「カジュアル面談を設けたいが、面接と何が違うのか、何を話せばよいのか分からない」。採用を担当していると、こうした場面に出会います。 結論から言うと、カジュアル面談は、選考とは別に設ける相互理解の場です。ただし、選考に影響するかどうかは企業によって違います。そのため、開催前に「この面談は選考に影響するのか」を社内で決め、当日の冒頭で候補者に伝えておくことが、いちばんの前提になります。 この記事では、公開されている3つの解説記事(人材管理システム会社、採用担当者向けの解説サイト、採用情報メディア)と、厚生労働省の公式ページ、学術論文1本をもとに、面接との違い、進め方、質問例、失敗しやすい点を整理します。解説記事の内容は各社の見解です。
カジュアル面談とは:選考とは別に設ける、相互理解の場

選考との関係は企業ごとに異なります。どちらの方針でも、冒頭での説明が前提になります。この図は方針の分け方の整理であり、法的な区分ではありません。
カジュアル面談は、企業と候補者が互いの知りたいことを話し合う面談です。人材管理システム会社の解説は、「企業と応募者のミスマッチ防止と入社後の早期退職軽減を目的に、選考プロセスとは別に設けられる相互理解の場」と説明しています。採用担当者向けの解説サイトも、「選考前に候補者と社員がカジュアルに話をして、互いの知りたい情報を交換する機会」としています。
形式にも決まりはありません。採用情報メディアの解説によると、決まった形式はなく、基本は1回のみで、二次選考や最終面接のような形式は取りません。実施の場所は、オフィス、カフェ、オンラインなどです。
また、同じ解説によると、企業側から持ちかける形が主流です。ダイレクトリクルーティング(企業が候補者に直接働きかける採用手法)やリファラル採用(社員などの紹介を通じた採用)で出会った候補者との最初の接点として使われます。求職者の希望で行われることもあります。ダイレクトリクルーティングの進め方は、ダイレクトリクルーティングの導入と運用で整理しています。
ここで注意したいのは、選考との関係です。採用情報メディアの解説は「基本的には採用判断が行われません」とする一方、企業によっては判断材料にする場合もあると述べています。人材管理システム会社の解説も、選考への影響は「原則なし(ただし企業による)」としています。つまり、「選考ではない」と言い切れるかどうかは、自社が決めることです。ここでは、選考に使わない方針の面談を前提に説明し、使う場合の注意は後の節で触れます。
面接との違い:目的・合否・質問の向きで比べる

質問の向きと時期の違いを表した図です。各社の解説の記載を筆者が整理しています。
人材管理システム会社と採用担当者向けの解説サイトの2つの解説をもとに、面接との違いを次の表に整理しました。表は筆者のまとめで、各社の記載を比べて近い表現にそろえています。
| 比較軸 | カジュアル面談 | 面接(選考) |
|---|---|---|
| 目的 | 相互理解・情報交換 | 応募者のスキルや志望動機を評価し、採否を判断する |
| 合否への影響 | 原則なし(企業による) | 合否に直結する |
| 時期 | 応募前が一般的 | 応募後 |
| 質問の向き | 双方向(候補者からも質問する) | 主に企業から候補者へ |
| 準備書類 | 原則不要 | 履歴書・職務経歴書など |
| 服装 | 自由〜オフィスカジュアル | スーツまたは企業指定 |
いちばん大きな違いは、目的です。面接は企業が候補者を評価して採否を決める場で、カジュアル面談は、お互いが情報を出し合って、相性を確かめる場です。志望度がまだ固まっていない候補者が、気軽に参加できることが前提になっています。
開催する目的:入社前後のギャップを減らす
企業がカジュアル面談を開く理由は、大きく2つです。1つは、候補者に自社を知ってもらい、正式な応募や選考への参加につなげること。採用情報メディアの解説は、ゴールを「面談対象者の選考への参加を促す点」としています。人材管理システム会社の解説も、ゴールは「正式に求人応募してもらうこと」と述べています。応募に至るまでの人数の考え方、つまり採用候補者の集まりをどう増やすかは、母集団形成の人数の逆算と手法の選び方で整理しています。もう1つは、入社前後のギャップを減らすことです。
後者に関係する研究があります。1998年に経営学の学術誌に発表されたメタ分析(複数の研究結果を統合して分析する方法)は、現実的な職務情報提供(Realistic Job Preview、RJP)の効果を調べています。RJPは、仕事の良い面だけでなく、厳しい面も含めて事前に伝える方法のことです。この研究は、RJPの40件の研究(うち26件は発表済み)を統合し、RJPが職務遂行の向上、採用過程での離脱の減少、離職の減少などと関連していたと報告しています。また、実施する時期や提供する媒体によって結果が変わる可能性も示しています。
ただし、この研究が対象にしているのは職務情報の提供一般で、カジュアル面談そのものの効果を測ったものではありません。要旨から確認できたのは上の範囲です。この記事では、「良い面だけを伝えない」という採用担当者向けの解説サイトの注意点(後述)の背景を説明する材料として紹介しています。
進め方:企業側の6ステップ
進め方の流れは、人材管理システム会社と採用担当者向けの解説サイトの解説で共通点が多く、次の6つに整理できます。

順番や中身は、自社の事情に合わせて入れ替えて構いません。
- 自己紹介:企業の担当者から名乗り、部署や仕事内容を話します。続いて候補者にも簡単に自己紹介してもらいます。アイスブレイクとして共通点を探せる話題(趣味など)を添えると、緊張がほぐれやすくなります(採用担当者向けの解説サイト)。
- 選考とは関係がないことを伝える:「選考の合否とは一切関係ありません」のように、はっきり言葉にします(採用担当者向けの解説サイト)。企業の方針で選考に影響する場合は、ここで正直に伝えます。
- 目的をすり合わせ、候補者の状態を聞く:「なぜ今回参加しようと思ってくれたのか」など、来てくれた理由を聞きます。相互理解が目的であることを伝え、温度感を合わせます。
- 会社や仕事について話す:候補者の関心に合わせて、事業内容やビジョン、仕事の実際を伝えます。良い面だけでなく、合わない可能性のある点も話します。
- 質問に答える:候補者からの質問に答えます。「仕事以外のことでも大丈夫です」と伝えると、質問しやすくなります。
- 次のステップを案内する:面談の最後に、今後の選択肢(選考への参加、再度の面談、見送りなど)を伝えます。採用担当者向けの解説サイトは、案内を当日中に行うと選考参加率が上がると説明しています(この記事では、その効果までは確認していません)。
面談の長さについては、ここで参照した範囲では、具体的な時間の目安を確認できていません。自社で候補者の負担にならない長さを決め、事前に案内しておくとよいでしょう。候補者の負担を含めた体験全体の設計は、採用CX(候補者体験)の設計と改善で扱っています。
質問例:聞く質問と、聞かれる質問
カジュアル面談の質問は、候補者を評価するためではなく、候補者のことを知り、自社の話を合わせるために使います。
候補者に聞く質問の例は、採用担当者向けの解説サイトに次のものがあります。
- なぜ今回カジュアル面談に参加しようと思ってくれたのか
- 自社に対してどんなイメージがあるか
- 他にどんな業界・企業を見ているか
- 仕事選びで大切にしていること
- どんな環境で力を発揮しやすいか
人材管理システム会社の解説は、仕事に対する価値観や将来やってみたい仕事などの話題から入り、相手の反応を見ながら「相手がどんな人なのか」を広げていくよう勧めています。
一方、候補者から聞かれる質問への備えも欠かせません。採用担当者向けの解説サイトは、聞かれやすいこととして、どんな人が活躍しているか、求められるスキル、やりがい、今後注力する事業、面談担当者の入社理由やキャリアなどを挙げています。また、平均残業時間、有給消化率、離職率、育休取得率などの数値を、事前に確認しておくことを勧めています。数値は、数え方(対象者や期間)まで説明できるようにしておくと、聞かれたときに慌てません。
成功のポイント:準備・同席者・伝え方
採用情報メディアの解説が挙げる企業側の準備を軸に、他の2つの解説の内容を加えて整理します。
- 自社の特徴を整理しておく:自社の特徴やビジョン、業務内容を整理しておきます。視覚的に伝えたい内容は、資料を用意します。
- 同席者を選ぶ:可能であれば、候補者と同じ職種や業務に詳しい社員を選びます。人材管理システム会社の解説は、最初の接点になるため、自社の魅力を伝えられる人が望ましいとしています。
- 答えられない質問への対応を決めておく:その場で答えられないことを聞かれたときに、後日回答するなどの対応を決めておきます。
- 求める人材像を明確にしておく:人材管理システム会社の解説が、意見交換を活発にするための準備として挙げています。
- 実際の情報を伝える:採用担当者向けの解説サイトは、いいところばかり伝えると、入社後のギャップによる早期退職につながる可能性があるとしています。採用情報メディアの解説も、組織や業務、求める人材像を正確に伝えなければ、ミスマッチを防ぐ効果は得られないとしています。
- 双方向の会話にする:質問ばかりや、企業のアピールだけに終始しないようにします。
よくある失敗と避け方
3つの解説で挙げられている注意点をもとに、失敗しやすい点を4つに整理しました。表は筆者のまとめで、出典名は各項目の根拠です。
| よくある失敗 | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|
| 面接のようになる | 志望動機や経歴を深く聞くと、候補者が緊張し、不信感につながる(人材管理システム会社、採用担当者向けの解説サイト) | 評価のための質問を控え、候補者の関心を聞く質問を中心にする |
| 企業側が一方的に話し続ける | 候補者のニーズを把握できない(採用担当者向けの解説サイト) | 前半で候補者の状況や志向を聞く |
| 良い面ばかり伝える | 入社後のギャップによる早期退職につながる可能性がある(採用担当者向けの解説サイト) | 弱みや課題も率直に伝える |
| 次のステップを案内せずに終える | 温度感が下がり、選考につなげる機会を逃す(採用担当者向けの解説サイト) | 面談の最後に、次のアクションを具体的に案内する |
このほか、採用情報メディアの解説は、仕事と関係のない個人的な価値観や好みに踏み込まないこと、社員の時間や本来の業務への影響を考えて、面談を過剰に実施しないことも注意点に挙げています。
聞き方に迷ったら:公正な採用選考の考え方を確認する
カジュアル面談でも、候補者に何を聞くかは慎重に決める必要があります。厚生労働省の公式ページ「公正な採用選考の基本」は、採用選考の基本的な考え方として、「応募者の基本的人権を尊重すること」と「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」の2点を挙げています。そして、適性と能力に関係がない事項を、応募用紙に記載させたり、面接で尋ねたりして把握することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。
厚生労働省の公正採用選考特設サイトも、公正な採用選考を行う基本を「応募者に広く門戸を開くこと」と「本人のもつ適性・能力に基づいた採用基準とすること」としています。厚生労働省の公式ページは、避けるべき事項の例として、次のものを挙げています。
- 本人に責任のない事項:本籍・出生地、家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)、住宅状況、生活環境・家庭環境など。
- 本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること):宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、購読新聞・雑誌・愛読書など。
このページが示しているのは採用選考についての考え方で、今回確認した範囲では、カジュアル面談への適用の説明は確認できませんでした。そのうえで、この記事の運用上の提案として、面談の内容が選考に使われる可能性がある以上、上の事項を尋ねない運用にそろえておくのが無難です。採用情報メディアの解説が挙げる「プライベートへの配慮」も、同じ方向の注意点です。具体的な運用は、自社の人事・法務の担当者や専門家に確認してください。
開催前に確認したい6項目
- 選考との関係:この面談が選考に影響するかどうかを、社内で決めた
- 候補者への案内:目的、所要時間、服装と、履歴書・職務経歴書などの提出書類が原則不要であることを、事前に伝えた
- 当日の担当者:自社の魅力を伝えられる人と、候補者と近い職種の人を選んだ
- 話す内容と資料:事業・仕事・働き方について、良い面と課題の両方を整理した
- 想定問答:残業時間や有給消化率などの数値と、答えられない質問への対応を確認した
- 面談後の流れ:次のステップの案内方法と、連絡する時期を決めた
この記事から判断できる範囲
この記事は、3つの解説記事、厚生労働省の公式ページ、学術論文の要旨をもとにした整理です。解説記事は、いずれも民間の企業が運営する媒体の記事で、各社の見解を含みます。
面談の標準的な所要時間や実施率、面談後の選考参加率などの数値は、一次資料で確認できなかったため、この記事では示していません。法令上の扱いは扱っていません。
まとめ
カジュアル面談は、選考とは別の相互理解の場として設計し、選考への影響は企業ごとに決めて冒頭で伝えます。
まず、面談が選考に影響するかを社内で決めてください。候補者との接点や応募を増やす採用マーケティングの中で、面談がどこに位置するかは、採用マーケティングと母集団形成の手段で整理しています。
参考文献・データ元
この記事で参照した情報を確認できます。
- カオナビ「カジュアル面談とは? 面接との違い、事前準備や進め方を簡単に」(確認日 2026年11月3日) https://www.kaonavi.jp/dictionary/casual_mendan/
- Wantedly Hiringeek「カジュアル面談とは」 https://www.wantedly.com/hiringeek/?p=669
- HRMOS TREND「カジュアル面談の解説」 https://hrmos.co/trend/recruit/5304/
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(確認日 2026年11月3日) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html
- 厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時の基本的な考え方・公正な採用選考の基本」(確認日 2026年11月3日) https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html
- Phillips, J. M. (1998). Effects of realistic job previews on multiple organizational outcomes: A meta-analysis. Academy of Management Journal, 41(6), 673–690. DOI: 10.2307/256964 https://pure.psu.edu/en/publications/effects-of-realistic-job-previews-on-multiple-organizational-outc/
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