は、「採用ファネルの歩留まりを診断する方法」を確認してください。

内定承諾率を上げるには「フォローを増やす」前に辞退理由を分解する

内定承諾率を改善する第一歩は、内定辞退を一括りにしないことです。そのために、まず承諾率の計算方法をそろえ、次に辞退理由を分類します。

内定承諾率は、一般に次の式で確認します。

内定承諾率=内定承諾者数÷内定提示者数×100

例えば20人へ内定を提示し、10人が承諾した場合は50%です。

ただし、50%という数字だけでは、何を改善すればよいかは決まりません。「給与で負けた」のか、「職種が希望と違った」のか、「他社の方が自分を評価してくれたと感じた」のかで、必要な施策がまったく異なるためです。

そこで、自社の辞退理由を次の5つに分類します。図と表は、その5分類と、分類ごとの主な改善対象を示したものです。

内定辞退を志望度、条件、情報不足、選考体験、タイミングの5つの原因に分けて診断する図

内定辞退は一括りにせず、原因を分類してから改善対象を決めます。

辞退理由の分類候補者が感じていること主な改善対象
志望度・他社比較他社の方が魅力的に見える自社を選ぶ理由、期待役割
職種・勤務地・待遇希望条件と合わない採用要件、配属、条件提示
情報不足入社後の姿を想像できない社員面談、仕事内容、キャリア情報
選考体験・信頼自分を理解してもらえていない面接品質、フィードバック
タイミング他社の選考・内定が先に進む選考速度、連絡、面談時期

表は、左から辞退理由、そのとき候補者が感じていること、手を付ける対象の順に並んでいます。例えば「情報不足」なら、候補者は入社後の姿を想像できずにいるため、手を付ける対象は社員面談や仕事内容・キャリア情報になる、という読み方になります。

2026年卒の企業新卒内定状況調査では、1,810社への調査で「より志望度の高い企業から内定が出た」が49.8%と最多でした。そのほか希望職種17.7%、希望勤務地15.1%、希望業種12.1%、給与条件11.4%となっています。

ここから、内定辞退をすべて「フォロー不足」では説明できないことが分かります。志望度や条件に関わる理由が上位にあるため、フォローを増やす前に、自社ではどの理由が多いのかを確かめましょう。

内定承諾率が低い原因は5つに分けて診断する

この節では、辞退の原因を5つに分け、それぞれの見方と対処を確認します。内定辞退が続いている場合は、候補者ごとの辞退理由を記録し、発生件数と改善できる可能性の両方から優先順位を付けます。

1.他社と比べたときの「選ぶ理由」が弱い

「他社の方が志望度が高かった」という辞退は、単に知名度で負けたとは限りません。候補者から見て次の4点が明確になっていないと、条件が近い企業同士を比較したときに、決め手を作りにくくなります。

  • なぜ自分が採用されたのか
  • 入社するとどの仕事を任されるのか
  • どのような成長機会があるのか
  • 自分の希望と会社の期待がどう重なるのか

採用研究でも、仕事内容、企業の特徴、採用プロセス、採用担当者の行動、本人が感じる企業との適合など、複数の要因が企業への魅力や就職先の選択に関係すると報告されています。2005年のメタ分析(複数の研究結果をまとめて分析する手法)では、71研究、667の関連係数が分析されています。

そのため、「当社は成長できます」と一般的な魅力を説明するより、候補者本人の経験と入社後の役割を結び付けて伝えることを優先すると考えます。

2.職種・勤務地・給与などの条件が合っていない

職種、勤務地、給与などが辞退理由になっている場合、コミュニケーションだけでは改善できないことがあります。そこで、条件そのものを見直せるかどうかを先に確認します。

2027年卒向け企業調査では、初任給を引き上げた企業が89.1%に達し、平均支給額は23万7,903円でした。給与条件をめぐる採用競争が続いていることがうかがえます。

ただし、すべての候補者に対して競合企業を上回る給与を提示する必要はありません。重要なのは、条件を次の2つに分けて把握することです。

変えられる条件

  • 初任給・提示年収
  • 配属候補
  • 勤務地
  • リモートワーク
  • 入社時期

変えにくい条件

  • 給与制度全体
  • 転勤制度
  • 事業内容
  • 組織構造

変えにくい条件を曖昧にしたまま承諾を得ても、入社後のミスマッチにつながります。

条件の伝え方には、法令上のルールもあります。求人募集時には業務内容、賃金、労働時間などの労働条件を明示する必要があります。労働契約締結時にも労働条件の明示が必要です。2024年4月からは募集時に業務・就業場所の変更範囲なども明示事項へ追加されています。

条件は「魅力づけの材料」ではなく、候補者が比較して判断できる状態まで具体化して提示することが基本です。

3.仕事や職場のイメージが具体的になっていない

「何となく不安」「働くイメージが湧かない」という候補者に、採用担当者が会社説明を繰り返しても、不安が解消するとは限りません。

2027年卒の企業調査では、採用企業が「実施してよかった」と評価する施策として、若手社員による仕事内容の解説、面接以外の個別面談、最終面接段階や内定後の会社訪問などが挙げられています。

これを踏まえると、候補者が知りたいテーマに応じて会う相手を変えることが有効だと考えます。次の表は、候補者の不安ごとに会う相手の例をまとめたものです。

候補者の不安会ってもらう人
実際の仕事内容配属予定部署の社員
1日の働き方若手社員
キャリア上司候補・マネージャー
会社の方向性経営者・役員
給与・制度人事
職場の雰囲気同年代の社員

ここで大切なのは、「社員と会わせる」こと自体を目的にしないことです。候補者がまだ判断できていない項目について、最も具体的に答えられる人をつなぐことがポイントです。

4.面接や選考体験で志望度を落としている

内定後だけでなく、内定を出すまでの選考体験も承諾の判断に影響します。ここでは、選考に関する2つの研究を見ます。

2012年に232研究、250サンプル、10万8,632人を分析したメタ分析では、採用プロセスの特徴は選考段階が進むにつれて応募者から重く評価される傾向が確認されています。また、最終的な就職先選択では仕事内容の特徴が重要でした。

さらに、1,832人の応募者を調査した研究では、選考が公正に行われるという期待が高い応募者ほど、就職受諾や他者への推奨意向も肯定的でした。

これらの研究を踏まえると、承諾率だけが低いように見えても、原因が面接段階にある場合があると考えます。次の点を確認しましょう。

  • 面接官ごとに説明内容が違っていないか
  • 候補者の話を十分に聞いているか
  • 選考結果の連絡が遅くないか
  • なぜ次の選考へ進んだのか伝えているか
  • 最終面接まで会社側が候補者を「評価するだけ」になっていないか

5.意思決定のタイミングを逃している

候補者が複数企業を比較している場合、企業側の意思決定が遅いだけで選択肢から外れることがあります。

2027年卒の学生調査では、7月末時点の内々定率は83.7%でした。一方、30.9%は就職活動を継続していました。内定を獲得した後も比較・検討が続く採用市場であることがうかがえます。

そのため、「内定通知を送ったので回答を待つ」だけで終わらせず、候補者が意思決定する時期から逆算して接点を設計します。例えば、他社の選考結果を待っている候補者には、意思決定の期限と次回の連絡日を確認します。原因が分かったら、次は候補者と直接向き合うオファー面談の進め方を見ていきます。

オファー面談は「説得」ではなく意思決定を支援する場にする

オファー面談は、内定承諾率を改善するうえで重要な接点です。この記事では、内定を伝えたあとに、候補者の疑問や懸念を確認して入社の判断を支える面談を「オファー面談」と呼びます。

ただし、目的を「承諾させること」にすると、候補者が本当の懸念を言いにくくなります。オファー面談の目的は、候補者が比較・判断するために不足している情報を埋めることです。

企業向けの内定後面談に関する解説でも、懸念点を確認すること、候補者に合う社員を設定すること、内定理由を伝えること、正確な情報を伝えること、無理な説得を避けることが重要とされています。

オファー面談前に確認する3項目

面談の前に、少なくとも次の3点を整理します。

  1. 候補者が就職先を決めるときに重視している条件
  2. 自社への入社を迷っている理由
  3. 誰と話せばその不安を解消できるか

3点目の「誰と話すか」を外すと、面談が空回りします。例えば「仕事内容」が不安なのに、人事が福利厚生を詳しく説明しても承諾には近づきません。逆に、給与水準が懸念なのに現場社員との座談会だけを設定しても、中心的な不安は残ります。

オファー面談は5ステップで進める

面談当日は、次の流れで進めると論点がぶれにくくなります。ここでの5ステップは当日の進め方で、後述する改善の5STEPとは別のものです。

内定理由の説明から候補者の判断軸と懸念を確認し、情報提供と次のフォローを決めるオファー面談の5ステップ

オファー面談では承諾を迫るのではなく、候補者が判断するために不足している情報を順番に確認します。次の表は、各ステップの内容と目的をまとめたものです。

STEP内容目的
1内定理由を伝える候補者への評価を具体化
2意思決定基準を聞く判断軸を把握
3懸念点を聞く承諾を止めている原因を特定
4根拠のある情報を提示不確実性を減らす
5次の確認事項を決めるフォロー内容を明確化

5つのうち、特に重要なのが最初の「内定理由」です。「ぜひ一緒に働きたいです」と伝えるだけでなく、「○○の経験から、入社後は△△の役割で強みを発揮できると評価した」というように、候補者の経験と期待役割を結び付けて伝えます。

2026年卒の内定者意識調査でも、入社の決め手として、仕事内容、勤務地、給与、働き方だけでなく、「内定受諾が決まるまで話をしてくれた」「若手が活躍できそう」「キャリアパスを尊重している」といった候補者ごとの具体的な声が確認できます。

条件提示は「金額」だけでなく入社後の状態まで具体化する

オファー面談では、候補者が他社と比較しやすい形で条件を整理して示します。確認対象は、例えば次の通りです。

  • 給与・賞与
  • 勤務地
  • 配属予定
  • 業務内容
  • リモートワークの可否
  • 転勤の可能性
  • 勤務時間
  • 休日
  • 評価制度
  • 昇給・昇格
  • キャリアパス

ここで気を付けたいのは、ポジティブな情報だけを並べないことです。「原則転勤はないが、将来の制度変更まで保証できるわけではない」「繁忙期には残業が増える」など、判断に影響する条件は事前に伝えます。

短期的に承諾率だけを上げるのではなく、候補者が納得して入社できる承諾率を高めることを目指します。

内定後フォローは候補者の不安に合わせて内容を変える

内定後のフォローは、全内定者へ同じイベントを用意するより、候補者の不安別に設計した方が合理的です。候補者が判断できていない項目に応じて、その質問へ具体的に答えられる社員を設定します。

内定候補者が知りたい仕事内容やキャリア、給与などの内容に応じて面談する社員を選ぶ対応図

次の表は、候補者の状態ごとに有効なフォローの例をまとめたものです。

状態有効なフォロー例
仕事内容を迷っている現場社員との個別面談
人間関係が不安若手社員との面談・職場訪問
キャリアを迷っている上司候補とのキャリア面談
経営への不安経営者との対話
条件を比較している条件説明・書面整理
他社選考待ち意思決定期限と次回連絡日を確認

フォロー回数をKPIにすると、「毎週連絡する」「イベントを増やす」といった活動量が目的化しやすくなります。見るべきなのは、候補者の懸念が解消されたかです。

内定承諾率を改善する5STEP

ここまでの内容を、実務では次の順序で進めると、改善対象を絞れます。内定承諾率は結果指標なので、辞退理由を記録し、改善後に原因別の変化まで再測定することで、次の施策を判断できます。

内定承諾率を計測し、辞退理由を分類して改善施策を実行し、再測定する5段階の改善サイクル

STEP1|内定承諾率を同じ定義で集計する

まず、採用年度、職種、採用チャネル(求人媒体や人材紹介などの採用経路)ごとに、内定提示数と承諾数を記録します。保留中の候補者を辞退扱いするなど、担当者ごとに分母・分子が違う状態は避けます。定義がそろっていないと、数字を比べられないためです。

STEP2|辞退理由を5分類する

辞退連絡を受けたら、自由記述だけで終わらせず、次の5つのいずれかに分類します。

  • 志望度・他社比較
  • 職種・勤務地・待遇
  • 情報不足
  • 選考体験・信頼
  • タイミング

複数の理由がある場合は、「主因」と「副因」に分けて記録します。

STEP3|改善できる原因を優先する

発生件数が多く、企業側で変えられる原因から着手します。例えば「希望勤務地」が辞退理由の上位でも、勤務地を変えられない企業であれば、短期間では改善できません。

一方、次のような問題は改善しやすい領域です。

  • 配属情報が不足している
  • 条件提示が遅い
  • 内定理由を説明していない
  • 現場社員と会う機会がない

STEP4|候補者ごとにオファー面談を設計する

一律の説明資料ではなく、候補者の判断軸に合わせて話す内容と参加社員を決めます。「誰に、何を、どの根拠で説明するか」を決めてから面談しましょう。

STEP5|翌月・翌採用年度で再測定する

改善後は、全体の承諾率だけでなく、辞退理由の構成比も比較します。例えば、条件説明を改善した結果、次のようになったとします。

  • 条件に関する辞退が減った
  • 一方で仕事内容に関する辞退が残った

この場合は、次に仕事内容を具体的に伝える施策へ移ります。この改善サイクルを回すことで、承諾率だけを追うより原因を特定しやすくなります。

内定承諾率は全体平均だけでなく原因別KPIで管理する

内定承諾率を改善する場合は、次の指標を合わせて確認します。内定承諾率は採用の最終段階の歩留まりを示し、ほかの指標は、その数字の背景を原因別・工程別に確かめるためのものです。

KPI確認すること
内定承諾率最終歩留まり
内定辞退率内定後の離脱状況
辞退理由別件数何が原因か
オファー面談実施率必要な候補者へ面談できたか
内定から面談までの日数フォローが遅れていないか
内定から回答までの日数意思決定期間
職種別承諾率特定職種だけ問題がないか
採用チャネル別承諾率母集団との相性

最初の節の例と同じく、20件の内定に対して10件が承諾なら、承諾率は50%です。ここで「60%にする」とだけ決めるのではなく、辞退した10件の理由を確認します。

仮に4件が仕事内容・配属への不安、3件が他社比較、2件が条件、1件が個人的事情なら、最初に改善すべきなのは仕事内容・配属情報である可能性があります。この内訳は説明のための仮の例で、実際の内訳は自社の記録で確認します。

このように、承諾率は結果、辞退理由は改善の入口として分けて扱います。

内定承諾率改善で避けたい3つの施策

ここまでの内容を踏まえ、避けたい施策を3つ挙げます。

全員へ同じフォローを増やす

懇親会や定期連絡は有効な場合がありますが、給与を懸念している候補者と仕事内容を懸念している候補者では、必要な情報が異なります。活動量ではなく、不安の解消を目的にします。

承諾を急がせる

短い回答期限や強い説得で承諾を得ても、候補者の不安が残っていれば、承諾後の辞退や入社後のミスマッチにつながる可能性があります。候補者が納得して判断できる情報を提供しましょう。

辞退理由を「他社に負けた」で終わらせる

「他社の方が志望度が高かった」という回答だけでは、改善の手がかりになりません。仕事内容、給与、勤務地、社風、社員、キャリア、選考体験のうち、何が比較材料になったのかまで確認します。

まとめ

内定承諾率を上げるには、内定後のフォローを増やすだけでは不十分です。辞退の原因を分けて把握し、原因に合う手を打つために、次の順序で改善します。

  1. 内定承諾率を正しく計測する
  2. 辞退理由を原因別に分類する
  3. 発生件数と改善可能性から優先順位を決める
  4. 候補者ごとにオファー面談と条件提示を設計する
  5. 原因別KPIを再測定する

最新の新卒採用データでも、より志望度の高い企業への流出だけでなく、職種、勤務地、給与など複数の理由で内定辞退が発生しています。

承諾率そのものを追うのではなく、「なぜ候補者が最後の意思決定で自社を選べなかったのか」をデータとして残すことが、継続的な改善につながります。最初の一歩は、分母と分子の定義をそろえて承諾率を集計し、直近の辞退理由を5つに分類することです。

参考文献・データ元

この記事で参照した情報を確認できます。

‹ 親記事: 採用ファネルの歩留まりを診断する方法|応募・面接・内定・承諾のボトルネック特定

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